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1.はじめに

(1)研究会の意義
 男女雇用機会均等法が施行されてから15年以上が、育児休業法(現在は育児・介護休業法)が施行されてから10年以上が経過した。その間、職場における女性の進出は着実に進展している。しかしながら、女性の賃金水準を男性のそれと比較すると、依然として大きな格差が存在する。
 「男女間の賃金格差問題に関する研究会」(以下、単に研究会と略称する。)は、男女間に存在する平均賃金の格差の原因を賃金・処遇制度の面から追究し、依然として存在する男女間の賃金格差の解消策を検討するために、2001年11月に雇用均等・児童家庭局長の求めに応じて発足した。男女間賃金格差を真正面から取り上げるのは、男女雇用機会均等行政が始まって以来初めてのことであり、男女間賃金格差の本格的解消に向けた意義深い第一歩である。

(2)研究会の検討対象と研究会報告の構成
 本研究会で取り上げた男女間賃金格差とは、基本的に一般労働者の所定内給与に関する男女間の賃金格差のことである。ここで一般労働者とは、一般的な所定労働時間が適用されている労働者であってパートタイム労働者を含まない労働者のことであり、フルタイム労働者であっても臨時・日雇い労働者は除かれている。また所定内給与とは、定期給与(月間きまって支給する現金給与額)から超過労働給与額を除いたものをいう。単純に言うならば、月収から残業手当を差し引いた部分の賃金のことである。
 一般に、賃金には賞与や退職金が含まれるが、賞与や退職金については本研究会における検討の対象外である。しかし所定内給与は賞与や退職金と極めて密接な関係を有していることを忘れてはならない。すなわち、所定内給与の男女間賃金格差が縮小するならば、賞与や退職金の男女間賃金格差の縮小に寄与することとなる。
 本研究会では、以上の男女間賃金格差に関して法的側面、経済的側面そして雇用管理の側面など、多面的観点から検討を行った。
 研究会報告は総論部分と各論部分に分かれるが、総論は研究会に参集した委員による検討結果に基づく総意を集約して記述している。また、各論部分は執筆を分担した研究会の各委員の個人論文であり、研究会の総意を集約したものではない。


2.男女間賃金格差の現状、推移と格差生成の要因

(1)男女間賃金格差の現状と推移
a 男女間賃金格差の現状
 男女間賃金格差は、様々な角度からみることにより、その実態を明らかにすることができる。以下では、労働者の属性、企業の属性、国際比較という3つの観点から、我が国における男女間賃金格差の現状をみることとする。
 なお、以下における男女間賃金格差の算出に当たっては、特に記さない限り、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2001年)を用いている。

<労働者属性と賃金格差の関係>
 男性一般労働者の平均賃金水準を100.0とした時に、女性一般労働者の平均賃金水準は2001年において65.3である。このように労働者全体をみたときに、男女間でかなりの賃金格差が存在する。
 男女間賃金格差を年齢階級別にみると、50〜54歳層までは、年齢が高まるにつれて男女間賃金格差は次第に大きくなるという傾向がみられる。なお、60〜64歳層以降では格差が縮小しているが、これは、我が国の多くの企業で60歳定年制を採用しており、定年を迎えた後の再就職等を通じて多くの男性の賃金が低下することが影響していると考えられる。(図表1)。
 また学歴別に男女間の平均賃金水準を比較すると、学歴の低い労働者ほど男女間賃金格差は大きくなる。学歴別に年齢ごとの男女間賃金格差をみると、どの学歴も50〜54歳層までは、年齢が高まるにつれて男女間賃金格差は次第に大きくなる傾向にある(図表2)。
 勤続年数階級別にみると、10年以上25年未満については年数が長くなるにつれて男女間賃金格差は次第に大きくなる(図表3)。学歴と勤続年数とを揃えた標準労働者で見ると、特に大卒では、男性を100として女性の賃金は85〜90程度の水準となり、賃金格差は大きく縮小する(図表4)。
 製造業について、生産労働者と管理・事務・技術労働者の別に男女間賃金格差をみると、生産労働者の方が男女間賃金格差は大きい(図表5)。

<企業属性と男女間賃金格差の関係>
 男女間賃金格差を企業規模別にみると、大企業ほど男女間賃金格差が大きい傾向が見られる(図表6)。
 男女間賃金格差を産業別にみると、運輸・通信業、サ−ビス業等で小さいのに対して、金融・保険業や製造業、不動産業等では大きい(図表7)。

