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厚生年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドライン(通知)等に関するQ&A

※「ガイドライン等の関連箇所」で用いる用語の略称は以下のとおり

『厚生年金基金規則』
 →基金規則
『厚生年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドラインについて(通知)』
 →ガイドライン
『厚生年金基金の資産運用に係る事務の取扱いについて(通知)』
 →資産運用報告書様式/通知

No. ガイドライン等の
関連箇所
質問 回答
資産運用業務報告書等の提出時期等
1 基金規則42条1項2号 長期にわたり維持すべき資産の構成割合(以下「政策的資産構成割合」という。)の策定義務は平成25年4月1日から課されるが、平成25年4月1日時点で策定済みでなければならないのか。 政策的資産構成割合の策定義務は平成25年4月1日から課されるので、平成25年4月1日時点で策定済みである必要がある。
2 基金規則56条2項 資産運用業務報告書の様式が改定されるが、平成24年度分については旧様式で作成して、平成25年5月15日までに提出することでよいか。 平成24年度分(平成25年5月15日提出期限)は旧様式で提出し、平成25年度分(平成26年9月30日提出期限)から新様式で作成し提出することになる。
3 基金規則56条2項 資産運用業務報告書に添付する「運用の基本方針」は、資産運用業務報告書の提出時において有効な「運用の基本方針」ではなく、資産運用業務報告書の対象年度の年度末時点において有効な「運用の基本方針」で良いか。 資産運用業務報告書に添付する「運用の基本方針」は当該資産運用業務報告書の内容と整合性のとれたものであるべきなので、例えば、平成X年度の資産運用業務報告書(平成X+1年9月30日提出期限)の場合、仮に平成X+1年9月1日に「運用の基本方針」が改定されていたとしても、平成X年度末時点で有効なものを添付することになる。
4 基金規則56条2項
資産運用業務報告書様式/通知
「運用の基本方針」の提出は、平成25年度分の資産運用業務報告書(平成26年9月30日提出期限)への添付から行うことになるのか。 今回の資産運用規制の見直しにより、各基金では平成25年4月1日までに改正内容を反映した「運用の基本方針」を作成していることになるため、見直しの趣旨に鑑み、基金規則による提出とは別に、平成25年4月1日時点で有効な「運用の基本方針」の提出を別途お願いする。(課長通知で対応予定)
5 資産運用業務報告書様式/通知 改正後の「資産運用業務報告書」と現状の「厚生年金基金業務報告書」で重複する項目が存在するが、重複記入して提出するのか。 基金における事務負荷軽減等の観点から、重複する項目については「厚生年金基金業務報告書」から削除することとする。
(課長通知で対応予定)
運用の基本方針の策定等
6 基金規則56条2項
ガイドライン 三(4)
今回の基金規則・ガイドライン等改正の趣旨を踏まえた「運用の基本方針」が定められるよう、「運用の基本方針」のモデルを示していただきたい。 「運用の基本方針」は、基金の運用管理の土台となるものであり、受託者責任を果たすために自らの実情等を十分踏まえて作成することが求められる。
行政が一律に雛形を示すことは適切でないが、今回の改正の趣旨を正しく踏まえた「運用の基本方針」が定められるよう、ポイント等を示すこととする。(別紙1 参照
なお、「運用の基本方針」の作成に当たり、総幹事会社や運用コンサルタント等に協力を求めることは差し支えない。
7 ガイドライン 三(4) 「運用の基本方針」は、どのような頻度で見直せばよいか。少なくとも財政再計算に合わせ、5年ごとに見直さなければならないのか。 ガイドラインにおいて、「運用の基本方針」の見直しについては、「基金の状況や環境の変化に応じ、その前提条件との整合性を確認し、定期的に見直しをしなければならない」とされており、財政再計算は「運用の基本方針」を見直す一つの契機である。
なお、必要に応じて、より短い期間で見直しを行うことも十分考えられる。
集中投資の考え方等
8 ガイドライン三(2) 「分散投資」の状況については、基金が自らの事情や運用環境等を踏まえて、判断すればよいと理解してよいか。
もし、「分散投資」の基準があるのであれば示していただきたい。
