トピックス HOME 本文目次 前ページ 次ページ

5.安全対策について


(1)医薬品、医療用具等の市販後安全対策について

 医薬品、医療用具等の安全対策については、承認審査の充実を図る一方、従来より副作用情報の収集・評価や再審査・再評価制度を中心に市販後安全対策を講じてきたほか、副作用情報の評価体制の充実を図るため中央薬事審議会副作用調査会の拡充を行ったところであるが、今後さらに医薬品、医療用具等の安全性を確保するための施策を推進する。

ア.医薬品、医療用具等の副作用・感染症情報の収集について
 薬事法改正により、昨年4月から企業に対し医薬品、医療用具等の副作用情報についての報告が法制化されたとともに、医薬品、医療用具等に起因する感染症情報の報告についても新たに義務づけられた。
 また、昨年7月に、従前の医薬品副作用モニター制度、医療用具モニター報告制度及び薬局モニター制度を全面的に改組して、「医薬品等安全性情報報告制度」を発足させ、すべての医療機関などから情報収集ができるように改めたとともに、報告様式の簡略化や、報告書様式の学会誌等へ綴り込み等により医療関係者が報告しやすいような制度の充実を図ってきているところである。
 なお、平成10年秋にはWHO医薬品副作用モニタリングセンター会議を東京で開催する予定である。
イ.医薬品等の副作用・感染症情報の管理及び伝達について
 企業報告やモニター報告で収集された副作用・感染症情報等については、迅速・的確な評価、伝達を行う必要がある。このため、昨年3月に事務局評価体制の充実を図るとともに「厚生省健康危機管理基本指針」に対応した「医薬品等健康危機管理実施要領」を策定し、情報の収集、分析・評価、対応決定、情報伝達、追跡調査に関する一連の業務を実施している。
 緊急かつ重要な情報の医療関係者への伝達については、緊急安全性情報(ドクターレター)の配布や緊急FAX送信などによる情報伝達に加えて、積極的にマスコミに公表し、より迅速で的確な情報伝達に努めることとしている。
また、平成6年7月から医薬品機構に「消費者くすり相談室」を設置し、医薬品に関する一般消費者等からの疑問や苦情に応えているところである。

ウ.医薬品安全性情報提供システムについて
 平成9年度より、医薬品の適正使用の推進を図るため、医薬品機構を情報発信基地として当該公開情報に医薬品添付文書など企業が保有する情報や、医薬品機構のくすり相談事例等の情報を付加した「医薬品安全性情報提供システム」を構築し、インターネット等により医療関係者はもとより広く国民に提供することとしている。当該システムの本格稼働開始は平成11年度の予定である。
 医療用具については、新たに不具合報告データベースの整備事業に平成10年度に着手する予定である。

エ.適正使用推進事業について
 医薬品等の適正使用の推進事業として、平成10年度から関係学会と連携して、医薬品等の安全性情報の収集・評価・伝達についてのモデル事業を実施することとしている。

オ.毒物劇物取締りについて
(ア)毒物劇物取締りについては昨年より毒物劇物営業者登録等システムを導入 しその登録事務の迅速・適正化を図っているところである。昨年は対象を製 造業・輸入業に限定していたが本年4月には販売業に拡大されるところ、各 都道府県においては、機器の整備、関連業者への周知等について一層のご協 力をお願いする。
(イ)近年、毒物劇物を含む危険物車両の事故発生が増加しているところ、毒物 劇物運搬車両に対する規制のあり方を検討するため毒物劇物輸送実態調査を 開始しているところであるが、各都道府県においては安全対策課長通知(平 成9年医薬安第53号)をもって通知したとおり、(1)警察当局、消防当局等 と協力し、毒物劇物事故への対応体制の整備、(2)毒物劇物営業者、業務上取 扱者に対する注意喚起、(3)事故発生に際しては事故状況の調査、化学物質情 報の提供、事故を起こした事業者に対する指導等によって保健衛生上の危害 の防止に努められるようお願いする。

(2)医療施設の安全対策について

平成9年7月の組織改正により、院内感染対策や医療放射線管理、医療ガス等の医療施設の安全対策について医薬安全局が担当することとなった。

ア.院内感染対策について
(ア)院内感染対策については、これまでにおいても、手洗いの励行、清掃等院内の環境整備、院内感染に関する医療従事者への教育などの基本対策を中心に、肝炎やHIV、MRSAをはじめとしてレジオネラ、クロイツフェルト・ヤコブ病等の個別疾患に応じた対策について、医療機関への周知徹底を図ってきたところである。この問題は、医療の現場における医療関係者と患者との信頼関係にも深く関わるものであり、さらに一層の指導をお願いしたい。
(イ)従来より実施している「院内感染対策施設・設備整備事業」の実施、「院内感染対策講習会」の開催、「施設内感染対策相談窓口」の周知についても、引き続き協力をお願いしたい。

イ.医療放射線管理について
医療放射線管理については、平成7年度に健康政策局において「医療放射線管理の充実に関する検討会」が開催され、放射線障害防止法と医療法との二重規制の問題や携帯型エックス線装置の利用の問題、放射性同位元素の内用療法等における安全管理基準を定めることの必要性などについて指摘されている。この問題について、現在「医療放射線安全管理に関する検討会」を設置し、検討をいただいている状況である。



トピックス HOME 本文目次 前ページ 次ページ