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ケアマネジャー支援策について

1.平成14年度概算要求について

○ 制度開始から1年半を経過し、なおも現場の第一線で活躍するケアマネジャーからは、「サービス担当者会議の開催が困難」、「対応困難事例に係る相談先がない」、「利用者や家族からの介護保険サービス以外の相談が多く、ケアマネジャーだけでは対応できない」などの声が絶えないが、地域におけるケアマネジャー支援体制を強化し、こうした課題を解消していくことが喫緊の課題である。

○ こうしたことから、平成14年度概算要求において、ケアマネジャーの業務支援体制の整備、ケアマネジャーの資質の向上等を推進し、支援策の充実を図ることとしている。

(1)「ケアマネジメントリーダー活動支援事業」
  (354,907千円。うち、市町村事業分:124,419千円、都道府県事業分:230,512千円)

○ 平成14年度から国、都道府県においてケアマネジメントリーダーを養成し、基幹型在宅介護支援センターを核として、関係機関との連絡調整や指導助言等の援助を行うとともに、その活動を支援するための「ケアマネジメントリーダー活動支援事業」の概算要求を行っているところであるが、各地方自治体におかれては、現在実施しているケアマネジャーの支援施策のさらなる推進を図りつつ、新年度からの当該事業の積極的な活用が図られるよう留意されたい。

【市町村事業分】

○ ケアプラン作成後においても継続的なモニタリング等を行うというケアマネジャーの業務の性格に照らせば、ケアマネジメントリーダーの活動についても、地域のケアマネジャーに対し定期的・継続的な進行管理・支援を行い得るものとする必要があるが、市町村において、ケアマネジメントリーダーによる定期的・継続的な連携・支援体制を構築し、こうした各地域のケアマネジャーの進行管理・支援を行うことにより、ケアマネジャーが適切に業務を行えるような取組みのための費用についても支援することしている。

※「ケアマネジメントリーダー活動促進事業」(市町村事業。124,419千円)
 各地域のケアマネジャーの活動状況の把握、連絡調整、指導助言など、定期的に行われるケアマネジメントリーダー活動を支援する。

【都道府県事業分】

○ ケアマネジメントリーダーの養成については、これまで実務研修における講師養成を行ってきた「介護支援専門員指導者研修」をリニューアルし「ケアマネジメントリーダー養成研修事業」として、国において研修を行い、これを踏まえ、各都道府県において伝達研修を行いたいと考えている。

○ 具体的なケアマネジメントリーダーの選定要件・選定方法や、研修カリキュラム等については、今後検討していくこととなるが、受講対象者は今後ケアマネジメントリーダーとして地域のケアマネジャーに対する指導・支援を行うという性格上、地域のケアマネジャーや他の在宅介護支援センター職員などからリーダー的存在として認められていることが重要であるため、今後、都道府県及び市町村等のご意見も踏まえ検討していきたいと考えている。

※都道府県事業分(ケアマネジメントリーダー養成、相談窓口の設置経費等。230,512千円)

(1)「都道府県・介護支援専門員支援会議」の設置・運営
ケアマネジャー関係者等からなる支援会議の設置、ブロック別意見交換会の開催、国におけるケアマネジメントリーダー研修への受講者選出、ケアプラン事例集の作成・配布など。

(2)都道府県ケアマネジメントリーダー養成研修事業
国において養成されたケアマネジメントリーダーを講師とした、各圏域のケアマネジメントリーダー養成(伝達研修)の実施(全国:1,800人)

(3)ケアマネジメントリーダー等相談窓口設置事業
リーダー輪番制による相談対応、サービス担当者会議関係者連絡網の設置、ブロック圏域での研修会開催、基幹型在宅介護支援センター未設置地域での直接支援など。

