労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委令和元年(不再)第50号
シェーンコーポレーション不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X1組合(「組合」)、X2支部(あわせて「組合ら」) 
再審査被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和4年7月6日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、①組合員A1をC工業の担当から外したこと、②組合員A1への授業の依頼を減らしたこと、③組合員A2の授業コマ数が減少したこと、④組合員A3に対し最終警告書を交付したこと、⑤組合員A3を雇止めとしたことが、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審東京都労委は、会社が、②組合員A1への授業の依頼を減らしたこと、④組合員A3に対し最終警告書を交付したことが、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるとして、会社にに対し、最終警告書がなかったものとしての取扱い及び文書の交付を命じ、その余の申立てを棄却したところ、組合らは、これを不服として再審査を申し立てた。 
命令主文  本件再審査申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  (1)争点1(組合員A1をC工業の担当から外したことは、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
ア 会社は、C工業との間で、英会話の授業に同じ講師を派遣する講師派遣契約を締結し、組合員A1はその派遣講師として、C工業における授業に従事していたが、時限指名ストライキを実施して、C工業の授業を3回連続して欠勤した。C工業が組合員A1の欠勤を理由に講師の変更を求めたことから、会社はこの要請に応じて、組合員A1をC工業の担当から外した。
イ 会社が、C工業の要請に応じて講師を変更することは、講師派遣契約上の義務を履行するための対応であり、合理的な理由があるから、不当労働行為意思に基づくものではない。
したがって、労組法第7条第1号に当たらないし、また、同条第3号にも当たらない。
(2)争点2(組合員A1への授業の依頼を減らしたことに関する救済方法は適当か。)について
ア 組合らは、組合員A1の賃金相当額のバックペイの支払を命ずることを求めているが、①組合員A1には会社の適正な業務依頼回数を的確に判断するための業務実績が不足しており、また、②組合員A1は、会社からの業務依頼を断ったことや、受諾したが時限指名ストライキを行い業務を行っていないことがあり、このような事情の下では、同人の想定される勤務時間を算定することも困難である。
イ したがって、組合員A1の適正な賃金相当額を算定することは困難であり、これに雇用契約上同人は他会社での就労の可能性があることも併せ考慮すると、会社に対しバックペイの支払まで命ずるのは相当でない。
ウ 組合らが求めるその余の救済方法(支配介入の禁止及び謝罪文のホームページへの掲載)を命ずることも要しない。
(3)争点3(組合員A2の授業コマ数が減少したことは、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
ア 組合員A2の勤務時間が減少したのは、同人のストライキによる度重なる授業不開催の結果、生徒が集まらなくなってしまい、会社は担当授業から組合員A2を外したものである。
その後、会社は、組合員A2に対し、他校の授業を依頼したが、同人はいずれもストライキを実施して勤務を行わなかった。
これらの事情の下では、会社が同人に対し、ほとんど授業を依頼していないことが不合理であるということはできない。
イ 組合員A2の授業コマ数の減少には合理的な理由があるから、同人が組合らの組合員であることや組合活動を理由とするものということはできない。
したがって、労組法第7条第1号に当たらないし、また、同条第3号にも当たらない。
(4)争点4(組合員A3に対し最終警告書を交付したことに関する救済方法は適当か。)について
会社の不当労働行為によって生じた侵害状態を除去、是正し、正常な集団的労使関係の回復、確保を図るためには、会社に対し、初審命令主文第1項及び第2項のとおり、最終警告書をなかったものとして取り扱うこと及び文書交付を命ずるのが相当である。
(5)争点5(組合員A3を雇止めとしたことは、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
ア 組合員A3に対する雇止めは、組合員A3が、会社の就業規則上の有給休暇の計画的付与は無効であるから、就業規則に定められた有給休暇日数を任意に取得できると主張して、会社が繰り返し出勤を求めたにもかかわらず、出勤に応じない状態を続けたことから、会社が企業秩序を維持するためにとった対応といえ、仮に同人が組合員でなかったとしても、同じ対応をしたものと推測される。
イ したがって、組合員A3に対する雇止めは、同人が組合の組合員であることや組合活動を理由とするものではなく、労組法第7条第1号に当たらないし、また、同条第3号にも当たらない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成27年(不)第94号 一部救済 令和元年8月6日
 
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