労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  セメダイン 
事件番号  東京高裁平成11年(行コ)第157号 
控訴人  セメダイン 株式会社 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  CSUフォーラム 
判決年月日  平成12年 2月29日 
判決区分  控訴の棄却 
重要度   
事件概要  本件は、管理職組合として結成されたCSUフォーラムが申し入れた 担当職の資格手当減額措置の廃止等に関する団体交渉に対して、会社が、「申立人組合は使用者の利益を代表する者の参加を許し ており、労働組合法上の労働組合ではない」などを理由としてこれに応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件 である。初審東京地労委(平成6(不)1、平8・5・28決定)は、会社に対し、CSUフォーラムが申し入れた団体交渉につ いて、CSUフォーラムが初審命令主文で示した特定の職位の所属組合員がいない旨の文書を呈示した後は、団体交渉に応じなけ ればならない旨を命じ、中労委(平成8(不再)25、平10・3・4決定)も初審命令を維持し主文を一部変更したほかは、そ の余の再審査申立てを棄却したところ、会社はこれを不服として行政訴訟を提起した。第1審東京地裁(平成10年(行ウ)第 66号、平成11年6月9日判決)は、組合に労組法二条但書き一号の利益代表者が参加していることを示す証拠はない等とし て、会社の請求を棄却したため、会社が控訴していたが、東京高裁は、控訴を棄却した。 
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用(参加費を含む。)は控訴人の負担とする。
判決の要旨  5124 その他の審査手続
労委の行う資格審査は、国家に対し負う義務にほかならず、申立資格を欠く組合の救済申立てを拒否することが、使用者の法的利 益の保護の見地から要求される意味において、使用者に対する関係において負う義務でないと解されるから、組合の救済申立資格 の不備を問題とする会社主張は、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由に本件命令の取消しを求めるものにほかならないか ら、失当であり採用できないとした原判決が維持された例。

4820 単一組織の支部・分会等
組合は労組法第二条本文にいう労働組合として組織され、その後も活動を継続している団体であることが明らかであって、労働組 合としての存在に疑問がある旨の会社主張は採用できないとした原判決が維持された例。

5130 法2条但書との関係
利益代表者の参加を許す労働組合も労働法第七条第二号「労働者の代表者」に含まれるから、仮に組合に利益代表者が参加してい ても、また、参加していないことを会社に対して明らかにしていなくても、そのこと自体は、当然に団交拒否の正当な理由とはな らないが、組合員X1は利益代表者に該当せず、その他組合に利益代表者が参加しているとは認められず、会社が団体交渉を拒否 することは、正当な理由を欠くものと言わざるを得ないとした原判決が維持された例。

4825 その他
組合は、会社の管理職、管理職資格及びその退職者で組織され、現在10数名の組合員が所属しており、公表さている会社在籍組 合員が1名になったとしても、組合として団体性を有していることは明らかであり、訴えの利益が消滅した旨の会社の主張は、そ の前提において失当であり、採用できないとされた例。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集35集951頁 
評釈等情報   

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地労委平成 6年(不)第1号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 8年 5月28日 決定 
中労委平成 8年(不再)第25号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成10年 3月 4日 決定 
東京地裁平成10 年(行ウ)第66号 請求の棄却  平成11年 6月 9日 判決 
最高裁平成12年 (行ツ)第159号 上告の棄却  平成13年 6月14日 決定 
 
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