昭和56年9月5日付け基発第573号「原子力発電所における
被ばく管理対策の強化について」の見直しについて(回答)
平成12年9月13日
労    働    省

概要   標記通達を見直し、核燃料施設を含めた原子力施設において原子力事業者又は定期検査工事等の元請工事業者が元方事業者として実施すべき事項等について定めるとともに、原子力施設における安全衛生管理状況に関する四半期ごとの報告を求めることとし、そのための様式を定める。
(別添 「昭和56年9月5日付け基発第573号『原子力発電所における被ばく管理対策の強化について』の見直しについて」参照)。

御意見等の内容 件数 御意見等に対する考え方
 根拠となる法令に基づかない規制はかえって現場を混乱させるだけで逆効果である。まず労働行政として何が問題であったのかをはっきり示し、その上で追加ないしは見直すべき規制を明らかにすべきである。恣意的な規制はすべきでない。 1件  東海村ウラン燃料加工施設での臨界事故で、安全衛生管理上の直接の問題点となった教育の不備と不適切な方法による作業の実施については、既に関係規則を改正し、新たな規制とした。しかしながら、そのような個別の事項も、一般的かつ総合的な安全衛生管理を基礎としてこそ適切に機能するものであり、特に複数の関係請負人が同一の場所で混在して作業を行う場合に下請事業場の災害率が一般的に高いこと、下請事業場の自主的な努力のみでは十分な災害防止の実をあげられないことを踏まえ、労働安全衛生法(以下「安衛法」という。)第29条及び第30条に定める元方事業者又は特定元方事業者が講ずべき措置等の具体的事項及び改正省令の内容等を踏まえ現段階で追加して講じることが望ましい事項を定めるものである。
 原子力発電所では従来から関係法令や基発第573号を遵守して厳正に管理されており、その状況は労働基準監督署の立入検査でも確認されているので、現行の内容で対象を広げることにとどめるべきである。 4件  今回の見直しでは、安衛法第29条及び第30条に定める元方事業者又は特定元方事業者が講ずべき措置等を踏まえ、現行の内容に、改正省令の内容等現段階で追加して講じることが望ましい事項を追加したものであり、関係請負人の労働者を含めた、原子力施設全体の安全衛生管理がより一層適切に行われるものと考えている。
 従来から関係法令等を遵守して厳正に管理されている原子力発電所と核燃料施設を同一の通達で指導することは、運用・報告等に無理が生じる上に、従来いずれの施設もずさんな管理をしていたかのような印象を国民が抱いてしまう。原子力発電所と核燃料施設を区分し、それぞれの業態にあった運用とすべきである。 7件  原子力発電所を含め原子力施設は総じて社会的関心も高いことから、このような通達を公表し、これに則って関係請負人を含めた原子力施設全体の安全衛生管理の徹底を図ることは、原子力事業者のより一層の社会的信用の拡大にもつながるものであると考える。なお、本通達の内容は、安衛法上の規定に則って定めているものであり、その項目自体が施設により異なるとは考えていないが、その内容の具体的実施方法が施設によって異なることは当然であるし、該当しない項目は、実施する必要はない。
 原子力産業全体に逆風が吹いている現在、労働省は、締め付けやすい大企業を対象とするのではなく、末端も含む労働者保護を理念としているのであれば、その辺を明確にし、事業者責任を末端まで浸透させる働きかけこそ大事である。こうすれば被ばく低減、労働者保護に寄与できると具体的に示して欲しい。 3件  関係請負人を含めたすべての事業者に対し、安衛法及び電離放射線障害防止規則(以下「電離則」という。)の遵守を徹底させるよう監督指導の一層の徹底を図る。本通達は、安衛法第29条及び第30条に定める元方事業者又は特定元方事業者の講ずべき措置等の具体的事項及び改正省令の内容等現段階で追加して講じることが望ましい事項を定めるものである。この両者が相まってこそ、末端までの適切な安全衛生管理の充実が図られていくものと考える。なお、被ばく低減のための具体的な手法については、労働省労働衛生課編「原子力発電所等における放射線作業にかかる線量低減マニュアル」を参考にされたい。
 保安規定の改定、立入検査の強化などで、管理が強化されている現状を考えると、核燃料施設に対し必要以上に負担を強いているのではないか。縦割り行政を垣間見るような気がする。様式第1号の報告とそのフォローとすべきである。 2件  安衛法と原子炉等規制法は、法律の趣旨・目的が異なることから、必要な対策の強化を図るに当たっても、その重点は異なるものである。特に末端事業場までの労働者の健康と安全を確保する上で、原子力施設に対する本通達による指導等の強化は必要であると考える。
