人事・労務管理者のみなさま

社会保険適用拡大
従業員への説明のポイント

従業員ごとの状況にあったチラシを用いて、従業員へ説明内容を整理・準備しましょう。
従業員への説明のポイントについて、説明します。

従業員への
説明内容のポイント

「社会保険加入のメリット」
チラシの説明内容・ポイント

「社会保険加入のメリット」チラシを使って、対象となる従業員への周知・コミュニケーションを行ってみてください。
従業員の状況に応じて説明のやり方を変えてみることも効果的です。

対象となる従業員に社会保険加入の条件について説明しましょう。各条件の詳細は「社会保険加入に関するQA集」チラシをご参照ください。

若年層の従業員
  • ケガや病気で一定期間働けず会社を休んだ時に「傷病手当金」が受け取れる点や、産前産後休業期間中に「出産手当金」が受け取れる点を説明してみましょう。
  • 具体的に受け取れる金額イメージも併せて伝えてみることも効果的です。
高齢層の従業員
  • 将来受け取ることができる「年金」が増額する点を説明してみてください。
  • ガンなどの病気やケガで一定期間働けず会社を休んだ時に「傷病手当金」が受け取れる点を説明してみてください。
  • 具体的な年金額の増額イメージを従業員に持っていただけるよう、「年金額の増額例」を用いて、社会保険(厚生年金保険)に加入すると増える年金額の目安について表を用いて伝えてみてください。
  • 医療・年金給付の充実の観点から社会保険加入を説明することをおすすめします。
全従業員
(特に加入を迷われている方)
  • 社会保険に加入することで、医療・年金のメリットはありますが、一方で社会保険料が新たに発生し、手取りが減ることをデメリットに感じる方もいます。
  • 手取りかんたんシミュレーターや公的年金シミュレーターを活用して、社会保険加入による手取りの変化や将来受け取る年金額の変化について試算を勧めてみましょう。「社会保険加入を考える3ステップ」チラシも併用すると効果的です。
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「社会保険加入を考える
3ステップ(1ページ)」

チラシの説明内容・ポイント

「社会保険加入を考える3ステップ」チラシを活用して、社会保険に加入した場合と、
しなかった場合の手取り額の変化や受け取れる給付(医療・年金)の金額について
確認することを従業員に案内してみましょう。
「手取りかんたんシミュレーター」や「公的年金シミュレーター」も活用ください。

STEP1
社会保険加入による手取額に
ついて考えてみましょう。
  • 社会保険に加入するかしないかで、給料から引かれる保険料が異なるため、手取り額に変化が生じる点を従業員へ伝えましょう。
  • STEP1に社会保険加入前と後でどの程度手取り額に差が生じるか、目安を示しています。
  • 社会保険加入前後の手取り額の違いについて、従業員へ「手取りかんたんシミュレーター」を用いて試算してみることを案内してみましょう。社会保険に加入した場合の手取りの変化を見た上で、今後の働き方の希望確認をすると効果的です。
STEP2
社会保険加入による保障の違いに
ついて考えてみましょう。
  • STEP1の例で働いた場合の年金額や傷病手当金の額の差を記載しています。
  • 社会保険に加入した場合の受け取れる年金額や傷病手当金の額の違いを従業員に伝えましょう。
  • 特に年金額については、2ページに掲載している、「公的年金シミュレーター」を用いて、個人別の年金額のシミュレーションができます。厚生労働省HPで公開されているため、当該ツールの案内もあわせて行ってみてください。
  • 傷病手当金の一日あたりの支給額の目安は給与の2/3となります。会社が健保組合や共済組合に加入している場合は、金額が異なる場合もありますので、その場合は、説明前に確認をして正確な情報を伝えましょう。
STEP3
ご家族や周りの方にも相談して
加入を検討しましょう。
  • 配偶者やご家族が勤務されている会社において、「家族手当」や「配偶者手当」等が支給されている場合、社会保険加入により支給対象外となる可能性があるため、該当する手当の支給基準について、配偶者やご家族の勤務先の人事担当まで問い合わせしてもらうよう、従業員へ伝えることが重要です。
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「社会保険加入を考える
3ステップ(2ページ)」

