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厚生労働省発表
平成13年8月
担当 厚生労働省大臣官房統計情報部
 雇用統計課長 水谷 豊
 同課長補佐 櫻井  忠房
電話 03(5253)1111 内線7613、7615
ダイヤルイン 03(3595)3145


平成12年産業労働事情調査結果速報

構造調整下における企業行動と労働面の対応に関する調査

 今後5年以内に事業の再構築を予定する企業は7割、再構築を行う上で「労働者の再教育・再訓練」及び「推進する人材の不足」が問題点の上位


〈調査の概要〉

 この調査は、構造調整が急速に進展している経済環境の下、既存事業の再編・再構築、新規分野への事業参入など事業の再構築を通じて構造調整に対応した企業の動向、それに伴う雇用その他の労働面の取組についての実態を総合的に把握したものである。
 調査対象は、9大産業(鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業、サービス業)に属する常用労働者30人以上の民営企業のうち約4,500企業であり、平成12年8月31日現在の状況について同年9月に調査を実施したものである。
 なお、有効回答数は3,596、有効回答率は79.9%であった。

〈調査結果の概要〉

【骨子】

I 労働者の状況

 5年前と比較した常用労働者の変動状況は「減少」が「増加」を上回る

 平成12年8月末現在の常用労働者数を5年前の平成7年と比べると、「ほぼ同じ」が40.1%であり、「増加」企業割合から「減少」企業割合を差し引いた値は−23.3ポイントである。(付属統計表第1−3表

II 雇用調整措置等の実施状況

1 過去2年間に雇用調整を実施した企業は半数強、そのうち8割は継続予定

 平成10年9月から平成12年8月までの過去2年間に、何らかの雇用調整措置等を実施した企業は、52.5%と半数を超えているが、平成6年調査の60.8%と比べると、減少している。
 過去2年間に実施した何らかの雇用調整措置等を今後も引き続き実施するとする企業は、そのうち78.7%となっている。(付属統計表第2−1表

2 実施割合の高い雇用調整措置等は「新規学卒者の採用削減・中止」と「残業規制」

 過去2年間の雇用調整措置等の内容(M.A.)は、「新規学卒者の採用削減・中止」(26.6%)及び「残業規制」(23.6%)の割合が高い。
 今後の雇用調整措置等の継続予定割合の高い措置は、過去2年間同様、「新規学卒者の採用削減・中止」、「残業規制」などであるが、過去2年間で17.7%である「希望退職者の募集・解雇」の継続予定割合は大きく低下している。(第2図付属統計表第2−2表第2−3表、参考:第2−4表第2−5表

3 雇用調整に伴う希望退職者及び解雇者数は規模の大きな企業で増加

 雇用調整に伴う1企業平均の希望退職者及び解雇者数は、21.1人と平成6年調査の20.9人とほぼ同数であるが、規模別にみると1,000人以上規模では191.9人と平成6年調査の130.3人に比べ増加し、産業別にみると、「金融・保険業」で70.9人と平成6年調査の5.9人に比べ大幅に増加している。(付属統計表第6―2表

III 事業の再構築と労働面の対応

1 事業の再構築は8割の企業で実施、今後5年以内においても7割の企業で実施予定

 平成7年から平成12年8月までの過去5年間に事業の再構築を行った企業は78.4%と、平成6年調査の72.5%に比べると、5.9ポイント増加しており、また、今後5年以内に事業の再構築を予定する企業は71.2%である。
 産業別にみると、過去5年間及び今後5年以内とも製造業(それぞれ89.7%、82.8%)の割合が最も高い。(付属統計表第7−1表第7−2表

2 事業の再構築を必要とする理由は、価格引下げ要求・国内競争激化・需要不振が多い

 事業の再構築を必要とする理由(M.A.)は、「顧客からの価格引下げ要求」(53.7%)、「国内製品、サービスとの競争激化」(53.3%)及び「市場の成熟化、需要不振」(49.5%)が上位3つである。(第4図付属統計表第8表

3 再構築を行う上での問題点は人材関係が上位

 今後5年以内に事業の再構築を予定する企業のうち86.1%の企業が、事業の再構築を行う上で何らかの問題点があるとしている。
 問題点の内容(M.A.)をみると、「労働者の再教育・再訓練」(52.6%)が最も高く、次いで「推進する人材の不足」(49.9%)、「取引先企業との関係」(45.5%)などとなっている。(第5図付属統計表第9―1表