「分散投資」の内容は、基金の財政状況や負債特性、投資対象の性質等によっても左右されるものであり、一律に基準を示すことはできない。
基金は受託者責任を全うするため、様々な投資資産や投資戦略への分散投資を行い、安全かつ効率的な資産運用に努めていく必要がある。
その意味で、政策的資産構成割合を適切に策定することが分散投資を徹底することにつながると考えている。
9 ガイドライン 三(4) 分散投資義務に関して、「分散投資を行わないことにつき合理的な理由がある場合は、この限りでない」とあるが、当該合理的な理由には、今回の改正で追加される集中投資に関する合理的理由にあげられている「生命保険一般勘定契約又は生命共済一般勘定契約等元本確保型の資産に投資する場合」も含まれるということでよいか。 生命保険一般勘定又は生命共済一般勘定は商品特性として、内外の株式・債券等への分散投資を行っており、特定の投資資産や投資戦略に運用が集中するリスクは少なく、また、予定利率が定められていることから投資家の運用利回りは基本的に確保されている。
以上のようなことを踏まえ、生命保険一般勘定又は生命共済一般勘定は「元本が確保される安全資産」とみなして差し支えないと考えられることから、集中投資を行う合理的な理由(分散投資を行わない合理的な理由)として認められると考えている。
なお、こうした場合でも信用リスク等に十分留意して運用管理を行うことが必要である。
10 ガイドライン 三(4) 集中投資に関して、一定の基準等はあるのか。もしあるのであれば、示してほしい。 今般のAIJ事件において、同一の運用受託機関の同一の運用商品に過度に集中して投資していた例が見られたことを踏まえ、集中投資に関する事項等を「運用の基本方針」に定めていただくこととしている。
行政による基金への一律的な数値規制等は適切でないと考えられることから、集中投資についての具体的な考え方や基準については、各基金において自らの実情等を十分踏まえて、定めていただきたい。
11 ガイドライン 三(4) 集中投資に関して、例えばコスト抑制等のために、特定の運用受託機関のパッシブ運用商品に集中して運用することは、合理的理由に該当すると考えてよいか。 パッシブ運用を委託する場合、コスト抑制等の理由から、特定の運用受託機関に集中して運用を委託することは合理的な選択肢の一つと考えられる。
基金は受託者責任を全うするため、特定の運用受託機関へ集中投資しないように留意し、安全かつ効率的な資産運用に努めていく必要がある。
なお、金融市場の大幅かつ急激な変動等に対するリスク管理の結果として、一時的に特定の運用受託機関に集中することは、仮に「運用の基本方針」に規定がなくとも、許容されるものと考えている。
オルタナティブ投資を行う場合の留意事項等
12 ガイドライン 三(4) 「運用の基本方針」にオルタナティブ投資に関する留意事項を記載する際には、投資対象として想定される運用商品や運用戦略の広がり等も勘案した上で、基金の判断に基づき記載できるものと考えてよいか。
また、その際、個々の商品に関わる詳細な部分については、別途規程を設けるという形をとっても差し支えないか。
「運用の基本方針」にオルタナティブ投資の目的、政策的資産構成割合における位置づけとその役割、固有のリスクに関する留意事項等を記載する際には、基金が自らの実態に即して、投資対象として想定される運用商品や運用戦略の広がり等も勘案した上で、基金の判断に基づき記載していただいて構わない。
なお、オルタナティブ投資に関しては、個々の商品に関わる詳細な部分等について、別途規程を設けるという形をとっても差し支えない。
13 ガイドライン 三(4) オルタナティブ投資を行う場合の留意事項は、施行日において既に採用している運用受託機関や運用商品についても適用されるのか。 留意事項に掲げている内容については、採用している運用受託機関の評価や見直しの際に留意いただくことが適当であると考えている。
14 ガイドライン 三(4) オルタナティブ投資の定義が「株式や債券等の伝統的な資産以外の資産への投資又はデリバティブ等伝統的投資手法以外の手法を用いる投資」とされているが、「伝統的な資産」や「伝統的投資手法」とはどんなものか具体的に示していただきたい。 「伝統的な資産」はいわゆる伝統的資産である国内債券、新株予約権付社債、外国債券、国内株式、外国株式を想定しており、「伝統的投資手法」は現物資産のロングポジション(買建て)を想定している。
