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記述情報分析事例
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●検査
発生部署(放射線部門) キーワード(検査) |
発生月【5月】 発生曜日【木曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【18時〜19時台】
発生場所【放射線撮影室・検査室】 |
患者の性別【男性】 患者の年齢【59歳】
患者の心身状態【障害なし】 |
発見者【当事者本人】 |
当事者の職種【診療放射線技師】
当事者の職種経験年数【24年2ヶ月】
当事者の部署配属年数【24年2ヶ月】 |
発生場面 |
【施設・設備】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【施設・設備の管理ミス】 |
発生要因-確認 |
【 】 |
発生要因-観察 |
【 】 |
発生要因-判断 |
【判断に誤りがあった】 |
発生要因-知識 |
【 】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【 】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【 】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【 】 |
発生要因-勤務状態 |
【 】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【 】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【 】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【心臓カテーテル検査が施行不能となる】 |
備考【 】 |
アンギオカテ室の朝の始業点検時には、異常見られず。最初の検査で管球に異音発生し業者来院。「管球交換の必要性はあるが、すぐに交換しなくても使える」との返事にて、緊急患者様を検査中撮影不能と成る。 |
1) |
管球の故障は突然で、予測不能の為定期的交換を行っていなかった。 |
2) |
業者の言葉を信じ検査を施行したが、技師に少しでも不安が生じた場合は、主治医に伝えておくべきであった。 |
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1)メンテナンスの契約内容を再度見直し、消耗品に関しては、定期的に交換する必要がある。2)検査中に使用不能になる可能性があることを、主治医に確認の上検査を施行する。 |
専門家からのコメント
1, |
マニアルの観点からの記述がされていない。 |
2, |
対応策として、X線管球の故障と定期的交換を結びつけた記述となっているが、高価な(1500万円程度)の管球を定期的に交換している施設は皆無である。日々の整備と装置の動作状況から異常の検知に関心を払うことが必要である。 |
3, |
考えられる改善策として、メンテナンス契約の見直しが記述されているが、技術者として責任を持って装置を稼動させることの意識が感じられない。 |
|
1, |
メンテナンス契約も一つの方法であるが、基本的には、使用者側で、定期点検、始業・終業点検、装置の異常を検知した場合のマニアルを整備し、マニアルに即した対応を実施することが必要である。 |
2, |
本事例では、事前にX線管球の異常音を検知しており、異音の発生が、どの部分で発生しているのか(陽極軸受けのベアリング等)は、高い確率で推定できた。装置の正常稼動の確認と異常の検知は最も装置の状況を熟知している放射線技師の責任であり、このような状況(技術者が装置に対して責任を持てない状況で)で検査を、医師に確認した上で実施する等の行為は、技術者の責任転嫁である。放射線技師が装置のメンテナンスに対する正しい知識を有していれば今回の事例は防止できた。
(例えば、冠状動脈開存術中に透視が出来なくなった場合等、患者の生命を左右する医療事故の発生の原因になることも十分考えられる。) |
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事例1345 |
: |
(指示・依頼書の確認不足による左右間違えての乳腺造影検査) |
発生部署(放射線部門) キーワード(検査) |
発生月【 月】 発生曜日【金曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【12時〜13時台】
発生場所【放射線撮影室・検査室】 |
患者の性別【 】 患者の年齢【 歳】
患者の心身状態【乳腺腫瘍】 |
発見者【 】 |
当事者の職種【診療放射線技師】
当事者の職種経験年数【13年2ヶ月】
当事者の部署配属年数【13年2ヶ月】 |
発生場面 |
【 】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【 】 |
発生要因-確認 |
【 】 |
発生要因-観察 |
【 】 |
発生要因-判断 |
【 】 |
発生要因-知識 |
【 】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【 】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【 】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【 】 |
発生要因-勤務状態 |
【 】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【 】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【 】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【間違いが実施されたが、患者に影響がなかった事例】 |
備考【 】 |
左乳腺造影検査時、右の乳腺造影検査撮影を始めた。開始直後に左右間違いに気付き中止。後日再検査を実施する。 |
専門家からのコメント
乳腺造影の検査を医師が、伝票、カルテに記載し、患者に説明。看護師が検査の手順を説明。検査当日、受付を通り、検査申し込み表を検査技師に渡すという手順でしょうか。この病院ではどのような手順になっているか不明です。
