労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  ネッスル・日高乳業 
事件番号  札幌高裁平成 3年(行コ)第3号 
       平成 3年(行コ)第7号 
控訴人  ネッスル 株式会社(第3号) 
控訴人  日高乳業 株式会社(第7号) 
被控訴人  ネッスル 株式会社(第7号) 
被控訴人  日高乳業 株式会社(第3号) 
被控訴人  北海道地方労働委員会・ネッスル日本労働組合(第3号) 
被控訴人参加人  ネッスル日本労働組合日高支部(第3号) 
被控訴人参加人  ネッスル日本労働組合日高支部(第7号) 
判決年月日  平成 4年 2月24日 
判決区分  控訴の却下 
重要度   
事件概要  本件は、申立人組合と同一名称の申立外組合しか存在しないとして行った(1)団交拒否、(2)中止を申し入れたチェック・オフの続行及び別組合への交付、(3)管理職らによる組合への支配介入をめぐって争われた事件で、北海道地労委の一部救済命令(62・2・27決定)を札幌地裁が支持したため会社が控訴していたが、札幌高裁は会社の控訴を棄却した。また、組合は、同組合日高支部の補助参加申立を却下されたことについて控訴したが、札幌高裁は組合の控訴についても却下した。 
判決主文  甲事件控訴人、乙事件被控訴人(第一審原告)らの本件控訴を棄却する。
乙事件控訴人、甲事件被控訴人補助参加人(第一審被告補助参加人)ネッスル日本労働組合日高支部の本件控訴を棄却する。
甲事件に関する控訴費用及び甲事件被控訴人補助参加人(第一審被告補助参加人)ネッスル日本労働組合の参加により当審において生じた費用は甲事件控訴人、乙事件被控訴人(第一審原告)らの負担とし、乙事件に関する控訴費用及び乙事件控訴人、甲事件被控訴人補助参加人(第一審被告補助参加人)ネッスル日本労働組合日高支部の参加によって当審において生じた費用は乙事件控訴人、甲事件被控訴人補助参加人(第一審被告補助参加人)ネッスル日本労働組合日高支部の負担とする。 
判決の要旨  6160 訴訟参加
 (自然消滅後に再建されたN労組H支部は、前H支部の権利関係を承継したとは認められないから、民訴法64条の「訴訟の結果につき利害関係を有する第三者」に該当しないこととなり、同支部の補助参加申立ては却下を免れないとした)原審は相当である。

4915 親会社
 N社は、H社の労働者に対し、労働契約上の当事者であるH社の同一視しうる程度に直接の支配力ないし影響力を及ぼしうる地位にあり、労組法7条所定の使用者として救済命令の当事者となる。

5140 資格審査
6225 労委審査手続上の適法要件
 労組法2条及び5条2項の要件は、救済命令発令時までに充足されればよく、前N労組ら申立人は、本件救済申立てについての当事者適格を有していたものと認められる。

6140 訴の利益
 H社に前N労組H支部を名宛人とする陳謝文の掲示を命じた救済命令部分は、同支部の消滅により会社の履行義務が無くなり、当該部分の取消を求める会社の請求は、訴えの利益を欠くものとして不適法であり却下を免れない。

2800 各種便宜供与の廃止・拒否
3104 別組合利用・別組合員宅訪問
 N労組H支部が、独立の組合として存在するに至っていたのであるから、会社が同支部の要求を無視してその所属組合員の給与から他組合の組合費を控除し、その返還要求に応じなかったことは不当労働行為であるとの評価を免れない。

4833 組織の消滅(含1人組合となった場合)
 (法人格を有する組合が自然消滅しても、清算結了までの間、清算目的の範囲内で存続し、本件救済命令中の金銭支払いを命じた部分は有効に存続しているとした)原判決は相当である。

4603 その他
5007 謝罪・陳謝・誓約文の手交・掲示
5008 その他
(バックペイに年5パーセントの割合による金員を付加して支払いを命じても、労委に認められた裁量権の範囲を逸脱し、救済措置として相当性を欠くものでないとした)原判決は相当である。

4909 事業分離後の新企業体
6355 その他
 N社らに、H工場においてN労組を名宛人とする陳謝文の掲示を命じた救済命令の部分は、H工場が営業譲渡によりN社の支配を離れたことなどから、会社らに履行義務が消滅しており、当該部分の取消を求める会社の請求は、不適法で却下を免れない。

2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
3410 職制上の地位にある者の言動
3421 使用者と取引関係者の言動
 (H社の課長及び係長らの言動は、N会社らの意を受けて、組合の結成の妨害及び組織の弱体化を意図して計画的に行った支配介入にあたる)原判決は相当である。

4617 その他
5008 その他
 (ポスト・ノーティスに「ここに深く陳謝します」の文言を入れることを命じることは、憲法19条違反とは言えず、労委の裁量権の範囲を超えるものでもないとした)原判決は相当である。

業種・規模  食料品製造業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集27集54頁 
評釈等情報  労働関係民事裁判例集 43巻1号  447頁 
判例タイムズ  795号  167頁 
労働判例  621号 72頁 
中央労働時報  844号 48頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
北海道地労委昭和58年(不)第2号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和62年 2月27日 決定 
北海道地労委昭和59年(不)第5号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和62年 2月27日 決定 
北海道地労委昭和58年(不)第1号/他 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和62年 2月27日 決定 
札幌地裁昭和62年(行ウ)第1号 請求棄却・訴えの却下  平成 2年12月25日 判決 
最高裁平成 4年(行ツ)第120号 控訴審判決の一部破棄自判  平成 7年 2月23日 判決 
最高裁平成 4年(行ツ)第119号 上告の却下  平成 7年 2月23日 判決 
 
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