概要情報
事件名 |
東日本旅客鉄道(神奈川国労バッヂ等) |
事件番号 |
横浜地裁平成 1年(行ウ)第15号
|
原告 |
東日本旅客鉄道株式会社 |
被告 |
神奈川県地方労働委員会 |
被告参加人 |
国鉄労働組合 |
被告参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部 |
被告参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部横浜支部 |
被告参加人 |
国鉄労働組合東京地方本部国府津支部 |
判決年月日 |
平成 9年 8月 7日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が組合員863名に対し組合バッジ着用を理由に厳重注意、訓告処分をしたこと、<2>同918名に対する昭和62年夏季手当減額措置、<3>本来業務外し等が争われた事件である。 神奈川地労委は、会社の一連の措置は、職場規律の是正という目的を超え、組合バッジを口実に組合活動を規制する支配介入行為であるとして、厳重注意、訓告処分がなかったものとしての取扱い、バック・ペイ、<1>及び<3>に関する支配介入の禁止及び文書手交を命じた。会社はこれを不服として横浜地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、請求を棄却した。 |
判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、補助参加によって生じたものを含め、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
0210 リボン・ワッペン等の着用
本件組合バッジの形状などからこれを襟等に付けていることにより利用客などが不快感を抱くとも考え難く乗務員等の識別に影響を与えるものともいえないこと等からみて、本件組合バッジの着用は、実質的にみて、就業規則20条3項に違反するとはいえないとされた例。
0201 就業時間中の組合活動(含職場離脱)
本件組合バッジの着用は、組合員らの労務提供義務の履行と支障なく両立するものであり、会社の業務の運営に障害を生じさせるものとはいえないことから、例外的に正当性を認められる場合に該当し、就業規則23条(就業時間中の組合活動の禁止)に違反しない
0210 リボン・ワッペン等の着用
就業規則3条1項(職務専念義務)違反に関しては、職務以外の社員の身体的、精神的活動であっても、労務提供義務の履行としてなすべき身体的、精神的活動と矛盾なく両立し、かつ、業務を阻害する虞のない場合には、職務専念義務に違反しないものであり、本件組合バッジの着用は、組合員らの労務提供義務の誠実な履行と矛盾なく両立するものといえるし、会社の業務を阻害する客観的な虞があるとはいえないから、同条に違反しない
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
会社が行った組合バッジ取り外し指示、指導、処分及び減額措置等の一連の措置は、会社が嫌悪する国労所属の組合員等に対する不利益な取扱いを通じて組合に打撃を与え、その勢力を減殺し組織を弱体化させることを主たる動機として行ったものであり、組合に対する支配介入として労組法7条3号に該当する不当労働行為である
|
業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集32集266頁 |
評釈等情報 |
労働判例 1997年11月15日 723号 13頁 
|