4 「労働者の能力開発、再訓練」により人材・労働力の調達・調整を行う企業が半数強

 今後、事業の再構築を行う上で、何らかの人材・労働力の調達・調整を必要と考えている企業は85.6%となっており、具体的な人材・労働力の調達・調整方法(M.A.)の内容をみると、「労働者の能力開発、再訓練」(54.0%)が最も高く、次いで「配置転換」(37.7%)、「中途採用」 (34.3%)の順となっている。(第6図付属統計表第10−1表

5 「事業の再構築」が雇用量に「増加に寄与」すると見込まれるのは「30〜99人規模」の企業

 今後5年以内に事業の再構築を予定する企業において、雇用量への影響を、「増加に寄与」とする割合から「減少に寄与」とする割合を差し引いたものでみると、2.4ポイントと増加に寄与するとする企業がわずかに多い。
 企業規模別にみると、1,000人以上規模では −21.5ポイント、100〜999人規模では −4.7ポイント、30〜99人規模では5.8ポイントと、規模が大きいほど減少に寄与している。
 産業別にみると、サービス業(10.9ポイント)、運輸・通信業(9.9ポイント)、卸売・小売業,飲食店(6.9ポイント)、不動産業(3.5ポイント)では増加に寄与し、それ以外の産業では、減少に寄与している。(付属統計表第11−1表

IV 異業種・異分野への進出状況

1 過去5年間に異業種に進出した企業は13.7%、今後5年以内に進出予定の企業は8.1%

 過去5年間に異業種に進出した企業は13.7%、今後5年以内に進出を予定する企業は8.1%となっている。また、過去5年間の進出実績を平成6年調査と比べると、1,000人以上規模では今回実績(20.2%)は前回実績(25.7%)より減少しているが、30〜99人規模では今回実績(13.3%)は前回実績(8.6%)より増加している。
 過去5年間に異分野に進出した企業は8.7%、今後5年以内に進出を予定する企業は6.7%となっている。(付属統計表第12−1表第12−2表第13−1表第13−2表

2 進出する際、「専門的知識を身につけた人材の中途採用」や「研修等教育訓練の充実」などが労働面の課題

 異業種・異分野に進出した又は進出する予定の企業における、異業種・異分野に進出する際の労働面の課題(M.A.)は、「専門的知識を身につけた人材の中途採用」(53.6%)、「研修等教育訓練の充実」(42.9%)の順となっている。(第7図付属統計表第15表

 統計表等に用いてある符号の意味は、次のとおりである。
  「M.A.」は、複数回答を示すもので、構成比の合計は100.0を超える場合がある。
  「−」印は、該当数字が得られないものを示す。
 統計表中「*」印のついた数値は、サンプル数が少ないため、利用上注意を要する。


【本文】

I 労働者の状況

1 一般社員比率

 平成12年8月末現在の一般社員比率をみると、一般社員が「90%以上」いる企業が47.0%で最も高くなっている。
 産業別にみると、特に鉱業(71.9%)、電気・ガス・熱供給・水道業(71.4%)で高く、卸売・小売業,飲食店(41.0%)、サービス業(38.7%)で低くなっている。
 また、部門別(各部門有り企業=100)にみると、特に「対人サービス部門」(34.4%)で低くなっている。
 なお、一般社員が50%未満である企業の割合は23.3%となっており、 卸売 ・小売業,飲食店(29.6%)、サービス業(29.1%)で高くなっている。(付属統計表第1−1表

2 常用労働者の過不足状況

 平成12年8月末現在の常用労働者の過不足状況をみると、「適当」とする企業が76.3%で最も高く、次いで「不足」14.0%、「過剰」9.7%の順となっている。この結果、過不足差(労働者「不足」企業割合から「過剰」企業割合を差し引いた値)は4.3ポイントと不足感がみられる。
 企業規模別に過不足差をみると、1,000人以上規模(−10.1ポイント)では過剰感がみられる一方、100〜999人規模(5.2ポイント)及び30〜99人規模(4.5ポイント)では不足感がみられる。
 産業別に過不足差をみると、電気・ガス・熱供給・水道業(−7.4ポイント)、鉱業(−4.7ポイント)などで過剰感がみられる一方、サービス業(15.2ポイント)、運輸・通信業(12.6ポイント)などで不足感がみられる。
 部門別に過不足差をみると、「事務・管理部門」(−1.8ポイント)を除くすべての部門で不足感がみられ、特に「研究、技術開発部門」(20.0ポイント)、「情報処理部門」(12.2ポイント)、「対人サービス部門」(10.4ポイント)、「販売・営業部門」(9.8ポイント)で強くなっている。(第1図付属統計表第1−2表

