事件名 |
東京焼結金属 |
事件番号 |
最高裁平成 5年(行ツ)第53号
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上告人 |
中央労働委員会 |
上告人参加人 |
X1 |
被上告人 |
東京焼結金属株式会社 |
判決年月日 |
平成10年 4月28日 |
判決区分 |
上告の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、組合の活動家であるX1を川越工場から浜松出張所
へ配転し、さらに東京営業所へ再配転したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、埼玉地労委は、(1)配転及
び再配転の取消しと原職又は原職相当職への復帰、(2)文書手交、の一部救済命令を発した。この命令に対して会社は、再審査
を申し立てたが、中労委は、初審命令の判断は相当であるとして再審査申立てを棄却した。会社はこれを不服として、東京地裁に
行政訴訟を提起し、同地裁は、いずれの配転も不当労働行為に該当しないとして救済命令を取り消したため、中労委が東京高裁に
控訴したが、同高裁が控訴を棄却したので、中労委が上告を提起していたが、最高裁は、上告を棄却した。 |
判決主文 |
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1300 転勤・配転
組合活動家X1の配転につき、同配転には業務上の必要性があり、同人を最適任者として選抜したことにも合理的理由があり、さ
らに同配転がただちに旧執行部派の活動に著しい障害を生じさせたとは認められないことからすれば、同人の組合活動を嫌悪し同
人を組合から排除して旧執行部派の勢力を減殺しようとする不当労働行為意思が、右業務上の必要性よりも優越し、本件配転を行
うに至らしめた決定的な動機であったとするには、なお客観的、具体的根拠が十分でないとして、中労委の救済命令を取り消した
東京地裁判決を維持した原判決は相当であるとされた例。
1300 転勤・配転
本件再配転は、右配転の際に同人を2年後に自宅から通勤できる事業所に配転するとの条件の履行として、また、再配転先である
T営業所についても、同営業所での増員の必要からなされたものであるから、反組合的意図をもって、あえてT営業所に配置した
と認めることは困難であるとして、中労委の救済命令を取り消した東京地裁判決を維持した原判決は相当であるとされた例。
1300 転勤・配転
(1)(2)に関して反対意見が左記のとおり付された例。会社の合理化政策に終始反対して批判し続けた旧執行部派のX1は、
K工場従業員に依然相当な影響力を保持していたから、組合役員選挙告示約1箇月前に、組合活動を事実上断念せざるを得ないH
出張所へ配転することは、旧執行部派の本拠地から同人を隔離し、その活動を封じ込めようとの会社の意向を如実に表明したもの
と認めるのが相当であること等から不利益取扱いと認めるのが相当である。また、再配転も後任者がK工場からの転出なのに不補
充としてX1を復帰させずT営業所へ異動して引き続隔離し活動を封じ込める意思を示した不利益取扱いである。
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業種・規模 |
金属製品製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集33集272頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1998年10月 943号 52頁
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