(4)独自研修等促進事業
多職種での合同研修会、優良ケアプランでの事例研修会の開催など

【基幹型在宅介護支援センターの運営費】

○ なお、ケアマネジメントリーダー活動等に要する基幹型在宅介護支援センターの運営費(21.5億円)については、平成14年度予算概算要求において、特段、新たな予算化を図ることとしているものではなく、現在2名分の人件費(小規模型については1名分)を基礎とした国庫補助基準額のうちの1名分の所要額を再掲すれば21.5億円となる旨を示したものである。

参考1)ケアマネジャーに対する支援対策イメージ図
参考2)都道府県介護支援専門員協議会等設置状況
参考3)都道府県介護支援専門員支援会議設置状況

(2)「介護支援専門員現任研修事業」等

○ 「介護支援専門員現任研修事業」については、現任のケアマネジャーに対する資質向上の観点から、介護保険制度の運営に係る知識・技能に関する「基礎研修」の充実、事例演習等を通じたより高度な「専門研修課程」の新設を行うとともに、また、「介護支援専門員実務研修」については、新規に養成するケアマネジャーの資質向上の観点から、各都道府県において「福祉用具・住宅改修の活用、福祉用具の安全な使用法」などの新規カリキュラムの導入、「相談面接技法」などの時間数を拡大し対応する等、上乗せ対応をとる場合に支援するなど、引き続きケアマネジャーの資質向上への取組み支援を推進することとしている。
 各都道府県においては、今年度実施される研修事業等を踏まえ、さらなる資質向上の推進に努められたい。

2.現任研修実施要綱の改正について

○ ケアマネジャーの資質の向上を図るため、実際にケアマネジメントの業務に従事する者に対する現任研修等のあり方検討を行った「介護支援専門員現任研修・専門研修のあり方研究委員会」については、近日中に報告書を別途送付する予定であるので、各都道府県においては、研修実施及び関係機関等への研修実施指導などにおいて活用されたい。

参考4)「介護支援専門員現任研修・専門研修のあり方研究委員会」報告書

○ 本報告を踏まえ、実施要綱(「介護支援専門員現任研修事業の実施について」(平成12年9月19日老発第646号 厚生省老人保健福祉局長通知))についても一部改正することを予定しているので、今後、本年度の現任研修を企画、実施されるに当たっては留意されたい。

介護支援専門員現任研修事業実施要綱(案)
※改正か所=下線部分
1.目的

 介護保険制度運営の要である介護支援専門員に対して、実務研修修了後においても、継続的に研修を実施することにより、必要な知識、技能の修得を図り、もって介護支援専門員の資質向上を図ることを目的とする。

2.実施主体

 実施主体は都道府県又は都道府県知事の指定した法人とする。

3.対象者

 平成12年4月以降において、居宅介護支援事業所又は介護保険施設において現に介護支援専門員としての実務に携わっている者とする。

4.研修内容等

(1)研修内容

ア「講義」
 「講義」については、原則、以下の課目について必要に応じて選択し実施する。

(ア)基本知識・基本姿勢等の確認

(1)「県内情勢等・補講」
  • 都道府県担当者による、問題事例・指導方針等の講義、及び事業者指定に関する情報等の提供。

(2)「介護保険制度論・補講」

  • 介護保険法その他関係法令等を中心とした介護保険制度に係る知識の授与

(3)「介護支援サービス論・補講」

  • 利用者本位、公正中立、守秘義務などの介護支援専門員の基本姿勢・倫理に関することについての説明。
  • 居宅サービス計画を作成するにあたっての市町村、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設、主治医等他職種との連携方法の説明。
  • 課題分析標準項目、介護サービス計画標準様式及び記入要領の説明。

(イ)不得意分野の補足(例)

(1)「障害者施策と介護保険制度の関係について」
(2)「医療機関との連携の仕方」
(3)「福祉用具・住宅改修」
(4)「成年後見制度・地域福祉権利擁護事業」
(5)「リハビリテーション」
(6)その他

(ウ)実務研修の補足

○「給付管理事務及び請求事務」
  • 居宅サービス計画(週間サービス計画表、サービス利用票、サービス提供票)の作成、給付管理票の作成及び請求事務等についての説明。

