事件名 |
学習研究社 |
事件番号 |
東京地裁昭和56年(行ク)第118号
|
申立人 |
中央労働委員会 |
被申立人 |
株式会社 学習研究社 |
申立人参加人 |
全学研労働組合 |
判決年月日 |
昭和57年 4月30日 |
判決区分 |
一部認容 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が(1)編集制作要員を8名を営業部門へ配転ないし応
援出向させ、これを拒否したり指名ストを行ったことを理由に懲戒解雇したこと、(2)この配転及び応援出向拒否闘争を計画実
行したこと等を理由にX1委員長以下組合三役4名を懲戒解雇したこと、(3)組合役員X2を暴力行為を理由に懲戒解雇したこ
と、(4)組合役員X3を業務妨害を理由に懲戒解雇したことが不当労働行為であるとして申立てがあった事件で、初審東京地労
委は、これらがいずれも不当労働行為であると判断し、14名の原職あるいは原職相当職への復帰とバックペイ及びポスト・ノー
ティスを命じたところ、これを不服として会社からの再審査の申立てがなされ、中労委は、初審命令を一部変更して組合役員X3
に関する救済申立てを棄却しその余の再審査申立てを棄却したところ、会社はこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起した。
このため、中労委は東京地裁に緊急命令の申立てを行ったところ、東京地裁は、(1)会社に対し、組合役員等10名に対する原
職または原職相当職復帰と賃金相当額の支払及び(仮処分決定により賃金相当額の支払を受けている)組合員X3に対する原職相
当職復帰、(2)組合役員X1及びX2に対する本決定日までの間の賃金相当額の支払を命ずる緊急命令を決定し
た。 |
判決主文 |
被申立人を原告、申立人を被告とする当庁昭和56年(行ウ) 第
121号不当労働行為救済命令取消請求事件の判決の確定に至るまで、被申立人に対し、
(1) 申立人が中労委昭和53年(不再)第16号事件について発した昭和56年9月16日付命令によって維持された東京都
地方労働委員会の昭和53年3月7日付命令(都労委昭和50年(不)第9号及び同39号事件)の主文第1項ないし第4項
(X3に関する部分を除く。)のうち、X2に対して解雇の日の翌日から原職相当職に復帰するまでの間に受けるはずであった賃
金相当額の支払を命ずる部分とX1及びX4に関する部分とを除くその余の部分に従うべきこと
(2) X1及びX4に対して解雇の翌日から本決定の日までの間に同人らが受けるはずであった賃金相当額を支払うべきことを
命ずる。その余の本件申立を却下する。 |
判決の要旨 |
7230 必要性の審査
3名のうち、12名についてはバックペイの緊急命令を命ずる必要性が高いが、X2については別件仮処分決定によりバックペイ
相当額の仮払を受けているので、さらにバックペイを命ずる必要性はない。
7230 必要性の審査
懲役解雇された13名のうち、X1及びX4の2名を除く11名については、配転拒否等を理由とする解雇が不当労働行為とされ
ており、同人らの原職復帰を命ずる緊急命令の必要性を首肯することができる。
7230 必要性の審査
組合員X2の原職復帰に関する緊急命令申立てについては、既に地位保全仮処分が発せられているが、使用者が同人の就労を拒否
しているので、これを肯認するのが相当である。
7240 相当性の審査
X1及びX4は、会社の上司等に対し多数の暴行行為を繰り返しており、同人らを原職復帰させるならば、再び暴力事件が惹起さ
れる危険性のあることは明らかである現時点において、原職に復帰させる緊急命令を発することは許されない。
7312 その他(一部認容された例、全部却下された例等)
以上X2、X1、X4を除く10名については、原職復帰及びバックペイの緊急命令を発し、Aについては原職復帰のみを命じて
バックペイの部分は却下し、X1及びX4についてはバックペイのみを命じて原職復帰の部分は却下する。
|
業種・規模 |
出版・印刷・同関連産業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集17集637頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 33巻2号 384頁
労働判例 385号 29頁
判例時報 1049号 140頁
|