労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大成観光 
事件番号  東京地裁昭和47年(行ウ)第145号 
原告  大成観光 株式会社 
被告  東京都地方労働委員会 
被告参加人  ホテルオークラ労働組合 
被告参加人  全日本ホテル労働組合連合会 
判決年月日  昭和50年 3月11日 
判決区分  救済命令の全部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、ホテルの従業員で組織する組合が、45年賃上げ闘争の一環として、通常、パーティ等で使用されるものと同様の形状のリボン(紅白あるいはピンクと白の花形に白布がついているもの)に、「要求貫徹」「ホテル労連」等の文字を印刷して着用するいわゆる「リボン闘争」を行ったところ、使用者は、再度の警告を無視し分会員にリボン着用を指令したとして、組合幹部5名に対し就業規則を適用して減給あるいは譴責処分に付したという事件である。東京地労委は、これについて減給、譴責処分の取消しとバック・ペイを命じたところ、会社はこれを不服として行訴を提起し、東京地裁は当該命令を取り消したものである。 
判決主文  1 被告が参加人ホテルオークラ労働組合他6名が申立人であり、原告が被申立人である都労 委昭和46年不第2号不当労働行為救済申立事件について、原告に対し、昭和47年10月2日に 同年9月19日付命令書の写しを交付してした命令のうち、別紙記載部分を取り消す。
2 訴訟費用は、参加人によって生じたものは参加人らの負担とし、その余は全部被告の負担 とする。 
判決の要旨  0210 リボン・ワッペン等の着用
リボン闘争は、労働時間中誠意に労務に服すべき労働者の義務に違背し、組合活動として違法である。

0420 その他の争議行為
リボン闘争は、使用者の業務指揮権の確立を脅かすとともに、使用者が対抗手段を持ちあわせていないことから、争議行為として違法である。

0210 リボン・ワッペン等の着用
ホテル業における本件リボン闘争は、業務の正常な運営を阻害する意味合いに深甚なものがあるから、その違法性は顕著であって組合の正当な行為たりえない。

1400 制裁処分
リボン闘争が組合活動・争議行為の両面において違法であるにもかかわらず、リボン闘争を理由とする組合員5名の懲戒処分が不当労働行為に該当すると判断した救済命令は瑕疵ある行政処分として違法で、取り消しを免れない。

6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
リボン闘争が組合活動・争議行為の両面において違法であるにもかかわらず、リボン闘争を理由とする組合員5名の懲戒処分が不当労働行為に該当すると判断した救済命令は瑕疵ある行政処分として違法で、取り消しを免れない。

業種・規模  旅館、その他の宿泊所 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集14集63頁 
評釈等情報  労働関係民事裁判例集 26巻 2号  125頁 
判例時報  776号 96頁 
ジュリスト 山本 吉人  588号  155頁 
労働判例  221号 32頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地労委昭和46年(不)第2号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和47年 9月19日 決定 
中労委昭和47年(不再)第81号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和50年 4月 2日 決定 
東京高裁昭和50年(行コ)第14号/他 控訴の棄却  昭和52年 8月 9日 判決 
東京高裁昭和50年(行コ)第13号/他 控訴の棄却  昭和52年 8月 9日 判決 
最高裁昭和52年(行ツ)第122号 上告の棄却  昭和57年 4月13日 判決 
 
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