No. | 検討要因 | 当事者 | 事例の具体的内容 | 事例が発生した背景・要因 | 改善策 | 販売名 | 業者名 | 購入年 | コメント |
1 | 管理が不十分だった | 看護師 | CHD作動中、透析液のariセンサーが働かず、パンフロー内まで空気が入った | センサーアラーム作動不良 | 補液残量が少なくなったら、早めの交換する | ACH-07S | 旭メヂィカル株式会社 | 2003 | 本事例は、持続緩徐式透析中に透析液の液切れ検知器が作動せず、持続緩徐式ろ過器内に空気が入ったと思われる。当該検知器の故障については、過去にクリップ型センサーの破損(断線等)、電子基板故障による故障が報告されている。また、検知器の警報キャンセルの解除ミスが原因であった事例も報告されている。故障の原因については、長期使用による疲労と取扱い時の問題が大きな要因であることから、保守点検の実施が重要と考えられる。また、回路・濾過器の充填の際に発見できることもあり充填段階で始業点検を行うことも重要である。 |
2 | 機器誤作動 | 診療放射線技師 | CT施行した後フィルミングを行ったが、装置のバグにより前に撮影した患者の写真が作成されてしまった。そのままDr.の診察に回してしまいDr.が気がつき発覚。 | 装置のバグで別患者の写真が作成されたが、現像終了後患者氏名の確認をすれば防げたミスであるが、日勤帯からの連続した勤務であり寝不足であった。 | 現在メーカーに不具合を報告し調査中。 | AsteionMultiSuper4Edition | TOSHIBA | 2004 | 本事例は、操作者が、意図した患者と異なる患者のフィルム(患者名等の付帯情報、画像には問題ない)が出力されたことについて、装置のバグと報告された事例と考えられる。当該機器は、スキャンを行う場合とフィルム出力を行う場合で画面を切り換えて使用するが、この際に、扱う検査情報を引き継ぐ(同期)機能をもっている。また、この機能のON/OFFは操作者が設定を行うが、ONに設定された場合でも、別なスキャン(一連の検査)を行い、その再構成が終了しない状態で、フィルム出力作業を実施した場合、機器が自動的に同期をOFFにする仕様となっている。この場合、同期をONに設定しても、フィルミングイメージ画面では、フィルム出力作業をしていた元の画像が表示される。従って、今撮影した検査の画像が表示されていると思い込んでフィルム出力を行っても、前の検査の画像がフィルム出力される場合が発生する。今回の報告は、このように同期の設定が自動的に変更される事象をバグと報告されたものと考える。なお、フィルムを出力する時に、出力される画像が意図したものかどうかは、画面上で確認することができる。従って、報告にもあるように、最終的な確認で防止できると考える。また、企業においては、同期設定を機器が自動的にOFFにしない様に仕様の変更を検討中である。 |
3 | 管理が不十分だった | 臨床工学技師 | 透析液のA液の1時間における使用量を調べるため、A液自動製造の工程を一時停止した。その後停止したままの状態だっため次の日、の透析時使用するA剤がなくなりかけた。残り、10Lで警報が鳴り、ストックしておいた個人用の透析液(A液)を補充することで患者へのトラブルは回避された。 | 機械機器の管理不十分 | スタッフ全体で機会操作についての研修会を早々に開く | A剤溶解装置 | AHI-JP | 本事例は、機器本体に問題はなく、取り扱い上の問題と思われる。対策として、透析開始前にチェックリスト等による点検が必要である。 | |
4 | その他 | 看護師 | 指示の検査採血にて血糖・HbA1c・血清・BNPのオーダーが出た。自動発行ラベルシーラーが故障のため、発行されたラベルを手動で試験管に貼ったところ、BNPは血漿検査であるのに血清検査の試験管に誤って貼ってしまい採血。患者様が帰宅後に検査室からの報告で発覚。ラベルにはSRL-Cの表示があり、確認すれば血漿採血試験であることは理解できたはずであった。主治医に報告後患者様の自宅へ連絡し次回採血あることを伝え謝罪した。患者様は1度で終わる採血を2回にわたり実施されることになった。 | 当事者はBNP採血について血漿採血であることを理解していなかった。また、処置室における業務に関して不慣れであった。また、自動発行ラベルシーラーは本年4月から採用されたもので、故障なく作動していれば血清採血試験管にはラベルが貼られてくるため、業務に不慣れであっても、試験管が違うことは理解できたはずであった。 | 作業マニュアルの見直し。発行されたラベルの表示確認をルーチンワークに。 | BCーROBOー686 | 株式会社テクノメディカ | 2004 | 本事例は、ラベルの貼り違いの事例であり、システム異常時の手順マニュアルの遵守と確認が重要である。 |
5 | 管理が不十分だった | 看護師 | 自発呼吸あるが、低酸素血症でCV5000を装着中の患者。看護師2人で体位変換、吸引を施行後に低圧、低換気アラームが鳴り、吸気が送られない状態になる。アンビューバッグで補助呼吸し、医師が人工呼吸器を交換する。患者は酸素飽和度に変化なし。すぐに業者に器械の点検を依頼するが、異常なし。看護師が、人工呼吸器を交換した後に前の人工呼吸器を見た時に、ネブライザー部分がはずれ床に落ちていた。 | 回路の緩み。 | 人工呼吸器のチェックリストに回路OKだけでなく、手で触って見るの項目を入れる。 | CV5000 | imi | 当該企業においては、本事例について特定することができないが、同様の報告に対する企業の分析では、回路の緩みにより発生したと考えられた。従って、添付文書に記載されている使用前の点検、使用中の点検を行い、正常に作動することを確認することが重要であると考える。なお、取扱説明書の使用中の点検チェックリストには、呼吸回路のチューブやコネクタ類の接続、ひび割れや破損及びリークがないことを確認するよう記載されている。また、添付文書には、ネブライザボトルから呼吸用ガスの漏れが発生しないよう、ボトルとキャップの接合には特に注意するよう記載されている。なお、当該人工呼吸器におけるネブライザーは、簡単にはずれる構造ではなく、使用中に強い力が加わったか、回路組み立て当初やネブライザー使用時にゆるんでいた可能性が高く取り扱い上の問題と考えられる。 | |
6 | 管理が不十分だった | 医師,看護師 | 進行食道癌で肺動静脈瘤を合併している患者。低酸素血症増悪したため人工呼吸管理としていた。13時に挿管チューブで痰を吸引後、再装着したが、その後、低圧・低換気アラームが作動し、患者へ吸気が送られていない状態となった。すぐにアンビューバックで換気補助しながら機器をチェックしたが作動せず。機器を交換した。 | 医療機器の採用・保守管理の問題点 | 用度担当課を通じ、業者に原因究明を指示 | CV5000 | IMI | 2001 | 当該企業の分析では、低圧・低換気アラームは回路はずれ、回路漏れを示唆するアラームであるので、回路のリークが原因で発生したと考えられた。機器のチェックについては、テストバックを接続してのチェックで、リークのためにバックが膨らまないことで機器が作動しないと誤認識したと考えられる。従って、添付文書に記載されている使用中点検を実施し、適切に対応することが重要であると考える。 |
7 | その他 | 看護師 | 個室で人工呼吸器装着中の患者の隣の個室で洗髪車を使用して洗髪し、ドライヤーを使用していたところ両方の部屋のブレーカーが落ち人工呼吸器が停止した。 | EVT2にバックアップ機能がないこと。物理的な環境としては、当院の電気系統が個室2部屋で許容量2000Wとなっており隣の部屋の電気使用量までが影響すること、ブレーカーが落ちたときには自家発電のコンセントからの電気の供給がないこと。 | 院内の全部署に事例とともに電気の使用方法についてのお知らせを出した。看護科長会議で電気用品の管理、コンセントの使用方法について検討した。 | EVTー2000 | 日本光電 ドレーゲル |