 今回の事故も含め、最近の大きな事故の問題点は、いずれも原子力事業者にあったにもかかわらず、今回の通達は、その問題をすり替えている。 1件  原子力事業者に対しては、本通達による四半期ごとの安全衛生管理状況の確認と、労働基準監督署等による監督指導によって安衛法及び電離則の遵守徹底を図ることとしている。しかしながら、原子力施設においては、大多数を占める関係請負人を含めた総合的な安全衛生管理もまた不可欠であるため、元方事業者である原子力事業者又は元請工事業者に対して指導的役割を果たすよう指導するものである。
 見直しの標題は「被ばく管理対策の強化」となっているが、今回の改正内容は「安全衛生管理」又は「放射線管理」全般が対象となっており、「被ばく管理対策の強化」のことは言っていないので、「〜安全衛生管理の徹底」等の標題が適切である。 1件  標題については、意見募集の段階では、現行の通達の見直しである旨を明確にするために仮に付けたものであるので、通達の発出の際は、御意見を踏まえ適切な標題を付けることとする。
 原子力施設以外の放射線・放射性物質利用施設等で電離則に基づき被ばく管理しているようには思えず、労働基準監督署等の監督が実施されたのを聞いたことがない(一般的に医療法や障防法などの法令だけ遵守していればよいという風潮がある)。 1件  放射線・放射性物質利用施設についても監督指導は行っており、様々な機会を通じて、法令の周知と徹底を図っている。
 安衛法で事業者責任である安全衛生管理(被ばく管理)を、元方事業者に全て責任を負わせる内容になっている。下請事業者において責任意識が薄れ、管理責任が曖昧になるため、安衛法の精神に反する。 2件  安衛法上の事業者責任は、当然に各関係請負人に適用される。ここでは、安衛法第29条及び第30条において元方事業者又は特定元方事業者が講ずべき関係請負人に対する指導又は援助を、原子力事業者又は元請工事業者に求めているものである。誤解のないよう表現を改める。
 関係請負人とは、末端(2次、3次)までも含むものと考えてよいか。 1件  御意見のとおりである(安衛法第15条)。
 第2の2(2)及び(3)について、一般安全衛生管理と放射線安全管理に関する事項は、構成員・協議の内容等を考慮して別々の協議組織で実施し、一般安全衛生管理担当と放射線安全管理担当が業務を分担しているところが多く、一律的に規定されると実質的な運用効率が悪くなる可能性が大きい。 1件  担当者や協議組織が分担すること自体を妨げるものではないが、放射線安全管理は、それが労働者の健康と安全の確保に関する限り一般安全衛生管理を基礎としてこそ適切に機能するものなので、放射線安全管理が一般的かつ総合的な安全衛生管理と切り離されるのではなく、担当者の連携や協議組織の連携(放射線安全の協議組織を一般安全衛生の協議組織の下部機関として位置づけるなど)を組織規程等で明記することが望ましい。
 放射線管理は安全衛生管理の一部であるが、原子力発電所ではその専門的な知識、資格などから別の組織として構築している。放射線管理者の位置付けを独立させ、地位を法律上明確にすべきと考える。 1件  原子力施設においては、原子炉等規制法に基づき、核燃料取扱主任者、原子炉主任技術者が配置されているので、一般的かつ総合的な安全衛生管理を基礎として、これらのスタッフを活用して放射線管理を行うことが望ましい。これらのスタッフとは別に放射線管理者を法的に安衛法上に位置づける必要はないと考える。
 本通達では、「安全衛生管理」と記載している字句を「放射線管理」に置き換え強調するような浮き彫りのさせ方をしてほしい。一般の安全衛生管理の一部で済まさないことが望ましい。 1件  本通達は、「放射線業務に係る安全衛生管理」を「安全衛生管理」と定義して使用することとしている。
 原子力発電所の請負工事体系は複雑な関係になっており、第2の2(4)の事項を、特定元方事業者として全て把握し報告するのは無理がある。安衛法の基本は事業者であることを従来より一層強調すべき姿勢を示すべきである。 1件  特定元方事業者が安衛法第29条及び第30条の措置を適切に講じるためには、関係請負人の正確な把握は不可欠である。なお、各事業者が行うべき事項については、今回の事故を踏まえ規制を強化したほか、監督指導のさらなる強化を図っていく。
 現状の原子力工事では、施設者側の要求で、指定業者、労働者名簿の提出、雇用主の確認、被ばく歴の把握、被ばく状況、健康診断の確認、教育実施確認などにより、十分把握されており、いまさら確認する必要はない。 1件  本通達は、原子力施設において、放射線業務に係る適切な安全衛生管理を行うに当たって、元方事業者が講ずべき事項を総合的に記述したものであり、現在、行われているから記述しないというものではない。
