概要情報
事件番号・通称事件名 |
中労委令和元年(不再)第60号
日本通運(団交)不当労働行為再審査事件 |
再審査申立人 |
X組合(「組合」) |
再審査被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
令和3年10月1日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、組合が平成30年3月3日付けで会社に対し、開催場所を組合事務所会議室又は大阪支店会議室として団体交渉(以下「団交」という。)を申し入れた(以下「30.3.3団交申入れ」という。)ところ、会社が、先行する中央労働委員会の別事件(以下「別件」という。)における同年2月27日付け和解(以下「30.2.27和解」という。)での合意内容を反故にして、会社が提案する貸会議室での団交開催に固執し、よって団交が開催できなかったことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てがされた事件である。
2 初審大阪府労委は、救済申立てを棄却し、組合は、これを不服として再審査を申し立てた。
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命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
⑴ 30.2.27和解における合意違反の有無について
組合は、別件の第2回調査期日において,次回以降の団交は労使交互に提案した場所で行うこと及び次回団交の開催場所を組合事務所会議室とすることについて合意が成立したと主張するが、別件の全3回の調査調書及び30.2.27和解に係る和解勧告書のいずれにも当該合意が成立した旨の記載はなく、その他、当該合意の存在を裏付ける客観的証拠はない。
したがって、30.2.27和解において組合が主張するような合意の成立を認めることはできず、会社に合意違反があるとはいえない。
⑵ 30.3.3団交申入れに対する会社の対応が正当な理由のない団交拒否に当たるかについて
ア会社は、30.3.3団交申入れに対し、組合の提案した交渉事項を前提として、団交開催に向けた具体的な提案を行っている。会社が提案した貸会議室での団交開催について、組合に格別の不利益があるとは認められず、会社の提案には、団交を行うという観点から、合理性がある。
イ組合が貸会議室における団交に反対し、組合事務所会議室又は会社大阪支店会議室を希望していた主な理由は、交渉自体への支障ではなく、労使対等や別組合との差別の是正といった組合に対する一般的な尊重を求める意味合いの強いものであって、組合としても、貸会議室における開催に反対し、組合事務所会議室又は会社大阪支店会議室を開催場所とすべき強固な理由があったとまではいえない。
ウ会社は組合提案の開催場所に応じることのできない理由として信頼関係が構築されていない旨を主張するところ、当該事情はそれのみでは直ちに組合提案の開催場所での団交を拒否する正当な理由として是認することのできるものではないが、上記ア、イの事情をふまえると、会社が組合提案の開催場所に応じなかったことの一事をもって、会社の対応が直ちに正当な理由のない団交拒否であるとまで評価することはできない。
したがって、30.3.3団交申入れに対する会社の対応は、労組法第7条第2号の不当労働行為には当たらない。 |
掲載文献 |
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