1996 | 本事例については、電源供給の遮断による作動停止であり、正常な作動と考えられる。なお、本機器には、電源供給の遮断を検出した場合、換気動作の停止を警告する、独立した電源を使用したアラーム機能を有する。対策としては、電源環境の整備、電気の使用方法の徹底が考えられる。また、本機器は、停電時等におけるバッテリ作動機能を有していないので、それらを有する機器への更新も考慮される。さらに、洗髪車やドライヤーなどが非常用電源コンセントで使用されていることから非常用電源コンセントと一般用コンセントの使用につき院内で運用ルールを決めておくことも重要である。 |
8 | 管理が不十分だった | 看護師 | 注入のため患者の掛け物をはいだところ、胃ろうチューブが抜けているのを発見した。 | 胃ろうチューブのバルン破裂、前回交換して2週間経過していた。通常、4週間で交換していた。 | 定期的にバルンの固定液確認。 | GFチューブ | トップ(K・K) | 2004 | 当該企業により分析が行われ、バルーンにピンホールが生じているもの及び縦方向に破れが生じているものが確認された。なお、成形状の異常はなし。また、ピンホール周囲に二次的に発生したと思われるキズが確認された。なお、出荷時にはバルーンの外観検査及び拡張検査が行われている。企業における原因の推定では、数週間使用後に破損している状況及びピンホール部位にキズが確認されたことから、使用時に二次的にバルーンを損傷する取り扱いがあったと考えられた。従って、当該品のバルーン素材はシリコーンゴム製であるが、鋭利なものとの接触によるキズ等には弱い特性があり、バルーンの取り扱いには十分注意するよう添付文書に注意喚起されている。また、胃酸等の強い患者に使用した場合、バルーンの耐久性を著しく低下させ、バルーンを破損させるおそれがあること、このような場合、バルーンへの注入量を減らすことにより、耐久性を向上させることができることが、添付文書で注意喚起された。 |
9 | 管理が不十分だった | 医師 | 平成16年4月22日に右眼白内障手術を施行。4月23日の診察時に眼内レンズが眼内で破損していたため同日眼内レンズ交換した。術後経過は特に問題なく視力は1.0まで改善している。眼内レンズ交換の手術費用は当然コストフライとした。 | 医療材料、医療機器、医薬品などの要因 | そのメーカーのレンズが最近になって眼内で破損する旨の学会報告があった。メーカーは現在原因を調査中。 | HOYA AFー1 | 川西医療機器 (株)HOYA |
当該企業においては、本事例と確定はできないが、近似した調査依頼を受けている。企業の分析では、現品の確認はできていないが、医師からの報告に基づき、レンズの支持部の破損を確認し、製造・検査工程において問題が認められなかったことから、レンズを折り畳む際や眼内に挿入する際に、支持部に無理な力が加わったためと考えられた。従って、既に添付文書において注意喚起されているが、支持部にねじれ、強い衝撃など、無理な力が加わると破損する場合があるので注意することが重要である。なお、企業においては、作業の確実性、簡便性を目的として、支持部に無理な力の加わらないインジェクターシステムを開発し、その普及に努めているほか、適切な挿入方法のビデオも提供されている。また、本報告にある学会報告については、水晶体嚢の強い収縮による持続的な外力を受けた場合、光学部と支持部が重合により一体化しているIOLは、稀ではあるが、その部分で分離する可能性があるという報告である。 | |
10 | 管理が不十分だった | 医師 | 乳腺腫瘍術後当日、患部の観察時、ドレーンバッグのリザーバーにエアリークがあり、陰圧がかからなくなり、創部の腫脹をきたした。ガーゼで圧迫し、バストバンドを使用した | 医療材料不具合の発生。 | 使用時の経過観察を定期で実施したため、発見が早期であったが、医療材料使用時の過剰な信用はせず、術後の観察・確認事項を順守 | JーVAC | ジョンソン エンド ジョンソン | 本事例については、コネクター接続不十分や使用中のリザーバーの破損等によると考えられる。なお、本機器の添付文書では、必ず吸引が行われていることを確認すること、設置時ならびに作動中はエアリークに注意すること、リザーバーの扱いには注意し外的な衝撃が加わらないようにすることが注意喚起されており、これらに注意することが重要であると考えられる。 | |
11 | 管理が不十分だった | 看護師 | 11時の栄養の時間に新品のイルリガードルを準備した。前吸引、NGの位置確認をした後、イルリガードルのルートの先端にキャップがついていることに気付かず、キャップをはずさずにそのままNGと接続した。接続部までのルートが栄養で満たされていることを確認し、クレンメをゆるめ注入を開始した。注入開始から2時間半後、スタッフが、コットのシーツが濡れていることを発見した。児へ注入されるべきミルク140mlと白湯40mlがすべて漏れていた。その後、主治医に報告し、次の栄耀時間は通常通り行ってよいという指示を受け15時の栄養を行った。児への影響はみられなかった。 | 経管栄養の際にルートをたどり、栄養がきちんと注入されているか確認すべきと分かっていたが、緊張と焦りからそのことを忘れてしまい注入を開始してしまった。また、新品のイルリガードルにキャップがついていたことにも気付かず、接続できたことで注入できると思いこんでしまった。本日で注入2度目だったが、前回はミルトン消毒していたイルリガードルだったのでキャップはついておらず、そのままNGと接続できたために今回もそのまま接続してしまった。 | 経管栄養だけに限らず、点滴等のルート類はきちんとルートをたどり、指示されたものが入っているか目で実際確認していかなければならない。また、新品のイルリガードルにキャップはついていないという思いこみが発生した要因であると考えられる。思いこみは大変危険であることを自覚し、何事にも疑問をもって確実に安全な方法で看護を提供できるようにしていく。 | JMS経口用イルリガードル | JMS | 2003 | 本事例のイルリガートルについては、単回使用製品であるので注意する必要がある。イルリガートルのキャップは、2種類あり、一方はNG(鼻腔栄養チューブ)とは、キャップをしたままの状態では接続できない構造になっているが、もう一方は、NGと接続が可能である。ただし、コネクターは黄色であるのに対し、キャップは透明のため、色の違いで両者の識別は容易であると思われる。従って、使用時にはキャップを取り外して使用すること、鼻腔栄養チューブと接続したら、栄養剤等が鼻腔栄養チューブに流れることを確認し使用するを注意することが重要である。 |
12 | 管理が不十分だった | 看護師 | 急性腎不全で透析中の患者。大部屋。同室者のコールで訪室時に覗くと、ベッド上で輸液セットがはずれており、ポータブル便器と周辺の床、ベッド上のマットレスまで血液で汚染している。患者は眠っている。右そ経部ヘモラールカテーテル刺入部と固定部の接続ではなく、Aセットのルート部分横の赤い接続部分がはずれ、そこより逆流して出血していた。患者の意識レベル変化なし。冷汗、冷感、顔面蒼白、脈拍微弱で血圧触診で40台であった。病棟にいた医師に報告し、すぐにルート開始、酸素吸入増量後、約2時間後に血圧改善する。部屋を看護師室に近い個室に転室する。朝、採血の結果、濃厚赤血球400ml輸血する。患者は、「何で、部屋変わったのかな。」と、訴える。状況説明すると、「大分、気分が良くなった。」と、話す。前日、ロヒプノール1mg内服している。 | 眠剤の服用や、全身状態悪化による意識レベルの把握ができていなかった。一見、意識レベル正常に見えるため、行動に注意が不足していた。ポータブル便器を置いていたため、一人で動いた。ポータブル便器の位置が、点滴と反対側であった。ポータブル便器に移動する時は、ナーズコールを押すように指導していたが、押す事がなかった。一人で動いて、ひっぱってルートの接続部がはずれたのだと考えられる。 | 入院時の情報、全身状態や意識レベル、行動レベルの観察をした結果を皆で共有する。 | JMS麻酔用注輸セットA | JMS | 報告された製品では、赤い接続部分が特定できないため、事例について断定はできないが、企業においては、出荷時の検査等の確認において基準を満たしており、製品の品質には問題ないものと考えられた。次に本事例について検討した結果、本事例は、急性腎不全で透析中であった事から、ダブルルーメン動脈側の外れと想定される。また、本事例は、透析終了後、本部位より持続点滴を行っていたと想定されるが、このダブルルーメン接続部はルアーロックになっているため接続の外れは生じにくいが、ルアーロックの過信により脱落の報告もあり、確実な接続と定期的な点検が重要である。なお、本製品の添付文書では、使用中は本品の破損、接合部の緩み及び薬液漏れ等について、定期的に確認することが記載されているので注意することが重要である。特に、透析回路等、重要な接続については十分に確認する必要がある。また、医療機関においては、注輸セットの接続に注意するとともに、医療機器、備品等の配置にも注意する必要がある。 | |
