事件名 |
本四海峡バス |
事件番号 |
東京高裁平成15年(行コ)第94号
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控訴人 |
本四海峡バス株式会社 |
被控訴人 |
中央労働委員会 |
被控訴人参加人 |
全日本港湾労働組合関西地方神戸支部 |
判決年月日 |
平成15年 8月20日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、別組合とのユ・シ協定に基づく分会長ら3名の解雇
撤回等に関する団体交渉に応じないことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
兵庫地労委は、会社に対して、組合から申入れのあった団体交渉に誠意をもって応じることを命じ、中労委も、初審命令を維持
し本件再審査申立てを棄却したところ、会社はこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起し、同地裁の棄却判決に対しても、東
京高裁に控訴を提起していたが、同高裁は、会社の控訴を棄却した。 |
判決主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、補助参加によって生じたものも含め、控訴人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1000 ユニオン・ショップ
2111 唯一交渉団体条項
ユ・シ協定のうち、締結組合以外の他の労働組合に加入している者及び締結組合から脱退し又は除名されたが、他の労働組合に加
入し又は新たな労働組合を締結した者について使用者の解雇義務を定める部分は、ユ・シ協定を締結していない労働組合の団結権
も等しく尊重されるべきであるとの観点からして、これを無効と解すべきで、また、本件協約は、クローズド・ショップ制を定め
たものとは解されず、仮にクローズド・ショップ制を定めたものであったとしても上記判断と異ならず、本件協約締結組合を除名
になったことを理由に本件協約に基づいてX1ら3名に対して会社が行った解雇は、民法90条により無効であるし、会社におい
て、本件協約の存在を理由に、自己の労働者が海員組合を脱退又は除名されて加入した他の労働組合との団体交渉を拒むことはで
きないとした原判決は相当である。
2301 人事事項
会社は、本件紛争は労使間の紛争ではなく、組合間の紛争を有利に運ぶための申立てで、申立権の濫用であるとするが、組合が会
社に示した交渉事項のうち、とりわけX1ら3名の解雇問題は、使用者である会社が処分権を有し、決定すべき事項以外の何物で
もなく、また会社がこの申入れに対し何ら対応せず、いわば黙殺し、兵庫地労委の斡旋にも応じない対応から、本件救済申立てに
ついて申立権の濫用を問題とする余地はないとした原判決は相当である。
2301 人事事項
脱退届を提出した運転士らの脱退意思は明確であり、会社もこれを十分認識していたこと、また、X1ら3名と雇用契約関係にあ
り、同人らの解雇を決定し、通告したのは会社自身であり、その解雇の撤回等についても、会社自身が判断し対応・決定すべき事
柄であること、他に会社が団体交渉を拒む正当な理由があることを認める証拠もないから、会社は正当な理由なく組合との本件交
渉事項にかかる団体交渉を拒んでいると認められ、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるとした原判決は相当である。
2249 その他使用者の態度
本件において、組合に所属するX1ら3名に対する解雇が無効であり、会社内に2つの労働組合が併存しており、会社が組合との
団体交渉を否定したのであるから、これが不当労働行為に当たることはいうまでもなく、この点に関し会社は、会社設立の経緯、
会社の特殊な性格等を主張するが、これが本件における不当労働行為性を否定すべき事由に当たらない。
2249 その他使用者の態度
使用者において、交渉事項に関し労働組合の申し入れに応じる意思のないことが明らかであるとしても、これをもって団体交渉を
拒む正当な理由とすることはできない。
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業種・規模 |
道路旅客運送業(バス専業) |
掲載文献 |
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評釈等情報 |
中央労働時報 2004年2月10日 1022号 49頁
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