<国際的にみた日本の男女間賃金格差>
 我が国の男女間賃金格差を米英独仏と比較すると、我が国の男女間賃金格差は最も大きい。すなわち、男性の平均賃金水準を100.0としたときに、女性の平均賃金水準は我が国は65.3(2001年)であるのに対して、アメリカは76.0(2001年)、イギリス80.6(1999年)、ドイツ74.2(1993年)、フランス79.8(1998年)となっている(図表8)。

b 男女間賃金格差の長期的推移
 我が国の男女間賃金格差を長期的にみると、縮小する傾向にある。すなわち、男性の平均賃金水準を100.0としたときに、女性の平均賃金水準は、男女雇用機会均等法を施行した1986年には59.7であったが、2001年には65.3まで縮小した(図表9)。
 男女間賃金格差を年齢階級別にみると、年齢が高いほど男女間賃金格差が大きいという傾向は以前から続いているが、ほとんどの年齢階級において男女間賃金格差は縮小する傾向にある(図表10)。学歴別にみても、男女間賃金格差はどの学歴においても縮小傾向にある(図表11)。勤続年数階級別にみると、ほとんどの階級において男女間賃金格差は縮小する傾向にある(図表12)。企業規模別にみると、男女間賃金格差は1,000人以上規模の企業を除いては縮小傾向にある(図表13)。また産業別にみると、男女間賃金格差は金融・保険業を除いて縮小傾向にある(図表7)。

(2)男女間賃金格差の要因分析
 上述した男女間賃金格差の現状からも推察できるように、男女間賃金格差をもたらす要因は多種多様であると考えられる。しかし統計的制約もあって、男女間賃金格差を発生させている要因を精密に把握するのは極めて困難である。

a 単純統計分析、研究会調査及び企業ヒアリング
 男女間で学歴や年齢、勤続年数、職階の違い、あるいは就業する産業や企業規模の違いがあり、その結果として生ずる賃金格差生成効果(女性の労働者構成が男性と同じであると仮定して算出した女性の平均所定内給与額を用いて男性との比較を行った場合に、格差がどの程度縮小するかをみて算出)をみると、次の点を指摘できる(図表14)。
(1) 職階(部長、課長、係長などの役職)の違いによる影響が最も大きく、勤続年数の違いによる影響が次いで大きい。
(2) この他、学歴の違いによる影響、年齢の違いによる影響の効果もある。
(3) 企業規模、労働時間の違いによる影響は小さい。
(4) 産業の違いによる影響は、男女間賃金格差を縮小する方向に作用している。
 以上のように、男女間での職階の違いが男女間賃金格差の生成に大きく影響していることが言えるが、男性については、勤続10年以上25年未満では、勤続年数が長いほど職階も高くなるという関係が顕著にみられる一方、女性についてはそのような傾向は男性と比較するとあまりみられないという点に留意する必要がある(図表15)。
 また家族手当や住宅手当といったいわゆる生活手当は、男性世帯主を中心として支給されているという実態がみられることから、男女間賃金格差の一つの要因となっている。これらの手当を全面的に廃止した際の格差縮小効果を推計すると、1.4%程度になる(補足資料)。
 本研究会で行ったアンケート調査結果によれば、男女間賃金格差の生じる理由として「管理職の女性が少ない」「業務の難易度が違う」「平均勤続年数が短い」「職種が違う」「諸手当の支給がない」等を指摘する者が多い(図表16、注)。また、本研究会で実施した企業ヒアリングによれば、業務の与え方に男女労働者間で相違が見られることが勤続年数を経た後の男女の処遇、賃金差となって現れているとの指摘があった。

(注)  アンケート調査結果によれば、男女間賃金格差を発生させている要因のうち、納得できないとしている者の割合が高いのが「管理職の女性が少ない」「業務の難易度が違う」「諸手当の支給がない」である。

b 計量分析
<賃金関数による分析>
 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の個票を用いて、賃金を産業、企業規模、年齢、勤続年数、学歴、職階で説明する賃金関数を推計して、男女間賃金格差を分析すると次の点を指摘できる。
(1) 年齢が高まったときに男性集団では賃金が大きく上昇し、女性集団では賃金が余り上昇しないということが、男女間賃金格差を発生させている大きな要因であること。
(2) 男女間賃金格差の長期的な縮小傾向の要因として、年齢、勤続年数、学歴、職階の男女差の縮小による寄与度は小さいこと。
(3) 男女間賃金格差の長期的な縮小傾向の要因として、業務内容や職務遂行能力などの面で男女差が縮小したこと等が考えられること。
<賃金データと雇用管理データのリンクによる分析>
 賃金構造基本統計調査(2001年)と女性雇用管理基本調査(2001年)の調査対象企業で共通するものについて、2つの調査により得られるデータをリンクして男女間賃金格差を計量分析すると、次の点を指摘できる。
(1) 男女間賃金格差には統計的差別(注)だけでなく、女性に対する差別意識も影響していること。
(2) 企業内の昇進構造として女性が管理職に昇進することは少ないことが、男女間賃金格差を生み出していること。
(3) コース別雇用管理制度(注)の導入企業の方が非導入企業よりも男女間賃金格差が大きいこと。
(注)  統計的差別とは、企業が採用段階において労働者ひとり一人の能力や努力、あるいは長期勤続志向の有無などを学歴や性といった労働者の属性ごとの平均値に基づいて推測することによって処遇することをいう。これは、企業が採用段階で労働者ひとり一人の能力や努力、あるいは長期勤続志向の有無などを把握することが現実的に難しいためである。例えば、平均的に女性の勤続年数は短いが、そのために企業は女性に対する教育訓練を手控える可能性が高く、そのことが男女間の賃金格差を拡大させる結果につながる。
(注)  コース別雇用管理制度とは、企画的業務か定型的業務等の業務内容や、転居を伴う転勤の有無等によって幾つかのコースを設定して、コースごとに異なる配置・昇進、教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいう。典型的には、基幹的業務又は企画立案、対外折衝等総合的な判断を要する業務に従事し、転居を伴う転勤があるコース(いわゆる「総合職」)、主に定型的業務に従事し、転居を伴う転勤はないコース(いわゆる「一般職」)、「総合職」に準ずる業務に従事するが転居を伴う転勤はないコース(いわゆる「中間職」)等のコースを設定した上で行う雇用管理が挙げられる。
 労働者を意欲、能力、適性や成果等によって評価し、処遇するシステムの一形態として導入されてきたものである。