 原子力発電所では、諸規則、様々な管理システムを作り遵守徹底を図り、作業規程の運用で求められている事故被ばくの防止、被ばく低減の推進等の事項はすべて網羅されているので、第2の2(6)で、事業者が作業件名ごとに作業手順、放射線防護要領等を全て記載した1冊の文書を作成し、関係放射線業務従事者は当該文書に従って管理するという指導はやめてほしい。 1件  すでに電離則第41条の4第1項各号に定める事項を網羅した諸規程が定められていれば、それをもって作業規程として差し支えないので、作業件名ごとの1冊の文書を作成することは必要ない。作業を行う放射線業務従事者に対し、その規程の内容が周知されればよい。元方事業者は、各関係請負人がそれらを適切に行うよう指導し、又は援助することが必要である。
 第2の2(6)ロにおいて、作業規程の承認は事業者責任で行われるべきものであるが、それを原子力事業者や特定元方事業者に課すことは、過大な負担となり、本来事業者が行うべき責任を曖昧にする。 4件  元方事業者が行う「承認」を「確認」に改め、当該確認が必要な作業規程を、1日1mSvを超えるおそれのある作業又は核燃料施設における間欠的若しくは一時的作業で定常時より量の多い若しくは濃度の高い核燃料物質を取り扱う作業に限定する。
 第2の2(6)ハの作業規程の周知は事業者の責任の範囲であり、元方事業者が実施すべきでない。今回の報告は、元請事業者に対して、末端の協力会社まで作業規程の周知が図られているかをフォローすることとなり、負担が大きい。 1件  ここでは、関係請負人が自らの労働者に周知を図るように、原子力事業者が指導することを意味している。御意見にあるようなフォローを求める報告はない。
 第2の2(6)ニの作業場所の巡視と作業規程の遵守の確認は、実際に全ての作業場所については不可能である。また、同(6)ホの被ばく管理の監視は、すべての作業場所については不可能である。 1件  御意見を踏まえ、巡視等により、被ばく管理状況の重点確認と必要な場合の是正指導等を行うこととするよう修正する。
 第2の2(7)において、被ばく状況の把握は、関係会社従業員のプライバシーを侵害する可能性があり、望ましくない。 1件  必要最低限の範囲内で被ばく状況を把握することは、関係請負人が労働者に線量限度を超えて被ばくさせないようにしたり、適切な作業環境や作業方法で作業を行わせたりするよう、元方事業者が関係請負人を指導するために不可欠である。
 雇入れ時、作業内容変更に関わる教育、職長教育は、放射線作業に直接関わる事項ではなく、元請事業者が関与する事項ではない。特別教育の実施の確認(把握)にとどめるべきである。 2件  雇入れ時及び作業内容変更時の教育は、労働者が従事する業務に関するものでなければならず、放射線業務に従事する労働者に対しては、放射線業務に直接関わる教育でなければならない。また、放射線業務であっても、職長となる者には職長教育を行っている必要がある。さらに、すべての放射線業務が特別教育の対象となっているわけではないこと及び雇入れ時及び作業内容変更時教育の実施によって特別教育を省略している場合があることから、特別教育のみを対象とするのは不十分である。誤解のないようその旨表現を改める。
 今回の事故でも教育が不十分であったことが原因であり、教育を徹底し、形骸化させない指導こそ大事である。 1件  そのため、教育の実施についても元方事業者が関係請負人に対して指導及び援助を行うことを求めるものである。
 教育において、ここまで原子力事業者に関与させる必要はなく、事業者に対する指導が末端まで浸透するような対策を考えるべきである。 1件  原子力事業者は、安衛法第29条により元方事業者として関係請負人が同法に違反しないよう指導する義務があることから、安全衛生教育に関する指導及び援助は必要である。
 法律上は、各事業者ごとに特別教育を行うことになっているが、電力事業者が強制的に構内全事業者を集めて行っている。一方、講師は構内事業者から強制的に出させているが、その選任基準は構内事業者任せであり、何ら審査もない。構内全事業者を強制的に集めて行っている以上、電力事業者のしかるべき人間が特別教育を行うのが筋であり、この点を電力事業者の使命として法律化すべきではないか。 1件  安衛法では、特別教育について事業者ごとに適切な講師を選んで実施する義務がある。したがって、法律上、電力事業者に構内事業者の労働者に対する特別教育を義務付けることはできない。ただし、各事業者の責任で適切な機関、例えば電力事業者に特別教育を依頼することは構わない。本通達では、原子力事業者が元方事業者として指導又は援助を行うこととしているので、適切な講師が配置されるものと考える。
