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全般コード化情報の分析について

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第5回全般コード化情報の分析について


 全般コード化情報の収集状況

  報告施設数 89施設
  全般コード化情報事例数 8375事例


 分析方針

 分析は以下の方針に基づき実施した。
1) 収集した事例について、頻度を単純集計した。なお、患者の年齢、勤続年数、部署配属年数については、年代別など範囲を設定して集計した。

2) 収集した事例について、発生場面と内容の相互関係が重要と考えられるため、それらのクロス集計を行った。

3) その他の重要な項目として、当事者の職種と発見者、発生場面、発生要因、影響度等についてクロス集計を行った。

4) 報告事例の多い「処方・与薬」、「ドレーン・チューブ類の使用・管理」、「療養上の世話、療養生活の場面」、「集中治療室」、「小児」、及び、影響度の大きい事例の割合が高い「医療機器の使用・管理」、「輸血」については、それぞれ個別に集計した。


 分析項目

 以下の項目について、単純集計、クロス集計を行い、この結果を集計表とグラフに整理した。

  <単純集計>
 以下の項目について単純集計を行った。
・発生月(A)
・発生曜日(B)
・発生時間帯(C)
・発生場所(D)
・患者の性別(E)
・患者の年齢(F)
・患者の心身状態(G)
・発見者(H)
・当事者の職種(I)
・当事者の勤続年数(J)
・当事者の部署配属年数(K)
・ヒヤリ・ハット事例が発生した場面(L)
・ヒヤリ・ハット事例が発生した要因(N)
・間違いの実施の有無および事例の影響度(O)

<クロス集計>
 以下の項目間のクロス集計を行った。
・当事者の職種 × 発見者
・当事者の職種 × 発生場面
・当事者の職種 × 発生要因
・発生場面 × 発生内容
・発生場面 × 発生要因
・発生場面 × 影響度


 分析結果

1) 全事例(8375事例)【図1〜14表1 〜6
 発生時間帯では、8〜9時台に発生した事例が最も多く、前回までの結果(10〜11時台にピーク)とは異なっている。
 今回の報告では、事務職員が当事者である事例が増えており、これは、発生場面で診療情報管理に関する事例が増えていることと関連があると考えられる。
 全体的には当事者本人が発見する事例が多いが、医師、薬剤師が当事者である場合、他職種者によって発見された事例が最も多かった。
 医師、看護師、薬剤師が当事者の場合、いずれも、経験年数が1年未満の者による事例が2割前後、3年未満の者による事例が3割以上を占めていた。
 発生場面は、処方・与薬、ドレーン・チューブ類の使用・管理、療養生活の場面、療養上の世話の順に多く、前回の集計結果と同様の傾向であった。
 間違った行為が実施される前に発見された事例は全体の4分の1であり、前回と同程度であった。

2) 処方・与薬【図15〜19表7〜8
 事例の内容では無投薬が最も多く、全体の3分の1近くを占め、次いで投与量、投与速度の間違いが多かった。
 同職種者が発見した事例が最も多かったが、患者本人や家族等によって発見された事例も約100事例報告されている。
 職種経験年数及び部署配属年数が0年の者による事例の割合が高かった(各々約3割、4割)。
 発生要因としては、確認の問題を挙げるものが約4割を占め最も多く、次いで、心理的条件、勤務状況、連携が多かった。心理的条件では、「思いこんでいた」、「慌てていた」、「他のことに気を取られていた」が多く、勤務状況では、「多忙であった」、「夜勤だった」が多かった。
 間違いが実施された事例が多かった(8割以上)。

3) ドレーン・チューブ類の使用・管理【図20〜24表9〜10
 ドレーン・チューブ類の使用・管理に関する事例は、曜日及び時間帯に関係なく発生していた。
 また、男性患者、及び床上安静の患者に多かった。
 一方、発生要因として「観察不十分」、「確認不十分」が多く挙げられていることから、患者の状態などを的確にアセスメントすることが重要であると考えられる。
 いずれの場面でも「自己抜去」が最も多いが、中心静脈ラインや末梢静脈ラインの「接続はずれ」も比較的多く報告されている。
 点滴ライン,栄養チューブに次いで気管チューブや気管カニューレに関する事例も多く見られた。。

4) 医療機器の使用・管理【図25〜26表11〜12
 「人工呼吸器」及び「輸液・輸注ポンプ」に関する事例が多かった。臨床の現場で稼働している割合から考えると、人工呼吸器の使用・管理の場面はリスクの高い領域であると考えられる。
 「輸液・輸注ポンプ」に関する事例では「条件設定間違い」、「設定忘れ」が多いのに対して、「人工呼吸器」に関する事例では「機器の点検管理ミス」、「機器の破損」が多かった。
 発生要因としては、「確認不十分」、「観察不十分」に次いで「管理不十分」が挙げられており、使用段階のみならず管理に関しても注意が必要である。
 間違いが実施される前に発見された事例は約2割であったが、そのうち、仮に実施していた場合には中等度以上の影響が出た可能性のある事例が約4割と高率であった。

5) 輸血【図27〜30表13〜15
 「輸血検査」に関する事例の他、「患者取り違え」、「製剤取り違え」に関する事例も報告されている。
 医師が当事者である事例が多かった(約3割)。
 「処方・与薬」と同様に、職種経験年数及び部署配属年数が0年の者による事例の割合が高かった(各々約3割、5割)。
 発生要因では、「確認」に次いで「連携」が多く挙げられていることから、システムの問題として取り組む必要があると考えられる。
 間違いが実施される前に発見された事例が多かった(約半数)。輸血に関する事例は、もし間違いが実施されていれば患者に与える影響度が高いと推定され場合が多く、当事者側のインシデントの認識度が高く、報告率が高いためと推察される。

6) 療養上の世話、療養生活の場面【図31表16
 転倒・転落が大部分を占めているが、その他に「無断外出・外泊」、「安静指示の不履行」、「誤配膳」などの報告もみられる。
 患者の心身状態では、何らかの障害を伴っている場合が多かった。

7) 集中治療室【図32表17〜18
 「処方・与薬」及び「ドレーン・チューブ類の使用・管理」に関する事例が多かったが、「ドレーン・チューブ類の使用・管理」が最も多いことが全体の傾向とは異なる点である。
 「ドレーン・チューブ類の使用・管理」及び「処方・与薬」に関する事例の内容は、全体の傾向とほぼ同様であった。

8) 小児(患者が10歳未満の事例)【図33表19
 「処方・与薬」、「ドレーン・チューブ類の使用・管理」に次いで「給食・栄養」が多かった。
 「給食・栄養」に関する事例の内容では、「内容の間違い」、「量の間違い」が多かった。成人患者と比較して、小児患者の場合には、年齢等による量の個人差が大きく、対応が複雑であることも一つの要因として推察される。


以上


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