建築物における衛生的環境の確保に関する事業の登録について
≪このページの目次≫2 登録を受けられる業種
3 登録を受ける営業所
4 申請の手続き
5 登録の有効期間
6 登録の表示
7 報告、検査等
8 登録の基準
9 講習・研修の登録機関
10 登録業者等の団体の指定
1 制度概要
建築物の衛生的環境を確保するためには、建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者が、適切にその業務を遂行するように資質の向上を図っていくことが重要である。このような観点から、昭和55年の法改正により、建築物の環境衛生上の維持管理を行う事業者について、一定物的、人的基準を満たしている場合、都道府県知事の登録を受けることができるという制度が設けられました。
なお、事業登録制度は、登録を受けない事業者が建築物の維持管理に関する業務を行うことについては何ら制限を加えるものではありません。
2 登録を受けられる業種
登録を受けられる業種及びその業務の内容は、次の表のとおりです。
業種 | 業務内容 | |
---|---|---|
1号 | 建築物清掃業 | 建築物内の清掃を行う事業(建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まない。) |
2号 | 建築物空気環境測定業 | 建築物内の空気環境(温度、湿度、浮遊粉じん量、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、気流)の測定を行う事業 |
3号 | 建築物空気調和用ダクト清掃業 | 建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業 |
4号 | 建築物飲料水水質検査業 | 建築物における飲料水について、「水質基準に関する省令」の表の下欄に掲げる方法により水質検査を行う事業 |
5号 | 建築物飲料水貯水槽清掃業 | 建築物の飲料水貯水槽(受水槽、高置水槽等)の清掃を行う事業 |
6号 | 建築物排水管清掃業 | 建築物の排水管の清掃を行う事業 |
7号 | 建築物ねずみ昆虫等防除業 | 建築物内において、ねずみ昆虫等、人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物の防除を行う事業 |
8号 | 建築物環境衛生総合管理業 | 建築物における清掃、空気調和設備及び機械換気設備の運転、日常的な点検及び補修(以下「運転等」という。)並びに空気環境の測定、給水及び排水に関する設備の運転等並びに給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の検査並びに給水栓における水の色、濁り、臭い及び味の検査であって、特定建築物の衛生的環境の維持管理に必要な程度のものを併せ行う事業 |
3 登録を受ける営業所
登録は、事業区分に応じて営業所ごとに、営業所の所在地を管轄する都道府県知事が行います。
なお、営業所とは、客観的にみて営業上の活動の中心とみられる一定の事業活動の根拠地であり、かつ、そこにおいて受託契約の締結をし、登録に係る業務を行う等の法律的、事実的行為を行う能力を有しているものをいいます。したがって、この要件に合致するものであれば、商業登記法による登記をした営業所に限られるものではく、また建築物内の単なる作業員控室等を営業所として登録することはできません。
4 申請の手続き
登録を受けようとする者は、登録申請書を営業所の所在地を管轄する都道府県知事に提出しなければなりません。
登録の手続きについては、営業所の所在地を管轄する都道府県生活衛生担当部署にお問い合わせください。
5 登録の有効期間
登録の有効期間は6年です。したがって、6年を超えて登録業者であるという表示をしようとする場合には、新たに登録を受けなければなりません。
6 登録の表示
登録業者は、登録を受けた営業所について、登録業者である旨の表示ができます。一方、登録を受けていない事業者は、登録業者又はこれに類似する表示を行うことはできません。
また、登録は営業所ごとに行われるものですので、登録を受けた営業所以外の営業所について「登録業者である」という表示を行うことはできません。
7 報告、検査等
都道府県知事は、必要があると認めるときは、登録業者に対して必要な報告を求めたり、登録営業所に立ち入って、その設備・帳簿書類等について検査し関係者に質問したりすることができます。 なお、都道府県知事は、登録営業所が登録基準に適合しなくなった場合には、登録を取り消すことができます。
8 登録の基準
登録を受けるためには、(1)機械器具その他の設備に関する基準(物的基準)、(2)事業に従事する者の資格に関する基準(人的基準)、(3)作業の方法や機械器具の維持管理方法などに関するその他の基準について、一定の要件を満たしていることが必要となります。
物的・人的基準の一覧表
業種 | 物的基準 | 人的基準 | ||
---|---|---|---|---|
機械器具 | 設備 | 監督者等 | 従事者 | |
建築物清掃業 |
(1) 真空掃除機 (2) 床みがき機 |
− | <清掃作業監督者>
●職業能力開発促進法に基づく技能検定であってビルクリーニング職種(等級の区分が1級又は単一等級のものに限る。)に係るものに合格した者又は建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者であって、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者 |
●従事者は、研修を修了したものであること※4 |
建築物空気環境測定業 |
(1) 浮遊粉じん測定器 (2) 一酸化炭素検定器 (3) 炭酸ガス検定器 (4) 温度計 (5) 湿度計 (6) 風速計 (7) 空気環境の測定に必要な器具 |