15 ガイドライン 三(4) オルタナティブ投資に関して、伝統的資産に係る市場リスクのヘッジ目的や現物資産の代替目的でデリバティブを用いる場合は、オルタナティブ投資には含まれない、という理解でよいか。
また、最近普及しているエマージング債券やエマージング株式は「伝統的な資産」として取り扱ってよいか。
デリバティブ等を用いたショートポジション(売建て)については、伝統的資産における市場リスクのヘッジ目的や資産構成割合の調整における現物資産の代替利用目的で用いる場合には、オルタナティブ投資には含まれないと考えている。
なお、エマージング債券やエマージング株式は「伝統的な資産」として取り扱って差し支えない。
16 ガイドライン 三(4) 「一般に適正と認められる認証基準等の取得状況」について、具体的に例示してほしい。 SSAE16、IASE3402、GIPS等を想定している。
17 ガイドライン 三(4) オルタナティブ投資に関して、外国籍私募投資信託等の海外のファンドを用いた投資を行う場合、基金がその内容を確認しなければならない事項として、「当該運用受託機関と資産管理機関及び事務処理機関との(略)人的関係や資本関係」とあるが、具体的にどの関係を言うのか。 オルタナティブ投資が外国籍私募投資信託等の海外のファンドを用いて行われる場合、当該海外ファンドの管理運用に係る海外の関係機関(受託会社(トラスティー)、資産保管銀行(カストディアン)、事務管理会社(アドミニストレーター)、運用会社(インベストメント・アドバイザリー)、ファンド取扱証券会社等)、及び基金と直接契約を結ぶ運用受託機関等の間の人的関係や資本関係について、リスク管理の観点から、できる限り確認されなければならないと考えている。
18 ガイドライン 三(4) オルタナティブ投資に関して、個別運用商品で確認すべき事項として、「レバレッジ」が掲げられているが、レバレッジについての上限は設定されないのか。 個別運用商品や運用戦略については、基金の実情等を踏まえて自主的に決定することを原則としつつ、その決定をより慎重なプロセスを経て行っていただく趣旨で留意事項の項目の例を挙げているところである。
行政が運用に関して一律の数値規制を設けることは適切でなく、レバレッジ等についても同様に考えている。
19 ガイドライン 三(5) 不動産関連やヘッジファンド、プライベートエクイティ等の運用商品は、市場ベンチマークとして、広く認知されているものがないので、運用の定量評価に関して、「一般的に適正と認められる合理的な基準」を設定する必要はないと考えてよいか。 不動産関連やヘッジファンド、プライベートエクイティ等の運用商品は、必ずしも市場ベンチマークとして広く認知されているものはないと考えられる。また、一般的なアクティブ運用のようなインフォメーションレシオ等を評価尺度とした運用は行っていない場合も考えられる。
しかしながら、これらの運用商品においても、運用受託機関と協議の上、運用戦略等に照らして適切と考えられる基準を、「一般的に適正と認められる合理的な基準」に代わるものとしてできる限り設定し、それらを用いて定量評価等を行うことが望ましい。
例えば、絶対収益追求型の運用商品であれば、ベンチマークとして円LIBOR+α等を設定することなどが考えられる。
いずれにせよ、基金として、当該運用に関する説明責任を全うできるよう、できる限り適切な対応を行うことが求められる。
運用の委託
20 ガイドライン 三(5) 厚生年金基金令第30条第1項または第3項において、信託契約については運用方法を特定するものを除くこと、投資一任契約については投資判断の全部を一任することを内容としなければならないと規定されているが、基金としては、具体的にどのようなことに注意すべきなのか。 例えば、基金が運用受託機関に対し、運用方法として特定の金融商品を取得することを指示すること(注)は、運用方法を特定しないこと又は投資判断の全部を一任することに反するので、注意が必要である。
(注)当該金融商品(外国籍私募投信等)について投資一任契約を結ぶ運用受託機関が自社又は自社グループで組成している場合を除く。
21 ガイドライン 三(5) 運用を委託する場合には、運用商品の担当ファンドマネージャーに対する直接のヒアリングを必ず行わなければならないのか。 運用委託先の決定に当たっては、営業担当者だけではなく、運用実務に携わる者による実態に即した情報を得た上で判断することが適当との趣旨であり、ヒアリング先を担当ファンドマネージャーに限定するものではない。
