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(別添)

厚生労働省発基0908001号


労働政策審議会
 会長  西川 俊作   殿


 厚生労働省設置法(平成11年法律第97号)第9条第1項第1号の規定に基づき、「労働基準法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令案要綱」(別紙1)、「労働基準法施行規則及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法施行規則の一部を改正する省令案要綱」(別紙2)、「労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準を定める告示案要綱」(別紙3)、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準を定める告示案要綱」(別紙4)、「労働基準法第三十八条の四第一項の規定により同項第一号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針の一部を改正する告示案要綱」(別紙5)、「労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準の一部を改正する告示案要綱」(別紙6)及び「労働基準法施行規則第二十四条の二の二第二項第六号の規定に基づき厚生労働大臣の指定する業務の一部を改正する告示案要綱」(別紙7)について貴会の意見を求める。


平成15年9月8日

厚生労働大臣  坂口 力


改正労働基準法のあらまし
〜多様な働き方の実現と安心して働くことができるルールづくりを目指して〜


 平成15年7月4日に、
(1) 労働者ひとりひとりが主体的に多様な働き方を選択できる可能性の拡大
(2) 働き方に応じた適正な労働条件が確保され、紛争解決にも資すること
を目的として、労働契約や労働時間など働き方に係るルールを整備する「労働基準法の一部を改正する法律」(平成15年法律第104号)が公布されました。
 このリーフレットは、関係者の方々に改正のポイントをご理解いただくとともに、就業規則の変更作業などに役立てていただけるよう、改正内容の概要を整理したものです。更に詳しい改正内容については、関係する命令等を定めた後に、改めてお知らせする予定です。

I 有期労働契約に関する改正

  契約期間の上限の延長(第14条第1項)
(1) 有期労働契約(期間の定めのある労働契約)について、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、原則として契約期間の上限を3年(現在は1年)とすることになりました。(→※1)
(2) ただし、次の場合には、契約期間の上限を5年とすることになりました。
(1) 専門的な知識、技術又は経験(以下「専門的知識等」と言います。)であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準(→※2)に該当するものを有する者が、そのような専門的知識等を必要とする業務に就く場合
(2) 満60歳以上の者が労働契約を締結する場合

  ※1 有期労働契約についての暫定措置
 有期労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限ります。)を締結した労働者(上記(2)(1)又は(2)に該当する労働者は除きます。)は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができることになりました。
 〔この措置は、政府が、この法律の施行後3年を経過した後に、その施行の状況を勘案しつつ検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるまでの間の暫定措置です。〕
  ※2 厚生労働大臣が定める基準は、今後、改正法の施行までに、告示で定めます。

  有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準(第14条第2項、第3項)
 厚生労働大臣は、有期労働契約の締結時や期間の満了時におけるトラブルを防止するため、使用者が講ずるべき措置について、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準」(→※)を定めることになりました。
 また、労働基準監督署長は、この基準に関して、使用者に対して必要な助言や指導を行うことができることになりました。  

 「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準」は、雇止めに係る事前通知に関することなど、今後、改正法の施行までに、告示で定めます。

II 解雇に関する改正

  解雇(第18条の2)
 近年、解雇をめぐるトラブルが増大しており、その防止・解決には、解雇に関する基本的なルールを明確にすることが必要となっています。そこで、最高裁の判決で確立しているものの、これまで労使当事者間に十分に周知されていなかった「解雇権濫用法理」(→※)が法律に明記されました。
 すなわち、第18条の2として、
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
との規定が新設されました。

  「解雇権濫用法理」とは、昭和50年の最高裁判決において示されたものです。この判決では「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」と判示されています。

  解雇理由の明示(第22条第2項)
 解雇をめぐるトラブルを未然に防止し、その迅速な解決を図るために、これまでの退職時証明に加えて、労働者は、解雇の予告をされた日から退職の日までの間においても、解雇の理由についての証明書を請求できることになりました。
 ただし、使用者は、解雇の予告がされた日以後に労働者がその解雇以外の事由によって退職した場合は、この証明書を交付する義務はありません。

  就業規則への「解雇の事由」の記載(第89条第3号)
 労使当事者間において、解雇についての事前の予測可能性を高めるため、就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載することが必要になりました。