3 5年前と比較した常用労働者の変動状況

 平成12年8月末現在の常用労働者数を5年前の平成7年と比べると、「増加」とする割合は18.3%、「ほぼ同じ」が40.1%、「減少」が41.6%となっており、「減少」が「増加」を大きく上回っている。この結果、常用労働者数増減差(「増加」企業割合から「減少」企業割合を差し引いた値)でみると、−23.3ポイントとなっている。
 企業規模別にみると、すべての規模で「減少」が「増加」を上回っている。
 産業別にみると、鉱業(−39.6ポイント)、建設業(−32.7ポイント)で「減少」が「増加」を大きく上回っている。(付属統計表第1−3表

II 雇用調整措置の実施状況

1 過去2年間の雇用調整措置等の実施状況

 平成10年9月から平成12年8月までの過去2年間に、何らかの雇用調整措置等を実施した企業の割合は52.5%と半数を超えているが、平成6年調査の60.8%と比べると低下している。
 企業規模別にみると、1,000人以上規模で69.9%、100〜999人規模で58.9%、 30〜99人規模で50.0%と規模が小さくなるほど低下している。
 産業別にみると、製造業(60.1%)で高い一方、電気・ガス・熱供給・水道業(37.6%)で低くなっている。平成6年調査と比べると、比較可能な産業については、ほとんどの産業で減少し、金融・保険業で15.9ポイント減、製造業で14.8ポイント減となっている。
 過去2年間に実施した何らかの雇用調整措置等を今後も引き続き実施するとする企業の割合は78.7%となっている。
 企業規模別にみると、規模が大きくなるほど高くなっている。産業別にみると、特に不動産業(90.4%)、建設業(85.7%)及びサービス業(85.1%)で高く、金融・保険業(64.4%)で低くなっている。(付属統計表第2−1表

2 雇用調整措置等の具体的内容

 過去2年間の雇用調整措置等の具体的内容(M.A.)をみると、特に「新規学卒者の採用削減・中止」(26.6%)及び「残業規制」(23.6%)の実施割合が高く、次いで、「希望退職者の募集・解雇」(17.7%)、「中途採用の削減・中止」(17.3%)、「配置転換」(16.9%)などが続いている。
 平成6年調査と比べると、ほとんどの雇用調整措置等の実施割合は減少しているが、「新規学卒者の採用削減・中止」(6.0ポイント増)や「希望退職者の募集・解雇」(6.0ポイント増)の実施割合は増加している。
 産業別にみると、多くの産業で「新規学卒者の採用削減・中止」の実施割合が最も高いが、製造業では「残業規制」(31.7%)が、鉱業では「配置転換」(28.5%)が、運輸・通信業では「希望退職者の募集・解雇」(15.2%)が最も高くなっている。
 今後の雇用調整措等の継続予定割合の高い施策は、過去2年間同様、「新規学卒者の採用削減・中止」 (20.4%)や「残業規制」(19.3%)などであるが、過去2年間で17.7%である「希望退職者の募集・解雇」の継続予定割合は5.1%と大きく低下している。(第2図付属統計表第2−2表第2−3表、参考:第2−4表第2−5表

3 過去2年間の雇用調整に伴う配置転換内容

(1) 雇用調整に伴う配置転換者の割合

 過去2年間に雇用調整に伴う配置転換を実施した企業の割合は 16.9 %であり 、平成6年調査の23.8%と比べると6.9ポイントの減少となっている。企業規模別にみると、規模が大きくなるほど高くなっている。産業別にみると、鉱業(28.5%)や建設業(24.2%)などで高くなっている。
 雇用調整に伴う配置転換者が実際にいた企業において、配置転換者全体に占める雇用調整に伴う配置転換者の割合は、「10%未満」とする企業が77.3%と最も高くなっている。(付属統計表第3表