3.男女間の賃金格差を解消する賃金・処遇制度のあり方

(1)賃金制度に内在する問題と対応の方向
a 基本給決定システムとその変化
<年功賃金>
 我が国の多くの企業の基本給は、長期にわたって年齢や勤続年数を重視して決める年功賃金の様相が強かった。ただし、多くの企業の賃金制度においては、年齢や勤続年数が増加しただけでは賃金は大きくは増加しない。年齢や勤続年数が増加したときに職階や社内資格が高まるという年功昇進があってはじめて、賃金は大きく増加することになる。
 年功賃金の様相がこれまで特に強かったのは、学歴別にみると高学歴者であり(図表17)、男女別にみると男性であり、生産労働者と管理・事務・技術労働者の別にみると後者である(図表18)。これは高学歴者、男性そして管理・事務・技術労働者において年功昇進の傾向が強くみられたからである。
 女性の平均勤続年数は男性と比べて短かいことから、年功賃金の下では男女間賃金格差は大きくなる傾向がある。
 現在、多くの企業で年功賃金の見直しを進めつつあり、職能給のウェイトを高めたり、職務給や成果主義賃金を取り入れる方向にある。こうした動きは、勤続年数の男女差からくる男女間賃金格差をある程度縮小させる効果をもつと考えられる。

<職能給>
 1970年前後から、従業員の職務遂行能力の水準に応じた賃金である職能給を基本給の核に据える動きが大企業を中心として広がり始めた。この職能給は、今日でも多くの企業で用いられている。
 職能給は職能資格制度に基づいて決定される。すなわち、職務遂行能力の水準に応じて各従業員の職能資格を定め、職能資格に応じて職能給を決めるという仕組みである。以上からも明らかなように、職能給は性に中立的な賃金制度であり、それ自体男女間賃金格差を拡大するものでも縮小するものでもない。
 男女間賃金格差の観点からすると、職能給においては、職務遂行能力の水準の判定が男女問わず公正に実施されているかどうかが極めて重要となる。また個々の職場において、職務遂行能力を高めるように女性に業務を与えているかどうか、教育訓練しているかどうかが重要となる。

<職務給>
 1990年代に入って以降今日まで、仕事の内容に応じた賃金である職務給が広がり始めている。
 職務給は同一労働同一賃金及び同一価値労働同一賃金を目指している賃金である。同一価値労働同一賃金とは、労働者間で職務内容が異なっていても、職務の価値を何らかの基準で測定したときに、職務の価値が同一であれば同一賃金とする考え方である。現実の運用の場面では、同一職務または同一価値職務で職務等級が同一であっても賃金に幅があり、個人実績等、職務以外の評価に基づいて昇給額に差をつけることから、職務給に差がつくこととなる。
 男女双方が同一職務あるいは同一価値職務に従事している限り、職務給は男女間賃金格差を理屈の上では発生させない。しかし職務価値の高い職務に昇進させるときに男女間で格差があるとすれば、職務給といえども男女間賃金格差を発生させることになる。また職務価値の測定方法において、職務価値の測定基準があいまいであったり、女性が多く就いている職務に不利となる測定方法であったり、人事評価が女性に不利に行われるならば男女間賃金格差を発生させることとなる。
 女性が職務価値の高い職務に昇進できるか否かは、職務遂行能力の水準及び職務上の実績に依存するが、職務遂行能力の水準及び職務上の実績の判定は人事評価に大きく依存する。先述したように、職務遂行能力の水準は、職務遂行能力を高めるように業務を与えているか、教育訓練しているかどうかに影響されることになる。