− | <空気環境測定実施者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者 ●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者(再講習は必要) |
− |
建築物空気調和用ダクト清掃業 |
(1) 電気ドリル及びシャー又はニブラ (2) 内視鏡(写真を撮影することができるものに限る。) (3) 電子天びん又は化学天びん (4) コンプレッサー (5) 集じん機 (6) 真空掃除機 |
− | <空気調和用ダクト清掃作業監督者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者 ●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者(再講習は必要) |
●従事者は、研修を修了したものであること※4 |
建築物飲料水水質検査業 |
(1) 高圧蒸気滅菌器及び恒温器 (2) フレームレス―原子吸光光度計、誘導結合プラズマ発光分光分析装置又は誘導結合プラズマ―質量分析装置 (3) イオンクロマトグラフ (4) 乾燥器 (5) 全有機炭素定量装置 (6) pH計 (7) 分光光度計又は光電光度計 (8) ガスクロマトグラフ―質量分析計 (9) 電子天びん又は化学天びん |
水質検査を適確に行うことのできる検査室 | <水質検査実施者>
●大学又は旧専門学校において、理科系の課程を修めて卒業した後、1年以上の実務経験※2を有する者 ●衛生検査技師又は臨床検査技師であって、1年以上の実務経験※2を有する者 ●短期大学又は高等専門学校において、生物又は工業化学の課程を修めて卒業した後、2年以上の実務経験※2を有する者 ●上記と同等以上の知識及び技能、技能を有すると認められる者※3 |
− |
建築物飲料水貯水槽清掃業 |
(1) 揚水ポンプ (2) 高圧洗浄機 (3) 残水処理機 (4) 換気ファン (5) 防水型照明器具 (6) 色度計、濁度計及び残留塩素測定器 |
機械器具を適切に保管することができる専用の保管庫 | <貯水槽清掃作業監督者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者 ●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者(再講習は必要) |
●従事者は、研修を修了したものであること※4 |
建築物排水管清掃業 |
(1) 内視鏡(写真を撮影することができるものに限る。) (2) 高圧洗浄機、高圧ホース及び洗浄ノズル (3) ワイヤ式管清掃機 (4) 空圧式管清掃機 (5) 排水ポンプ |
機械器具を適切に保管することができる専用の保管庫 | <排水管清掃作業監督者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者 ●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者(再講習は必要) |
●従事者は、研修を修了したものであること※4 |
建築物ねずみ昆虫等防除業 |
(1) 照明器具、調査用トラップ及び実体顕微鏡 (2) 毒じ皿、毒じ箱及び捕そ器 (3) 噴霧機及び散粉機 (4) 真空掃除機 (5) 防毒マスク及び消火器 |
機械器具を適切に保管することができる専用の保管庫 | <防除作業監督者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者 |
●従事者は、研修を修了したものであること※4 |
建築物環境衛生総合管理業 |
(1) 真空掃除機 (2) 床みがき機 (3) 空気環境測定業の機械器具 (4) 残留塩素測定器 |
− | <統括管理者>
●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者であって、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者 <清掃作業監督者>●建築物清掃業と同じ <空調給排水管理監督者>●職業能力開発促進法に基づくビル設備管理職種に係るものに技能検定合格者又は建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者であって、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者 <空気環境測定実施者>●建築物空気環境測定業と同じ |
●清掃作業従事者及び空調給排水管理従事者は、研修を修了したものであること※4 |
※1:6年ごとに再講習を受けなければならない。
※2:水質検査またはその他の理化学的もしくは細菌学的検査の実務に従事した経験に限る。
※3:大学もしくは短期大学と同程度とされる学校で所要の課程を修めて卒業した後、所要の実務経験を有する者または技術士(水道部門もしくは衛生工学部門に限る。)
※4:登録事業に従事する者として、パート、アルバイト等であっても従事者研修の対象となります。また、従事者研修は、作業に従事する者全員が1年に1回以上研修を受ける体制を事業者がとっていることが必要です。ただし、従事者全員を1度に研修することが事実上困難を伴う場合には、何回かに分けて行うことも可能です。カリキュラム例はこちら[122KB]。
その他の基準
作業の方法および作業を行うための機械器具その他の設備の維持管理の方法が「清掃作業及び清掃用機械器具の維持管理の方法等に係る基準」 (平成14年厚生労働省告示第117号)に適合していることが必要です。
Q1 監督者等を1人の資格者が兼務することはできるのか?