発生要因として、
インシデントの影響度の所で、「間違いが実施されたが、患者に影響がなかった事例」と記載されています。米国171の退役軍人病院で行われている報告制度では、事例の重要度の基準として、手術あるいは検査手技での左右取り違えは「破滅的(catastrophic)」に分類されます。この事例では造影剤が予定とは反対の乳腺に注入されており、重大事例と考える必要があります。 |
「撮影指示・依頼書の確認を徹底する。」とありますが、問題は検査技師だけではないと考えられます。
左右取り違えは手術室以外の場所でおこる可能性が高く、「誤りやすく,かつ誤りが重大な結果を生じ得る情報」です。今回は最終段階での一人の診療放射線技師の確認ミスでインシデントが発生しました。
最終段階だけでなく、依頼の段階から取り違える可能性もあります。撮影依頼の指示がでて、撮影が行われるまでの業務過程を組織的に見直す必要があります。たとえば、医師が説明し了解をえられたら、同意書をとり、左右の部位を記載し、患者に確認した上で、サインしてもらう。患者が理解困難な場合は家族にサインしていただき、検査当日の来院をお願いする。検査当日は、指示書で部位を確認するとともに、患者、もしくは家族に部位を口頭で確認する等の手順をきめる必要があります。このように、複数の医療者の確認、患者、家族等の確認を求めるシステムの構築が必要と思われます。 |
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事例4975 |
: |
(確認不足により2回のCT検査を実施した事例) |
発生部署(放射線部門) キーワード(検査) |
発生月【6月】 発生曜日【木曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【10時〜11時台】
発生場所【放射線撮影室・検査室】 |
患者の性別【男性】 患者の年齢【80歳】
患者の心身状態【障害なし】 |
発見者【他職種者】 |
当事者の職種【看護師、看護助手,診療放射線技師】
当事者の職種経験年数【 年 ヶ月】
当事者の部署配属年数【 年 ヶ月】 |
発生場面 |
【患者取り違え】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【誤指示・情報伝達間違い】 |
発生要因-確認 |
【確認が不十分であった】 |
発生要因-観察 |
【 】 |
発生要因-判断 |
【 】 |
発生要因-知識 |
【 】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【不十分であった】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【 】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【 】 |
発生要因-勤務状態 |
【 】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【教育訓練が不十分だった,マニュアルに不備があった】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【 】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【間違いが実施されたが、患者に影響がなかった事例】 |
備考【 】 |
入院中の患者に対し、胃ろう増設術施行後CT撮影の順番であったが、看護補助者が間違ってCT室へ患者を搬送し、放射線技師は確認しないままCT撮影を行った。再度内視鏡室より呼び出しがあり、胃ろう増設をしないままCT撮影を施行したことに気づく。再度内視鏡室に行き胃ろう増設後CTを撮影することになり余分な被爆を与えた。 |
内視鏡室より呼び出しの連絡を受けた看護補助者は勘違いしてCT室よりの呼び出しであると看護師へ連絡。連絡を受けた看護師は確認しないまま看護補助者に検査出を指示し看護補助者はCT室まで搬送した。CT室放射線技師も確認しないまま撮影した。どの過程においても業務手順を無視した行動で確認作業を怠ったためにおきたものである。 |
業務手順の見直し。病棟は検査日、順番等記載したカードを活用する。放射線かでも確認作業の徹底を行う。 |
専門家からのコメント
1, |
マニアルの観点からの記述がされていない。 |
2, |
発生場面で、「患者取り違え」とあるが、搬送場所、検査実施時期、検査依頼目的の認識不足により発生したものである。 |
3, |
インシデントの影響度の記述で、「…影響はなかったとあるが」、患者からの「不信感」「放射線被ばく」に対する心配のあることは拭いきれない。今後の事例に本事例を活用するためにも、無駄な放射線被ばくが、患者に影響がなかったとすることの記述は適切ではない。 |
|
1, |
HIS・RISが整備されているシステムかどうかで、改善策が異なる。
報告事例の中に、当該施設のシステム状況が理解できる情報が必要である。 |
2, |
HIS・RISが未整備の場合、患者検査予定表を患者に携行させ、終了毎に、各所でサインを記入する(ラリー形式)の採用も検討の一つである。 |
3, |
HIS・RISが整備されている場合、各端末で患者毎のスケージュールと、当日の行動表が、院内各所で理解できるシステムの構築が必要であるが、
(類似する事例は、多々発生しているものと推定できる)
患者のスケージュールは、作成されていても、優先順位が明確に示され、間違った場合、警告表示がされるシステムでない限り、改善出来ないものと考える。
優れたシステム構築の例を機能評価の面で活用することも一つの案である。 |
4, |
今回の事例を、単なる看護師の伝達ミスとすると再発の可能性は高く、また、あらゆる場面で発生する。指示変更時の対応マニアルおよび医療スタッフへの周知徹底システムの整備が必要である。 |
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事例5935 |
: |
(血糖測定・インスリン指示変更時のエラー) |
発生部署(入院部門一般) キーワード(検査 血糖測定 インスリン 指示変更) |
発生月【 月】 発生曜日【金曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【10時〜11時台】
