概要情報
事件名 |
紅屋商事 |
事件番号 |
最高裁昭和55年(行ツ)第40号
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上告人 |
紅屋商事 株式会社 |
被上告人 |
中央労働委員会 |
被上告人参加人 |
紅屋労働組合 |
判決年月日 |
昭和61年 1月24日 |
判決区分 |
上告の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、昭和50年度夏季及び冬季の各賞与(本件各賞与)について申立組合(参加人組合)の組合員の人事考課を他の従業員より低く査定し、支給したことが不当労働行為であるとして争われた事件である。初審青森地労委(昭51・7・30、12・27命令)は、会社の行為を不当労働行為と判断し、組合員らの平均考課率と別組合員らの平均考課率との差「40」(夏)、「22」(冬)を一率に各組合員の人事考課率に加算して再計算し、既に支給した金額との差額を支払うよう命じた。中労委もこの救済命令を支持して会社の再審査申立てを棄却した。会社はこれを不服として行政訴訟を提起したが、一、二審とも敗訴。本件はその上告審である。上告審においても、上告棄却判決が下った。 |
判決主文 |
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1202 考課査定による差別
2901 組合無視
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合員に対する一時金の人事考課率を別組合員及び非組合員全体に比較して低く査定したことは、組合結成前の平均考課率には差がないことや、組合脱退者の平均考課率がにわかに上昇していることなどからみて、組合員が組合に所属していることを理由とする不利益取扱いであるとともに組合の弱体化を図る行為であり、不当労働行為の成立を肯認することができる。
5008 その他
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
一時金の人事考課差別の救済措置として、不当労働行為がなければ得られたであろう人事考課率に相応する数値を示し、その数値により一時金を再計算した金額と既に支給した金額との差額の支払いを命ずることも、労働委員会に委ねられた裁量権の行使として許されるものと解することができる。
1202 考課査定による差別
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合員に対する一時金の人事考課を低く査定したことが、組合員であること等を理由とする不当労働行為である。
4413 給与上の不利益の場合
5008 その他
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
考課査定差別の救済として、不当労働行為がなければ得られたであろう人事考課率に相当する数値を示し、その数値により再計算した金額と既に支給済みの金額との差額の支給を命ずることも、労委の裁量権の行使として許される。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集21集52頁 |
評釈等情報 |
別冊ジュリスト労働判例百選(第5版) 菅野 和夫 1989年3月10日 101号 150頁 
別冊ジュリスト労働判例百選(第6版) 道幸 哲也 1995年10月10日 134号 224頁 
労働判例 467号 6頁 
最高裁判所裁判集民事 147号 23頁 
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