<成果主義賃金>
 1990年代に入ってから今日まで、個人実績を賃金に強く反映させる成果主義賃金が広がる傾向にあり、年俸制は成果主義賃金の代表的な例である。
 成果主義賃金の場合、個人実績の評価が賃金決定に大きな影響をもつことから、公正な人事評価の実施が何よりも重要となる。したがって公正な人事評価が実施されている限り、成果主義に基づく賃金制度そのものは性に中立的であるから、男女間の賃金格差を拡大するものでも縮小するものでもない。
 男女間賃金格差の観点からすると、成果主義賃金においては、女性がその有する職務遂行能力を十分に発揮できる職務に配置されるかどうかが重要である。また育児負担が女性にかかることが多い現状においては、仕事と子育ての両立支援策が整備されていないと、結果的に女性は実績を出しにくいこともあり、成果主義賃金に不安を抱きかねない。したがって、企業は業務を行う上での時間、場所の柔軟化を進める等業務運営方法を工夫することによって、育児・介護等家族的責任を有する労働者も個人実績を出しやすいように努めることが重要である。

b 家族手当、住宅手当
 厚生労働省「賃金労働時間制度等総合調査」(1999年)によれば、家族手当は77.3%の企業で、また住宅手当は49.2%の企業で支給されている(図表19)。全労働者(支給されていない労働者も含む)の所定内給与額に家族手当及び住宅手当の額が占める割合をみると、それぞれ2.1%、1.4%である。
 家族手当や住宅手当といった生活手当は、世帯主に手厚く支給されていることからも明らかなように、世帯主従業員の生活安定を図る目的を有しており、働きに応じた賃金の考え方とは本来的に相容れないものであり、現実には世帯主のほとんどが男性であることもあって、家族手当や住宅手当といった生活手当は、男女間賃金格差を拡大する方向に作用してきた。
 家族手当及び住宅手当には、これまでの長い歴史もあって多くの企業において賃金制度の中で大きな位置を占めてきており、支持する意見も少なくない。本研究会が行ったアンケート調査結果によれば、特に男性労働組合員層には根強い支持がみられる。
 他方、成果主義賃金等を推進する一環として、家族手当や住宅手当を廃止する例が増加している。特に管理職層について廃止する企業が増加している。
 男女間賃金格差の解消を目指す観点からすると、それが男女間賃金格差を生成するような支給要件で支払われている場合には、これらの手当は廃止することが望ましいが、前述したように根強い支持もある。当面は、両手当を引き続き維持するとしても、出来るだけ縮小することが望ましい。その際、依然として家族手当に対する支持が高いことに配慮して、配偶者に対する手当と子どもに対する手当を分け、家族手当のうちの配偶者に関わる手当廃止をまず考えることが適切である(図表20)。
 また、生活手当の縮小・廃止にあたっては、その結果として労働者の生活に与える影響を考慮し、平均賃金を引き下げることにはならないように工夫することが望まれる。同時に、生活手当の支給されている世帯主従業員に限定してみると、生活手当は所定内給与の5〜10%を占めている者が少なくないとみられる(企業ヒアリングにより入手したモデル賃金による。)ことから、縮小・廃止の影響を出来るだけ緩和する措置が併せて必要である。

c 男女同一価値労働同一賃金の意義と賃金制度
 上述したように、我が国では国際的に見ると大きな男女間賃金格差が存在している。我が国企業の賃金制度そのものは、一般的にみて手当制度を除けば特定の性に有利に働くものではなく性中立的とみられるが、例えば職務給において職務価値の測定基準が女性の多く就いている職務に不利となるような制度設計もありうる。しかし、現実に存在する男女間の平均賃金の格差は、多くの場合賃金制度そのものの問題というよりは、人事評価を含めた賃金制度の運用の面や賃金制度以外の雇用管理において解決すべき何らかの問題が存在することを強く示唆している。
 国際的には、同一価値労働同一賃金原則を実現することが、男女間賃金格差を縮小していく上で、有効な手段であるとされている。同一価値労働同一賃金原則という場合、一般的には、職務給がこの原則を実現する賃金として期待される。しかし、上述したように職務給といえども、人事管理の運用次第では男女間賃金格差をもたらすこととなる。基本給の一部または全部に職務給を利用する際には、職務価値の高い職務に、男女とも公平に就任可能となる人事管理上の仕組みが併せて必要である。
 一方、我が国では、採用後の担当職務を決めないで採用し、幅広く職務経験を積ませることにより人材育成を図る慣行が広くみられる。そのような慣行を採用している企業では、職務配置は企業の裁量に任されていることから、担当職務は自己選択で決まることが望ましいとする職務給の前提条件が必ずしも満たされていない。
 また、男女同一価値労働同一賃金原則は、ILO第100号条約(同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約)に規定するように、性差別のない賃金の実現を目指すものであり、職務給だけではなく我が国で広く利用されている職能給中心の賃金体系の下でも、性差別のない賃金でさえあればこの原則の趣旨に沿う。したがって、女性への業務の与え方や能力開発、人事評価制度などの人事管理を適切に行うことにより、この原則の実現は十分に可能である。