 作業環境測定は、電離則に基づき事業者責任において実施すべきものであり、原子力発電所では元方事業者ごとに取りまとめて実施、関係請負人へ情報提供と放射線防護指示を行っている。第2の2(9)の内容が個々の事業者に電離則の範囲を超えて測定することを求めているのであれば、内容を明確にしてほしい。もし、原子力発電所の定期検査工事現場に作業環境測定法を適用するなら電離則を改正し、条文に明記した上で指導してほしい。 1件  第2の2(9)の内容は、電離則の範囲を超えるものではない。なお、原子力発電所の汚染された場所で、汚染された設備を取り扱う作業を行う場合は、従来から作業環境測定法は適用されている。同法は作業環境測定士の資格、作業環境測定機関等について必要な事項を定めたものであり、安衛法(電離則)と相まっているものであることから、電離則の改正は必要ない。
 第2の2(10)の健康診断は、一般健康診断と特殊健康診断両方について対象になると考えられるが、他産業でも元方事業者から関係事業者を含めた一般健康診断等の事後処置の内容報告を求めているか。 1件  健康診断については、電離放射線健康診断を意味しているので、その旨誤解のないよう表現を改める。なお、ここでは事後措置の内容報告を求めているのではなく、事後措置の実施について十分な知識等を有していない関係請負人に対して必要な指導等を行う趣旨である。
 第2の2(10)及び様式第2号の3(5)ロの健康診断の実施や医師の意見聴取、保健指導、就業上の措置等は事業者の義務であり、それを原子力事業者や元請工事業者に課すのは、事業者の責任を曖昧にし、原子力事業者や特定元方事業者に過大な負荷を課し、規制緩和方針にも逆行する。 11件  健康診断が事業者の義務であることに変わりはなく、ここでは、健康診断、就業上の措置等を行うに当たって十分な知識等を有していない関係請負人に対して、必要な指導又は援助を行う趣旨である。誤解のないよう表現を改める。
 原子力事業者の産業医で、当該事業者の労働者の健康管理に必要な業務をこなしてなお十分な余裕を持つ者は多くない。本来の業務である当該事業者の労働者の健康管理の徹底に注力した結果、関係請負人の指導がおろそかになった場合は、誰にどのような責任が問われるか。 1件  第2の2(10)は、関係請負人の事業場に産業医がいない場合等必要な場合に、原子力事業者の産業医が関係請負人の労働者の保健指導等を行うなどの援助等を行うことを定めているもので、本来の原子力事業者の労働者の健康管理の業務をないがしろにしてまで行うべきものではない。誤解のないよう表現を改める。
 第2の2(10)において、健康診断の結果については、安衛法第104条の守秘義務、労働者のプライバシー保護の関係もあり、どう取り扱うのか。 3件  健康診断結果の内容については、安衛法の趣旨にかんがみ、就業上の措置又は保健指導等を行うに当たって知る必要がある者のみに限られ、本通達もその考え方に基づくものである。
 産業医は、平成8年の改正により所定の講習を受けた医師であり、また健診そのものが医師によるもののはず。第2の2(10)で、その医師の判断に対し他社の産業医がそれぞれ指導、助言を行うのは、越権行為ではないか。 1件  ここでは、関係請負人の事業場に産業医がいない場合等必要な場合に、健康診断結果についての意見聴取、保健指導等を原子力事業者の産業医が行うなどの援助等があり得るということであり、別の医師が行う意見聴取や保健指導に対し、原子力事業者の産業医が指導を行うわけではない。
 原子力事業者の産業医が、事業内容、事業環境等定かでない関係請負人の社員の就業判断を行うこととなった場合、ほんの少しでも健康状態に疑問のある場合は、産業医としては就業配置を外す等の安全側判断をせざるを得ないと思われる。そのような就業判断が行われた場合は、弱小な事業者や本人にとって死活問題となる。 1件  関係請負人の労働者の就業の可否等の判断は、当該関係請負人が行うべきものであって産業医が行うものではない。その判断の際に、原子力事業者が必要な指導を行うものである。ただし、関係請負人が、判断に当たって原子力事業者の産業医に意見を聴く場合は、当然に、当該産業医に当該労働者の作業環境等十分な情報を与える必要がある。詳しくは、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成8年労働省告示第1号)を参照されたい。