13 | 管理が不十分だった | 看護師 | Jバックドレーン挿入中、バック内が陽圧になっていることを発見した。陰圧をかけるがすぐに陽圧になってしまうため、ドレーンを確認すると、バックの下部に小さな穴が開いていることに気がついた。すぐに新しいバックに交換し、患者の状態に変化はなかった。 | ・長期間、同じドレーン(バック)を使用しており、排液のため何度も開封していた。・耐久期間が不明で、定期的な交換がされていなかった。 | ・耐久期間を確認し、長期留置が予想される場合は定期交換日を設定して交換する。 | JVACドレインハブレス/JVACレザーバー | J&J | 本事例については、使用中のリザーバーの破損等によると考えられる。なお、本機器の添付文書では、必ず吸引が行われていることを確認すること、設置時ならびに作動中はエアリークに注意すること、リザーバーの扱いには注意し外的な衝撃が加わらないようにすることが注意喚起されており、これらに注意することが重要であると考えられる。また、改善策にあるように、長期留置においては、交換時期を考慮する必要がある。 | |
14 | 管理が不十分だった | 不明 | ケタス、エパデール服用中の患者の血小板凝集能が異常に低下していた。検体が少し残っていたため、試薬を再調整して再検した。再検でも低下を認めたため主治医に結果を報告した。その後、他の患者の検査でも同じような状況が生じたため、いくつかの検体で確認してみると、いずれも異常値を示した。分析器の異常が考えられ、メーカーに修理を依頼したところモーター故障が原因でスタラーが回っていなかったことが判明した。異常値が出ていた患者のデーターに関しては誤値であったことを医師に連絡し、検査をしなおすことになった。 | ・ユーザーの保守点検はほとんどなく、検査の性質上コントロールもないため異常値が出て気づくしかない状態である。・他施設でも同様のトラブルがあったようだが、メーカーからの問い合わせ、確認等は一切なかった。 | ・メーカーと保守点検について検討していく。 | MCメディカル エスエスアールエンジニアリング |
血液分析器 | 本機器は、血小板凝集惹起物質を加えて攪拌し、凝集によって光学密度が低下する透光度の変化を測定するものであるが、本事例は、モーターの不良のためスターラーが回転せず、攪拌が行えなかったことが原因と考えられる。なお、スターラーモーターの回転は、スターターバーの入ったキュベットを測定部にセットし、目視で確認することができ、ADP凝集の場合、モーターが回転していないと1次凝集が欠如し、ベースラインの振れ幅も通常より少なくなり、惹起剤添加時のベースラインが上がらない等で機器の異常を知ることができる。対策としては、使用前にスターラーモーターの回転の有無を確認することが重要であり、企業においては、添付文書、取扱説明書の改定を行い、注意喚起することとした。また、同様な報告が経年した機器で報告されており、機器の保守点検が重要である。 | |
15 | 管理が不十分だった | 医師 | 麻酔開始前O2フラッシュ弁を用いた回路のリークテストで異常認められなかった。導入後、マスク換気中通常のフレッシュガス供給だけではバックのふくらみほとんどなくO2フラッシュ弁を数回用いて換気を行った。挿管後もフレッシュガス供給回路を用いた換気は不可能だった為、緊急的アンビューバックを用いて換気を行い、麻酔器を交換することで、トラブルを解決した。 | リーク発生は、麻酔ガスの気化器どうしの接続部分からであったと考えられる。製造元の異なる旧型の気化器を用いてる現状が招いた事例と考えられる。 | 麻酔器の点検もしくは、新規購入を考えて頂きたい。 | PHー5F ? | アコマ | 1994 | 本事例については、企業へ報告がないため原因の特定は困難であるが、気化器の接続部におけるリーク発生が想定される事例である。気化器と麻酔器の互換性と組み合わせ使用における安全性の確認を行うことが重要である。また、本事例の内容から大幅な漏れが推定されるが、定期的な保守点検が行われていれば、早期に発見、改善できたと考える。さらに、日本麻酔科学会による麻酔器の始業点検に記載されている、患者呼吸回路及び麻酔回路内配管のリークテストを行われれば事前に発見できたものと思われる。 |
16 | 管理が不十分だった | 看護師 | 中心静脈栄養管理中に、患児のカテーテル刺入部から約110cmのところで中心静脈ラインが突然断裂した。血液の逆流に付き添いの母親がすぐ気づき、ラインを直ちに結んでナースコールした。 | 母親の情報からは、断裂したラインの過伸展・圧迫・ねじれなど、明らかな負荷は明らかでない。中心静脈ライン(テルモ SP-ET150L1A)のメーカーの断裂部の断面顕微鏡像調査でも明らかな原因は特定できず。いずれ、中心静脈ライン材料や保守・管理の問題と考えられる。 | 中心静脈ラインのセットの変更、ラインの状態チェックの徹底、付き添いの家族への注意の喚起など。 | SP-ET150L1A | テルモ | 2004 | 本事例と特定はできないが、同様の事例の報告があり企業において分析が行われ、破断面はやや扁平していたが、チューブの破断面前後に伸びたような痕は認められなかった。また、チューブの内外径、引っ張り強度は規格内で、製品に問題はなかった。さらに、保存サンプルで破断形状の再現が行われ、チューブをまっすぐ引っ張った際に生じる破断面とは異なり、硬いもので挟まれた際に同様な破断形状になることが確認された。従って、本事例は、製品上の問題ではなく、使用中に過度なせん断力が加わったことが原因であると考えられる。 なお、添付文書では、チューブをかんし等でつまんで傷をつけないように、また、はさみや刃物等で傷をつけないように注意喚起されている。 |
17 | 管理が不十分だった | 臨床工学技師 | 透析開始時、MICS21の透析送信情報が透析完了になり、透析装置側に透析条件送信エラーが発生した。患者さんに状況を説明し、手動運転で透析を施行することとなった。この間15分ほど時間がかかり透析時間の延長となった。 | 機械機器管理の知識が不足していた | 患者問診の際装置側のモニターでも患者確認を行う | TRー2001M | 東レ・メディカル | 本事例については、企業へ報告がないため原因の特定は困難である。また、MICS21は医療機器ではなく、透析の業務支援システムで複数の透析用監視装置に接続され各装置にデータを送信するものである。企業による推定では、本事例は、MICS21でデータ送信を行った装置と違う装置で透析を始めようとし、装置のデータを確認した際に、その装置での透析予定の情報がなかったため、透析完了となっていたことが考えられた。また、TR−2001Mで患者名の確認操作を行わなかったため間違いに気付かず透析が開始できなかったものと考えられる。なお、TR−2001Mは透析用監視装置で、透析開始時に画面で、送信された内容の確認操作を行い透析を開始する仕様になっているが、確認操作を行わなくても透析工程に移行できる選択が可能であるため、このような選択を行わず、必ず確認してから透析を開始することが重要である。 | |