発生場所【病室】 |
患者の性別【 】 患者の年齢【 歳】
患者の心身状態【障害なし】 |
発見者【 】 |
当事者の職種【看護師】
当事者の職種経験年数【12年6ヶ月】
当事者の部署配属年数【 0年6ヶ月】 |
発生場面 |
【 】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【 】 |
発生要因-確認 |
【 】 |
発生要因-観察 |
【 】 |
発生要因-判断 |
【 】 |
発生要因-知識 |
【 】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【 】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【 】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【 】 |
発生要因-勤務状態 |
【 】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【 】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【 】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【間違いが実施されたが、患者に影響がなかった事例】 |
備考【 】 |
昼食前に血糖測定し血糖値とスケール表を確認しインシュリンを施行した。詰所に戻り検査伝票に測定値を記入する時、朝の測定値が記載されていないのに気付き他のNSに確認したところ、昨日指示変更有り今朝から定期のインシュリンに変わったことが判明した。昨日指示を受けたNSがスケール表と検査伝票を破棄することを忘れた為、個人のカルテに添付されたままだった。患者は指示量より多いインシュリンを施行したため、低血糖を起こす可能性があった。 |
インシュリン施行時の正規の手順を実施しなかった。(インシュリン一覧表・ベッドサイド単位表の確認)指示変更時の情報が伝わっていなかった。新人指導の為、別のチームの患者を対象に選んで施行した。指示受けしたNSは7日前に育児休暇から復帰したばかりだった。 |
インシュリン施行時の手順の再確認をした。チーム間の情報伝達の方法改善。復帰NSの教育方法の改善。 |
専門家からのコメント
【ヒヤリ・ハットの具体的内容】の記入方法つについて
医師の指示変更の記載内容があると、指示出しから実施までの一連のプロセスが分析できます。指示受けした看護師以外でもなぜ変更が確認できなかったのか、医師の指示出し方法、看護師の指示受け方法のエラーなのか、ひとりが誤るとエラーが発見できない方法なのでしょうか。
患者への治療方法の変更は説明されていたのでしょうか。患者の年齢は不明ですが、「心身状態は障害なし」との概要なので患者への説明は必要です。患者の治療への理解・協力はエラー防止に繋がります。
【ヒヤリ・ハットの発生した要因】の記入方法について
(1)インスリン施行時の正規の手順を実施しなかった(2)指示変更時の情報が伝わっていなかった(3)新人指導の為、別のチームの患者を対象に選んで施行した(4)指示受けした看護師は7日前に育児休暇から復帰したばかりだった。(1)〜(4)の記入は問題点であり、なぜそうなったかの要因がはっきりしていません。例えば、(1)は、正規の手順は誰もが理解していたのか、使いやすい手順であったのか、確認事項の不足はなかったのかなど、問題の本質がはっきりするように、どうして起こったかを掘りさげるとよいでしょう。 |
【考えられる改善策】に(1)インスリン施行時の手順の再確認をした(2)チーム間の情報伝達の方法改善(3)復帰看護師の教育方法の改善、とあります。(1)〜(3)について内容を具体的にあげましょう。
再確認をしたのはどの部分でしょうか。エラーの発生したどの部分の手順を改善するか具体的にあげましょう。
インスリンは指示量の誤りにより患者への危険性が高く、また患者の状態で指示の変更が多くなります。そのため変更時の情報伝達は重要になります。今回の事例においては、患者と医療者、医師と看護師、看護師間のそれぞれの伝達方法を改善するとよいでしょう。
教育方法は、各部署に任されていたのでしょうか。復帰看護師が多い傾向の施設では、看護部としての対応が必要になるでしょう。新人教育だけでなく、多様な背景の看護師に対応する教育プログラムが必要です。
その他
事例中に記入はありませんが、医師は血糖測定中止と定期のインスリンへの変更を患者へ説明していたでしょうか。また看護師は患者に変更を確認していたでしょうか。特に食事前の検査や治療は患者の協力が必要です。「ベッドサイド単位表の確認」がインスリン施行時の手順にあるようなので、患者と一緒に確認するなどの項目を手順の中に入れてはどうでしょうか。患者に任せるということではなく、患者に検査・治療内容を理解してもらう機会になり、治療内容を患者とともに確認できることになります。
【参考文献】
「ヒヤリ・ハット11,000事例によるエラーマップ完全本」、川村治子、医学書院、2003年 |
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事例6042 |
: |
(不適切な状態の検体検査の結果を報告した事例) |
発生部署(入院部門一般・臨床検査部門) キーワード(検査・採血) |
発生月【6月】 発生曜日【月曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【10時〜11時台】
発生場所【検査室】 |
患者の性別【女性】 患者の年齢【27歳】
患者の心身状態【不明】 |
発見者【他職種者】 |
当事者の職種【臨床検査技師】
当事者の職種経験年数【11年0ヶ月】
当事者の部署配属年数【11年0ヶ月】 |
発生場面 |
【検体検査】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【その他の検体管理・取扱い】 |
発生要因-確認 |
【確認が不十分であった】 |
発生要因-観察 |
【観察が不十分であった】 |
発生要因-判断 |
【判断に誤りがあった】 |
発生要因-知識 |
