労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  イハラケミカル工業 
事件番号  東京地裁平成 7年(行ウ)第73号 
原告  イハラケミカル工業株式会社 
被告  中央労働委員会 
被告参加人  女のユニオン・かながわ 
判決年月日  平成 9年 3月 6日 
判決区分  請求の棄却 
重要度   
事件概要  会社が、独身寮の廃止に伴い雇い止めとなる組合員X1の労働条件等に関する団体交渉申し入れに応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審神奈川地労委が、<1>誠実団交応諾及び<2>文書手交を命じたところ、これを不服として会社から再審査申立てがなされ、中労委は、再審査申立てを棄却した。
 会社は、これを不服として行政訴訟を提起し、東京地裁は会社の請求を棄却した。 
判決主文  1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 
判決の要旨  2114 組合の不存在
6222 団体交渉拒否
本件団体交渉の申入れにおいて、申込書中の「執行委員長」「執行委員」「組合員」の記載、「X1組合員の解約を含む労働条件について」との記載、執行委員X2と会社担当者Y1との電話でのやりとり、及び、被告補助参加人が労働組合であること等の疑問については右電話の際に確認することも可能であったこと等から、原告の団体交渉拒否に正当な理由はなかったと認めるのが相当とされた例。

2114 組合の不存在
6222 団体交渉拒否
被告補助参加人は、訴外X1の嘱託契約終了に伴う従業員たる地位の喪失の有無及び喪失したとすればその退職条件、喪失していないとすればその後の労働条件、を交渉の議題とすることを求めており、これらの問題について、被告補助参加人が団体交渉の当事者適格を有するとされた例。

2114 組合の不存在
6222 団体交渉拒否
被告補助参加人が団体交渉の当事者適格を有することは明らかであり、かつ、被告補助参加人が本件申込書において右の事項を議題とする団体交渉を申し入れていることは容易に認識しえたといえるから、本件団体交渉拒否に正当な理由はなかったとされた例。

6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
不当労働行為の救済方法については、使用者の多様な不当労働行為に対してあらかじめその是正措置の内容を具体的に特定しておくことが困難かつ不適当であるため、労使関係について専門的知識経験を有する労働委員会に対し、その裁量により、個々の事案に応じた適切妥当な是正措置を決定し、これを命じる権限を委ねた趣旨と解すべきであるとされた例。

4505 その他
文書交付命令の適否は、その目的、表現内容や態様等からみてこれが不当労働行為による被害の救済として合理的で相当な方法であるか否かにより決せられるべきであるとされた例。

4505 その他
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
本件文書交付命令は、被告補助参加人が誓約書の掲示を求めたのに対し、これより使用者の不利益が少ない文書交付の限度で命じたものであること及びその表現内容も本件団体交渉拒否が不当労働行為であると労働委員会から認定されたので解決に努力するというものであること等に照らすと、本件不当労働行為の救済として合理的で相当な方法であり、労働委員会の有する裁量権の範囲を逸脱するものではないとされた例。

業種・規模  化学工業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集32集146頁 
評釈等情報  中央労働時報 1997年10月10日 928号 42頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
神奈川地労委平成 5年(不)第6号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  平成 5年12月15日 決定 
中労委平成 6年(不再)第1号 棄却(命令主文が棄却のみ又は棄却と却下)  平成 7年 2月 1日 決定 
東京高裁平成 9年(行コ)第38号 控訴の棄却  平成10年 3月16日 判決 
最高裁平成10年(行ツ)第166号 上告の棄却  平成10年 9月11日 決定