18 | 管理が不十分だった | 看護師 | 透析開始時、透析運転のスイッチを入れ忘れた。15分後技士チェックで発見された。その為、透析時間が15分延びてしまった。 | 確認不十分で透析運転スイッチを入れ忘れた | 透析運転スイッチを入れたときに画面で透析が入っているか確認する | TRー3000 | 東レ・メディカル | 本事例は、透析開始時における手順忘れの事例であり、取り扱いの問題である。 | |
19 | 管理が不十分だった | 臨床工学技師 | 透析介助時、血液ポンプ流量を基準まで(200ml/h)上げるのを忘れた。透析開始時点の流量(100ml/h)で約10分間透析が実施されてしまった。 | 機械機器の確認不十分 | チェックシートを作成して不備がないか確認する | TRー3000 | 東レ・メディカル | 本事例は、透析開始時における手順忘れの事例であり、取り扱いの問題である。 | |
20 | 管理が不十分だった | 看護師 | 交代後に、ルート類の整理をするために、シリンジポンプから、持続硬膜外注入の注射器をはずし、他のシリンジポンプに変えてスタートボタンを押した。しばらくして、低圧アラームが鳴り、他の看護師より電気コードがはずれている事を指摘され、シリンジポンプに差し込む。約1時間後、他の看護師が、シリンジポンプのスタートボタンが押されていないのを発見する。患者から、痛みの訴えなし。 | 看護師2人により、低電圧アラームとコードはずれを確認したのに、互いに互いがきちんとセッティングしたものと信じ込んでしまった。バイタルチェックの時に、流量、電源オン、コードはずれの有無の確認不足。 | 流量、電源オン、コードはずれの有無、残量の確認をする時は、必ず、ポンプの側まで行き、チェックを行う。インアウトの締めを行う時、バランスシートに記入された流量で計算せず、シリンジポンプの流量画面を見て計算する。 | アトム シリンジポンプ 1235 | アトム | 本事例については、機器は正常に動作しており取り扱い上の問題と考える。 | |
21 | その他 | 看護師 | 手術で電気メスを使用中に、心電図モニターの波形が出なくなった。特に異常を示すアラームは鳴っていない。麻酔医より術者に「患者の頭に触れるとチクチクする。電気が漏れているのではないか?」と報告され、手術を中断して調べた。電気メスの電源を切ると心電図の波形は元にもどり、電源を入れると再び同じ状況が現れた。患者の体に障害はなかった。他の電気メスを使用し、手術(10分間の中断あり)は無事に終了した。その後、電気メスをメーカーに調べてもらったが異常は認められなかった。 | 原因は不明。 | 異常時、手術中断してSEに調べてもらう。メーカーに検査、修理してもらう。 | アルゴンビームコアギュレーター 型式ABC6400 | 小林メディカル | 電気メスの高周波出力を行うと出力された高周波が心電図モニターに干渉し、モニターに波形が表示されなくなることがある。これらについては、当該機器の使用説明書にも高周波出力がペースメーカーやECGモニターなどに干渉する旨の記載があり、既に注意喚起されているところである。また、完全ではないが、電気メス対策をしたモニタというのも出てきている。さらに高周波漏れ電流を起こしにくい高周波非接地形の電気メスの使用も考えられる。 | |
22 | 管理が不十分だった | 看護師 | 3月1日に左鎖骨窩から挿入したIVHカテーテルに亀裂が生じた。抗癌剤投与後、ソルデムに更新し20分後に患者が「刺入部の奥に痛みが走った」と訴え、主治医に報告。主治医が診察したところ、刺入部から輸液がもれている事を確認しIVHカテーテルを抜去した。看護師長が、先端から約10cmの箇所に亀裂がある事を確認した。胸部X-Pを撮影し、問題となる所見は見られず経過観察となった。業者に連絡、メーカーに依頼し原因調査中。 | 医療用器材の採用の問題点 | 多種類のIVHカテーテルが採用され、医師の技術・好みにより選択されている。事例を報告し、医療材料の整理を行う。メーカーによる調査で原因を明らかにする。 | アロー シングルルーメン CVカテーテル | アロー | 2004 | 当該企業において分析が行われ、米国本社で亀裂及びリークが確認されたが、製造上の問題や材質の欠陥は見当たらず、このような損傷は使用上の問題で発生することが多いが、発生原因は確定出来ないというものであった。また、本事例は、留置後44日目で発見されており、製造上の問題(成型不良等)が原因の可能性は少なく、さらに、切り口の形状から、鋭利なものとの接触による外損の可能性も考えられたが、体内留置部の亀裂であることからその可能性も少ないものと考えられた。従って、体内長期間留置、圧迫、投与薬剤等によるカテーテル材質の劣化の可能性が考えられた。 |
23 | 管理が不十分だった | 看護師 | 中心静脈栄養中でインターリンクセットを使用している患者。ルート部分より接続のニードレスカニューラネジ式ロックを使用して血小板輸血を施行した。血小板が終了した時に、ニードレスカニューラネジ式ロックからセットごと除去したつもりだったが、点滴セットのみ除去し、ニードレスカニューラネジ式ロックが残っていた。ニードレスカニューラネジ式ロックより血液が逆流し患者よりコールあり、除去していなかったことに気付く。 | 昼休み時間帯で、看護師が2人でナースコールに対応していて多忙だった。ナースコールが頻回になり、気持ちが焦っていてニードレスカニューラネジ式ロックをはずしたつもりだったが、はずしていなかった。 | 焦っていても基本に忠実に操作する。輸血終了後には確実にニードレスカニューラネジ式ロックからはずしたか確認する。 | インターリンクシステムのニードレスカニューラネジ式ロック | BD | 本事例は、ニードルレス接続と通常輸血セットを接続するため、ロック式のコネクタを使用し輸血セットのみ取り外したと思われる。製品の問題ではなく、取り扱い上の問題と考えられ、手技の統一と共に使用システムの統一が重要である。 | |
24 | 管理が不十分だった | 看護師 | サーフロー挿入し、持続点滴にて加療中。座位にて昼食の際、インターリンクマニフォールドとポンプ輸液セットの連結部が外れ、血液逆流。患者様自身がナースコールされ、発見が早かったため再度滴下可能であった。 | 巡視時、輸液のチェックと挿入部の観察はしていたが、連結部のネジの緩みには気づかなかった。持続点滴中の患者様、特に動ける方は自然にネジが緩んでしまうことも考えられる。 | 巡視時、せめて1勤務に1回は、連結部の緩みがないかどうか、一度締め直してみるべきである。 | インターリンクマニフォールド | バクスター | 本事例は、インターリンクマニフォールドとロック接続部の固定が不完全であったことが想定される事例である。ニードルレスインターリンクセットは、刺入部のゴムの収縮、弾性によって血液の逆流防止を行っており、ネジ式ロックアダプターなどの部品を接続する際には、ロックアダプターを押し込み気味に入れてから、インタリンク本体のリブ部分にロックアダプターのつめをかけるようにする必要がある。装脱着時、その扱い方について細かな注意が必要である。 | |
25 | 管理が不十分だった | 看護師 | 14時ミルク注入前ミルクと注射器を準備し患者の元に行った。そして注入前の確認としてチューブに空気を通して聴診しチューブが胃内にあることと、チューブの長さを確認した。しかし経管栄養の前吸引を忘れミルクを注入してしまった。 | 実施前に1度見学をし、その後初めての実施であったので、緊張していたことと、自らの技術が未熟で知識が足りなかったため。 | 実施前は確実に確認を行い、知識と技術を向上させる。 | インターリンクマニフォールド | バクスター | 本事例は、手順間違いの事例であり、管理の問題である。 | |