d 人事評価制度の重要性
 どのような賃金制度においても、公正で透明な賃金決定システムが重要である。また、人事評価制度は個人別賃金の決定において重要な役割を演ずる。現状では、評価基準等についての社員への公開や、評価結果の本人への通知などが必ずしも十分に行われていない(図表21)。男女間賃金格差を解消していくには公正・透明な人事評価制度の整備と運用が極めて重要である。

(2)雇用管理(賃金制度以外)に関連する問題と企業の対応の方向
a 昇進・昇格における男女間格差の解消
 男女間賃金格差の発生原因は多面的、複合的であるが、最大の要因は、企業内での女性の職階や社内資格が低いことである(図表1416、注)。職場における女性の職階が男性並みとなるならば、現行の雇用管理の下でも、男性の平均賃金水準を100.0としたときに女性のそれは77.2(2001年)まで縮小する(前掲図表14参照)。
 第2の要因は女性の勤続年数が男性と比べて短いことである。女性の勤続年数が男性並みに延長されるならば、現行の雇用管理の下でも男性の平均賃金水準を100.0としたときに女性のそれは71.4(2001年)まで縮小する(前掲図表14参照)。
 男女間でみられる職階格差や社内資格格差が存在する背景には、職場における日頃の業務の与え方の積み重ねや評価制度の内容・運用も影響していると考えられる。そうした点を踏まえて、女性が男性と同じように賃金の高い職階や社内資格に進むことのできるような体制作りを企業内外で進めることが最も大切である。その前提として、女性が長く働き続けられるようにするための取り組みや、女性の職務遂行能力の向上やそのための機会が十分与えられることも必要である。同時に、企業には女性管理職を増やすためのポジティブ・アクション等を通じて、女性の能力を積極的に活用する努力が必要であると考えられる。

(注)  職階とは、ここでは部長、課長、係長などの職位のことを意味している。また社内資格とは、たとえば職能資格制度を採用している企業の場合であれば職能資格のことを指す。
(注)  ポジティブ・アクションとは、固定的な性別による役割分担意識や過去の経緯から、男女労働者の間に事実上生じている差があるとき、それを解消しようと、企業が行う自主的かつ積極的な取組みをいう。

b 配置・配置転換における男女間格差の解消
 企業内の配置や配置転換には依然としてかなりの男女差が存在する。(図表22)。この配置や配置転換の男女差は、長期的には男女間の昇進・昇格の格差をもたらすこととなる。
 広がりつつある成果主義に基づく雇用管理の下では、男女間で分け隔てのない配置や配置転換はますます重要である。したがって、配置や配置転換の男女差を縮小することは、長期的にみると男女間賃金格差の縮小に確実に寄与する。
 配置や配置転換において男女差がもたらされる背景としては、女性の能力発揮に対する企業の意欲が低いことを指摘できる。そして、女性への業務の与え方や人事評価についても課題がある(本研究会が実施した企業ヒアリング結果及びアンケート調査結果による。)。企業は配置や配置転換における男女差の解消を積極的に行うことが重要である。
 女性の配置が遅れている職務分野に女性の配置を推進するためにも、企業はポジティブ・アクションを積極的に取り入れた雇用管理を推進するべきである。

c ファミリー・フレンドリー企業への努力
 女性が育児・介護等家族的責任のために仕事の継続を断念することがないようにするためには、まず、育児・介護休業制度の整備・充実が必要である。
 しかし、企業が用意している育児・介護休業制度は、必ずしも従業員の多様なニーズを満たすものとはなっていない。また、制度があっても職場の雰囲気等により労働者がその利用を躊躇することもあり、特に男性の利用者は極端に少ない。仕事と家庭を両立しやすいような雰囲気づくりなど、利用者を増やす努力が必要である。
 育児・介護休業制度以外にも従業員の仕事と家庭の両立に十分配慮し、従業員が多様でかつ柔軟な働き方を選択できるように制度作りを進めることが大切である。とくに育児負担が集中する傾向のある女性が働きやすいように、長時間に及ぶ残業を回避したり、短時間勤務制度、フレックスタイム制などの柔軟な労働時間制度を導入するなど、労働時間の面でもファミリー・フレンドリーな企業を目指すべきである。