 既に作成している就業規則に、「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載していない場合には、「解雇の事由」を記載した上で、改めて、労働基準監督署へ届け出なければなりません。

III 裁量労働制に関する改正

裁量労働制とは

 労働者を対象とする業務に就かせ、労働者に時間配分や仕事の仕方をゆだねた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度(みなし労働時間制)です。
 裁量労働制には、次の2種類があります。
(1) 専門業務型裁量労働制・・・デザイナー、システムエンジニア等、専門的な業務に就く者が対象。
(2) 企画業務型裁量労働制・・・事業運営の企画、立案、調査及び分析の業務を行うホワイトカラー労働者が対象。

  専門業務型裁量労働制(第38条の3)
 専門業務型裁量労働制を導入する場合には、労使協定で定めるところにより使用者が次の措置を講ずることを、労使協定で定めなければならないことになりました。
(1) 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた労働者の健康・福祉を確保するための措置
(2) 苦情の処理に関する措置

 既に専門業務型裁量労働制を導入している事業場においては、上記事項について労使協定で定めた上で、改めて、労働基準監督署に届け出なければなりません。

  企画業務型裁量労働制(第38条の4)
 企画業務型裁量労働制については、導入・運用の要件・手続が以下のように改正されました。
(1) 企画業務型裁量労働制の対象事業場について、本社等に限定しないことになりました。(→※)
(2) 労使委員会の決議について、委員の5分の4以上の多数によるものとすることになりました。
(3) 労使委員会の労働者代表委員について、あらためて事業場の労働者の信任を得ることとする要件を廃止することになりました。
(4) 労使委員会の設置届を廃止することになりました。
(5) 使用者の行政官庁への定期報告事項は、対象労働者の労働時間の状況に応じた健康・福祉確保措置の実施状況に限ることになりました。

 対象事業場を本社等に限定しないことになったことに伴い、今後、改正法の施行までに、告示で対象業務等の明確化を図る予定です。

IV 施行期日

 この法律は、公布の日(平成15年7月4日)から起算して6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。

 関係省令および告示は、施行期日に先立って定める予定です。


 以上が改正労働基準法のあらましです。
 ご不明の点などがありましたら、最寄りの都道府県労働局・労働基準監督署にお問い合わせください。


厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署


労働条件分科会委員・臨時委員


区分 委員氏名 現職名
公益代表   アラキ  タカシ
  荒木 尚志
東京大学法学部教授
  イマダ  サチコ
  今田 幸子
日本労働研究機構統括研究員
  イワデ   マコト
  岩出  誠
弁護士
  ニシムラ ケンイチロウ
○ 西村 健一郎
京都大学法学部教授
  ヒロミ  カズオ
  廣見 和夫
中央労働災害防止協会理事長
  ワタナベ  アキラ
  渡辺  章
東京経済大学現代法学部教授
  ワダ   オサム
  和田  攻
埼玉産業保健推進センター所長
労働者代表   オウミ  ナオト
  逢見 直人
UIゼンセン同盟常任中央執行委員
  コヤマ  マサキ
  小山 正樹
JAM副書記長
  サトウ  ノリユキ
  佐藤 雅是
日本化学エネルギー産業労働組合連合会事務局長
  タジマ  ケイイチ
  田島 恵一
全国一般労働組合書記長
  タツイ  ヨウジ
  龍井 葉二
日本労働組合総連合会総合労働局長
  マツシマ  ミノル
  松島  稔
日本都市交通労働組合中央執行委員長
  ヤマグチ  ヨウコ
  山口 洋子
日本サービス・流通労働組合連合中央執行委員
使用者代表   オクタニ  レイコ
  奥谷 禮子
株式会社ザ・アール代表取締役社長
  キリク   タカシ
  紀陸  孝
日本経済団体連合会常務理事
  サトウ
  佐藤 みどり
有限会社八王子自動車教習所代表取締役社長
  ハラカワ  コウジ
  原川 耕治
全国中小企業団体中央会調査部長
  ヒラヤマ  キゾウ
  平山 喜三
新日本製鐵株式会社取締役人事・労政部長
  ヤマダ  ヨウスケ
  山田 洋輔
三菱化学株式会社常務取締役
  ワタナベ ヨシヒデ
  渡邊 佳英
大崎電気工業株式会社代表取締役社長

○ 分科会長


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