チラシの説明内容・ポイント

社会保険加入のメリットをより従業員に理解してもらうために、
「社会保険加入を考える3ステップ」チラシやこのホームページを活用して、
社会保険に加入した場合に、将来的に受け取れる年金額について、試算してみるよう従業員へ促してみましょう。
その際に、個人の状況に応じた年金額を試算可能な「公的年金シミュレーター」を紹介すると効果的です。
「ねんきん定期便」をお持ちの方は、二次元コードを読み込むだけで簡単に
ご自分の情報を基にした試算が可能となるため、「ねんきん定期便」を確認してもらうよう従業員の方へご案内ください。

  • 従業員にご自身の年金額に興味を持ってもらえるよう、スマホで使える「公的年金シミュレーター」ツールの活用を紹介してみてください。
  • 「ねんきん定期便」をなくしてしまった方やお持ちでない方がいらっしゃった場合も、生年月日や過去の働き方・暮らし方の情報を入力いただくと、試算が可能となります。
  • 情報の入力方法等については、二次元コードから説明動画につながりますので従業員へご案内ください。
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POINT

従業員の働き方の希望確認

社会保険への加入希望とともに、今後の働き方(労働時間や雇用形態等)を変更したいかどうか、従業員の希望を確認しましょう。

  • 従業員の働き方の希望や社会保険加入による手取り額の変化を踏まえ、労働時間の延長について、従業員へ提案してみることも検討してみましょう。
  • 従業員の働き方の希望やキャリアプランを踏まえ、企業等として中長期的に働いてほしい従業員に対して、これを機に、正社員への転換を提案することも検討してみましょう。

従業員説明の実施ポイント

企業等により様々な取り組みが行われていますが、企業等の規模や適用拡大の対応方針、
取り組みやすさに合わせて、実施する方法を検討しましょう。
従業員説明の実施のポイントについて、案内します。

コミュニケーションツールの活用
  • 従業員がアクセス可能な社内のイントラネット、従業員との連絡によく使用するコミュニケーションツール、給与明細等、従業員がよく見る・普段使うツールや文書を活用し、いつでも自由に確認できる、かつ、確認しやすい状況をつくる方法です。
  • より多くの従業員の目に触れる機会を増やす周知方法です。
  • 従業員の理解度やアクセス状況の確認・分析が難しいこともあるため、コミュニケーションツールによる周知だけでなく、個別面談等、他の周知方法とも組み合わせて実施することで、より周知効果を高めることができます。
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説明会の実施
  • 対象となる従業員向けに、オンラインもしくは対面で直接説明する場を設ける方法です。
  • 人事・労務管理者や支社・支店の人事・労務管理者が企画・実施するほか、社外の専門家(社会保険労務士)に講師を依頼して実施するケースもあります。
  • 短時間労働者は勤務時間中の説明会参加が難しいケースや、勤務時間にもばらつきがあることから、全員が参加できないことを前提に工夫をする必要があります。例えば、オンラインと対面両方の形式で開催する、対面で実施した説明会の様子を後日動画で配信する、動画を事前収録して従業員が視聴したいときに合わせて視聴できる環境を整えるなど他の周知方法と組み合わせて実施するといった工夫が考えられます。
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個別面談による会話
  • 個別面談を通じて従業員と直接コミュニケーションをとる方法です。他の従業員の前では個別の事情等について話づらいこともあるため、従業員の個別の事情を踏まえた説明や質問対応ができるよう、個別面談を実施することが効果的です。
  • また、個別面談では、対象となる従業員が社会保険への加入を希望しているか、希望する理由・しない理由等を確認するケースが多くみられます。その際、従業員が企業等でどのように働いていきたいかについて、現在の希望と中長期的なキャリアの希望を確認し、従業員にどのように働いてほしいかについて、対話する機会とすることもできます。
  • 対話の内容を踏まえて、企業等としてどのように働いてもらうことが可能か(労働時間・雇用形態等)検討し、従業員へ選択肢として提示してみることも検討してみましょう。
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従業員説明の実施において
活用可能なツール

「社会保険加入のメリット」「社会保険加入を考える3ステップ」チラシを
従業員に配布し、案内・説明を行ってみましょう。

1分間ショート動画を活用し、説明会や個別面談にて当該動画を流したり、
コミュニケーションツールを活用して当該動画を従業員へ配布してみることもおすすめです。

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POINT

社会保険労務士に相談して周知を実施

  • H社の事例を参考に、人事・労務管理担当者や現場責任者では回答しづらい質問や、明確な回答が分からない質問については、社会保険労務士に相談してみましょう。
  • 従業員への説明会の講師を社会保険労務士に行っていただき社会保険について説明していただくことも従業員の社会保険の理解を深める上で効果的です。
  • 顧問契約等を結んでいる社会保険労務士がいない場合は、専門家活用支援事業を利用し、社会保険労務士等を派遣してもらうことも検討ください。
専門家活用支援事業に関するお問い合わせは、管轄の年金事務所へお電話ください。派遣依頼届の提出など、ご利用の流れをご説明します。
好事例紹介