(注)  ファミリー・フレンドリー企業とは、仕事と育児・介護とが両立できる様々な制度を持ち、多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組みを行う企業をいう。

d 男女の役割等についての意識改革
 企業内に男女の役割や職業適性に関する固定的な見方があるとすれば、男女に差のない業務の与え方を進める上でも、昇進・昇格や配置・配置転換の男女差の解消を図る上でも大きな障害となることから、男女間賃金格差の解消にはマイナスである。したがって、そうした固定的な見方を企業内から払拭することが何よりも大切である。
 企業の経営層の意識改革が強く求められる他、個々の職場において従業員への業務の配分や従業員の配置に関して権限を有する中間管理職に対して、女性の能力発揮に関する指導・教育を徹底することが重要である。
 なお、企業外の問題として、家庭での子どもの育て方が男女の役割に関する固定的な見方に基づくものとなっている場合や、女性が大学等での専攻を決定する際に偏りがある場合(例えば、女性が少ないとかイメージが「女らしくない」等の理由で技術系の学科・学部を選択しない又はさせない等)には、企業において男女が平等に能力を発揮することの阻害要因となり得ることにも留意する必要がある(本研究会は冒頭に述べたように男女間賃金格差問題について企業の賃金・処遇制度面から検討を行っており、この問題についての分析は行っていない。)。

e コース別雇用管理制度
<普及状況>
 コース別雇用管理は、1985年の男女雇用機会均等法制定の前後から普及し始めた。2000年には7.1%の企業にコース別雇用管理制度が導入されている。5,000人以上企業では51.9%、1,000〜4,999人企業では39.9%の企業に普及しており、大企業での導入が目立っている(図表23)。

<不充分な女性の活用状況>
 コース別雇用管理制度は、本来は労働者を意欲、能力、適性等によって処遇するための制度として導入されたが、本来の趣旨に反して、コース別雇用管理によって女性の能力発揮が妨げられている例は少なくない。こうしたことは企業にとっても大きなマイナスである。
 厚生労働省の調査結果によれば、いわゆる「総合職」コース(基幹的業務に従事し、転居を伴う転勤があるコース)では男性のみ採用とする企業が5割ほど、いわゆる「一般職」コース(定型的業務に従事し、転居を伴う転勤のないコース)では女性のみ採用とする企業が6割もあるなど(図表24)、中には、コース別雇用管理が男女別雇用管理と実質的にはほとんど変わらない事例もかなりみられ、男女差別であるとされた裁判例も存在する。
 コース別雇用管理が男女間賃金格差を生み出している面がある。どの企業も、女性の能力発揮を促進するという観点からコース別雇用管理を点検するべきである。女性を意図的に又は実質的に、一般職コースへと誘導するような制度設計は、女性の能力発揮を妨げ、男女間の賃金格差を拡大することから、企業は早急に是正するか廃止するべきである。コース別雇用管理が男女差別の雇用管理とならないよう、コース別雇用管理を採用している企業には公正で透明な運用が求められる。厚生労働省においては「コース等で区分した雇用管理についての留意事項」を示し、それに基づく行政指導を行っている。どの企業も本留意事項に沿ってコース別雇用管理を運用することが求められる。
 特に、採用後のコースを募集・採用時に決定する企業が多いが、採用時にはコースを決めないで採用して、一定期間の業務経験を経た後に本人の意欲・能力・適性等に応じて振り分ける制度を検討すべきである。また、転勤条件をコース設計に取り入れる企業が少なくないが、自社における過去の経験に照らして転勤条件がキャリア形成において真に必要であるかどうかを点検することも求めたい。なお改正育児・介護休業法(2002年4月全面施行)第26条により、企業は従業員の転勤を行う際に、従業員の育児や介護の状況に配慮すべき義務が課せられていることにも留意する必要がある。
 また、採用後のコース間の転換に関し、一定の要件を満たす者については、本人の希望をできるだけ実現するように努めるべきであり、上司の推薦等のコース転換要件の緩和、コース転換を円滑に進めるために転換希望者への教育訓練の実施、段階的に重要な業務を与えていくなどの配慮が必要である。


4.格差解消への取組み 〜労使への提言と行政の課題〜

 男女間賃金格差縮小のためには、男女同一価値労働同一賃金原則が目指す性によって差別のない賃金を、我が国の賃金制度・雇用管理制度の実態に合わせて実現することが必要である。
 その際、男女間賃金格差の水準は女性の能力発揮の程度を総合的に示すものともいえ、男女間賃金格差が縮小すればするほど、職場において女性の能力発揮が進展したことを示すこととなる。そこで男女間賃金格差をバロメーターの1つとして、労使、行政は男女雇用機会均等施策を進めることが適切である。
 また、男女間賃金格差は人材の配置、昇進、教育訓練、評価等の結果として現れる問題であるため、男女間賃金格差の縮小や解消を図るには賃金制度に留まらない包括的アプローチによる施策を展開する必要がある。労使双方も男女間賃金格差の解消に向けた取組の必要性を認識していることから、こうした時機をとらえて積極的に進めることが望ましい。