 第2の2(10)については、法令どおり健康診断を受けているか、仕様書などで示し、指導するにとどめていただきたい。 1件  関係請負人が、安衛法の趣旨に則って、健康診断結果に基づき就業上の措置等の適切な健康管理を行うためには、元方事業者が、当該管理に関し十分な知識等を有していない関係請負人の指導等を行うことは必要であり、安衛法第29条の趣旨に適うものである。
 健康診断、安全衛生教育について仕様書の改訂等により従来以上の内容を客先から要求されることが予想され、コスト低減で四苦八苦している事業者に対し、世の中の状況をよく見て労働省は対応してほしい。 1件  原子力施設のように一旦大きな事故が発生すると、労働者に重大な影響を与えるおそれのある施設においては、安全性の確保が最重視されるべきである。今回の事故後も原子力施設における事故、トラブル等が発生し、しばしば社会的に問題になっていることを踏まえ、本通達の内容は、安全性の確保のために必要な措置を求めるものである。
 第2の2(11)の事故時の避難等の応急体制の確立、周知及び実地訓練については元方事業者と関係請負人を含めた合同で実施することでも良いとすべきである。 1件  そのような趣旨になっていると考えるが、さらに誤解のないよう表現を改める。
 従来より原子力発電所では、原子力事業者より工事仕様書等で工事実施事項を発注し、工事方法、工事の安全管理等については請負者の責任において行われる。原子力発電所においては、工事発注者である原子力事業者が行うことは「総括的な指導・助言」と解釈するが如何。 1件  原子力事業者が工事を外部に発注するような場合は、原子力事業者の役割は、元請工事業者に対する発注者として必要な指導又は援助を原則とする。そうでない場合(通常運転時等)には、原子力事業者が元方事業者としての職務を行う必要がある。なお、原子力事業者が工事の発注者となる場合であっても、管理区域の入退域管理や設備等の管理について原子力事業者が直接的に携わる場合もあると考えられるので、本通達ではそれを妨げない。
 原子力事業者が定期検査工事等を工事業者に請け負わせている場合、原子力事業者は発注者となることから、それを元方事業者とみなして規制することは過度な規制である。 1件  御意見のような場合には、定期検査工事等を請け負う元請工事業者が元方事業者としての措置を講じるようにしている(第2の3)。
 もともと事業者に課せられた義務を、原子力事業者にやらせ、かつ定検期間中は事業者に代行させるのは、二重に事業者に負担をかけ、矛盾がある。 1件  本通達では、原子力事業者が元方事業者として関係請負人を指導又は援助すべき事項を定めるものであり、関係請負人の義務を元方事業者に負わせる趣旨ではないが、誤解のないよう表現を改める。なお、定検期間中は、原子力事業者は発注者となり、自ら元方事業者とはならないので、定検工事を請け負った元請工事業者が、元方事業者として実施すべき事項を行う必要がある。
 原子力事業者、特定元方事業者、元方事業者それぞれに現行法令のなかで責任が明確になっているにもかかわらず、第2の3において、原子力事業者に課した事項を、特定元方事業者に責任を転嫁するのは、安衛法で事業者責任と言っているのに、行政側の立場として言っていることが矛盾している。 1件  第2の3は、原子力事業者は自ら作業を行わない場合のことを述べているのであり、その場合、原子力事業者は元方事業者には当たらず、元請工事業者が、元方事業者として実施すべき事項を行う必要がある。なお、安衛法で関係請負人に適用される義務が免除されるわけではなく、元方事業者はあくまで関係請負人の義務に対する指導又は援助を行うものであるが、誤解のないよう表現を改める。
 第2の3及び4の報告は、特定元方事業者が行うべき安衛法第30条の範囲を超えており、事業者責任が曖昧になる。このような改正はかえって混乱のもとになる。 2件  特定元方事業者が講ずべき措置は、安衛法第29条及び第30条に定められており、本通達は、これらの具体的事項及び改正省令の内容等現段階で追加して講じることが望ましい事項を定めるものである。なお、第2の4の報告については、混乱を避けるため、工期等にかかわらず、原子力事業者が行うこととし、その内容について見直すこととする。
