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節電に向けた労働時間の見直しなどに関するQ&A
5. 家族的責任を有する労働者への配慮について
- Q5-1深夜シフトを設けましたが、小さな子を持つ労働者や介護を要する家族を持つ労働者から深夜勤務を免除してほしいとの申出がありました。認める必要がありますか。
- (A)育児・介護休業法では、小学校就学前までの子を養育する労働者及び要介護状態にある対象家族の介護を行う労働者が育児や介護のために請求した場合には、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、その労働者を深夜(午後10時から午前5時まで)において労働させてはならないこととされています。(ただし、勤続年数1年未満の労働者や深夜においてその子をあるいは対象家族を常態として保育・介護できる同居の家族がいる労働者など、一定の労働者については対象外です(育児・介護休業法第19条、第20条))。
パートやアルバイトの方についても、勤務年数1年未満の労働者など制度が適用にならない場合に該当しない限り、深夜業の免除が認められます。
また、深夜業の免除の申出をしたこと又は免除を受けたこと等を理由として、解雇、雇止め等不利益取扱いを行うことは禁止されています(育児・介護休業法第20条の2)。
さらに、労働基準法では、妊産婦(妊娠中及び産後1年を経過しない女性)が請求した場合は、深夜業をさせてはならないこととされています(労働基準法第66条第3項)。
なお、育児・介護休業法上の深夜業の免除を申し出た労働者について、他の時間の勤務にシフトさせる義務が生じるものではありませんが、あらかじめ、労働者の深夜業の免除期間中における待遇(昼間勤務への転換の有無を含む)に関する事項を定めるとともに、これを労働者に周知させるための措置を講ずるように配慮して下さい。 - Q5-2深夜業の免除の申出があってもその申出を認めなくてもいいとされる「事業の正常な運営を妨げる場合」とはどのような場合ですか。
- (A)「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、その労働者の所属する事業所を基準として、その労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易度等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものとされています。
事業主は、労働者が深夜業の免除を請求した場合においては、その労働者が請求どおりに深夜業の免除を受けることができるように通常考えられる相当の努力をすべきであり、単に深夜業が事業の運営上必要であるとの理由だけでは拒むことは許されません。
例えば、事業主が通常の配慮をすれば代行者を配置する等により事業を運営することが客観的に可能な状態にあると認められるにもかかわらず、そのための配慮をしなかった場合は、深夜業が必要な配置人員を欠くこと等をもって、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するとは言えません。一方、事業主が通常の配慮をしたとしても代行者を配置する等により事業を運営することが客観的に可能な状況になかったと認められる場合は、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当します。また、深夜業をせざるを得ない繁忙期において、同一時期に多数の専門性の高い職種の労働者が請求した場合であって、通常考えられる相当の努力をしたとしてもなお事業運営に必要な業務体制を維持することが著しく困難な場合には、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当します。こうした育児や家族の介護など家族的責任を有する労働者を深夜業に従事させようとする場合においては、その事情に十分配慮することが望まれます。 - Q5-3現在、始業時刻9:00〜終業時刻17:00の就業時間ですが、始業時刻の繰り上げにより8:00〜16:00の就業時間とすることで労使合意をしました。現在、育児・介護休業法上の3歳未満の子を有する労働者に対する短時間勤務制度として、10:30〜16:30の6時間の短時間勤務を設けているのですが、始業時刻の繰り上げ後、どのような短時間勤務制度を設けなければならないのでしょうか。短時間勤務制度の時間帯の変更を行わなければなりませんか。
- (A)育児・介護休業法において、事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者について、労働者が希望すれば利用できる短時間勤務制度を設けなければならないとされており、同制度においては、1日の所定労働時間を原則として6時間とする勤務を必ず1つ設けなければならないこととされています。始業時刻の繰り上げ後も、この1日6時間の短時間勤務制度を設ける必要があります。
現在、短時間勤務制度を利用している労働者に対して、始業時刻の繰り上げ後、どのような勤務時間帯とするのかは労使で話し合う必要がありますが、短時間勤務制度の対象となる労働者が、1日の所定労働時間を6時間とする措置を実質的に選択できる状態となっていることが必要です。新たな時間帯で短時間勤務制度を設定し直す場合には、労使で十分話し合い、労働者が就業しつつその子を養育することを実質的に容易にする内容のものとすることに配慮してください。
例えば、お尋ねの事例において、10:00〜16:00(6時間)の短時間勤務制度を設けるとともに、労働者の状況に配慮し、10:30〜16:00(5時間半)の短時間勤務制度を設けることなどが考えられます。
- ※ なお、育児・介護休業法上の短時間勤務制度の導入の義務づけは、従業員100人以下の企業については平成24年7月1日から適用されます。
- Q5-4短時間勤務制度利用者の賃金や処遇について、気を付けるべき点は何ですか。
- (A)短時間勤務制度の対象となる労働者が、その適用を申し出たことや制度の適用を受けたことを理由として解雇、雇止め、減給等の不利益な取扱いを行うことは禁止されています(育児・介護休業法第23条の2)。例えば、短時間勤務中の現に働かなかった時間について賃金を支払わないことや、賞与の算定に当たり勤務日数を考慮する場合に、短時間勤務制度により短縮された時間分を算定基礎に含めないことは不利益な取扱いには該当しませんが、短縮された時間分を超えて働かなかったものとして取り扱うことは、不利益な取扱いに当たると考えられます。
あらかじめ、短時間勤務制度の措置の対象者の待遇に関する事項を定め、これを労働者に周知させるための措置を講ずるよう配慮してください。
なお、育児・介護休業法上、短時間勤務制度だけではなく、育児休業等を申し出たことや取得したこと等を理由として、解雇、雇止め、減給等不利益な取扱いを行うことも禁止されています。 - Q5-5節電対策により、これまでの勤務時間シフトを変更せざるを得なくなり、これによって短時間勤務制度を実施できない業務が発生しました。どのように対応すべきですか。
- (A)育児・介護休業法の「3歳未満の子をもつ労働者に対する短時間勤務制度」については、できる限り全ての業務について対象としていただくことが望ましく、これまでの勤務シフトを変更せざるを得ない場合でも、できる限り、労使の工夫により、短時間勤務制度を実施できない業務が発生しないようにすることが望まれます。しかし、「業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者」については、労使協定を締結することにより、短時間勤務制度の対象外とすることができることとされています。
労使協定により適用除外とされた業務に従事する労働者に関しては、代替措置として、以下のいずれかの措置を講じる必要があります(育児・介護休業法第23条第2項)。
- (1)育児休業の制度に準ずる措置
- (2)フレックスタイムの制度
- (3)始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度
- (4)3歳未満の子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッター費用の補助など)
- Q5-6会社の休日分散策により土日が出勤日となりました。3歳未満の子がいる従業員から、保育園に預けられないため、土日出勤の免除の申出がありました。認める必要がありますか。
- (A)育児・介護休業法上の時間外労働の制限や所定外労働の免除の申出については、所定労働時間以外の勤務を一定程度制限する効果を有します。しかし、所定労働時間が土日に設定しなおされた場合には、土日出勤の免除は受けられないことになります。
その際には、労働条件の変更の際に十分協議し、子の養育のため土日に出勤できないなどの事情がある場合には、労働契約法の規定(※)も踏まえ、その事情に十分配慮することが望まれます。
※労働契約法(抄)- 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする(第3条第3項)
- 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。(第10条)
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