【知識が不足していた】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【不適切であった】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【他のことに気を取られていた】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【医師と技術職の連携不適切】 |
発生要因-勤務状態 |
【多忙であった】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【 】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【 】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【間違いが実施されたが、患者に影響がなかった事例】 |
備考【 】 |
病棟より8時30分の検体で凝固系、PT時間、HPTのオーダーがあった。PT活性20%、HTP100%であったので、試薬の残量チェックコントロールの確認を行ったのち、再検査したが結果は同様であった。担当医師にデータについて問い合わせをしようとしたが、忘れていた。15時頃担当医師よりデータについて指摘があり、データ異常が判明した。 |
担当者が採血管に適量採血されていることのみを確認し、遠心分離を行ったことが原因である。抗凝固剤の加わっている検体は、検体が凝固しているか否かを確認する必要があった。 |
異常データが出たときには試薬コントロールの確認だけではなく、検体を確認するというマニュアルの遵守が必要である。 |
専門家からのコメント
本事例においては、当事者に採取した血液の凝固に対する自覚があったか否かについては記載がないので不明である。このような、抗凝固剤添加採血管の血液凝固は日常頻繁に経験するトラブルであるので、インシデントレポートにこの点における採血者の記憶を明記することにより、次回より問題と思われる検体については検査技師に忘れず伝達することを意識づけられること、また、同様の事例を起こさないように広く周知徹底できるのではないかと考えられる。 |
これは、2つのインシデントが重なり誤った検査結果が臨床医に報告されるというアクシデントに繋がった症例である。
病棟採血時、看護師の手技の問題により、採血した血液に凝固が生じたことが考えられる。この際、採血した当事者に『採血時、長時間を要した』あるいは、『採血管の転倒混和が不十分であった』という血液凝固につながる問題に関する実態があれば、これは後の検査に多大な影響を及ぼすので、必ず検査技師に伝達されなければならない。しかし、当院における日常業務でも経験することではあるが、採血者(看護師)からこのような情報がもたらされることは非常に稀である。
【その対策】
血液を用いた検体検査は非常に頻繁に行われる検査であり、採血実施者に検体の取扱によ
る血液凝固等の自覚があったか否かは、非常に重要な問題である。検体の取扱方法についての知識を身につけるとともに、問題と思われる検体については検査技師に忘れず伝達するよう周知徹底させることが望ましい。疑わしい検体について報告することは、血液凝固を未然に防止するうえでは役立たないが、凝固した検体を測定するという事故抑止には効果があると思われる。
検体を受け取った検査技師は、採血管に規定の血液量が採血されていることのみを確認し、凝固の有無の確認は行わなかった。本症例のようにプロトロンビン時間などを測定するための採血管は抗凝固剤の量が血球算定用と比較して多く、それゆえ検体の凝固確認は注意深く行う必要がある。通常業務でも測定後のデータから気付かれることも多い。しかし今回の症例ではパニック値(PT活性値20%)が見られたにもかかわらず、医師とのコンタクトを取ることが遅れ、結果として誤った数値がコメント無しで報告されるという事態を招いた。
【その対策】
検査に携わる技師は、試薬の劣化や機器の整備などハード面の確認を重視する傾向にあることが多く、採血部位や検体の状態などのソフト面に注目しない場合もある。しかしながら検査結果を左右するソフト面が確立されていなければ、ハード面が充実されていても、その検体のデータに対する臨床的意義を担保することはできない。そのため、検体を用いた検査の場合、その検体の状況をまず確認する習慣を付けておくことが重要であると考えられる。
検査はその採取段階から検体の測定が始まっていると言える。従って血液検査であれば、採血のための静脈を選択する所から報告書を提出するところまでを一連の作業として一人の人間が行う、もしくは専門職として個々の役割は責任を持って行い、十分に連携していくことがインシデントを未然に防止する方策であると考えられる。 |
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事例6587 |
: |
(患者確認不足による違う患者への検査の実施) |
発生部署(入院部門一般) キーワード(検査) |
発生月【 月】 発生曜日【水曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【10時〜11時台】
発生場所【検査室】 |
患者の性別【 】 患者の年齢【 歳】
患者の心身状態【意識障害,聴覚障害,構音障害,歩行障害】 |
発見者【 】 |
当事者の職種【看護師,診療放射線技師】
当事者の職種経験年数【 年 ヶ月】
当事者の部署配属年数【 年 ヶ月】 |
発生場面 |
【 】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【 】 |
発生要因-確認 |
【 】 |
発生要因-観察 |
【 】 |
発生要因-判断 |
【 】 |
発生要因-知識 |
【 】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【 】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【 】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【 】 |
発生要因-勤務状態 |
【 】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【 】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【 】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【 】 |