 第2の3について、原子力発電所で働く者は電力会社の許可を得て管理区域内に立ち入ることができるのであって、元方事業者の許可を得ているわけではないので、原子力事業者に代わり元方事業者がすべてをコントロールすることは不可能である。 1件  原子力事業者が元請工事業者に対して必要な指導又は援助を行うことになっており、定期検査工事等の場合であっても、第2の2の各事項について原子力事業者が自ら行うことを求める場合は、元請工事業者はその事項を行う必要はない。管理区域への立入については、第2の2(5)において関係請負人の確認を求めているものであり、立入許可は求めていない。ただし、安衛法第29条及び第30条において特定元方事業者が講ずべき措置に当たるものについては、元請工事業者が行わなければならない。
 第2の4(1)の放射線作業の報告は、法令に規定された範囲を超えての要求事項であり、行政目的のために報告させるのであれば、電離則を改正し、条文に明記した上で指導してほしい。 1件  本報告は、従来より法令で規定されていない指導として、原子力発電所に対し提出を要請しきたものであるが、その結果、労働基準監督署の事前の内容確認と必要な場合の改善指導等により高被ばくを伴う作業の安全な実施に寄与してきたと考えている。電離則への明文化については、今後の実施状況を踏まえつつ必要に応じて検討する。
 第2の4(2)イにおいて、定期検査工事等(工期が3月を超えるもの)の安全衛生管理状況の報告を元請工事業者に、それ以外を原子力事業者に求めている。このように工期で分けることは、計画された工期が実績として延長された場合等を考えると混乱を来たし、かつ報告の責任が曖昧となる可能性が高い。また、原子力発電所の元請工事業者は10社を超えており、各々の事業者より個々に報告を受けることは報告を受ける側にとっても非効率である。 1件  御意見を踏まえ、工期にかかわらず、様式第2号〜第4号の報告については、原子力事業者が行うこととする。
 第2の4(2)イの工期とは何を指すのか不明確である。 1件  工期にかかわらず、様式第2号〜第4号の報告については、原子力事業者が行うこととする。
 様式1〜3について、どのような事項を管理監督するために、こんなに多くの事項を報告させようと考えているのか。また、それをどのように管理監督に生かそうとしているのか不明である。四半期ごとに報告する意味も明確ではない。 1件  今回の事故を踏まえ、労働基準監督署等では、原子力施設に対する監督指導の充実を図ることとしているが、本報告は、書面により安全衛生管理が適切に行われているかを確認するのみならず、当該監督指導に当たっても活用する。なお、報告事項については、御意見を踏まえ、内容を見直すこととする。
 本来事業者が所轄の労基署に対し行っている報告を、重複して提出する目的が明確でない。 1件  これまで労働基準監督署に対して行ってきた報告が今回の報告内容を含むものであれば、重複して報告する必要はない。
 本報告は、結果報告であり、事故の事前防止、被ばく管理対策の強化には何も結びつかない。 2件  本報告により労働基準監督署が安全衛生管理状況を把握し、必要な場合に管理方法の改善指導その他の監督指導を行うので、被ばく管理対策の強化に結びつくものである。また、事故の事前防止は事業者の役割である。なお、報告事項については、内容を見直すこととする。
 報告のためのデータ自体を集めても実態はつかめず、請負人に余計な手間をかける。 1件  本報告は、元方事業者が自らの労働者に対して行った事項及び元方事業者が関係請負人に対して指導又は援助を行った事項等について行うものであることから、元方事業者として実態はつかめるものと考えているが、報告事項については、御意見を踏まえ内容を見直すこととする。
 報告の内容は、各労基署が臨検監督等で確認しているのだから、書類による報告は不要とすべきである。 6件  今回の事故を踏まえ、労働基準監督署等では、原子力施設に対する監督指導の充実を図ることとしているが、本報告は、書面により安全衛生管理が適切に行われているかを確認するのみならず、当該監督指導に当たっても活用することとしており、原子力施設における安全衛生管理の適正化に寄与するものと考えている。なお、報告事項については、御意見を踏まえ、内容を見直すこととする。
 様式第1〜第4号の報告は、専任担当者配置が必要であるなど、そのコストアップと莫大な書類の発生は計り知れない。また、労働基準監督署にとっても、その内容の理解・検討のために同様の負荷増加が見込まれる。様式案作成前に、実際の原子力発電所を対象にシュミレートしてから案公表、意見公募するのが常識的であり、内容を見直すべきである。 3件  報告事項については、今回の各種御意見を踏まえ、内容を見直すこととする。
 被ばく限度値に十分な余裕をもって管理されている現況において、被ばく低減推進指導のための基礎情報として報告を求めるのであれば、電離則を改正し、条文に明記した上で指導してほしい。 1件  電離則への明記については、本報告の実施状況を踏まえ、必要に応じて検討する。
