教師だからできること
異変に気づいたら、まず話をしてみましょう
子どもの異変に気づいたら、話し合う機会をつくってみましょう。問題を抱えた子どもにとって重要なのは、自分の話に真剣に耳を傾けてくれる人、すなわちセーフティーネットになってくれる人の存在です。寛容な姿勢で子どものつらさに共感し、「あなたの力になりたいと思っている」という気持ちを伝えてください。
自傷する子どもに対しては、その行為を批判するのではなく、「こころの痛みを和らげるのに役立つこともあることを知っている」と話して安心させましょう。そして、子どもが健康的なストレス対処法を見つけられるよう手伝ってやります。
ときには学校で、複数の子どもが自傷行為を行っていることが発見されることもあります。この場合の自傷には、仲間意識を高める作用もあるようです。しかし、自傷する理由は一人ひとり異なると考えられます。集団ではなく個別に対応しましょう。
教師の役割は悩みを解決してやることではなく、子どもの自尊心を高めて、子ども自身が保護者やこころの専門家とともに解決策を模索できるよう促すことです。
子どもと話をするときは、ほかの人にも話すべきであり、内緒にしておくのは難しいと伝えましょう。そして、だれになら話せるかということについても話し合ってください。
親に話すことに不安をもっているようなら、その理由を聞き、まずは養護教諭やスクールカウンセラーの協力を得るよう提案しましょう。
自殺をほのめかされたときも、できるだけ落ち着いて、心配していることを言葉にして伝えます。子どもの話を真剣に聞いた後、できるだけ早く保護者やこころの専門家につないでください。保護者に説明する際はできるだけ子どもを同席させましょう。
クラスメイトによるいじめや教職員とのトラブルなどが原因と考えられる場合は、環境調整を行う必要もあります。1人で抱え込むのではなく、学校の方針に基づいて関係者と対応策を話し合いながら、慎重に進めていきましょう。
■子どもと向き合うポイント
- 寛容に子どもを受け入れる
- ほかの生徒の注意を引かない
- 答えが「イエス・ノー」にならないよう、「HOW」で聞く
- 子どもの安全が脅かされる場合、秘密保持には限界があることを伝える
- 子どもが紙に書いて説明できるようにする
- 子どもが話した内容をときどき繰り返して確認する
- これまでどんなふうに困難に対処してきたか聞く
- 保護者やスクールカウンセラーに話せるようサポートする
- 学校での活動で自尊心を高められるようサポートする
- 会話の内容を記録しておく
参考:Mental Health is Everybody's Business2007, Self-Harm:Guidelines for School Staff2009/Northamptonshire Children&Young People's Partnership
【参考:10代、20代の皆さんへ>今、できること】
【参考:10代、20代の皆さんへ>友達の力になりたい】