トピックス HOME 本文目次 前ページ 次ページ

2.安全対策について


(1)医薬品、医療用具等の市販後安全対策について

 医薬品、医療用具等の安全対策については、承認審査の充実を図る一方、従来より副作用情報の収集・評価・提供や再審査・再評価を進めてきたところであるが、今後さらに医薬品、医療用具等の安全性を確保するための施策を推進する。
ア.医薬品、医療用具等の副作用・感染症情報の収集について薬事法改正により、平成9年4月から企業に対し医薬品、医療用具等の副作用情報についての報告が法制化されたとともに、医薬品、医療用具等に起因する感染症情報の報告についても新たに義務づけられた。
 また、平成9年7月に、従前の医薬品副作用モニター制度、医療用具モニター報告制度及び薬局モニター制度を全面的に改組して、「医薬品等安全性情報報告制度」を発足させ、すべての医療機関などから情報収集ができるように改めたとともに、報告様式の簡略化や、報告書様式の学会誌等への綴り込み等により医療関係者が報告しやすいような制度の充実を図ってきたところであり、平成9年度は前年度の約2倍の3,730件の報告があった。
イ.医薬品等の副作用・感染症情報の管理及び伝達について
 企業報告やモニター報告で収集された副作用・感染症情報等については、迅速・的確な評価、伝達を行う必要がある。このため、事務局評価体制の充実を図るとともに「厚生省健康危機管理基本指針」に対応した「医薬品等健康危機管理実施要領」を策定し、情報の収集、分析・評価、対応決定、情報伝達、追跡調査に関する一連の業務を実施している。
 緊急かつ重要な情報の医療関係者への伝達については、緊急安全性情報(ドクターレター)の配布や緊急FAX送信などによる情報伝達に加えて、積極的にマスコミに公表し、より迅速で的確な情報伝達に努めている。
 また、医薬品機構に「消費者くすり相談室」を設置し、医薬品に関する一般消費者等からの疑問や相談に応えている。
ウ.医薬品安全性情報提供システム事業の発足について
 医薬品の適正使用を推進するため、医薬品機構を情報発信基地として、医薬品添付文書など企業が保有する情報や副作用情報など厚生省が保有する情報を、インターネットを介して医療関係者等に迅速かつ広範囲に提供する「医薬品安全性情報提供システム」の構築を進めており、平成11年度から情報提供を開始することとしているので、医療関係者等への周知方お願いする。
エ.医薬品等適正使用推進事業について
 医薬品等の適正使用の推進を図るため、平成10年度から関係学会と連携して、医薬品等の安全性情報の収集・評価・伝達についてのモデル事業を実施している。
オ.医療用具の2000年問題について
 医療用具のコンピュータ西暦2000年問題については、平成10年10月20日付け厚生省健康政策局長、医薬安全局長、及び障害保健福祉部長通知でもって、医療用具製造業等における2000年問題に対する適切な対応について周知徹底をお願いしたところであり、引き続き適切な指導等お願いしたい。
 また、具体的な問題事例の有無等については、平成10年10月に関係団体を通じて予備的な調査を行い、患者の生命に直接影響を与えるような重大な問題は認められなかったが、現在、昨年末時点の医療用具製造業者等の対応状況について都道府県等を通じ調査中であり、調査結果がまとまり次第公表することとしている。
 なお、今後対応が十分でない業者に対して、四半期毎に調査を実施する予定であるので、引き続き御協力をお願いしたい。

(2)医療施設の安全対策について

ア.院内感染対策について
(ア)院内感染対策については、従来より、手洗いの励行、清掃等院内の環境整備、院内感染に関する医療従事者への教育などの基本対策を中心に、肝炎やHIV、MRSAをはじめとしてレジオネラ、クロイツフェルト・ヤコブ病等の個別疾患に応じた対策について、医療機関への周知徹底を図ってきたところである。
 昨年は、新たにVRE(バンコマイシン耐性腸中菌)が日本でも初めて確認されており、新たな薬剤耐性菌への対応が求められてきている。
 院内感染の問題は、医療の現場における医療関係者と患者との信頼関係にも深く関わるものであり、さらに一層の御指導をお願いする。
(イ)従来より実施している「院内感染対策施設・設備整備事業」の実施、「院内感染対策講習会」の開催、「施設内感染対策相談窓口」の周知についても、引き続き御協力をお願いする。なお、平成11年度からは講習会の受講対象者を、従来の医師・看護婦から薬剤師・臨床検査技師まで拡大することとしている。
 また、平成11年度より国立病院等を対象として薬剤耐性菌感染症のサーベイランスシステムを構築することとしており、現在、国立感染症研究所を中心として院内感染サーベイランスの試行を開始しているので、御了知のうえ御協力をお願いする。
イ.医療放射線管理について
 医療放射線管理については、医療の高度化、多様化が進む中で今後の医療分野の放射線利用の動向を踏まえ、我が国における医療放射線管理の在り方等について検討を行うため、平成10年1月より「医療放射線安全管理に関する検討会」を開催している。
 本検討会においては、国際防護基準の医療法への取り込み、新しい放射線装置及び器具に対応した放射線防護措置の在り方、医療法と放射線障害防止法との二重規制の見直し等について検討を行っており、平成10年6月30日には検討会の議論を踏まえ、「在宅医療におけるエックス線撮影装置の安全な使用について」と「放射性医薬品を投与された患者の退出について」の通知を行ったところである。
 今後、国際防護基準の医療法への取り込み等に関連して関係法令の改正を予定しており、御理解と御協力をお願いする。
(3)毒物劇物対策について
ア.近時、毒物劇物を用いた犯罪が多発し、国民に不安をつのらせ、社会に脅威を与えている。このような状況に鑑み、内閣に「毒劇物対策会議」を設置し、昨年11月27日に報告書を取りまとめ、現在、これに基づき毒劇物の管理体制強化、事件・事故発生時における連携体制強化等を推進しているところである。
 各自治体においては、本報告書及び累次の通知に従い、毒物劇物営業者等に対する指導、取締りを徹底するとともに、事件・事故発生時における警察・消防当局等との連携に遺漏なきを図られるようお願いする。
イ.毒物劇物対策強化の一環として、本年1月1日よりアジ化ナトリウム及びこれ
を含有する製剤を毒物に指定した。今後、盗難等防止マニュアルの作成・配布等の事業を計画しているところであり、御協力をお願いする。
ウ.毒物劇物取締りについては、平成9年より毒物劇物営業者登録等システムを導
入し、その登録事務の迅速・適正化を図っているところである。本システムは、警察捜査上も有意義であることから、その早期の全国的導入が必要であり、各自治体における御協力をお願いする。



トピックス HOME 本文目次 前ページ 次ページ