○このほか、具体的な介護支援サービスの提供方法の習熟を促すため、訪問介護サービスにおける家事援助の適正な利用、短期入所サービスの支給限度額の一本化の動き等、平成12年4月以降の制度運営事項に関する動向等を踏まえた講義を行うこと。

イ「居宅サービス計画等作成演習」

 上記(ア)を踏まえ、具体的な居宅介護支援等のあり方について、原則として以下の内容の演習を行う。なお、適切な家事援助の提供等を含む事例については必須事例とする。

(1)居宅サービス計画等事例作成
 〜具体的なケース事例をもとに居宅サービス計画書、給付管理票等の帳票作成を行う。

(2)班編成によるサービス担当者会議演習
 〜上記(1)により作成された事例をもとに10人程度の班編成によるケース検討を行う。 (3)居宅サービス計画等モニタリング演習

 〜具体的なモニタリングケース事例をもとに居宅サービス計画書、給付管理票等の帳票作成を行い、あわせて班編成によるケース検討を行う。

(2)実施方法等

ア 研修時間

 研修時間は、概ね12時間程度とし、概ね以下の時間を目安として行うものとする。
「講義」(4〜5時間
「居宅サービス計画等作成演習」(7〜8時間

イ 研修内容

(ア)研修規模
 研修開催日程、研修開催期間、研修定員等の研修規模の設定にあたっては、当該研修が、現任の介護支援専門員を対象としていることを踏まえ、適切な研修の実施が行われるように努めること。

(イ)研修対象者
 研修の実施にあたっては、研修の対象者である介護支援専門員に経験・知識等に格差があることにも配慮し、例えば現職期間が1年以上、1年未満の者について、別々に研修カリキュラムを設定する等、研修に応じた対象者の設定・選定が行われるように努めること。

(ウ)研修目標の設定
 研修の実施においては、その研修から何を学ぶのか具体的な研修目標を提示し受講者の受講意欲の向上を図るとともに、効果的な研修実施が促されるよう努めること。
(例)

  • 居宅サービス計画等の作成上の目標を設定する
  • ニーズを優先した居宅サービス計画等を作成する
  • 適切なアセスメント手法を習得する
  • 専門家としての役割を習得する など
5.修了証明書の交付等

 原則、研修修了証明書の発行を行うものとする。
あわせて研修修了者についての修了証明書番号、修了年月日、氏名、生年月日等の必要事項を記載した名簿を作成し、管理するものとする。
 なお、研修修了証明書の発行については、研修実施主体と研修受講者の同意に基づく場合は、必ずしも行わなくてもよいものとする。

6.経費の補助

 本事業に要する経費については、別に定めるところにより補助する。
ただし、本研修に使用する教材等に係る実費相当分、研修会場までの受講者の旅費及び宿泊費については、受講者が負担するものとする。

7.実施上の留意点等

(1)当該研修の研修受講地については、原則として平成12年度現在の勤務地の都道府県とする。ただし、やむを得ない事情が認められるときは、受講者が希望する研修受講地の都道府県と連携の上、その便宜を図るものとする。

(2)当該研修の指定にあたっては、「介護支援専門員養成研修事業の実施について」(平成11年4月9日老発第316号老人保健福祉局長通知)の別添1の9に準じて行うこととする。ただし、当該指定が同通知の別添1の2による指定法人に係る場合は、新規の指定を要しないこととする。

3.第4回介護支援専門員実務研修受講試験の実施について

○ 本年度(第4回)の試験については、平成13年11月11日(日)の実施を予定しているが、本試験の実施にあたっては、試験実施の細則にご留意の上、遺漏なきよう実施されたい。

○ また、本年4月より施行された情報公開法等を踏まえ、本年度の試験から試験問題の持ち帰りを認めることとし、近日中に試験実施要綱の一部改正を行う予定としているので、試験準備を行うにあたっては、その旨留意されたい。

参考5)「実施要綱」改正(案)


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