(2) 雇用調整に伴う配置転換元と配置転換先

 雇用調整に伴う配置転換者数が最も多かった配置転換元と配置転換先の部門をみると、配置転換元では「生産部門」(39.9%)が最も高く、次いで「事務・管理部門」(24.1%)、「販売・営業部門」(20.1%)の順となっている。配置転換先では「生産部門」(39.2%)が最も高く、次いで「販売・営業部門」(29.1%)、「事務・管理部門」(12.9%)の順となっている。(付属統計表第4−1表第4−2表

4 過去2年間の雇用調整に伴う出向状況

 過去2年間の雇用調整に伴う他企業への出向を実施した企業の割合は7.0%で、平成6年調査の8.3%と比べると、1.3ポイントの減少となっている。
 企業規模別にみると、規模が大きくなるほど高くなっているが、平成6年調査と比べると1,000人以上規模で10.7ポイント減少、100〜999人規模で4.5ポイント減少 、30〜99人規模で0.8ポイントの増加となっている。
 雇用調整に伴う他企業への出向者が実際にいた企業において、出向者全体に占める雇用調整に伴う出向者の割合は、「10%未満」とする企業が73.4%と最も高くなっている。(付属統計表第5表

5 過去2年間の雇用調整に伴う希望退職及び解雇の状況

 雇用調整に伴う希望退職者及び解雇者が実際にいた企業の割合は17.0%で、平成6年調査の11.7%と比べると、5.3ポイントの増加となっている。
 企業規模別に平成6年調査と比べると、すべての規模で増加し、特に1,000人以上規模では15.3ポイントの増加となっている。
 雇用調整に伴う1企業平均の希望退職者及び解雇者数は21.1人で、平成6年調査の20.9人とほぼ同数であった。
 企業規模別にみると、特に1,000人以上規模で191.9人と平成6年調査の130.3人に比べ増加となっているが、100〜999人規模及び30〜99人規模では減少となっている。
 産業別にみると、特に金融・保険業(70.9人)で平成6年調査(5.9人)に比べ大幅に増加となっており、 建設業(29.5人)でも平成6年調査( それぞれ 10.2人)に比べ増加となっている。(付属統計表第6−1表第6−2表

III 事業の再構築と労働面の対応

1 事業の再構築の実施状況

(1) 事業の再構築の実施(予定)状況

 平成7年から平成12年8月までの過去5年間に何らかの事業の再構築を行った企業の割合は78.4%と、平成6年調査の72.5%に比べると、5.9ポイント増加している。
 企業規模別にみると、1,000人以上規模は94.5%、100〜999人規模は86.9%、30〜99人規模は75.0%と規模が大きくなるほど高くなっている。
 産業別にみると、製造業(89.7%)で最も高くなっており、すべての産業で3分の2以上の企業が何らかの事業の再構築に取り組んでいる。
 また、今後5年以内に何らかの事業の再構築を予定する企業の割合は71.2%と、過去5年間に事業の再構築を行った企業の割合より7.2ポイント低くなっている。
 企業規模別にみると、1,000人以上規模は83.8%、100〜999人規模は77.6%、30〜99人規模は68.8%と規模が大きくなるほど高くなっている。
 産業別にみると、製造業(82.8%)で最も高くなっている。(付属統計表第7−1表第7−2表

(2) 事業の再構築の実施(予定)内容

 過去5年間に行った再構築の内容(M.A.)をみると、「取引先の多様化による営業強化」(57.8%)が最も高く、次いで「生産性向上のための省力化、合理化投資」(57.0%)、「生産・サービスの内容・方法の見直し、絞り込み」(55.3%)などが続く。企業規模別にみると、ほとんどの施策において規模が大きくなるほど高くなっている。産業別にみると、おおむね調査産業計の傾向と変わらないが、金融・保険業では「人事・処遇制度の改革」(63.4%)、不動産業では「組織の改革、アウトソーシング化」(52.0%)が、それぞれ最も高くなっている。
 また、今後5年以内に予定している事業の再構築内容(M.A.)をみると、「取引先の多様化による営業強化」(64.1%)が最も高く、次いで 「生産・サービスの内容・方法の見直し、絞り込み」 (60.5%)、「生産性向上のための省力化、合理化投資」(59.2%)などが続き、順位に違いはあるが過去5年間に行った再構築の内容と同一となっている。産業別にみると、おおむね調査産業計の傾向と変わらないが、金融・保険業では「人事・処遇制度の改革」(66.7%)が最も高くなっている。
 今後5年以内に予定している事業の再構築内容と過去5年間に行った再構築内容を比べると、「人事・処遇制度の改革」、「取引先の多様化による営業強化」、「組織の改革、アウトソーシング化」及び「生産・サービスの内容・方法の見直し、絞り込み」が高くなっており、「事業所の統廃合や不採算部門の縮小、撤退」などが低くなっている。(第3図付属統計表第7−1表第7−2表