例えば、運用チームを統括する者やポートフォリオのリスク管理担当者等も対象と考えられる。
運用コンサルタント等の利用
22 ガイドライン 三(8) 基金に対するコンサルティング業務には様々なものがあると思われるが、どのような内容のコンサルティング業務において、金融商品取引法第29条の規定による登録が必要となるのか。
例えば、いわゆる財政運営に関するコンサルティングを行う者は、同法第29条の規定による登録の確認が必要な「運用コンサルタント等」には該当しないという理解でよいか。
金融商品取引法の解釈については所管省庁において判断されるべきものであるが、基金に対するコンサルティング業務のうち、いわゆる財政運営に関するコンサルティングや、ALM分析等による運用の基本方針・政策的資産構成割合の策定に関するコンサルティング(同法第2条第8項第11号イ又はロに掲げるものに関する助言を伴うものを除く。)、あるいは事務管理体制・情報システムに関するコンサルティングのように、「投資助言・代理業務」を行わない者については、同法第29条の規定による登録の確認が必要な「運用コンサルタント等」には該当しないと考えられる。
23 ガイドライン 三(8) 運用コンサルタント等との契約時の確認事項として「運用機関との契約関係の有無」が挙げられているが、運用機関との人的関係や資本関係についても同様に確認するべき事項であるとの理解でよいか。 相当数の運用コンサルタント等が運用機関の関連会社である等、何らかの関係を有している現状を踏まえ、ガイドラインでは確認すべき事項として、個別の運用機関との契約関係の有無をあげているところである。
したがって、契約関係だけでなく、運用機関との人的関係や資本関係についても、併せて確認されるべきものと考えている。
運用コンサルタント等と運用機関との間に契約関係等があることをもって、直ちに当該運用コンサルタント等とのコンサルティング契約が排除されるものではないが、基金において慎重に判断し、契約内容等についての説明責任を全うできることが重要と考えている。
なお、契約した運用コンサルタント等の助言を受けるに当たっては、助言内容の中立性・公平性等に十分留意する必要がある。
24 ガイドライン 三(8) 運用コンサルタント等自らが運用機関としての機能や部門等を持っている場合があるが、その場合、当該コンサルタントの自前の運用商品を含む評価や助言についてどう考えればよいか。 運用コンサルタント等が運用機関としての機能や部門等を有している場合、当該運用コンサルタント等による運用商品等の評価や選択に関する助言については、その中立性・公平性等に十分留意する必要がある。
当該コンサルタント等からの自前の運用商品の提供が一律に排除されるものではないが、基金において慎重に判断し、採用した運用商品についての説明責任を全うできることが重要と考えている。
研修等
25 ガイドライン 三(9) 研修等に関して、「〜専門的知識及び経験等の程度に応じ、企業年金連合会等が実施する資産運用に係る研修を受講しなければならない。」とあるが、研修の形態や内容については、各基金が自らの実情に応じて、その必要性等を判断すればよいか。
また、「企業年金連合会等」の「等」は具体的にどのような団体等を想定しているのか。
基金の管理運用業務に関する研修の形態・内容については、各基金が役職員の知識・経験等の程度に応じて、そのレベルや必要性等を判断し、適切な形で研修等に参加していだだきたい。
「等」は、企業年金連合会が行う研修以外の研修を排除しないことを表す趣旨であり、運用受託機関が実施するセミナー等も含まれるが、単なる営業のプレゼンテーションや運用商品の紹介は研修とは認められない。
26 ガイドライン 三(9) 研修に関する資格や要件は設けられるのか。 研修の実施形態や内容等について、行政が一律の規制等をかけることは困難と考えており、研修に関する資格や要件等を設ける予定はない。
理事等の禁止行為等
27 ガイドライン 三(10) 「国家公務員倫理規程に準拠して基金の役職員の職務に係る倫理に関する規程」のモデルをお示しいただきたい。 基金役職員の管理運用業務に係る倫理規程については、各基金が自らの実情等を踏まえて作成するべきものであるが、基金において、今回のガイドライン改正の趣旨を正しく踏まえた規程が定められるよう、規程に盛り込むべき事項のポイント等を例示する。(別紙2 参照