A1 監督者等は登録しようとする営業所につき、それぞれの職種ごとに1人以上置かれていなければなりません。また、1人の者を2以上の営業所又は2以上の業務の監督者等として登録を受けることは認められません。例えば、建築物環境衛生総合管理業の場合でも、統括管理者、清掃作業監督者、空調給排水管理監督者及び空気環境測定実施者は別人の有資格者が置かれていなければなりません。
Q2 登録の要件である監督者等と特定建築物に選任されている建築物環境衛生管理技術者は兼務してもよいか?
A2 登録営業所における監督者等については、当該営業所が管理業務を行う各建築物にわたって監督者等としての役割が期待されるものであるのに対して、建築物環境衛生管理技術者は、その選任されている特定建築物における衛生的管理の監督を行うことが職務となっており、両者の職務内容からみてこれを兼務することは認められません。
Q3 監督者等のうち、空気環境測定実施者、空気調和用ダクト清掃作業監督者、貯水槽清掃作業監督者及び排水管清掃作業監督者は、建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者もなることができるが、「再講習は必要」とはどういう意味か?
A3 空気環境測定実施者、空気調和用ダクト清掃作業監督者、貯水槽清掃作業監督者及び排水管清掃作業監督者(以下「空気環境測定実施者等」という。)は、
@厚生労働大臣が登録する空気環境測定実施者等の講習を修了し、修了した日から6年を経過しない方
A厚生労働大臣が登録する空気環境測定実施者等の再講習を修了し、修了した日から6年を経過しない方
B建築物環境衛生管理技術者の免状の交付を受けている方
がなることができます。
ただし、事業の登録の有効期間経過後、引き続き、Bの方を空気環境測定実施者等として再登録を受けようとする場合は、厚生労働大臣が登録する空気環境測定実施者等の再講習の課程を修了し、その修了した日から6年を経過していない人でなければいけません。
9 講習・研修の登録機関
監督者等講習会及び従事者研修会は、厚生労働大臣の登録を受けた機関が実施しております。受講に関する詳しい情報(受講料の積算根拠を含む。)は登録機関にお問い合わせください。
登録機関
なお、登録機関の登録を希望される場合は以下の手引きをご参照ください。
◆登録制度の手引き◆(令和6年5月27日更新しました)
- 従事者研修登録機関手引き [376KB] 様式例 [75KB]
- 建築物環境衛生管理技術者講習登録機関手引き [281KB] 様式例 [62KB]
- 監督者講習等登録機関手引き [403KB] 様式例 [74KB]
- 粉じん計較正登録機関手引き [280KB] 様式例 [58KB]
10 登録業者等の団体の指定
登録制度の一環として、厚生労働大臣が登録業者等の団体を指定する制度があります。この制度は、登録された登録業者等の団体による自主的な活動を通じて登録業者の業務の改善向上を図ることを目的としています。
現在、指定されている団体は下記です。
事業 | 名称 |
---|---|
建築物清掃業 | 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会 |
建築物飲料水貯水槽清掃業 | 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会 |
公益社団法人全国建築物飲料水管理協会 | |
建築物ねずみ昆虫等防除業 | 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会 |
公益社団法人日本ペストコントロール協会 | |
建築物環境衛生総合管理業 | 公益社団法人全国ビルメンテナンス協会 |