26 | 管理が不十分だった | 不明 | 1年以上、人工呼吸器を使用して呼吸管理を行っている。訪室すると人工呼吸器のほうからかすかに「シュー」っとAirがもれる音が聞こえた。確認してみると、呼吸器と中央配管に接続していた酸素用チューブの接続部からAirがもれていることが判明した。MEにすぐ来てもらい、点検してもらうがAir漏れの原因はわからず、人工呼吸器を取り替えて対処することとなった。患者の状態に変化はなった。 | ・人工呼吸器を交換してから、2ヶ月が経過していた。回路の交換は定期的に行っているが、本体の交換の取り決めがなかった。 | ・人工呼吸器本体の交換は、1ヶ月毎とする。 | エビタ2デュラ | 日本光電 ドレーゲル |
本事例については、酸素用ホース(チューブ)のコネクタと人工呼吸器側コネクタのねじ込みの緩み又はホース側コネクタ側パッキンの劣化等が考えられる。リークの確認とともに、経時的に消耗する周辺部品についても定期的に点検すべきであると考える。さらに連続使用が1000時間を超えており改善策にあるように定期的に人工呼吸器を交換し点検することも重要である。なお、本機器は、酸素又は空気のいずれかのガス供給が完全に断たれても、供給されているガスで換気を継続する安全機能を有している。 | |
27 | 管理が不十分だった | 看護師 | 過熟性白内障の緊急手術があった。散瞳状態不十分の為虹彩を拡張するために使用する虹彩リストラクターの指示があり、使用した。途中リストラクターのストッパーがフックよりはずれているものが1本有り、医師より、交換の依頼有り、ストッパーの内フックが1本手元に帰ってきた。ストッパーが見つからないまま手術は終了したが、翌日の診察時患者の眼瞼内に残っているのが発見された。 | ・業務手順・ルール、チェックの仕組みの問題点・医療材料の再点検 | ・手順を再度見直し、再教育する。 | グリスハーバーTM アイリスリトラクター | 日本アルコン株式会社 | 本事例については、企業に報告されておらず、情報や現品の確認ができないため、原因の特定は困難である。なお、国内外において同様の報告はない。しかしながら、手術後、瞼内でストッパー部分が発見されているため、使用前は外れておらず、製品に品質的な問題はなかったと推定される。なお、本製品の品質検査は全数検査が行われており、検査に適合した製品のみが出荷されている。また、本製品は、手術後取り出す際にストッパー部分をフック部分より外すことのできる仕様になっており、術中の操作の際、何らかの理由によって外れたものと推定される。 | |
28 | 判定不能 | 看護師 | 薬を注入しようとした際すでにつまっていた | 薬注入後の水通しが不十分だったと考えられる | 薬注入した際は十分に水を通す | コーフロークリアー | インターメドジャパン | 本事例は、詳細な情報がないため、原因の特定は困難である。 | |
29 | 故障していた | 准看護師,臨床工学技師 | 透析開始時透析液温度36度で開始したが26分後患者さんから「熱いような気がする」と言われ確認すると38度に上昇していた。温度センサー等を確認したが改善されずコンソールを交換し再開始した。あとで確認し温度センサーの感度低下、温度調節つまみの機械的なズレが予測された患者さんに不安感を与えた | 医療機器の保守管理に問題 | 1回/2年のオーバーホールを行っているが使用年数によってのオーバーホール時の期間検討、チェック項目検討を行った | コンソール DCSー22B |
日機装 | 1991 | 当該企業においては、本事例を特定できていないが、温度制御システムの単発故障の可能性が高いと推定された。なお、当該機器の取扱説明書では、温度制御・監視システムについては、1年に1〜2回の頻度で点検し、磨耗や劣化があれば交換するよう注意喚起されている。従って、使用年数に応じてオーバーホール等の時期やチェック項目を見直し、十分な点検整備を行うことが重要である。また、透析開始時及び透析中、装置が正常に作動していること、患者に異常が見られないことを確認することも必要である。さらに、購入から13年が経過していることから、更新も検討する必要があると思われる。 |
30 | 故障していた | 臨床工学技師 | 透析開始時に「除水ポンプ流量警報上限」が鳴り対応するが解除できずコンソールを交換し透析を再開始した。(この機械は前回透析の時も同様の警報が鳴ったため点検を行い試運転を行ったが正常であった)メーカーの協力で結果、制御CPUの不良あり交換した患者さんへの不安を与えた | 医療機器の保守点検・管理の問題 | メーカーのマニュアルに準じて点検を行ったが最終的にメーカーの対応が必要であった為、早めにメーカーへ連絡を行う | コンソール「DCSー26」 | 日機装 | 2002 | 当該企業においては、制御CPUと報告されたPCBマイコンの修理を行った記録がなく、当該事例の特定ができず原因を特定できない。しかしながら、徐水ポンプ流量警報が発生すること、現象が再現しないという報告から、PCBマイコンの単発的な不調が原因であると推定された。 |
31 | 判定不能 | 看護師,臨床工学技師 | 使用中の人工呼吸器の作動圧力計が送気ごとに0と30センチ圧のところを行き来していた。確認作業中に0で停止した。呼吸器付属のアンビューバックでサポートして、人工呼吸器を交換した。そのままの状態では患者に、酸素が供給されず重篤な状態に陥ったとおもわれる。すぐに異常に気づき、機械を交換したことで、患者状態に変化は見られなかった。 | 医療器械の保守・点検・管理の問題 | 人工呼吸器の業者に点検依頼・交換時期にある機種については購入する。 | サーボ900C | シーメンス フクダ電子 |
本報告には、使用開始(購入)年の記載がなく、耐用交換時期を経過したものかは不明である。このサーボ900シリーズは、1000時間毎の定期点検と校正が企業より提示されており、これを実施することにより、不具合部品のスクリーニングは可能である。従って、定期点検を実施することによって、かなりの率で防止が可能であると考える。 | |
32 | 管理が不十分だった | 看護師 | 20時の検温時に訪室すると、硬膜外カテーテルがちぎれていた。 | 背中に管が入っているので、起き上がる時は気を付けるようにと説明していなかったため、夕食時患者がベッドをギャッヂアップした時に硬膜外カテーテルがひっぱられて、ちぎれた。 | ・硬膜外カテーテルの取り扱いの説明をする。・ギャッヂアップする時は看護師に声をかけるように説明し、硬膜外のシリンジジェクターを患者に近い場所に吊るし、カテーテルにゆとりをもたす。・観察を十分に行う。・硬膜外の管は細くちぎれやすい事を患者に説明する。 | シリンジジェクター | 大研器機 | 2004 | 本事例は、硬膜外カテーテルが外力により切断された事例である。従って、シリンジェクターの固定位置や周辺環境の問題であり、管理上の注意が重要である。 |
33 | 管理が不十分だった | 医師 | 19時10分、2人の看護師で確認し、シリンジポンプにて、ミリスロール50mlを2.4ml/hで開始する。その後、主治医が注射器の目盛りが下にあったため、速度調節の為に、一旦ポンプから注射器をはずし再セットした。20時20分にアラームが鳴っていて、看護師が訪室すると、ミリスロールが全量注入されていた。患者は気分不良を訴える。主治医により、循環器内科医師に診察依頼。ニトロペン1錠舌下。心電図、バイタルは変化なし。 | 患者の心臓の位置よりも高い位置に、シリンジポンプが設置されていた。注射器の押し子が正しくセットされていなかった。以上により、サイフォニングが発生した。最初にセットする時、注射器の目盛りを下にセットした。看護師にサイフォニングの知識が不足していた。 | 看護部の事故防止委員会で、サイフォニングの危険性を学習し、文書を配布し、各部門で危険性を伝達した。シリンジポンプを使用する頻度の高い部署で、臨床工学士よりサイフォニングの再現をしてもらい、シリンジポンプの使用上の注意について講習を行った。ミリスロール使用時は、プロエクステンションチューブを使用する。 | シリンジポンプ SPー500S | JMS | 本事例については、注射器がシリンジポンプに正しく装着されていなかったことが原因と考えられる。添付文書にも記載されている通り、注射器の各部分がシリンジポンプに正しく装着されていない場合、薬液の過大注入のおそれがあるので、装着には十分注意し確認することが重要である。さらにシリンジポンプは、サイホニング防止のため設置位置が刺入部と同様の高さにすることが推奨されており、設置位置の工夫も必要である。また、押し子はずれ警報等が具備された2003年医療事故対策適合品の採用を推進する必要がある。 | |
