労働委員会関係裁判例データベース

[判 例一覧に戻る]  [顛末情 報]
概要情報
事件名  東日本旅客鉄道(千葉動労不採用) 
事件番号  東京地裁平成 8年(行ウ)第102号 
原告  国鉄千葉動力車労働組合 
原告  東日本旅客鉄道株式会社 
被告  中央労働委員会 
被告参加人  国鉄千葉動力車労働組合 
判決年月日  平成14年 3月28日 
判決区分  救済命令の全部取消し 
重要度   
事件概要  参加人が、日本国有鉄道の分割・民営化によって昭和62年4月1日 原告及び日本貨物鉄道株式会社が設立されるに当たり、参加人所属組合員であるX1ら11名が原告に採用されず、同じく参加人 所属組合員1名が貨物会社に採用されなかったのは、いずれも労働組合法七条一号及び三号の不当労働行為に該当すると主張し て、千葉地労委に対して救済申立てをし、千葉地労委が救済命令を発したのに対し、原告及び貨物会社が被告に対し再審査申立て をしたところ、被告が、初審命令の一部を取り消して参加人の救済申立ての一部を棄却する本件命令を発したため、原告及び参加 人の双方がこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起していたところ、同地裁は、救済命令を全部取り消した。 
判決主文  一 被告が中労委平成二年(不再)第二十六号事件について平成八年 四月十七日付けで発した命令のうち、主文Ⅰ項の一から四まで及びⅡ項を取り消す。
二 参加人の乙事件請求を棄却する。
三 訴訟費用は、甲事件については被告の負担とし(参加によって生じた費用は参加人の負担とする。)、乙事件については参加 人の負担とする。 
判決の要旨  4911 解散事業における使用者
改革法二三条は、設立委員と国鉄とについて、承継法人における職員の採用に向けて、各段階を分けて主体及びその権限を配分・ 法定し、順次承継法人における職員の採用に向けての手続を段階的に構築形成したものと見るべきであるから、承継法人の職員の 採用に関する最終段階の権限と責任が設立委員にあるからといって、各段階における手続のすべてについて設立委員がその責任を 負うことにはならず、国鉄が設立委員の権限に属する採用候補者名簿の作成等の行為を補助する補助機関の地位にあったと解釈す ることはできないものというべきである。

5006 採用の請求
仮に、労組法七条一項本文前段が労働者を採用する際にも適用されるとしても、設立委員は、国鉄が作成提出した名簿に記載のあ る国鉄職員の中からのみ承継法人の職員として採用されるべき者を決定する権限を有しているにすぎないのであるから、改革法の 下においては、名簿に記載されていない者について、設立委員ひいては承継法人を使用者とする不当労働行為が成立する余地はな いというべきである。被告は、再採用の拒否、営業譲渡のごとく新規採用の実質を伴わない「採用の拒否」として労組法七条一項 本文前段の不当労働行為の禁止の対象に含まれると解するべきである旨主張するが、承継法人と国鉄との関係について、これを、 被告が挙げるような事例と類似する関係にあるものと見ることはできないから、被告の主張を採用するに由ないものといわざるを 得ない。

業種・規模  鉄道業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集37集211頁 
評釈等情報   

[先頭に戻る]

顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
千葉地労委昭和63年(不)第7号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 2年 2月27日 決定 
千葉地労委昭和63年(不)第8号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  平成 2年 2月27日 決定 
中労委平成 2年(不再)第26号 一部変更(初審命令を一部取消し)  平成 8年 4月17日 決定 
東京高裁平成14年(行コ)第154号 控訴の棄却  平成16年 2月27日 判決 
最高裁平成16年(行ツ)第146号/他 上告却下・上告不受理  平成16年10月 8日 判決 
最高裁平成16年(行ツ)第145号/他 上告棄却・上告不受理  平成16年10月 8日 判決