IV 利用者の視点
1 趣旨
福祉サービスの第三者評価事業は、公正・中立な第三者評価機関が、専門的かつ客観的な立場から、事業者の提供するサービスの質を評価することを基本としている。
このため、今回取りまとめた第三者評価基準に基づく評価は、施設・事業者の運営やサービス提供について「事業者はこうあるべき」という尺度によって行われるものであり、利用者の意向の尊重や反映についても、第三者評価基準の中に、事業者が、利用者の視点に立って取り組むべき水準として項目を設定している。
しかしながら、
(1) この第三者評価基準に基づく評価だけでは、実際に利用者がどのように感じているかという観点からの評価が行われにくい、
(2) サービスが提供されるまでの業務のプロセスが適切に実施されているかといった「プロセス(課程)評価」も重要だが、サービスを提供した結果、それが子どもの発達や保護者のニーズなどの観点から、うまく提供されているかといった「アウトカム(成果)評価」をしうる評価基準も加える必要があり、利用者の声を直接把握することは、サービスの成果を確認するための一つの手段となる、
(3) 提供している福祉サービスに対する利用者の声を直接把握し、その分析結果を提供することは、事業者にとって第三者評価を受けるメリットにもなる、
との意見があった。
以上のような意見を踏まえ、第三者評価が、「公正・中立」、「専門的」、「客観的」に行われるものであるという基本的な考え方を踏まえた上で、第三者評価基準に基づく全体の評価結果を取りまとめる際の 参考とするという前提で、利用者の認識を把握するための方法について検討を行った。
2 利用者の認識の把握方法
利用者の認識を把握する方法としては、利用者本人、家族等からのヒアリング又はヒアリングに替えてアンケートを行うことなどが考えられる。
特に、児童福祉施設においては、ヒアリングにより、サービス利用者本人の意思や意見を聴取する場合、発達上の問題などから、必ずしも本人の真意が確認できない場合もあり、また、利用者の自由な意見を求める観点からも、本人等からのヒアリングに替えて「利用者アンケート」を行う場合の様式例を作成した。
「利用者アンケート」作成の考え方
(1) 質問項目は、利用者がサービスを受ける上で、直接的に評価や判断ができる事項とする。
(2) わかりやすい設問とするとともに、自由記述の欄を設ける。
(3) 児童養護施設及び母子生活支援施設については、「保護者用」と「児童用」の2種類の利用者アンケートを用いる。
(4) 利用者にとって過度の負担にならないよう項目を限定する。
「利用者アンケート」の様式例
(1) 保育所 別紙5
(2) 児童養護施設
児童用 別紙6
保護者用 別紙7
(3) 母子生活支援施設
児童用 別紙8
保護者用 別紙9
(4) 乳児院 別紙10