34 | 管理が不十分だった | 看護師 | シリンジポンプにてインシュリンを持続投与中の患者。血糖値200以上で0.1ml/h増量の指示があった。12時に血糖値208にて2.2ml/hから2.3ml/hに増量したが、18時に開始ボタンの押し忘れにきがついた。流量変更時、数値の確認だけであった。一時停止状態でも、アラームがならないシリンジポンプであった。 | シリンジポンプでインスリン量を増量したときにポンプ開始ボタンを押し忘れた | シリンジポンプ操作手順の確認をマニュアルに沿って行う | シリンジポンプSTC-525 | テルモ | 本事例は、流量変更後の開始忘れの事例である。手順を遵守することと、発生から6時間後に発見されていることから注入量の確認を経時的に行うことが重要である。最近のポンプでは、開始忘れ警報がついているのでこれらへの更新も考慮する必要がある。なお、STC−525は開始忘れ警報が付いており、流量設定後2分間経過しても注入が開始されない場合警報を発する。従って、当該事例の機種は、警報機能を有しない古いタイプのSTC−521又は523と想定される。 | |
35 | その他 | 看護師 | ソルデム3A500mlを40ml/Hで施行中、母がセイフAプラグ付き延長チューブの接着部が外れていることに気づき、Nsコールあり訪室する。セイフAプラグ付き延長チューブを交換し、点滴を再開する。母は、切断した現場は見ていない。患児はベッド上を遊んでいた。担当医、看護師長に報告する。 | 考えられることは、患児がルートを引っ張り、耐久力以上の力が加わったため。 | ループを作り直接力が加わらないようにする。業者に商品の点検をしていただく。 | セイフAプラグ付き延長チューブ | アーガイル日本シャーウッド | 本事例については、企業に対して報告がないので、原因の特定は困難である。企業において、該当製品の製造記録の確認が行われたが、製品が不具合であった可能性はないものと判断された。従って、ラインに直接力が加わらないよう点検することが重要であると考える。 | |
36 | 管理が不十分だった | 看護師 | 5/4深夜勤務を終え,9時半日勤者よりメイン45/H塩モヒ0.5/Hで施行の持続IVHの三活接続部より点滴が漏れているという報告を受けた.日勤者は家人よりNSコールで報告があったと.家人・本人は4時頃から点滴が漏れていると訴える.4時の巡室時は持続点滴の時間量は確認したが,接続部やルートの刺入部までの確認は行っていなかった.日勤者が9時半に訪室した時は3つ連結された三活の1つが外れており,そこから点滴が漏れていた.ルート内に逆血はみられず,つまってもいなかった.主治医に電話で上記の旨を報告し,経観でよいと指示受ける. | 巡室時,持続点滴の接続・ルートの刺入部の確認をきちんと行っていなかった体動が激しい患者様なのでルートのからみが頻回におきており,巡室時のみではルート整理が行えていなかった. | 巡室時のみではなく頻回に訪室し,ルートの確認を行う. | セイフTポート | 日本シャーウッド | 2003 | 本事例は、三方活栓の接続はずれであり管理の問題である。接続の確認とルートの整理を確実に行うことが重要である。 |
37 | 管理が不十分だった | 看護師 | 《内容》38週6日、2820gで左心低形成の児。PAバンディングope後5日目。本日ICUから帰室。CVP本体側管より、リプル・1.7ml/hで流れていたものをシリンジポンプのバッテリー切れのため、看護師2人で交換する。圧抜きをするために、CVPのみの流れに三方活栓を動かした。リプルルート圧抜き後,再び側管に接続したが、三方活栓を開くのを忘れてしまい、開始ボタンを押した。ベッドサイドを離れる際、ルートの流れを二人とも確認をせず、10分後のタイマーもかけ忘れた。準夜帯勤務者が約1時間20分後、閉塞のアラームに気付き発見となった。児のバイタルに変動はなかった。《発見経緯》準夜帯勤務者がシリンジポンプの閉塞アラームで三方活栓の向きがOFFになっているのに気付く。 | 違う種類のシリンジポンプのコードでもつく事が知らなかっため、シリンジポンプのバッテリー切れれで焦ってしまった。シリンジポンプ交換後、10分後の確認タイマーをかけずにベッドサイドを離れた。三方活栓に接続したが、使用していない、三方活栓が2つついていた。ICUからの帰室で状態がまだ不安定な児であったが、看護師のみでシリンジポンプの交換を行った。準夜勤務者に申し送る際、、CVPルートの調節中で複数の看護師が集まっていたため、口頭でのルートの内容を確認したのみで、実際にルートをたどっての確認をしなかった。準夜勤務者は17時から18時の注入量をチェックしていなかった。 | 《改善策》ベッドサイドから離れる前には、ルートの流れをたどって確認をする。勤務交代時、次の勤務者との確認はルートの流れをたどって確認する。10分後の確認タイマーをかけることを忘れない。ICUからの帰室で状態がまだ不安定な児のシリンジポンプの交換はDrと一緒に行う。不要な三方活栓は外す。《所属リスクマネージャのコメント》ICU帰室直後は、患児の循環動態など変動しやすいため看護師は神経を注ぎ管理するが複数で実施すると、認識が緩んでしまう傾向がある。最後までの確認を複数で声をかけながら実施することを指導した。また、三方活栓は異なるセイフTポートとトップが接続してあった。リプルは患児に近いトップより側管として接続されていたが、後ろ側に接続してあるセイフTの青色が強調されてそちら側の操作を確認した可能性もあった。不要な活栓は必ず除去すること、色にも惑わされないように注意することが必要である。 | セイフTポート | 日本シャーウッド株式会社 | 2004 | 本事例は、三方活栓の開放忘れであり管理の問題である。なお、小児等の微量注入時は、閉塞発生から閉塞警報が発出するまで時間がかかることから特に注意が必要である。また、微量注入時には、2003年医療事故対策適合品等、閉塞警報の可変のできる機種を用いる事も考慮する必要がある |
38 | 管理が不十分だった | 医師,看護師 | 患者が重態となり心電図モニターの装着が必要となったが、当該病棟のモニターはすべて使用中だったため、他病棟からモニターを借りてきて装着した。その後、患者が心肺停止状態となったが、モニター上、心拍動がみられ、調べたところ、同一病棟の他患者に装着している発信器と発信周波数が同じため、モニター上に他患者の心電図が表示されていることがわかった。 | 心電図モニター購入時、既購入のモニターの周波数との整合性が図られていなかった。 | 業者に依頼して、心電図モニターの周波数帯を病棟ごとに、変えてもらった。 | ダイナスコープ | フクダ電子 | 当該企業においては、記録されておらず、本事例について特定することができないが、チャンネル管理の問題である。当該機器の使用上の注意事項では、医療用テレメータ間の混信等の電波障害を防止し、その有効な利用を図るため、当該医療機関におけるテレメータの導入計画を策定する等注意喚起されている。従って、病棟内での管理は勿論、他の病棟からの流用も含め、病院全体での管理が重要である。機器の更新や増設時にチャンネルが重複しやすく医療機関内でチャンネルの統括管理が必要である。 | |
