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5.国立病院・療養所の独立行政法人化等について

独立行政法人国立病院機構法(平成14 法律第191号)
 中央省庁等改革の一環として、国立病院・療養所が移行する独立行政法人国立病院機構を設立するため、その名称、目的、業務を定める等の措置を講ずる。

1 概要

(1) 法人の名称 独立行政法人国立病院機構(以下「機構」という。)
(2) 法人の目的及び業務
 医療の提供、医療に関する調査及び研究、技術者の研修等の業務を行うことにより、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他のものであって、国の医療政策として機構が担うべき医療の向上を図り、公衆衛生の向上及び増進に寄与
(3) 役職員の身分 国家公務員の身分を付与(特定独立行政法人)
(4) 資本金等 機構の資本金、その他所要の規定を整備
(5) 役員
 理事長1人、監事2人を置くほか、副理事長、理事5人以内、非常勤理事8人以内を置くことができる
(6) 施設毎の経理の明確化
 業績評価ができるよう経理を明確化するため、各施設ごとに財務諸表を作成し、法人全体の決算とあわせて評価委員会の意見を聴いたうえで、公表
(7) 長期借入金等
 機構は、施設整備等のために、長期借入や債券の発行を行うことができることとし、政府は、予算の範囲内において債務保証を行うことができる
(8) 緊急時の厚生労働大臣の要求
 災害その他の緊急事態の際に厚生労働大臣が機構に対し必要な業務の実施を求めることができる
(9) 移行に伴う措置
国立病院特別会計の資産・債務は、国立高度専門医療センターに係るもの(現行特会を改組した特別会計で経理)を除き、機構が承継
機構が再編成業務を承継
(10) 施行期日 平成15年10月1日(法人の設立は、平成16年4月1日を予定)

2 国立病院・療養所の今後の姿
図
※ うち10施設は独法移行後に機構が実施



国立病院・療養所の独立行政法人化について

行政改革会議最終報告
(H9.12)
移譲、統合又は廃止等により再編成を一層促進
高度かつ専門的な医療センターやハンセン病療養所等を除き独立行政法人化を図る。
中央省庁等改革基本法
(H10.6 法律第103号)
行政改革会議最終報告の趣旨を忠実に法律化(独立行政法人化は検討規定)
 
国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画
(H11.4 閣議決定)
国立病院・療養所については平成16年度に独立行政法人に移行することとする。(国家公務員の身分の付与
行政改革大綱
(H12.12 閣議決定)
平成16年度に、各施設毎に業績評価ができるよう区分経理する単一の独立行政法人に移行することとし、そのための個別法案を平成14年の通常国会に提出する。
独立行政法人国立病院機構法案国会提出
(H14.3 国会提出(継続審議))
 
独立行政法人国立病院機構法公布
(H14.12.20 法律第191号)
平成14年12月13日第155回臨時国会にて成立



再編成の一層の推進

(1)再編成の基本的考え方

(1) 国立医療機関としての役割分担の明確化

・地域における基本的・一般的医療の提供は他の公私立医療機関に委ね、国立病院・療養所は、広域を対象とした高度又は専門医療など、国の医療政策として担うべき医療(政策医療)を実施。







国立病院・療養所の担うべき役割
(1) がん、循環器病などに対する高度先駆的医療
(2) エイズ、ハンセン病、結核など歴史的・社会的な経緯等により地方・民間での対応が困難な医療
(3)国際的感染症、広域災害への対応など国家の危機管理や国際貢献
(4)診療報酬支払方式に関するモデル的試行など、国家的見地から重要な医療政策の実践






(2) 国立病院・療養所の機能強化

施設の統廃合又は経営移譲を通じて経営資源を集約・集中するなど、その機能強化を図る。

再編成に伴う定員の取扱い
再編成・合理化の推進によって生じた定員等

必要に応じ医療スタッフを中心に再配置

再編成を推進する重要な位置づけ

(2)再編成計画について

    昭和61年再編成計画   平成11年見直し計画
61年当初239施設
165施設までの削減を計画
(統合・移譲で74施設の減)

統合△40施設
移譲△34施設

152施設までの削減を計画
(統合・移譲で更に13施設の減)