備考【 】 |
看護師(1年)がA氏の介助を終えた所に、MRからB氏を出すよう連絡が入った。看護師はB氏のIDカードを持ち、B氏のつもりでA氏を連れて検査室に行った。検査技師(29年)は患者に名前を名乗ってもらおうとしたが、看護師が「高度難聴と構音障害でコミュニケーションが取れません。」と言ったのでIDカードだけで患者確認を行い検査室へ誘導した。医師には「耳が聞こえない方です。」と伝えたため、患者確認しないまま検査が行われた。病棟に迎え出依頼の電話をした際に、患者を間違えて出したと伝えられた。 |
患者はリストバンドをしていたが、看護師・技師・医師の誰もリストバンドで患者確認をしていない。 |
患者確認マニュアルの遵守(リストバンドで患者確認)。 |
専門家からのコメント
以下疑問あります。
1) |
看護師がなぜB氏のIDカードを持ち、A氏をつれていったか、 |
2) |
なぜ検査技師は規則にないIDカードだけで患者確認をしようとしたのか |
3) |
なぜ医師は「耳が聞こえない方」の患者確認しないのか |
これらの疑問はセイフティーマネジャーが事例分析のときに、事情聴取する必要があります |
患者誤認は院内の様々な部署でおこりうる。レントゲン検査、血液、病理のサンプルでの遅れは誤診、不適切な治療をおこしうる。今回集積された事例のなかに、検査時の患者誤認が多数報告されていた。多くの施設では患者呼びかけによる確認法のみで対応しているためである。誤認による有害事象を減少させるため、JCAHO(米国医療機関評価認証合同委員会)では検査、投薬、輸血をする時に少なくとも2つの異なった、独立した方式による確認法を推奨している。患者呼びかけによる確認法に加えて、患者診察券、リストバンド等を利用している施設が多いと思われる。
本事例の場合は高度難聴と構音障害でコミュニケーションがとれない患者さんであるので、確認はリストバンドでする必要があった。リストバンドで確認する規則になっていたにもかかわらず、看護師・技師・医師の誰もリストバンドで患者確認を実行しなかった。改善策として、「患者確認マニュアルの遵守(リストバンドで患者確認)」と記載しているが、これでは掛け声だけに終わる。マニュアルが遵守されなかった原因を追究しなければ改善には結びつかない。その可能性として、1)リストバンドを利用した確認システムが複雑で誰も実施しなくなった、2)リストバンドの字が読みづらく実施しなくなった、3)リストバンド装着拒否する患者が多く実施しなくなった、等ありえると思われる。マニュアルを遵守できなくなった理由をつきとめることにより、適切な対策をたてることができる。 |
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●食事・栄養
事例1719 |
: |
(検査前待食指示の患者に食事を摂取させた事例) |
発生部署(入院部門一般) キーワード(検査、遅食、スタッフ教育、情報共有システム) |
発生月【6月】 発生曜日【月曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【10時〜11時台】
発生場所【ナースステーション】 |
患者の性別【女性】 患者の年齢【83歳】
患者の心身状態【嚥下障害】 |
発見者【他職種】 |
当事者の職種【医師,看護師】
当事者の職種経験年数【14年3ヶ月】
当事者の部署配属年数【0年3ヶ月】 |
発生場面 |
【その他の指示受け】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【指示出し・情報伝達不十分】 |
発生要因-確認 |
【確認が不十分】 |
発生要因-観察 |
【 】 |
発生要因-判断 |
【判断に誤りがあった】 |
発生要因-知識 |
【知識が不足】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【 】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【 】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【 】 |
発生要因-勤務状態 |
【 】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【教育・訓練が不十分】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【説明が不十分】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【間違いが実施されたが、患者に影響がなかった事例】 |
備考【 】 |
新任の医師が経食道エコー・朝遅食の指示を出した。経食道エコーの指示を伝える伝票は、心エコーの伝票で「TEE」と記載されていた。受け取った看護師はTEEの意味がわからないが、心エコーの伝票だったので心エコーと思い込み準備。食事も心エコーなので医師指示は遅食なのに食事摂取させた。翌日医師が巡視時に食事をしている患者をみて看護師に確認して発見 |
当院規定の略語集がない。(情報管理士は略語は禁止だとしているが実際的ではなくわからない略語が氾濫する)経食道エコーの伝票がないまま心エコーの伝票で現場が代用していた。看護師は不明な点をそのままにして自分で思い込んで指示を取り違えている。不明な指示は医師に聞くというルールが守られていない。 |
略語集の検討。伝票の作成。看護師の疑義照会の重要性喚起 |
専門家からのコメント
以下のような情報があれば、エラーの発生を誘発した背景要因が明らかになり、より具体的で実効性のある対策の立案が可能だと考えます。
* |
当該チーム内で通常利用されている「経食道エコー」の略語 |
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検査指示用紙の様式 |
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検査による遅食などの指示が配膳担当者の伝達される実際の仕組み |
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新任の医師や、新配属看護師に対する業務オリエンテーションの実際 |