2 事業の再構築を必要とする理由

 今後5年以内に事業の再構築を必要とする理由(M.A.)については、「顧客からの価格引下げ要求」(53.7%)、 「国内製品、サービスとの競争激化」 (53.3%)、 「市場の成熟化、需要不振」(49.5%)が上位3つで、次いで「従業員の高齢化」(33.8%)となっている。
 企業規模別にみると、「顧客からの価格引下げ要求」や「若年労働力不足」は、規模が小さくなるほど高くなっているが、他の理由については規模が大きくなるほど高くなるものが多い。
 産業別にみると、すべての産業で、上位3つの理由のいずれかが最も高くなっている。(第4図付属統計表第8表

3 事業の再構築を行う上での問題点

 今後5年以内に事業の再構築を予定する企業(全体の71.2%)のうち86.1%の企業が、事業の再構築を行う上で何らかの問題点があるとしている。
 何らかの問題点があるとする企業の割合は、すべての規模で8割を超えており、産業別にみると最も低い金融・保険業でも75.0%となっている。
 問題点の内容(M.A.)をみると、「労働者の再教育・再訓練」(52.6%)が最も高く、次いで「推進する人材の不足」(49.9%)、「取引先企業との関係」(45.5%)などとなっている。
 事業の再構築の実施予定内容別に、事業の再構築を行う上で何らかの問題点があるとする割合をみると、「取引先の多様化による営業強化」(81.7%)が最も高い。
 また、事業の再構築の実施予定内容別に問題点をみると、「取引先の多様化による営業強化」では「取引先企業との関係」(35.8%)が、「生産・サービスの内容・方法の見直し、絞り込み」では「労働者の再教育・再訓練」(34.5%)が最も高い。(第5図付属統計表第9−1表第9−2表

4 事業の再構築を実施する上での人材・労働力の調達・調整方法

 今後5年以内に事業の再構築を行う上で何らかの人材・労働力の調達・調整を考えている企業の割合は、事業の再構築を行う企業全体の85.6%となっている。
 企業規模及び産業別にみると、いずれの企業規模及び産業においても8割を超えている。
 具体的な人材・労働力の調達・調整方法(M.A.)の内容をみると、「労働者の能力開発、再訓練」 (54.0%)が最も高く、次いで「配置転換」(37.7%)、「中途採用」(34.3%)の順となっている。
 産業別にみると、ほとんどの産業で「労働者の能力開発、再訓練」が最も高くなっているが、金融・保険業では「配置転換」(56.1%)が最も高くなっている。
 事業の再構築の実施予定内容別にみると、多くの再構築予定内容においては「労働者の能力開発、再訓練」が高くなっているが、「組織の改革、アウトソーシング化」、「事業所の統廃合や不採算部門の縮小、撤退」、「子会社の整理・統合」及び「事業部門等の子会社化」については「配置転換」が最も高くなっている。(第6図付属統計表第10−1表第10−2表

5 事業の再構築に伴う雇用量への影響

 今後5年以内に事業の再構築を予定する企業において、雇用量への影響を、「増加に寄与」とする割合から「減少に寄与」とする割合を差し引いたものでみると、2.4ポイントと増加に寄与するとする企業がわずかに多い。
 企業規模別にみると、1,000人以上 規模では −21.5ポイント、 100〜999人 規模では −4.7ポイント、30〜99人規模では5.8ポイントと、規模が大きいほど減少に寄与している。
 産業別にみると、サービス業(10.9ポイント)、運輸・通信業(9.9ポイント)、卸売・小売業,飲食店(6.9ポイント)、不動産業(3.5ポイント)では増加に寄与し、それ以外の産業では、減少に寄与している。
 部門別にみると、「研究・技術開発部門」(32.6ポイント)、「販売・営業部門」(22.6ポイント)、「情報処理部門」(17.5ポイント)などで増加に寄与し、「事務・管理部門」(−12.8ポイント)などでは減少に寄与している。(付属統計表第11−1表第11−2表

