事件名 |
学習研究社 |
事件番号 |
東京高裁昭和57年(行ス)第14号
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抗告人 |
中央労働委員会 |
相手方 |
株式会社 学習研究社 |
抗告人参加人 |
全学研労働組合 |
判決年月日 |
昭和58年 5月 9日 |
判決区分 |
一部認容 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、東京地裁の昭和57年4月30日における緊急命令決定に対
して、中労委は昭和57年7月21日に東京高裁に申立ての却下部分((1)1名のバックペイ、(2)2名の原職復帰と地裁決
定の日以降のバックペイに関する却下決定)を取り消し、地裁へ差戻しを求める抗告したところ、同高裁は昭和58年5月9日地
裁の決定を一部変更し、1名のバックペイ(ただし、仮処分により賃金の仮払いを受けている額を除く。)を命じ、その余を棄却
する旨の決定をした。 |
判決主文 |
1 原決定中X1に関する部分を次のように変更する。
相手方を原告、抗告人を被告とする東京地方裁判所昭和56年(行ウ)第
121号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決確定に至るまで、相手方に対し、抗告人が中労委昭和53年(不再)第16号事件について発した昭和56年9月16日付け命
令により維持された東京都地方労働委員会の昭和53年3月7日付け命令(都労委昭和50年(不)第9号及び同第39号事件)
の主文第2項に従うべきこと(ただし、相手方がX1に対して支払うべき金員の額は、解雇の日の翌日から原職相当職に復帰する
までの間に受けるはずであった賃金相当額から、同人が東京地方裁判所昭和49年(ヨ)第2423号地位保全仮処分申請事件の
判決に基づき相手方から支払を受けた額を控除した金額とする。)を命ずる。
2 本件抗告中その余の部分を棄却する。
3 本件手続費用(参加によって生じた費用を含む。)は、原審及び当審を通じて、相手方の負担とする。 |
判決の要旨 |
7430 抗告がなされた事例
賃金仮払いの仮処分と緊急命令によるバックペイは目的、制度が異なり、仮処分により賃金の仮払いを受けているとしてもバック
ペイの額との間に相当の格差があり、その差額の支払いを求める限度で緊急命令の必要性がある。
7230 必要性の審査
受訴裁判所が緊急命令の必要性の有無を判断するにあたっては、当該緊急命令を発することが正常な集団的労使関係秩序の回復、
確保に資するものかどうかを考慮して、その必要性を判断すべきものと解するのが相当である。
7230 必要性の審査
緊急命令の必要性の判断にあたっては、当該緊急命令の内容が被解雇者の個人的被害の回復にとって必要なものであるかどうかの
点を無視することは許されない。
7230 必要性の審査
緊急命令の必要性の判断にあたっては、個人的被害の救済と集団的労使関係秩序維持の回復するという観点から判断するべきで、
仮処分により賃金の支払いを受けているとの一事をもって、バックペイを命じる必要性を否定できない。
7311 全部認容された例
X1へのバックペイを命じる緊急命令は、個人的被害の回復という観点のみでなく、正常な集団的労使関係秩序の回復という面か
らも、仮処分仮払金を控除した金額の限度でその必要性があるから、これに関する原決定を変更する。
7430 抗告がなされた事例
X1へのバックペイを命じる緊急命令は、個人的被害の回復という観点のみでなく、正常な集団的労使関係秩序の回復という面か
らも、仮処分仮払金を控除した金額の限度でその必要性があるから、これに関する原決定を変更する。
7312 その他(一部認容された例、全部却下された例等)
X2、X3を原職に復帰させた場合には組合活動をめぐる暴力事件が発生する危険性があり、緊急命令の目的である正常な労使関
係秩序の回復、確保に資するところがないから、これを命じる緊急命令を発することは許されない。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集18集297頁 |
評釈等情報 |
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