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スタッフ教育・業務オリエンテーションの不徹底、略語の乱用、検査オーダー・システムの不備等、十分に整備されていない業務環境を背景として、検査前待食指示のあった患者に食事を摂取させてしまった事例だと考えられます。以下のように、多面的、総合的に対策を考えると良いと思います。
1. |
検査オーダー・システムの整備
(1) |
原則としてアルファベットの頭文字だけの略語を使用しない
忙しい業務の中で、記録に要する時間を短縮できることもあって、略語を使用することが日常茶飯事になっています。しかし、同じ表記であっても、専門領域が違えば全く意味の異なる用語があったり、フル・スペルで理解していないことも多いため、思わぬ勘違いをしていたりすることもあります。自分の常識が常に通用するとは限らないことを前提に、コミュニケーションの手段としての「検査名の表記」を検討する必要があります。 |
(2) |
機能的で合理的な表記様式の検査指示書を作る
医療費の算出の点から見ても、その施設で実施されている全ての検査を網羅して検査指示ができることが、検査指示票の絶対要件です。例えば次のような方策が考えられます。 |
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同一系統の検査毎に指示用紙を準備し、「エコー」検査指示用紙であれば、その中に、検査の部位(例えば「心臓」「腹部」「卵巣」など)、アプローチの方法(例えば「経食道的」「経膣」など)、検査前処置として食事(例えば「食事制限なし」「前日から絶食」「検査終了まで遅食」など)、検査後処置(例えば「床上安静○○時間」「絶食○○時間」「制限なし」など)の、必要項目を予め設けておき、関連個所を○で囲むなどのルールにしておくと良いでしょう。その際、検査によって用紙の色分けをしておくと注意喚起にもなります。こうすれば、医師は手書きの煩わしさから開放されるだけでなく、無闇に略語を使う習慣を作らないという効果も期待できます。
2. |
検査に関連した食事指示が食事業務担当者とも共有できるシステムを作る
検査に関する指示内容は、通常、指示を出した医師、指示を受けた看護師、検査を実施する検査技師、そして患者との間で共有されます。しかし、検査前の処置や検査後の処置の中で、食事については、栄養士、調理師、看護チームのメンバー、及び、その監督下で看護助手やボランティア、患者の家族などが直接関与することになります。特に「絶食や待食」を確実に行うには、食事提供サービスの最終行為者である配膳担当者がその情報を把握しておくことが、最も重要なポイントです。配膳表や食札など、配膳担当者が利用する情報媒体に「絶食や待食」の指示情報が表記されるような業務システムを具現化してください。 |
3. |
患者の食事摂取時間に合わせて食事提供する体制を作る
たとえオリエンテーションを徹底していても、配膳してしまえば患者が食事を摂取するリスクは高くなります。臨時の絶食や待食については、食事が必要となるまでは配膳しないという選択肢もあります。患者の食事摂取時間に合わせて食事を提供する体制を作ることは、配食から摂取までの時間を適正に管理し、食中毒の防止や異物混入リスクを軽減させる点からも重要です。ただし、食事関連職種全体の業務管理に関わることですから、十分な議論と施設の実情を考慮した検討が必要であることは言うまでもありません。 |
4. |
新任スタッフへの教育・業務オリエンテーションを通して環境リスクを発見し対処する文化の熟成 |
このインシデントは、不合理な業務環境下で、新任の医師と、ベテランではあるが部署配属間もない看護師が関与したことで発生しています。曖昧な仕事を実施してしまった医療人としての無責任さは追求されなければなりませんが、現場を構成するメンバーは多様であることを前提として、業務環境を整備しておくことが肝要です。新任スタッフへの業務に関するオリエンテーションを徹底する教育システムであれば、その過程で、検査用紙の内容や指示系統の不備が発見される確率は高まります。“分からないことは臆せず聞ける”チームの雰囲気をベースに、新任者の新鮮な感覚で業務を見直すという姿勢も大切にしたいところです。 |
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事例3565 |
: |
(嚥下障害の患者に家族が持ち込みのパンを食べさせ窒息しそうになった事例) |
発生部署(入院部門一般) キーワード(食事と栄養) |
発生月【 月】 発生曜日【月曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【18時〜19時台】
発生場所【病棟のその他の場所】 |
患者の性別【 】 患者の年齢【 歳】
患者の心身状態【構音障害,痴呆・健忘】 |
発見者【 】 |
当事者の職種【准看護師】
当事者の職種経験年数【8年8ヶ月】
当事者の部署配属年数【1年0ヶ月】 |
発生場面 |
【 】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【 】 |
発生要因-確認 |
【 】 |
発生要因-観察 |
【 】 |
発生要因-判断 |
【 】 |
発生要因-知識 |
【 】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【 】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【 】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【 】 |
発生要因-勤務状態 |
【 】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【 】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【 】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【間違いが実施されたが、患者に影響がなかった事例】 |
備考【 】 |
・従来より家族の方が病院食以外の飲食物を持ち込み,患者に食べさせていた。・夕食後家族持ち込みのパンを喉に詰まらせる。・同室者よりナースコールがあり状態確認し,喉に詰まったパンの除去を行い,担当医の診察を受け異常のないことを確認した。 |