 四半期ごとの安全衛生管理状況の報告指示は、定期点検時期と無関係に決めるのは意味がない。かえって仕事を複雑にする。現状の定検ごとにまとめるほうが実態に沿っており分かりやすい。 1件  今回の事故を踏まえ、労働基準監督署等では、原子力施設に対する監督指導の充実を図ることとしているが、それと相まって報告を求め、迅速かつ適切な対応を図っていきたいと考えている。
 様式第2号の2(1)の安全衛生委員会及び3(1)の安全衛生協議組織の報告について、すでに議事録等を作成して周知しているものを、更に指定様式に書き改めることは労力がかかり、合理的でない。労働基準監督署の立入でも確認されているので不要である。 1件  この部分は、労働者の被ばく管理上問題となった事項について報告する趣旨なので、誤解のないよう表現を改める。また、備考にもあるとおり、別紙での添付も可能である。
 様式第2号の2(2)及び3(3)の作業規程とは具体的に何を指すのか不明確である。原子力発電所の場合、毎回内容を変更する。これらをすべて報告するのは多大な労力を要し、報告する意味がない。 2件  作業規程とは、電離則第41条の3及び第41条の4に定める作業規程をいう。なお、作業規程の内容変更に関する部分の報告内容について見直すこととする。
 様式第2号の2(4)の作業環境測定等の実施状況の報告方法については、作業現場の実態にそぐわない。実際の測定は「mSv/h」で管理されており、「週1mSv以上」を選んだ理由が不明である。 3件 「週1mSv」については、放射線審議会の意見具申において労働者が常時立ち入る場所の線量を「週1mSv以下」とすることとなっており、電離則でも第16条に定められている。なお、報告内容については、各種御意見を踏まえ、見直すこととする。
 様式第2号の2(4)の「測定した場所の数」とは何を示すのか。測定数を集計するのは大変な手間である。 1件  部屋又はエリア(作業場所)を意味する。なお、御意見を踏まえ、この部分の報告内容について見直すこととする。
 様式第2号の2(4)の作業環境測定等の報告は、特定元方事業者が行うべきではない。 1件  御意見の趣旨を踏まえ、様式第2号〜第4号の報告は、原子力事業者が行うこととする。
 様式第2号の2(4)の「放射性物質取扱作業室」という表現は、原子力発電所にはそぐわない。 1件  「放射性物質取扱作業室」とは、電離則で定義されている用語であるが、御意見の趣旨を踏まえ見直すこととする。
 様式第2号の2(5)の電離放射線健康診断結果はすでに事業者が四半期ごとに報告しているため、重複している。また、事業者が報告すべきものであり、原子力事業者又は特定元方事業者に集約させることは過度の負担をかけることになる。 1件  この部分は、事後措置の実施状況を報告するものであり、電離放射線健康診断結果報告とは異なるものである。また、原子力事業者が自社労働者に対する事後措置として実施した事項であるので、関係請負人との関わりはない。なお、様式第2号〜第4号については、すべて原子力事業者が報告を行うこととする。
 様式第2号の3(2)の初めて管理区域に立ち入ることとなった労働者に対する放射線管理手帳の所持等の有無の確認については、放射線業務従事者に指定するための要件であり、確認状況を報告することは不要と考える。むしろ、初めての者だけではなく、全員に対して確認できるシステム作りではないか。 2件  御意見の趣旨を踏まえ、報告内容について見直すこととする。
 様式第2号の4の「被ばくを伴い、又はそのおそれのある事故」とはどの程度の被 ばく又は事故を指すのか。 1件  電離則第42条第1項各号に掲げる事故であり、被ばくの程度は問わない。
 様式第2号の4の事故対応報告は、すでに報告義務があり、今回の報告内容と重複する。 1件  電離則上は、この報告に当たるような事故についてすべて報告義務があるわけではないが、御意見を踏まえ、この部分の報告については、事故発生後及び対応後直ちに所轄労働基準監督署あて報告を行うこととする。
 様式第2号の報告書の提出期限が1か月後となっているが、集計・整理に時間がかかるため2か月以内に変更してほしい。 1件  御意見の趣旨を踏まえ、1.5か月以内に報告を求めるものとし、報告の内容について見直すこととする。
