概要情報
事件名 |
日産自動車 |
事件番号 |
最高裁昭和53年(行ツ)第40号
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上告人 |
日産自動車 株式会社 |
被上告人 |
中央労働委員会 |
被上告人参加人 |
全国金属労働組合 他2組合 |
判決年月日 |
昭和60年 4月23日 |
判決区分 |
上告の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、プリンス自動車工業との合併後において、日産自動車で実施してきた昼夜二交替の勤務体制及び計画残業を旧プリンス自動車工場にも導入する一方、この勤務体制を承認しない全国金属東京地本プリンス自動車工業支部の組合員には一切残業させなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審東京地労委は、支部組合員に対して残業差別をしてはならない旨の救済命令を発し、中労委もこの命令を支持したところ、東京地裁に行政訴訟が提起され、同地裁は、会社が、計画残業に反対している支部組合員を計画残業に組み入れなかったことには理由があるとして救済命令を取り消した。 中労委等が控訴したところ、昭和52年11月20日に東京高裁は、十分な団体交渉を行わずに支部組合員に残業させなかったことは不当労働行為に当たるとして一審判決を取り消して再審査命令を支持する判決を言い渡し、最高裁も4月23日に、会社の上告を棄却する旨の判決を言い渡した。 |
判決主文 |
本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 |
判決の要旨 |
1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
残業組入れに関して支部との団交に消極的態度をとり、解決を遅延させて支部組合員に残業させないことが不当差別であり、支部に対する支配介入である。
5006 採用の請求
本件救済命令は別組合員と同様に残業に組入れることにより、もっぱら残業差別の廃止を命じたもので、労委に認められた裁量権の限界を超えたものではない。
2901 組合無視
支部との間に残業に関する協定が成立しないことを理由に組合員に残業をさせないことは、組合員を長期間経済的に不利益を与えて組織の動揺や弱体化を生じさせる意図による不当労働行為である。
4301 労組法7条3号(支配介入、経費援助)の場合
5002 不作為命令または不確定な内容の請求
支部組合員に残業組入れを申入れて差別取扱を取りやめても、再度残業差別をする可能性がある以上、本件命令存続の必要性が失われたとはいえない。
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業種・規模 |
輸送用機械器具製造業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集20集59頁 |
評釈等情報 |
別冊ジュリスト労働判例百選(第6版) 渡辺章 1995年10月10日 134号 242頁 
別冊ジュリスト労働判例百選(第5版) 安枝英● 1989年3月10日 101号 156頁 
最高裁判所民事判例集 39巻3号 730頁 
最高裁判所裁判集民事 144号 465頁 
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