39 | 管理が不十分だった | 看護師 | 腹腔鏡下胆嚢摘出術直後にICUへ入室した。透析をしている患者であり、K値が上昇していたため、12時よりGI療法を開始していた。14時BS値62まで低下し、50%ブドウ糖液を付加するが改善せず、GI療法中止して20%ブドウ糖液を静注することで、BS値90まで上昇した。その後(翌日)3時に再びK値の上昇みられGI療法を再開することになった。5時にルートチェックをすると、200ml投与されているはずが、残量が全く減っていないことに気がついた。すぐに輸液ポンプを取替え、その後は問題なく予定量が投与された。 | ・輸液ポンプの積算量が加算されていたため、投与されているものと思っていた。・積算量に頼って、残量の確認を怠った。・ローラーの回転だけで積算量をカウントしてしまうため、ルートが確実に輸液ポンプにセットされていないと、積算は増えても薬液は注入されない状況が起こる。 | ・輸液ポンプの取り扱い方について、再度確認する。・点滴実施時の確認方法を、原則どおり行う。 | テルフージョン 輸液ポンプ TEー161 | テルモ | 2003 | 本事例については、企業への報告がないため原因の特定が出来ないが、積算量が加算されていることから、ポンプは作動していたが、ラインに閉塞が生じたことが考えられる。また、投与が全く行われていないことから、輸液セットのチューブセットミス又はクレンメを閉じたままだったことが考えられる。しかしながら、当該機器は、チューブが正しくセットされていないと、ドアが閉まりにくくなるアンチイレギュラーセット機構を有しているので、チューブ誤セットによる閉塞の可能性は低く、また、クレンメについては、ポンプの下流側に配置されたものの開放忘れであれば、閉塞警報が鳴るため、クレンメがポンプ上流部にあり閉じられていたことが原因であると考えられる。なお、添付文書では、ポンプ上流でのクレンメの開け忘れ等があった場合、薬液の未投与状態が検出されないこと、輸液開始時には、輸液状態や穿刺部位を必ず確認すること等が注意喚起されているので、これらを遵守することが重要である。 |
40 | 管理が不十分だった | 助産師 | 5時過ぎに点滴の〆をするため巡視したときは、異常なかった。5時40分過ぎ、児の啼泣が聞かれ観察すると、ベッドサイドに児の手掌2つ分ほどの出血痕があった。ルートをかくにんすると、CVカテーテルとエックステンションチューブの接続部が外れていた。前回ルートを確認したときは、目で追って確認しただけで、触ってルートを追って確認していなかった。即採血をし、BS値11と下がっていたためルートをもう一方(ダブルルーメン)のルートに接続しなおし、輸液を再開した。血圧が一時的に低下したが30分ほどで回復した。 | ・ルートの確認をマニュアル通りに行っていなかった。・前日三方活栓を交換(定期交換)しており、接続に若干の緩みがあった可能性がある。・三方活栓の重みによって、接続の緩みが大きくなった可能性がある。 | ・ルートの確認は、必ず触って接続部に緩みがないかも確認することを徹底する。・三方活栓はガーゼに包み、足等に固定する。 | テルフージョン三方活栓 R型 | テルモ | 当該事例は企業に報告されていないため、原因の特定はできない。事例内容からエクステンションチューブ付きの三方活栓と考えられるが詳細は不明である。しかしながら、三方活栓の添付文書では、使用中は本品の破損、接合部の緩み及び薬液漏れ等について、定期的に確認すること、さらに、本品が身体の下等に挟まれないように注意すること等が注意喚起されている。 | |
41 | 扱いにくかった | 臨床工学技師 | 昨年11月テルモのポンプ用輸液セットをPVCフリーに切り替えた。その後、輸液ポンプ使用中に気泡が無いにもかかわらず、気泡エラー検出などの警報異常のための点検修理依頼が、医療機器管理室へアラームがなるケースが40件以上出ている。ポンプの不具合は検出されない事が殆どであり、明らかにポンプ用セットに何か問題があると推察される。 | ・ポンプの製造方か、素材による影響が考えられ、テルモの業者には報告し、調査依頼中。 | 要因を解明し、メーカー側による改良が必要と考える。 | テルフュージョンポンプ用輸液セット TSーPA304L | テルモ | 2004 | ポンプの種類によっては、気泡センサー部のチューブ挿入幅が狭くなっており、塩化ビニル製チューブよりやや柔軟性に劣るポリブタジエン製チューブの特性で、たわみが生じやすく、気泡検出部に十分密着できない場合があった可能性が考えられる。また、輸液ポンプの個体のばらつき、気泡検出感度、ポリブタジエン製チューブの表面状態がやや粗くなることで、気泡検出レベルに影響を与えることが考えられる。従って、企業においては、チューブの表面状態の粗さのばらつきを少なくすること、チューブ表面の平滑化を検討している。なお、ポリブタジエンに変更当初に頻発したが、現在は安定し発生しておらず、医療機関においては、チューブを気泡センサー部に十分密着させることが重要である。 |
42 | 複数の規格が存在した | 看護師 | 5%グルコース500ml+ノボヘパリン10000単位、24時間キープの指示。輸液ポンプ使用し点滴開始。翌日、回診時、残量が多いので確認したら、積算量は482mlの表示されていたが、実際は約200mlの使用だった。使用した輸液セットは新製品で汎用輸液セットで当院の使用しているポンプでも使用出来ると外装に記載されていた。ただし、専用と汎用の切り替えが必要とは記載されていない。説明もなっかったとのこと | 新製品の場合の細部の確認を怠った。ポンプ等を使用している患者様の確認は訪室毎に行なう約束がなされなかった。 | マニュアルの厳守。 | テルフュージョン輸液セット | テルモ | 2004 | 本報告のテルフュージョン輸液セットの汎用タイプの外装には、使用出来る輸液ポンプの機種の記載はないため、本事例で使用した輸液ポンプ及び輸液セットは不明であるが、取り扱い上の問題であると考えられる。また、輸液セットは、医療機関内で統一することによりこれらの発生を低減できると考えられる。 |
43 | 管理が不十分だった | 看護師 | 輸液ポンプを使用してIVHを滴下していた。交換時間のため確認したところ積算量は437mLを示していたが、残量は500mLであった。また、輸液セットのクレンメ(ポンプ上部にある)が閉まっていた。前回の交換は6:404時間20分経過していたが輸液ポンプのアラームは鳴らなかった。 | 1.輸液ポンプの閉塞は、ポンプの上下で感知するものと思っていた。過去のポンプは感知していたが、最近の機種は、ポンプの下でしか感知しないことを知らなかった。2.IVHの滴下観察のルールはあるが観察が不十分であった。 | 1.業者にレポート内容を伝えた。このとき最近の機種は、輸液ポンプの下でのみ閉塞を感知する様になったことを知った。2.上記をリスクマネージャーを通して看護職員に周知した。3.輸液チェック表活用状況の調査 | テルフュージョン輸液ポンプ TE-161・ | 株式会社テルモ | 2002 | 本事例については、ポンプ上流部につけたクレンメを閉じたまま輸液ポンプを始動したことが原因であると考えられるが、添付文書では、ポンプ上流部でのクレンメの開け忘れ等があった場合、薬液の未投与状態が検出されないことが注意喚起されている。また、添付文書では、輸液開始時には、輸液状態を必ず確認することが注意喚起されており、点滴の落下状態、輸液の減り具合等を確認することが重要である。 |