・家族の飲食物の持ち込み確認が十分出来ていなかったため,看護師の対応が出来ていなかった。・主治医の事後情報では,当院入院前の他院で,病院食を食べずにゴミ箱に捨て,栄養失調状態に陥ったことが有るようで,その時の家族の対応が引き続いていたものと思われる。 |
・本人・家族と看護師が話し合った結果当院の病院食で特に問題ないとの納得が得られた。・一般的に,病院食で満足が得られない場合は,管理栄養士の指導と主治医の協力を得て対応することとした。・一方,食事療養箋を作成し,全入院患者を対象とした間食の実態を把握し,その可否を検討し対応するよう行動を開始した。 |
専門家からのコメント
構音障害があったとありますが、脳神経系の機能障害をもたらす病態が存在したと推測されます。窒息の危険のある患者に家族が食事介助を死していた理由など、出来事の背景を含め、嚥下障害など患者側の要因、医療側の要因について記載すると、有用な情報になるでしょう。
* |
患者の年齢、病態、嚥下障害の有無や程度 |
* |
患者の認知レベル,ADL |
* |
病院食の内容(食材の大きさや硬さに配慮や工夫があったのか) |
* |
医療スタッフは窒息の危険についてどのように認識していたか |
* |
食事介助の要点が看護チームで共有されていたか |
* |
三食の食介助は通常は誰が行っていたのか,看護師は行っていなかったのか |
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看護師の勤務体制、夜勤帯の人員配置 |
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家族は窒息の危険を認識していたか |
* |
家族に対して食事介助の教育はなされていたか |
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全入院患者を対象とした間食の実態を把握することが対策として挙げられています。病院の規模が分かりませんが、全患者を対象とするのは、業務量の点からいって相当の努力が必要と思われます。しかし、残念ながら、間食の実態が分かったからといって、個々の患者の窒息を防ぐ有効な対策にはつながりません。発生要因に焦点を当てた合理的な対策を実践することが重要です。次のような対策を提案します。
1. |
入院時に誤嚥・窒息のリスクを把握し、防止策を関係者で共有する。 |
大切なことは、まず、患者の誤嚥・窒息のリスクを把握することです。加齢による嚥下機能の低下や病態から誤嚥・窒息の可能性を予測し、医師と嚥下障害や「むせ」などの情報を共有したり、入院時の家族からのインタビューによって情報を得たりして、誤嚥リスクの評価を行い、注意が必要な患者を選定します。そうすれば、介助にあたる人が、個々の患者の誤嚥や窒息の危険度を把握して、その患者の危険度に応じて食事時の環境を整えていくことができます。その過程で、対応の必要な患者については、持ち込む食品を許可制にしたり、家族に食品・食材についてアドバイスをして理解してもらったり、といった工夫をしてみると良いと考えます。
誤嚥・窒息リスクのアセスメント、誤嚥を防ぐ食事介助、嚥下リハビリテーションなどの具体的方法については,先進的な取り組みをしている医療チームの知見を活用することをお勧めします。
《参考文献》
(1) |
聖隷三方原病院嚥下チーム「嚥下障害ポケットマニュアル第2版」医師薬出版 |
(2) |
兵庫県立総合リハビリテーションセンター中央病院摂食嚥下障害研究会「看護師のための摂食・嚥下障害アセスメントマニュアル」日総研 |
2. |
誤嚥・窒息リスクの高い患者の食事介助は看護師が実施できる体制を作る |
食事介助の必要な患者の情報が医療チームの中で情報共有されていると、介助者に対する業務の配慮などのサポート体制がとれて、看護師が食事介助に専念することがある程度可能になるのではないかと思われます。例えば、食事介助をしている間は、ナースコールや電話に出なくてもよいようにバックアップすることや、食事以外の用件に関する声がけを行わないというようなことです。
食事介助という行為は一見誰にでもできそうに見えることと、看護師の手が回らないといった現実的な理由によって、食事介助を患者の家族が行っていることが多いのが現実の医療の姿です。しかし、本来、個々の患者の誤嚥や窒息などの危険を予測し、誰がその患者の食事介助を行うのが適切なのかを判断し、安全で適切な方法で食事の援助をするのは、療養上の世話に責任を負う看護師が担うべき仕事です。誤嚥や窒息リスクの高い患者を識別し、その患者の食事介助を看護師が責任を持って行えるようにするには、看護要員の確保や、看護業務の整理による人員の捻出など、人的管理の基盤整備が重要な課題となります。
本事例では発生時に食塊を除去できたことで、事なきを得ていますが、除去に成功しなかった場合、救命処置の体制が十分に整備されていたかどうか疑問が残ります。高齢患者や脳神経疾患患者の多い病棟では、誤嚥や・窒息のリスクが高いことを踏まえ、救命処置の体制を整えておくことが重要です。誤嚥・窒息した場合の処置や対応について、部署内で事例を共有し、対応の確認や器材の点検をしておくことも大切です。
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事例5342 |
: |
(持ち込み食摂食後、アナフィラキシー・ショックを起こした事例) |
発生部署(病棟) キーワード(食物アレルギー・持ち込み食・知識不足・情報共有システム) |
発生月【 月】 発生曜日【木曜日】曜日区分【平日】発生時間帯【12時〜13時台】
発生場所【病室】 |
患者の性別【 】 患者の年齢【 歳】
患者の心身状態【呼吸困難】 |
発見者【患者本人】 |
当事者の職種【 】
当事者の職種経験年数【 年 ヶ月】
当事者の部署配属年数【 年 ヶ月】 |
発生場面 |
【 】 |
(薬剤・製剤の種類) |
【 】 |
発生内容 |
【 】 |
発生要因-確認 |
【 】 |
発生要因-観察 |
【 】 |
発生要因-判断 |
【 】 |
発生要因-知識 |
【 】 |
発生要因-技術(手技) |
【 】 |
発生要因-報告等 |
【 】 |
発生要因-身体的状況 |
【 】 |
発生要因-心理的状況 |
【 】 |
発生要因-システムの不備 |
【 】 |
発生要因-連携不適切 |
【 】 |
発生要因-勤務状態 |
【 】 |
発生要因-医療用具 |
【 】 |