従業員に手取り額を実感してもらうため、C社の事例のように個別に伝えることが重要です。
手取りかんたんシミュレーターを従業員へ紹介して計算いただくことも有効な方法と考えられます。

事例 C社

従業員101~200人 / 小売 / 広島

表計算ソフトを活用し、手取り額が
確認可能となるよう、従業員へ個別に案内

  • 社会保険加入により従業員の手取り額がどの程度変化するかについて、表計算ソフト(Excel等)を活用し、個人別に簡易的に試算可能なツールを作成し、従業員へ展開。
  • 配偶者の扶養や税額控除等の個別事情については入力せずに試算する形とし、簡易的な手取り額の試算ツールとして作成。
  • あくまで参考までに、従業員が社会保険加入におけるイメージを個人別に具体的にもってもらいやすいよう、当該ツールを作成し、従業員への提供に至った。

社会保険料が発生することで、手取りが減少することをデメリットに感じる方もいますが、
D社の事例のように中長期的な視点で社会保険加入を従業員に検討していただき、
希望にあった働き方の選択肢を示していくことも有効です。

事例 D社

従業員101~200人 / 複合サービス / 東京

長い目でみて、自身のキャリア及び
家計にもプラスになると考え加入を決定

  • 社会保険未加入だった非常勤スタッフが、適用拡大を機に、常勤へ雇用形態を変更し、社会保険加入した。
  • 社会保険に加入した場合としなかった場合の手取り額の変化を試算すると、1・2年の短期的には世帯収入が減少することが分かったが、子供が今後成長していくことや、今後の自身のキャリア上、同社にて長く働きたいという思いもあり、長期的な視点に立って、社会保険に加入した。

事例 E社

従業員501人以上 / サービス / 静岡

給与明細とチラシ及び案内文書を
同封して、従業員へ周知

  • 従業員へ必ず配布する「給与明細」と、社会保険加入に関する案内文書、厚生労働省が作成したチラシを同封し、対象となる従業員全員へ案内。
  • 会社から配布される文書のうち、給与明細はパートタイマーがよく見ているため、目に触れる機会の向上に寄与した。

事例 F社

従業員501人以上 / 学習支援 / 埼玉

従業員向けイントラネットを活用して、
従業員へ周知

  • 従業員がアクセス可能なイントラネット上に従業員向け案内資料(リーフレット)を掲載し、いつでも自由にファイルをダウンロードできる環境を整備。
  • イントラに情報を掲載した際にはメールで、新着情報を掲載した旨を従業員に対して周知することで、最新の情報を見てもらう機会を増やすような工夫を行った。

事例 G社

従業員301~500人 / 福祉 / 東京

全ての対象従業員へ同じ情報が伝わる
よう動画を作成し、従業員へ周知

  • 対象となる従業員全員に同じ情報が行き渡るよう、適用拡大や社会保険加入について周知する動画を作成。
  • 従業員の勤務時間内(朝礼)に集まってもらい、人事・労務担当者が作成した10~15分程度の動画を視聴してもらう時間を確保。従業員のシフトにより勤務時間(朝礼)と重複しないケースもあることから、全従業員に動画を閲覧してもらえるよう、複数回動画の視聴時間を確保した。
  • 動画の内容は、自社が適用拡大の対象企業となった旨、対象となる従業員の要件、社会保険加入により何が変わるか、新しい働き方の選択肢(パターン)の提示、今後のスケジュールについて盛り込み、説明した。

事例 H社

従業員101~200人 / 小売 / 京都

従業員から寄せられた質問を
社会保険労務士に確認のうえ、
従業員へ回答

  • 従業員から寄せられた質問のうち、人事担当者において回答内容の検討が難しいものや判断ができないものについて、表計算ツール(Excel等)で一覧化し、顧問の社会保険労務士へ回答いただくよう依頼。社会保険労務士から回答内容が記載された表計算ツール(Excel等)を返送いただき、当該内容を人事担当者から従業員へ返答するという取り組みを推進。
  • 専門的な知見が必要な部分については、社会保険労務士の支援を活用し対応することで、円滑に従業員からの質問について回答を行った。

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