(1)労使への提言
 企業において男女間賃金格差についての実態把握と要因分析を行うことが大切であり、それを踏まえて労使の間で男女間賃金格差の解消に向けた対応策の議論を行うべきである。問題の性質からして、女性労働者の参加等により女性の意見が議論に反映できるようにするのが効果的である。また定期的にフォローアップすることにより、必要に応じて対応策をアップ・ツー・デートなものとすることを求めたい。
 男女間賃金格差の問題は、上述してきたように、職場での女性の能力発揮の問題でもある。企業及び労働組合においては、組織の中枢に女性を積極的に登用することを目指すべきである。組織中枢への登用は、組織内に女性の雇用管理の改善に向けた女性労働者の意見を浸透させていく上でも効果的である。

a 賃金管理
 賃金管理を改善していく上での具体的な内容として、企業は以下の点に留意する必要がある。

 イ.公正・透明な賃金制度の整備
 個々の従業員の賃金決定が曖昧である賃金制度は男女賃金差別の温床となり、男女間賃金格差をもたらしてきた。特に、賃金決定基準が不明確であったり、賃金表が未整備であったりすることは問題であり、どの企業も公正で明確で透明な賃金制度の整備を進めなければならない。また、従業員から男女間の賃金格差について説明を求められたり、不満が寄せられた場合には、十分な資料を示しつつ企業として誠意をもって説明する必要がある。

 ロ.公正・透明な人事評価制度の整備と運用
 どのような賃金制度であれ、個人別の賃金決定において人事評価は決定的に重要である。不透明で曖昧な人事評価制度は賃金、昇進・昇格における男女差別の温床となり、その結果として男女間賃金格差が増幅される。男女間賃金格差の解消を図るためには、公正で透明である人事評価制度の整備を進めることが重要であり、喫緊の課題である。人事評価制度の整備にあたっては、評価基準を明確で客観的なものにするとともに、公正かつ透明性の高い運用を確保するための評価者訓練や評価結果のフィードバック等も欠かせない。
 ハ.生活手当の見直し
 家族手当、住宅手当といった生活手当については、格差解消の観点からは、それが男女間賃金格差を生成するような支給要件で支払われている場合には廃止することが望ましい。労使双方、特に労働組合側に引き続き維持したいとの考えが根強いが、男女間賃金格差に影響しないよう、時間をかけてでも制度変更することが必要である。具体的には、家族手当のうちの子どもに対する手当や住宅手当を引き続き維持するとしても、配偶者に対する手当は廃止する等、両手当を出来るだけ縮小することが望ましい。この場合、生活手当の縮小・廃止に伴う影響を最小限に抑制するために、福利厚生施策面での対応や、平均賃金の引き下げにつながらないような措置を講ずる等により生活面への影響を緩和することが求められる。

b 雇用管理
 イ.ポジティブ・アクションの実践
 どの企業においても、女性が能力を最大限発揮できるようにするという姿勢で雇用管理を進めることが基本であり、影響力の大きい企業トップのこの点におけるイニシアティブはきわめて重要である。企業トップが先頭に立ってポジティブ・アクションを推進することを求めたい。また、ポジティブ・アクションの実践においては、中間管理職の果たす役割が大きいことから、中間管理職の意識改革を図ることも大切である。
 ポジティブ・アクションにおいては、男女間賃金格差の生成に大きく影響している男女間の職階格差や勤続年数格差の縮小や、以下、ロのような職階格差の原因になっている業務の与え方や配置の改善に取り組むべきである。

 ロ.女性に対する業務の与え方や女性の配置の改善
 業務の与え方については、これまで、難易度や重要度の低い業務、定型的な業務が主として女性に割り当てられたり、評価の低い職務に女性を多く配置することがよく見られてきたのが実態である。このように偏った業務配分や配置を改善するために、性にとらわれることなく個々の労働者の意欲や適性、職務遂行能力を基準とした配置を進めることや管理職研修に女性の能力発揮に配慮した業務運営方法を含めることの他、次のような方策も考えられる。
 すなわち、従業員が希望職務や保有能力等を申告できる自己申告制度や、欠員ポストを補充する人材を広く社内で募集する社内公募制度、一定の条件を満たした社員が希望部署への異動を申告できる社内フリーエージェント制度の導入など、従業員の意思や適性を重視する制度の整備も、女性の配置改善に寄与するものとなる。
 またライセンス制度(職務に必要なスキルを明確にし、その職務につくためのスキルを持ったものに試験等でライセンスを与え、欠員が出た場合にはそのライセンス保持者の中から配置する制度)や、女性登用を念頭においた後継者計画(管理者が自分の後任候補者数名を所属部門長や人事部門に登録する際に、最低1名は女性とすることのルール化)等も参考とするに値する。