発生要因-薬剤 |
【 】 |
発生要因-諸物品 |
【 】 |
発生要因-施設・設備 |
【 】 |
発生要因-教育・訓練 |
【 】 |
発生要因-患者・家族への説明 |
【 】 |
発生要因-その他 |
【 】 |
間違いの実施の有無及びインシデントの影響度【間違いが実施されたが、患者に影響がなかった事例】 |
備考【 】 |
甲殻類アレルギー疾患をもつ入院患者がアナフィラキシーショックによるものと思われる呼吸困難をおこした。病院食は甲殻類禁止食となっていたため、当初、呼吸困難の原因がわからなかった。病院食以外で患者が口にしたものは患者本人が近隣の弁当屋で購入したから揚げだけであることが判明。エビフライやイカフライがおかずとしてある弁当屋であったため、揚げ油が原因と思われる。 |
アナフィラキシーショックは重篤な事態を招く可能性が高く栄養科への連絡が重要となるが、現在使用しているオーダーコードでは嗜好による禁止食なのかアレルギー疾患によるものかの判別ができない。・また、患者本人も揚げ油などからもアナフィラキシーショックを起こす危険があることを認識していなかった。 |
・アレルギー疾患の患者が出現した場合は全スタッフが把握できるよう連絡を確実に行う必要があるため従来の禁止食のオーダーコードに加え、新たにアナフィラキシーショック専用のオーダーコードを作成。これを使用するのはアレルギー等重篤なもののみとしワーファリン投与中の納豆禁止など薬剤処方の関係で禁止している食材については従来の禁止食コードを使用することとした。またアレルギー疾患患者に対応する為、アレルゲンの含まれる食品について詳細に食材のチェックを行い、厨房内でアレルギー疾患対応食を準備する作業において、食器・調理器具等は他の調理作業と同時に行わず、使用する前の洗浄を義務付けた。・患者本人にもアナフィラキシーショックについて再度注意事項等を伝え理解していただいた。 |
専門家からのコメント
食物アレルギーの発生を防止するには、次のような情報について詳細な記述が必要と考えます。
・ |
患者や家族の食物アレルギーについての認知能力や関心度。 |
・ |
食物アレルギーに関して、患者や家族にどのような教育が実施されていたか。 |
・ |
日頃から病院で提供する食事以外のものを食べていたかどうか。 |
・ |
病院食以外のものを食べることを許可していたかどうか。 |
・ |
医療チームのメンバーはこの患者のアレルギーについてどのように認識していたか。 |
・ |
医療チームはこの情報をどのような形で共有していたのか |
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この事例は、加工食品や調味料、調理器具などに付着したアレルゲン食品の摂取が命を脅かす危険を孕んでいることと、その危険についての知識を医療チームと患者や家族が共有しておく必要性について警鐘を与えてくれています。そこで、次のような対策を提案します。
1. |
医療チーム内でアレルゲン情報を共有化し、アレルゲン食材の混入を防ぐ。
(1) |
食事オーダーのシステム上でアレルギー食品と、禁止食品を区別する。
例)“卵禁止”卵をつなぎ程度は使用する。“卵アレルギー”一切使用しない。 |
(2) |
栄養部門内での取り扱いマニュアルを作成し、加工食品の食材をチェックする。 |
(3) |
ヒューマンエラー防止の観点から、できればコンピューターを利用し、献立管理のシステムで個人別にアレルギー食品を自動的にチェックできるソフトを導入する。 |
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2. |
患者や家族にアレルゲン食材の摂取を防ぐ具体策を教育する。
(1) |
アレルゲンとなる食材が含まれる加工食品や調味料について周知徹底を図る。 |
(2) |
加工品や外食を摂取する際には、使用されている食材の確認を行うこと。 |
(3) |
アレルゲンとなる食材と他の食材を一緒に料理しない。 |
(4) |
食器・調理器具は他の人と区分けして使用し、使用前は十分に洗浄する。 |
(5) |
教育効果が得られるまでは、病院食以外の飲食物の摂取は原則禁止とする。やむなく摂取する場合は、医療者の点検を受ける。 |
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食物によるアレルギーは卵や蕎麦など一般にも良く知られた物から、キウイフルーツなどのような思いも掛けない食品によるものも報告されています。入院時に主たる疾患に関連した情報だけでなく、患者の生活暦や食生活の情報から食物アレルギーのアセスメントをすることも、医師や看護師の重要な役割と考えます。
なお、食品衛生法施行規則および乳及び乳製品の成分規格等に関する省令において、食物アレルギーを起こす症例数が多いもの(卵・乳・小麦)と、症状が重篤であり生命に関わるため、特に留意が必要なもの(そば・落花生)の5品目については、アレルギー物質を含む食品として、平成13年4月からその表示が義務付けられています。また、あわび、いか、いくら、えび、オレンジ、かに、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチンの19品目についての表示は推奨とされています。
<参考>
* |
「アレルギー物質を含む食品に関する表示について」の情報は厚生労働省のホームページに掲載されています。 |
・ |
アレルギー物質を含む食品に関する表示
(最終改正 平成16年12月27日付 食安基発第1227001号、食安監発大227004号) |
・ |
食品衛生法施行規則及び乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令の施行について(別添1)
(平成13年3月21日付 食企発第4号、食監発第48号) |
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アレルギー物質を含む食品に関する表示Q&A(別添2) |
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「食物アレルギーの実態及び誘発物質の解明に関する研究」が厚生労働科学研究成果抄録データベースに年次報告されてます。 |
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