概要情報
事件名 |
済生会中央病院 |
事件番号 |
東京地裁昭和51年(行ウ)第206号
|
原告 |
社会福祉法人 恩賜財団済生会 |
被告 |
東京都地方労働委員会 |
被告参加人 |
全済生会労働組合中央病院支部 |
判決年月日 |
昭和52年12月22日 |
判決区分 |
請求の棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
51年度賃上げ交渉において会社が従前にない妥結月実施等の提案を行いさらに回答内容の変更を求める交渉には一切応じないとの態度を固執した。その後、組合の妥結月実施を除いた会社回答額の受諾・4月1日からの遡及実施の申入れに対し会社は、妥結月実施を含む一括受諾ではないことを理由に別組合(新労)及び非組合員に既に支給実施した賃上げを支部組合員に対し実施しなかった事件である。 地労委は、病院が一方的に付した妥結月実施の条件に固執する態度は組合の自主的運営に介入し、組合及び組合員に精神的、経済的動揺を与え、組合の弱体化を招く行為であると判断し、(1)組合員に対する51年度賃上げの遡及実施、(2)ポスト・ノーティス、(3)文書による履行状況報告を命じた。 会社は、この命令の取消を求め行訴を提起したが、地裁は、会社の請求を棄却し、地労委の救済命令を支持した。 |
判決主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は、参加によって生じた分を含めて、原告の負担とする。 |
判決の要旨 |
1201 支払い遅延・給付差別
2902 労組法7条2号(団交拒否)と競合
組合が賃上げ額を受諾したにもかかわらず、妥結月実施条項を受諾しないことを理由に、組合員に賃上げを実施しない原告の一連の行為乃至態度は、これを実質的に見れば、労組法7 条1 号及び3 号所定の不当労働行為に該当する。
6226 救済方法の適法性
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
組合員に生じている不利益を回復するための賃金の引上げと、組合に対する支配介入の回復のためのポスト・ノーティスとを命じたことはいずれも相当であって、労働委員会としての裁量権の範囲内である。
|
業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集15集304頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 28巻5 ・6 号 767 頁 
労働判例 291 号 22頁 
ジュリスト 香川孝三 681 号 243 頁 
|