 施設ごとの被ばくの実態(様式第3第4号)は、所定の放射線管理状況報告書、中央登録制度などで把握され、公表されており、労働省も電離放射線健康診断結果報告書で把握しているはずなので、線量の報告は不要とすべきである。省庁間でデータを共有することこそ、行政改革であり、実態を正確に把握する手段である。 3件  放射線管理状況報告又は中央登録制度による公開資料では、情報として必ずしも十分とはいえず、公開にも時間がかかりすぎ、迅速な監督指導が行えない。また、電離放射線健康診断結果報告書については、あくまで健康診断に着目して、法定の線量区分に基づく検査項目の実施・省略状況、有所見者の状況などを把握するための参考データである。したがって、被ばく管理状況の適切な把握と迅速な対応を図るためには、本報告が必要である。なお、データの共有化については、報告時期、報告様式の違い等により直ちには困難である。
 様式第3第4号について、被ばく管理上重要なことは個人に着目した管理で、個人の線量当量の結果を確認することが重要であり、事業者が把握し管理すべきものである。したがって、本報告は不要である。 2件  報告に当たっては、線量の分布状況を確認し、様式第2号と合わせて、作業環境管理、作業管理等の状況との関連を確認する。その結果、特に、個人の線量の把握が必要な場合は、監督指導の際に確認する。
 様式第3号の四半期ごとの被ばく線量分布を把握しても、個人管理に注目しなければならない労働基準監督署にとっては、片手落ちな情報にしか過ぎない。 1件  労働基準監督署では、事業者に対する法令遵守等の監督指導を行うので、事業場全体としての線量分布は重要な情報である。特に、個人の線量の把握が必要な場合は、監督指導の際に現場で確認する。
 様式第3号の線量当量区分別労働者数報告については、工事期間が3か月を超える定期検査工事においてのみ、四半期ごとに、関係請負人を含んだ報告が必要なのか。様式第4号の報告で十分であり、特に管理上注意すべき作業に従事する労働者の線量当量の確認は、様式第1号の放射線作業届とその後の報告にて実施されている。 1件  工期が3か月を超える工事においてのみ必要なわけではなく、すべてにおいて必要である。なお、様式第2号及び第3号については、工期が3か月を超える工事の場合に元請工事業者が報告することとなっているが、これを改め、工期にかかわらず、様式第2号〜第4号の報告は原子力事業者が行うこととする。なお、様式第1号については、きわめて線量が高い(1日1mSv以上)作業にのみ適用し、結果報告もその作業に伴う線量のみであり、第4号については、年度が終了した後の報告であることから、労働基準監督署が迅速な監督指導を行い、適正な安全衛生管理を確保するには不十分である。したがって、様式第3号は必要である。
 様式第3号について、定検時には複数の特定元方事業者がいて、関係請負人や個人が複数の特定元方事業者に従事することもある。また、サイト単位、号機単位、特定元方事業者単位の報告かが分からないので、不明確で混乱する。 1件  本報告も含め、様式第2号〜第4号の報告は、原子力事業者に行わせることにするなど、御意見を踏まえ見直すこととする。
 線量当量区分別報告(様式第3号及び第4号)は、1か月以内に報告するようになっているが、フィルムバッジの測定を外部機関に依頼している事業者は、結果を入手するだけで1か月程度かかる。他の法令では1.5か月以内又は3か月以内なので、1.5か月以内にしてはどうか。また、様式第2号も1.5か月以内にしてはどうか。 1件 御意見のとおり修正する。
 様式第3号で要求されるような四半期ごとの線量集計を実施している事業者はほとんどないのが実情ではないか。また、フィルムバッジ測定では、報告結果が判明するのが翌月の中〜下旬であるため、翌月末の報告は困難である。2か月後にしてほしい。 3件  四半期ごとの報告は、現在でも既に原子力発電所で行われている。また、報告期限については、御意見を踏まえ、1.5か月以内とする。なお、様式第2号〜第4号の報告は、原子力事業者が行うこととする。
 様式第3号及び第4号の報告で求められている線量当量区分集計に必要な要因を、明確に定義すべきである。全国の労基署にて統一された定義が適用されなければ、報告業務に混乱を生じる。 1件  御意見のとおりとする。
 意見募集期間が1か月もないのは短すぎる。意見を公募していることを広く一般に知らしめるようホームページと並行して、マスコミに取り上げさせるか、広報をすべきである。郵送の期限は7月21日の消印まで有効とすべきである。 1件  本募集は、平成11年3月23日閣議決定「規制の設定又は改廃手続に係る意見提出手続」に基づき実施したものであり、今後とも幅広く意見が提出されるよう努めてまいりたい。
 
担当課室:(労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課)
御意見等をお寄せいただき、ありがとうございました。


ホームページへ │ 戻る