統合△ 8施設
移譲△ 5施設

(注)施設数についてはハンセン病療養所(13施設)を除く。

○年次別減少施設数
14.12.1現在
区分 再編成計
画施設数
年次別減少数(施設数)
(昭和)
61
62 63 (平成)
10 11 12 13 14 小計 (予定)
14
(予定)
15
(予定)
16
(予定)
17
(予定)
18
(予定)
23
小計
統合による減 当初計画
△40
            △2 △3 △1 △3 △1 △2 △1 △2 △6 △4 △2 △27 △3 △3 △5 △2 - - △13 △40
見直し計画
△ 8
                                △2 △2   △3 △1 - △1 △1 △6 △8
移譲による減 当初計画
△34
      △1       △1     △1 △4 △4 △6 △4 △4 △3 △28 △4 △2 - - - - △6 △34
見直し計画
△ 5
                              △1   △1 △1 △3 - - - - △4 △5
当初計画
△74
      △1     △2 △4 △1 △3 △2 △6 △5 △8 △10 △8 △5 △55 △7 △5 △5 △2 - - △19 △74
見直し計画
△13
                              △1 △2 △3 △1 △6 △1 - △1 △1 △10 △13
※1 平成14年度以降の減少数は、対処方策による予定数である。
※2 対処方策において廃止と決定した移譲対象施設は「移譲による減」欄に計上。
※3 上記の他、昭和62年度に国立精神・神経センターと国立国府台病院の組織統合を行っている。

○再編成の実施目標

(ア) 行政改革プログラム(平成8年12月25日閣議決定)
昭和61年当初再編成計画未実施施設について、)平成12年度末までに施設の廃止を含む対処方策を決定した上、速やかに実施する。
(イ) 行政改革大綱(平成12年12月1日閣議決定)
昭和61年当初再編成計画の未実施施設について、速やかに移譲、統合又は廃止を実施する。
平成11年3月の再編成計画見直しによる追加対象施設について、平成13年度末を目途に施設の廃止を含む対処方策を決定し、着実に実施する。
(ウ)平成16年度の独立行政法人移行時までに概ね完了。

(3)政策医療ネットワークについて

ア. 政策医療の範囲の純化

政策医療分野を19分野とし、先駆的な医療や難治性の疾病等に関する診断・治療技術等の機能強化を図る。
結核は、原則として都道府県毎に1ヶ所に集約化する。




<政策医療分野【19分野】>
がん、循環器病、精神疾患、神経・筋疾患、成育医療、腎疾患、重症心身障害、骨・運動器疾患、呼吸器疾患、免疫異常、内分泌・代謝性疾患、感覚器疾患、血液・造血器疾患、肝疾患、エイズ、長寿医療、災害医療、国際医療協力、国際的感染症



イ. 施設毎の機能付与、機能類型化及び政策医療ネットワークの構築

施設毎に担うべき政策医療分野を明確にし、国立高度専門医療センター、基幹医療施設、専門医療施設等の機能類型化を図る。
政策医療分野毎に、国立高度専門医療センター又は高度専門医療施設を頂点とする診療、臨床研究、教育研修、情報発信の機能が一体となった全国的な政策医療ネットワークを構築する。

全国的なネットワークの展開







<診療>  新しい診断法・治療法の普及、診療支援(遠隔診断等)によりどの地域においても最新の医療技術を提供
<臨床研究>  全国からの豊富な症例収集に基づく診療データベースの構築による新しい診断法・治療法の開発、医薬品の臨床試験
<教育研修>  高度医療、難病等患者ニーズに対応する臨床研修や医療専門職の養成による医療専門職の全国的配置
<情報発信>  研究成果、最新医療、標準的医療等に関する情報の共有化

<具体的な取組み>



(1) 政策医療分野毎に政策医療推進基本計画を策定し、ネットワーク形成の具体的方策をとりまとめ
(2) 定期的な政策医療ネットワーク協議会の開催
(3) 組織面を含めた体制整備





政策医療ネットワークの例

がん

例

呼吸器疾患(結核を含む)

例

診療:新しい診断法・治療法の普及、遠隔診断等による診療支援等
臨床研究:診療データベースの構築による新しい診断法・治療法の開発、医薬品の臨床試験、共同研究等
教育研修:医療内容の高度化・多様化に応じた臨床研修、医療専門職の養成、地域医療従事者の生涯教育等
情報発信:がんや循環器病等に関する研究成果や最新医療、標準的医療等に関する情報等の提供


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