28 ガイドライン 三(10) 基金の役職員の中には母体企業の社長等と兼務している非常勤の理事もいるが、他に所属する企業において倫理規程等がある場合には、基金の倫理規程の適用について、常勤役職員と異なる取扱いとしてもよいか。 母体企業の社長等と兼務している非常勤の理事等については、母体企業等において当該本人に対する倫理規程等が定められている場合には、基金の倫理規程の適用について、常勤役職員と異なる取扱いとしても差し支えない。
資産運用委員会等
29 基金規則42条3項
ガイドライン 六
資産運用委員会の委員の構成に関して、「専門的知識及び経験を有する者」とは具体的にどのような者を想定しているのか。
同様の規定が政策的資産構成割合の策定(基金規則42条3項)にもあるが、これらは特定の要件を満たすことが求められるものではないとの理解でよいか。
また、運用コンサルタント等はこれに含まれると解してよいか。
「専門的知識及び経験を有する者」は、例えば政策的資産構成割合の策定に当たっては、策定実務の経験がある者や、その際に必要となる金融や経済の知識を有する者等が考えられる。
運用コンサルタント等はこれに含まれると考えてよい。
徴収や給付等の業務に精通していても資産運用に係る業務知識や経験が無い者は当たらない。
なお、特定の要件を満たすことが求められているものではなく、適切な人物か否かは、基金が慎重に判断して決定することになる。
30 ガイドライン 六 資産運用委員会の委員に「専門的知識及び経験を有する者」として、掛金負担の共同責任を負わない理事・代議員以外の者を加える場合が生じるが、そうした者を委員に加えることの意義について確認したい。 資産運用委員会は、理事長等が政策的資産構成割合を含む運用の基本方針の策定及び見直し、運用委託先の決定や評価等を行うに当たり、基金としての最終的な意思決定を補佐するための機関であり、専門的見地から議論することが必要であることから、掛金負担の責任にかかわらず、意義があると考えている。
31 ガイドライン 六 資産運用委員会の委員に運用受託機関等の関係者が加わっている場合において、当該運用受託機関等を対象とした選任・評価を行わなければならない場合、どう取り扱えばよいか。 資産運用委員会の委員に、選任・評価の対象となる運用受託機関等の関係者が入っている場合(利益相反のおそれのある場合)には、当該委員が運用受託機関等の選任・評価の審議に加わることは適切ではない。
このような場合に対処するため、資産運用委員会に関する規程等で、当該委員を適宜審議から除外する旨をあらかじめ適切な形で設けておくことが望ましい。
代議員会への報告・加入員及び事業主等への情報開示
32 ガイドライン 八 代議員会への報告や加入員や事業主等への周知に当たっては、会議録そのものではなく、議論の内容や結果を要約したものにより行う形でもよいか。 代議員会への報告のみならず、加入員や事業主等への情報開示は、基金が受託者責任を果たしていく上で重要なプロセスであり、適切に行われる必要がある。
なお、加入員や事業主等への周知に当たっては、会議録そのものではなく、議論の内容や結果を要約したものを、「基金だより」やホームページ掲載等の方法によって周知する形で差し支えない。
33 ガイドライン 八 代議員会への報告の内容として掲げられている、「運用受託機関のリスク管理状況」とは具体的にどのような内容を意味するのか。 「リスク管理状況」は、例えば、トラッキングエラーの確認等による運用自体に係るリスク管理にとどまらず、ファンドマネージャーの離職状況の把握等による運用体制や運用事業運営に係るリスク管理等があげられる。
したがって、運用実績だけではなく、運用体制や事業運営等に関する情報等も確認した上、それらの内容を適切に代議員会へ報告することが求められる。
34 ガイドライン 八 資産運用委員会は代議員会への提案事項を審議するところであり、そこでの議事は基金としての意思決定ではないが、加入員や事業主に検討過程等を周知する必要はあるのか。 加入員や事業主への情報開示は基金が受託者責任を果たしていく上で重要なプロセスである。
資産運用委員会は基金の運用管理に関する意思決定を専門的見地から補佐する機関であり、そこでの審議内容については加入員や事業主等に適切に周知する必要があると考えている。
35 ガイドライン 八 資産運用委員会では、運用商品や受託機関の選定のため、運用受託機関の守秘義務等にかかわる議論がされる場合も考えられることから、必要事項を加入員や事業主等に周知すれば足りると考えるが、それでよいか。 資産運用委員会においては、資産運用に関する高度に専門的な内容や運用受託機関との間の守秘義務等にかかわる内容が審議される場合もあることから、議事録自体を開示することは必ずしも適切でないと考えられるので、具体的な周知の内容・方法については、各基金において工夫していただいて差し支えない。
