禁煙支援マニュアル
厚生労働省健康局総務課
生活習慣病対策室
厚生労働省健康局総務課
生活習慣病対策室
はじめに
我が国の平均寿命、健康寿命は世界でも最高の水準にありますが、がんや糖尿病等の生活習慣病の罹患率が上昇しており、また、人口の急速な高齢化とともに、要介護状態になる人々の増加が深刻な社会問題となっております。このため、厚生労働省では、平成12年から、健康寿命の更なる延伸、生活の質の向上を実現し、元気で明るい高齢社会を築くため、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を推進しております。
さらに、平成17年12月には政府・与党医療改革協議会において、「医療制度改革大綱」が取りまとめられ、生活習慣病の予防を中長期的な医療費適正化対策の柱の一つとして位置づけたところであります。
このような中、厚生労働省では、「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」のスローガンの下、良い生活習慣は気持ちがいいという快適さ、達成感などを国民が実感し、生活習慣を自主的に改善することを支援するため、一層の取組強化を図っていくこととしております。このスローガンでも分かるとおり、「禁煙」は、生活習慣病予防の基本のひとつであります。
喫煙は、がんや脳卒中、心筋梗塞だけでなく、慢性気管支炎や肺気腫などの様々な病気の危険因子であり、WHOにおいても、喫煙は「病気の原因のなかで予防可能な最大の単一の原因」として位置づけており、平成17年2月には、たばこが健康、社会、環境及び経済に及ぼす影響から、現在及び将来の世代を保護するため、「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」が発効しました。
こうした中、我が国では、平成15年の調査によると、現在習慣的に喫煙している人の割合は、男性で46.8%、女性で11.3%となっており、このうち「たばこをやめたい」又は「本数を減らしたい」と回答している人が、全体で男女とも約7割にも及びました。
これまでも、厚生労働省としては、健康日本21における「禁煙支援プログラムの普及」に取り組んでまいりましたが、今般、禁煙を希望する方々に対し、より効果的な禁煙支援が行えるよう、最新の科学的知見を踏まえ、「禁煙支援マニュアル」を策定いたしました。本書は、保健医療の専門職だけでなく、職場の衛生管理者や地域の保健事業担当者の方々も対象とし、「喫煙と健康」に関する健康教育を行うための必要な基礎知識や、実施方法、留意事項等を解説したもので、附属のCD−ROM教材により、音声や動画を組み合わせ、具体的にわかりやすく学習できるようになっております。
平成18年4月から、禁煙治療に対する保険適用が開始され、たばこをやめるための支援体制が整ってきている状況にあることから、各地方自治体や多くの職場等で本書が活用され、受動喫煙も含めたたばこによる健康被害の減少に役立てられることを願ってやみません。
最後に、本書は、主に厚生労働科学研究の成果を基に作成いたしましたが、本書の作成に御尽力いただいた大阪府立健康科学センター中村正和健康生活推進部長、大阪府立成人病センター大島明調査部長をはじめ作成者各位に深く感謝申し上げます。
平成18年5月
厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室 |
室長 矢島 鉄也 |
目次
I. | CD−ROMで学ぶ禁煙支援の基礎知識
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II. | たばこ関連情報
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