 ハ.コース別雇用管理制度及びその運用の改善
 コース別雇用管理制度について、男女間賃金格差の改善を図る観点から、コース区分決定方法など、制度そのものを点検することが大切である。
 特に検討が求められるのは、コース区分の決定を採用後一定期間の職務経験後に従業員の意欲・能力・適性等に基づき決定すること、コース転換の円滑化のための措置の導入(一定の条件を満たす労働者の希望を実現するコース転換制度の導入、コース転換希望者に対する教育訓練の実施等)、転勤の有無によるコース設定がキャリア形成上真に必要であるかどうかの再確認、である。
 なお、コース別雇用管理制度の内容について、従業員に対して十分な説明がなされることが望まれるが、併せて、総合職の男女労働者を含め、企業は転勤を命ずるに際し、育児や介護の状況に配慮すべき責務があることにも十分留意する必要がある。

 ニ.ファミリー・フレンドリーな職場形成の促進
 企業は育児・介護休業制度を利用しやすくするなどの職場環境の改善に努め、育児を担うことの多い女性の負担を軽減することが大切である。
 特に、成果主義賃金が広がりつつある中では、これまで以上に育児・介護等家族的責任を有する労働者に配慮した仕組みが求められる。具体的には、育児・介護休業取得期間中における復職に向けた企業情報の伝達や、スキルの陳腐化を防ぐための通信研修の提供、在宅勤務制度などが考えられる。
 また、依然として広くみられる恒常的残業を出来るだけ排除し、短時間勤務制度、フレックスタイム制などの活用を通じて柔軟な労働時間制度を採用するなど労働時間の面でも、家庭生活と職場生活が両立するように努めることが必要である。

(2)行政の課題
a 当面の課題への対応理
 イ 男女間賃金格差解消に向けた労使の取組みへの支援
 本研究会の成果を踏まえ、男女間賃金格差解消のために労使が自主的に取り組むための賃金管理及び雇用管理の改善方策に係るガイドラインを作成し、労使に提示、周知して、その普及を図ることが必要である。また、企業が雇用管理を適切に進めていく上で参考となる情報、たとえば好事例や女性に対する偏見を是正する教育訓練プログラムなどの情報の収集、提供を行うことも重要である。さらにはポジティブ・アクションへの企業の取組を一層促進するため、具体的な目標設定のための支援等を通じて、企業が取り組みやすいように環境整備を図るべきである。この場合、ポジティブ・アクションにおいては、特に配置、昇進や業務の与え方、勤続年数格差の縮小についての改善が重要である。
 コース別雇用管理制度については、その適正な運用がなされるよう、上述した内容も踏まえながら重点的に指導を行うことが必要である。
 育児期の就業継続促進のため、保育施設網の整備やファミリー・フレンドリーな職場環境の形成に引き続き努めるべきである。

 ロ 行政による事後救済制度の補完
 男女間の賃金格差については、女性労働者が、労働基準法、男女雇用機会均等法等に基づき、都道府県労働局に対し、救済を求めてくる場合がある。それが性別を理由とする格差であるか否か、あるいはその格差が合理的なものであるのか否かについて、行政としては、個々の企業の賃金・雇用管理の制度やその運用の実態に即して判断することとなる。特に我が国においては賃金決定要素が多様であり、格差の要因として配置・昇進・昇格等が大きな比重を持っていることが多いと見られる。このため、事後救済制度が効果的に機能するよう、男女賃金差別事案の事後救済の過程においては企業から必要となる資料の提供を求めて、人事評価システムを含め賃金・雇用管理の専門家による客観的分析が行えるようにすることが必要である。

 ハ 男女間賃金格差レポートの作成
 男女間賃金格差の現状や男女間賃金格差縮小の進捗状況を継続的にフォローアップして、定期的に公表することにより、男女間賃金格差縮小に関する労使の取組みを促進することが必要である。

b 中期的な課題への対応
 先進諸国の中には、ポジティブ・アクションを推進するために、企業に対して雇用状況の報告書の提出や、計画の作成、その実施状況の行政への報告を求めている例がある。我が国においても、外国事例を参考にしつつ、国内の取組状況を踏まえながら、ポジティブ・アクションを積極的かつ効果的なものとするために、法制面の整備を含めた手法の検討を行うことが求められる。
 いわゆる間接差別(注)についても、我が国でどのようなケースが間接差別となるのかについての十分な議論を進めることが必要である。その上で、間接差別法理を賃金管理及び雇用管理に適用することの適否について、先進諸国の制度も参考にしつつ、丁寧に検討することが求められる。

(注)  間接差別とは、形式上は性に中立な制度や仕組みであっても、制度や仕組みを運用した結果として大多数の女性にとって不利となるもの(例えば、身長175センチメートル以上であることを採用基準とした場合で、その基準を置く合理的理由のないものなど)であれば、そうした制度や仕組みは女性差別であるとする考え方。


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