その他
36 ガイドライン 八 今回の基金規則・ガイドライン等の改正において、厚生年金基金の規約に追加が必要となる項目はあるか。 今般の改正によって、規約に追加、変更する項目はないと考えているが、各基金においては規約を精査の上、必要に応じて対応していただきたい。
例えば、今回の改正で、加入員等への業務概況の周知項目に追加された「資産運用委員会の議事の概要等」は、業務概況の周知を定める基金規則第56条の2第1項第8号の「その他基金の事業に係る重要事項」に含まれると考えてよい。
したがって、現行規約上、加入員への業務概況の周知に関し、「基金規則第56条の2に定める事項について加入員に周知させる」と定めている場合は、今回の改正に伴う変更は不要となる。
資産運用業務報告書の記載方法等
37 資産運用業務報告書様式/通知 資産運用業務報告書における政策的資産構成割合の「乖離許容幅」の記載方法等について具体的に示してほしい。
政策的資産構成割合の「乖離許容幅」が極端に大きくなるような設定、例えば、「0%〜100%」は認められるのか。
政策的資産構成割合の乖離許容幅の表示は、原則として、資産ごとの政策的資産構成割合を挟んで、上限値と下限値を表示する(X%〜Y%)。
年金ALM等に基づき基金にとって最適と考えられる政策的資産構成割合を策定することの意義を踏まえ、乖離許容幅は適切な大きさに設定されるべきであり、
例えば、「0〜100%」のような設定は政策的資産構成割合策定の意義が失われ、適切でない。
なお、市場の大幅かつ急激な変動等に応じて、ポートフォリオのリスク管理等の観点から資産構成割合を機動的に変更して運用することにより、一時的に乖離許容幅を超過した状態になることは差し支えない。
38 資産運用業務報告書様式/通知 資産運用業務報告書において、オルタナティブ投資を伝統資産の代替と位置付けている場合は、政策的資産構成割合(A)のオルタナティブ欄を0%と記載し、乖離許容幅の欄には各基金で定める許容幅、例えば、オルタナティブの投資上限を20%としていれば、「0%〜20%」を記載してよいか。 オルタナティブ投資の位置付けについては複数の考え方があるが、AIJ事件で明らかになった運用管理の問題点等を踏まえ、運用の透明性を確保する観点から、オルタナティブ投資を行う場合は、政策的資産構成割合に「オルタナティブ」の割合が設定されていることを基本とする。
具体的には、オルタナティブ投資に関する政策的資産構成割合を設定した上で(例えば10%)、投資上限を超えないような許容乖離幅(例えば5%〜15%)を定めることになる。
おたずねのように、政策的資産構成割合(A)のオルタナティブ欄を0%と記載することは不適当と考えられる。
なお、資産構成割合のリバランスルールにおいては、オルタナティブ投資の特性(流動性の制約等)を考慮し、通常のリバランス実施対象から除外した取扱いとし、必要に応じて、別途、リスク管理の観点から、オルタナティブ投資に関する配分調整等を行うことも考えられる。
39 資産運用業務報告書様式/通知 政策的資産構成割合が資産運用業務報告書の様式の資産区分に合わない場合はどのように記載すればよいか。例えば、
[1] 株式や債券の運用において、内外一体化した形で、「グローバル株式」や「グローバル債券」として政策的資産構成割合を定めている場合
[2] 代行部分および加算部分に対応する政策的資産構成割合をそれぞれ分けて、2つ策定している場合
資産運用業務報告書の趣旨は、基金の資産運用に関する基本的な情報(政策的資産構成割合、運用状況、運用実績等)について、行政として基金全体の概要を把握するためのものである。
従って、原則として報告書の様式に従って、資産運用の状況を記載していただく必要がある。
しかしながら、基金で策定した政策的資産構成割合が様式の資産区分に合わない場合は、その管理内容を注記することにより、実態に即した形で適宜記載し、報告していただくことで差し支えない。
例えば、[1] のようなグローバル運用の考え方で政策的資産構成割合を策定している場合、「1.(3)政策的資産構成割合等の状況」の欄は実態に即した形で適宜記入し、欄外に管理内容がわかるよう注記していただければよい。