IV 異業種・異分野への進出状況

1 異業種への進出状況

(1) 過去5年間の進出状況

 過去5年間に異業種に進出した企業は13.7%であり、平成6年調査の10.8%より増加している。
 企業規模別にみると、過去5年間の進出実績は規模が大きくなるほど高くなっている。平成6年調査と比べると、1,000人以上規模では 今回実績 (20.2%)は前回実績 (25.7%)より減少し、100〜999人規模ではほぼ同じ(今回実績14.5%、前回実績14.9%)、30〜99人規模では今回実績(13.3%)は前回実績(8.6%)より増加している。
 産業別にみると、建設業(20.2%)や鉱業(17.3%)で異業種進出の企業割合は高い。
 進出対象先の内訳(M.A.)を全企業に対する割合でみると、「サービス業関連」(4.4%)、「製造業関連」(3.4%)、「卸売・小売業,飲食店関連」(2.4%)などが高い。

(2) 今後5年以内の進出状況

 今後5年以内に異業種に進出を予定する企業は 8.1%となっており、過去5年間の進出実績の13.7%より低くなっている。
 企業規模別にみると、規模が大きくなるほど高くなっている。
 産業別にみると、ほとんどの産業で、今後5年間の進出予定は過去5年間の進出実績より低くなっている。
 進出対象先の内訳(M.A.)を全企業に対する割合でみると、今後5年間の予定については、「サービス業関連」(3.6%)、「卸売・小売業,飲食店関連」(1.6%)、「製造業関連」(1.5%)などが高い。(付属統計表第12−1表第12−2表

2 異分野への進出状況

(1) 過去5年間の進出状況

 過去5年間に異分野に進出した企業は8.7%となっており、平成6年調査の6.0%より増加している。
 企業規模別にみると、過去5年間の進出実績は、規模が大きくなるほど高くなっている。また平成6年調査と比べると、すべての規模で今回実績が前回実績より高くなっている。
 産業別にみると、過去5年間の進出実績については、建設業(13.7%)、電気・ガス・熱供給・水道業(11.6%)、製造業(9.6%)などが高くなっている。

(2) 今後5年以内の進出状況

 今後5年以内に異分野に進出を予定する企業は、6.7%となっている。
 企業規模別にみると、規模が大きくなるほど高くなっている。
 産業別にみると、今後5年間の進出予定については、すべての産業で過去5年間の進出実績より低くなっている。(付属統計表13−1表第13−2表

3 異業種・異分野への進出理由

 異業種・異分野への進出理由(M.A.)をみると、過去5年間に進出した理由としては、「需要急成長が見込まれる分野の存在」(46.5%)が最も高く、次いで「既存事業の今後の需要増期待薄」(45.1%)、「既存の技術・知識の他分野への応用が可能」(38.4%)の順となっている。
 また今後5年以内の進出予定理由については、「既存の技術・知識の他分野への応用が可能」(54.4%)が最も高く、次いで「需要急成長が見込まれる分野の存在」(49.6%)、「既存事業の今後の需要増期待薄」(41.1%)の順となっている。(付属統計表第14−1表第14−2表

4 異業種・異分野へ進出する際の労働面の課題

 過去5年間に異業種・異分野へ進出した企業及び今後5年以内に進出を予定する企業について、異業種・異分野へ進出する際の労働面の課題(M.A.)をみると、「専門的知識を身につけた人材の中途採用」(53.6%)の割合が最も高く、次いで「研修等教育訓練の充実」(42.9%)、「トップ・マネジメントの戦略策定能力の強化」(34.5%)、「就業意欲の維持・向上」(33.0%)の順となっている。
 平成6年調査と比べると、順位にほとんど変動はないが、特に「専門的知識を身につけた人材の中途採用」及び「人事評価への実績主義の導入」の割合が増加している。
 産業別にみると、多くの産業では「専門的知識を身につけた人材の中途採用」が最も高くなっているが、金融・保険業及び建設業では「研修等教育訓練の充実」(それぞれ62.5%、54.2%)が、また鉱業では、「トップ・マネジメントの戦略策定能力の強化」(41.7%)が最も高くなっている。(第7図付属統計表第15表