44 | 管理が不十分だった | 看護師 | 16時点滴更新、17時輸液ポンプの気泡アラームが鳴る。その後、訪室毎に点検チェックを行っていた。ポンプ作動の緑ランプが点灯していたため異常に気づかなかった。しかし、滴下、注入量、残量のチェックを怠り、次の更新時間まで輸液が注入されていなかったことに気づかなかった。点検で輸液ポンプのローラーゴムの劣化が認められた。 | ・チェック項目の残量、積算量を確認していなかった・チェック表のルールを守らなかった・輸液ポンプの保守点検を怠った・チェック表の確認ルールが守られない要因にめんどくさいがある | ・輸液ポンプのリース化に切り替えていく・チェック表の検討(残量、滴下は必要事項とする)・チェック表の簡素化 | テルモ輸液ポンプ(STCー508) | テルモ | 1994 | 本事例は、輸液ポンプの維持管理の問題であり、定期点検等の保守点検、ポンプ使用時の輸液残量の確認が重要である。なお、気泡アラームの発生は、点滴更新時、輸液バックの交換を行い、その時混入したエアーが輸液ライン内に徐々に移動して発生したものと推定される。また、この際、警報を解除し、ポンプの作動ランプを確認しているが、実際の点滴状態の確認が行われなかったのが問題であり、本事例は輸液セットのチューブセットミスと思われるが、実際の滴下を確認することが重要である。 |
45 | 管理が不十分だった | 看護師 | K値が低下したため、前勤務帯からKCLの投与が開始されていた。ルート確認をした際、エックステンションチューブの下に黄色いしみがあることに気がついたが、接続部の緩み等はなかったので開始をする際に少しこぼれたのだろうと思い、そのまま投与を継続した。次にルートを確認した際、また同じ部位が濡れていたので再度接続部を確認したが緩みはなかった。エックステンションチューブを交換して投与を再開した後は、漏れがなくなった。 | ・接続部の確認はしたが、ルートを細かく確認していなかった。・エックステンションチューブに亀裂があったのかもしれない。 | ・エックステンションチューブを交換した。・亀裂が疑われるチューブを業者に確認してもらう。 | トップエックステンションチューブ X1ーL50 | トップ | 当該企業により分析が行われ、亀裂が生じているのが確認された。製造工程においては、当該部分に亀裂が生じるような工程はないこと、亀裂の形状からかんし等のクランプにより生じた亀裂又は金属状のものに挟み込まれたことにより生じたと考えられた。なお、本品の添付文書では、本品の破損、接続部の緩み及び液洩れ等について定期的に確認すること。また、チューブをかんし等でつまんだり、ハサミや刃物等で傷つけないことが注意喚起された。 | |
46 | 管理が不十分だった | 看護師 | 巡視時に点滴ルートの確認をしたところ、ロック式のエックステンションチューブとロックのないエックステンションチューブとの接続部が外れているのを発見した。同時にパジャマ、横シーツ、シーツ、布団が大量の血液で汚染されていることも確認し、外れた接続部から脱血も見られた。23時の巡視時は、目でルートと滴下の確認を行っただけで、触ってルート全部を確認していなかった。患者は心拍が上昇し、血圧の低下がみられたため、補液を負荷することとなった。また、その後採血を実施した。 | ・ロック式でない接続部は、テンションがかかったりすると容易に外れ易い。・通常、ロック式を使用しない場合は、接続部をテープで補強するがそれがされていなかった。・ルートの確認がマニュアル通りにされていなかった。(触ってルートすべてをたどる) | ・院内で使用しているルート類を整理し、すべてロック式及び閉鎖式のものに変更することを検討中・ルートの確認はマニュアル通り実施するよう、教育していく。・ロックのない接続部は、テープで補強することを徹底する。 | トップエックステンションチューブ X2ー50 | トップ | 本事例については、企業に報告されておらず、原因の特定は困難である。本品については、輸液セット基準に準拠しており、また、品質についても抜き取り検査が実施されている。企業において、原因の推定が行われ、患者の体動等による押し潰しや引っ張り等の過剰な負荷が加わった可能性、又は体動等により輸液ラインをキンクし過剰な内圧が発生したことが考えられた。なお、それらについては、添付文書において注意喚起している。また、ロック式回路の接続においても、ロックを過信し接続が緩い場合が多いため、確実な接続が重要である。 | |
47 | 複数の規格が存在した | 看護師 | 定期の気管カニューレの交換時、7.5Frのボーカレイトつきのトラキオソフトを準備するところを、8Frのボーカレイトなしを準備したため交換時医師が開封後に間違いに気がついた。 | 気管カニューレに色々な種類があることを知らなかった。前回気管カニューレ交換時の記録にサイズは記載していたが種類が記載されていなったため気が付かなかった。マニュアルを確認せずに準備した。準備した物品を確認した先輩も号数は確認していたが種類までは確認していなかった。 | 実施前にマニュアル遵守。(実施後にサイズと種類をカルテに記載する。)患者様にどういうものが使用されており、それはなぜなのかを考える。 | トラキオソフト | 日本マリンクロット タイコヘルスケア |
本事例は、準備する物品の間違いであり、管理の問題であると考えられる。なお、当該企業の製品については、サイズとして、チューブ内径と外径がmmの単位で表示されている。 | |
48 | 管理が不十分だった | 看護師 | ランツのエア漏れがあり新品と交換した | 材料の性質上光の影響を受けやすいと思われる。 | 光の影響を受けないように業者からの指導を受け箱管理とした。 | トラキオソフトエバック(ランツ付) | タイコヘルスケアジャパン | 本製品のランツシステムには、天然ゴムを使用しているため、直射日光などの必要以上の照射が品質劣化の原因となる場合がある。そこで、添付文書では、本製品は直射日光及び蛍光灯の付近を避け、箱から製品を出さないように保管することが注意喚起されている。従って、製品保管時の注意事項の遵守が重要である。 | |
49 | 管理が不十分だった | 助産師 | ミルクの注入前に吸引をしようとしたところ、チューブ固定の位置が2cm浅くなっていることに気づいた。口腔内確認すると自然抜管が確認された。すぐに再挿管し、児の状態に変化はなかった。 | ・挿管チューブはカフがついておらず、体動や啼泣によって容易に刺激され抜け易い。・入眠しているとき、挿管チューブの固定のテープ確認をしていなかった。(3時間くらい)⇒入眠していることで安心していた。・閉鎖式吸引チューブの重さが負荷になった恐れがある。 | ・定期的にチューブの固定を確認する事を遵守する。(入眠中も実施する。)・閉鎖式吸引チューブの使用を検討していく。(児の大きさによって使い分けるなど)・チューブの固定をしっかりと行う。 | トラックケアー新生児用Y型6Fr | センチュリーメディカル | 本事例は、閉鎖式吸引チューブ(トラックケアープロダクツ)の問題ではなく、挿管チューブ、閉鎖式吸引チューブ、人工呼吸器回路等すべての重みを考慮した固定方法の確認が重要であると考える。 | |
50 | その他 | 看護師 | 《内容》ギャッジアップ30度安静中、突然起き上がりベッドから降りて(業務用)エレベーターに乗り1Fへ降りてしまった。Pt:「朝だと思って慌てて出ようとした。びっくりした」との事。カーテンは開けてあり、他の勤務者にも当該患者のことは知らせてあった。検温に回りながら15分〜30分おきに訪室し、排尿や用事など確認していた。また、患者はNsコールも押してくれていた。《発見経緯》見るからに不信な患者が廊下を歩いていたため | 日勤から、突然起き上がることは知らされていたが、当病棟には離床センサーがなく、すでに他病棟から他の患者用に借りている状況であった。夜間は看護師の数も減り、人の目につく機会も昼間より激減するため、離床センサーがあればせめて病室から出る前には確保できたとおもわれる。 | 《改善策》離床センサーの購入希望。《所属リスクマネージャのコメント》上記同様 | なし | なし | 2004 |
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医療用具情報(第12回集計分)
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