なお、資産別残高等の運用実績については、報告書の趣旨に鑑み、様式に従って資産別の実績値を記入し、必要に応じて欄外に管理内容等を注記していただきたい。例えば、「グローバル債券」であれば、「2.(1)資産別残高等」や「3.(2)資産別総合収益額、修正総合利回り等」等の欄は様式に従って、国内・外国別に実績値を記入していただきたい。
一方、資産運用業務報告書では、一つの基金におけるポートフォリオは全体として一つのものとして取り扱う必要があるため、[2] のような場合については、「1.(3)政策的資産構成割合等の状況」の欄は、代行部分と加算部分を一つにまとめた形で記入していただき、欄外に区分している内容等を注記していただくことになる。
40 資産運用業務報告書様式/通知 資産運用業務報告書における資産別残高等の欄について、以下のような場合はどのように記載すればよいか。
[1] 主たる投資対象が決まっている運用商品については当該資産に計上してよいか。例えば、投資適格事業債を主たる投資対象とし、一部をハイイールド債に投資する場合、国内債券又は外国債券に分類することでよいか。
[2] 為替オーバーレイの扱いはどうすればよいか。外貨建資産のヘッジやリスク管理を目的した戦略であることから、ヘッジ等の対象となっている外貨建資産に基づいて記載することでよいか。
[3] ポータブルアルファ運用の扱いはどうすればよいか。この運用では、市場リスク量の調整を行う目的でデリバティブ等を活用しているため、「ベータ」投資する原資産に基づき分類し記載することでよいか。
ご質問にあるような場合の資産別残高等の欄の記載については、以下のように考えている。
[1] 運用商品において、主たる投資対象が伝統的な手法による伝統的資産への投資で、一部を限定的にオルタナティブ対象資産に投資する場合は、主たる投資資産に分類することで差し支えない。
[2] 為替オーバーレイは、基本的に外貨建て資産に対して為替のヘッジやリスク調整を機動的に行う投資手法の一つと考えられるので、資産別残高等に係わる欄においては、ヘッジ等の対象となる原資産の残高等を記載し、総合収益額や利回り等については、対象原資産に分類して計上することで差し支えない。
[3] ポータブルアルファは、市場リスク量の調整(ある資産の市場「ベータ」を取り去り、他資産の市場「ベータ」に投資)を目的として、デリバティブ等を利用する限りにおいて、「ベータ」投資先の資産に基づき分類することで差し支えない。ただし、「アルファ」を追求するために、伝統的投資手法ではなく、ヘッジファンド等を利用する場合はその部分はオルタナティブ投資に該当すると考えられる。
いずれにしても、上記のような運用を行う場合は、「運用の基本方針」において、基本的考え方や留意事項等を定めていることが求められる。
41 資産運用業務報告書様式/通知 資産運用業務報告書において、オルタナティブ投資商品は内容に関する選択肢の中から、基金が最も適切に該当すると考えるものを選んで記載すればよいか。
複数の運用戦略等を採用している商品で、主たる戦略等があってその内容が選択肢にある場合は、その主たる戦略等をもって記載してよいか。
オルタナティブ商品の記載については、運用内容をよく把握した上で、最も適切な内訳を【投資商品名】から選択して記載する。
【備考】の内訳表は参考情報としてオルタナティブ投資の実態を確認するものであり、表への記入は1つの欄に1つの内訳ずつとする。
選択肢にない運用戦略等を内容とする商品の場合は、その内容に基づき、「i.その他のヘッジファンド」「o.その他の不動産」「s.その他のプライベートエクイティ」「u.その他のコモディティ」又は、その他のオルタナティブ商品の「aa.その他」を選択し、【備考】の内訳表の該当する種類の1行目に、i.等の選択した記号と当該商品名(運用戦略名)を簡潔に記載し、2行目以下に該当する数値を記入する。
例えば、「ロイヤリティー」投資のオルタナティブ商品であれば、「aa.その他」を選択し、【備考】の内訳表の「その他のオルタナティブ商品」の1行目の欄に「aa.(ロイヤリティー)」と記載し、2行目以下に対応する適切な数値を記入する。
なお、複数の戦略等を採用している商品で、それらが十分に分散されている場合は、「a.ファンド・オブ・ヘッジファンズ」又は「h.マルチストラテジー」として記載してよく、主たる戦略等があってその内容が選択肢にある場合はその主たる戦略等の商品として記載して差し支えない。

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