【 主な用語の定義 】

労働者の状況

 「一般社員」・・・・・
当該企業と雇用関係にある従業員で雇用期間に定めがなく、かつパートタイム労働者(通常の従業員に比べて1日又は1週の所定労働時間が短い従業員)に該当しない従業員をいう。但し、出向により現在他企業で働いている従業員は、雇用関係にあっても除かれる。

雇用調整措置等

 「雇用調整に伴う配置転換」・・・
景気の変動、産業構造の変化、その他の経済上の理由により事業活動の縮小・撤退を余儀なくされたことに伴う配置転換をいう。したがって、定期異動等通常の人事異動に伴う配置転換は含まれない。

 「雇用調整に伴う他企業への出向」・・・
景気の変動、産業構造の変化、その他の経済上の理由により、事業の活動の縮小・撤退を余儀なくされたことに伴う出向者をいう。したがって、定期異動等通常の人事異動に伴う出向者は含まれない。`

 「雇用調整に伴う希望退職者の募集・解雇」・・・
景気の変動、産業構造の変化、その他の経済上の理由により、事業活動の縮小・撤退を余儀なくされたことに伴う希望退職及び解雇をいう。したがって、通常の定年退職及び懲戒解雇等は含まれない。

事業の再構築

 「取引先の多様化による営業強化」・・・
新たな市場を開拓するのに営業部門を強化して、取引先の企業の拡大を図り、経営効率を高めることをいう。

 「生産性向上のための省力化、合理化投資」・・・
労働生産性を向上させるために、省力化、合理化投資を行うことをいう。既存の自動化システムを見直し、より効率的なシステムを構築することも含まれる。

 「生産・サービスの内容・方法の見直し、絞り込み」・・・
既存の生産品やサービスの内容又は生産・提供方法を質的、量的等根本的に見直し、経営効率を高めることをいう。多品種少量生産の見直しなどはこの項目に含まれる。

 「原材料費、物流費等変動費の削減」・・・
原材料費や物流費などの変動費を削減することをいう。部品の標準化や他社との共同配送、外注比率の見直しなどがこの項目に含まれる。

 「新製品・新サービスの開発推進」・・・
市場の開拓等を目指して、新しい製品・サービス開発を行うことにより経営基盤強化を図ることをいう。高付加価値化などがこの項目に含まれる。

 「製品、原材料等の海外調達の拡大、推進」・・・
海外の低価格の原材料等を調達して、生産コストの削減を図ったり、製品を直輸入して販売価格を引き下げたりすることをいう。

 「人事、処遇制度の改革」・・・
役職定年制や年俸制の導入など既存の人事体系や賃金体系などを変更することにより、経営効率を高めることをいう。

 「組織の改革、アウトソーシング化」・・・
組織の簡素化、事業部制導入、外部業務委託など業務の効率化を図るために組織を変更することをいう。管理部門・間接部門の縮小、社内分社化(当該企業本体からの分離はしないが、事業の運営に当たって子会社又は関連会社に準じた扱いをする事業部門をもうけること)、自社の主力業務部門以外の業務処理を他社に委託することなどがこの項目に含まれる。

 「事業所の統廃合や不採算部門の縮小、撤退」・・・
支店等を統廃合したり、不採算部門を縮小させて、人件費等固定費負担の軽減を図ることのほか、設備投資の圧縮や広告宣伝費、交際費などの販売管理費の削減による固定費の削減を行うことをいう。

 「異業種への進出、異業種交流、提携」・・・
これまで事業活動を行っていない分野(異業種)への事業拡大を図ったり、異業種他社との提携を図ることにより経営基盤の強化を図ることをいう。

 「同業他社との開発、販売等の提携」・・・
同じ業種の他社と共同開発や販売等の提携をすることによって効率化を図ることをいう。物流面での提携もこの項目に含まれる。

 「子会社の整理・統合」・・・
既存の子会社を整理又は統合することにより経費削減を図ることをいう。

 「事業部門等の子会社化」・・・
当該企業の事業部門を企業本体から分離し子会社として独立させることをいう。

 「海外進出・強化、国際部門の強化」・・・
海外へ直営事業所等を新たに設立するか既存の事業活動を拡大することのほか、国際取引のための国内の国際部門を新設・強化することをいう。

平成12年産業労働事情調査における産業区分の内容について



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