労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委平成29年(不)第3号
明海大学不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合・X2組合 
被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  令和元年7月2日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要  1 平成17年4月2日、X2組合が結成され、同日、X2組合は、X1組合に加盟した。4月4日、X2組合は、法人に対し、組合結成及びX1組合への加盟を通知した。
2 これ以降、29年1月13日の本件申立てまでの間に、X2組合と法人との団体交渉は56回開催され、その開催場所は、26回が、法人の東京事務所、28回が浦安キャンパス、 2回が坂戸キャンパスであった。しかし、24年度以降は、団体交渉が東京事務所で開催されたことはなく、X2組合は、東京事務所での開催を要求し続けていたが、法人は、28年1月14日の団体交渉において、開催場所に関する議論は進展がないから打ち切ると回答した。
3 X2組合は、その後も、1月14日付け、3月7日付け、6月7日付け、同月17日付け、7月13日付け、9月12日付け及び11月11日付けで、東京事務所を開催場所とする団体交渉を申し入れたが、法人は、そのいずれに対しても、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定する旨の回答をし、結局2月23日、4月13日、7月8日、10月3日及び12月7日には浦安キャンパスで、 8月25日には坂戸キャンバスで団体交渉が開催された。
4 X2組合は、浦安キャンパスの非組合員を含む約200名の教職員宛てに、3月1日付「X2組合ニュース」が入った封書を郵送した。3月3日、法人が、当該封書を教員についてはそのメールボックスに、また、職員についてはその所属部署に引き渡し始めたところ、職員から、封書の中に組合ニュースが入っているとの指摘があったため、法人は、当該封書を各教職員に引き渡すことを中止して、既に教職員に引き渡した封書については回収するなどした。
 そして、法人は、3月10日、上記X2組合ニュースの郵送は就業規則に違反する行為であるとして、X2組合及びその執行委員長、副執行委員長、書記長及び執行委員(執行委員長ら)に対し厳重注意を行う旨の「通知書」を交付した。
5 本件は、以下の点が争われた事案である。
ア X2組合による28年1月14日付け、3月7日付け、6月7日付け、同月17日付け、7月13日付け、9月12日付け及び11月11日付けの東京事務所を開催場所とする各団体交渉の申入れに対し、法人が、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンバスに限定する旨を回答し、東京事務所での開催を受け入れなかったことは、正当な理由のない団体交渉の拒否及び支配介入に当たるか否か。
イ 法人が、28年3月3日、X2組合が浦安キャンパスの非組合員を含む約200名の教職員宛てに郵送した本件X2組合ニュース入りの封書を各教職員に引き渡さず、また既に教職員に引き渡した封書を回収したこと並びにX2組合が浦安キャンパスの教職員宛てにX2組合ニュースを郵送したことについて、 3月10日付けでX2組合及びその執行委員長らに対し厳重注意を行ったことは、それぞれ支配介入に当たるか否か。

東京都労働委員会は、不誠実な団体交渉及び支配介入にあたる不当労働行為であるとして、その是正とともに、文書の掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人法人は、申立人X2組合が団体交渉を申し入れたときは、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定することなく、これに応じなければならない。
2 被申立人法人は、申立人X2組合が浦安キャンパスの教職員宛てに郵送する組合ニュース入りの封書を各教職員に引き渡さず、また、上記郵送行為について同申立人X2組合及びその執行委員長らに対し厳重注意をするなどして、同申立人X2組合の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人法人は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を、55センチメートルX80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、被申立人法人の浦安キャンパス及び坂戸キャンパスの教職員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。

 年 月 日
X1組合
中央執行委員長 A1殿
X2組合
執行委員長 A2殿
法人      
理事長 B

 当法人が、①貴X2組合の平成28年1月14日付け、3月7日付け、6月7日付け、同月17日付け、7月13日付け、9月12日付け及び11月11日付けの東京事務所を、開催場所とする各団体交渉の申入れに対し、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンパスに限定する旨を回答し、東京事務所での開催を受け入れなかったこと、②浦安キャンパスの教職員宛ての組合ニュース入りの封書を各教職員に引き渡さず、また既に教職員に引き渡した封書についてそれを回収したこと並びに③貴X2組合が浦安キャンパスの教職員宛てに組合ニュースを郵送したことについて貴X2組合及びその執行委員長らに対し厳重注意を行ったことは、いずれも東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は、文書を掲不した日を記載すること。)

4 被申立人法人は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。 
判断の要旨  1 X2組合の東京事務所を開催場所とする各団体交渉の申入れに対し、法人が、開催場所を浦安キャンパス又は坂戸キャンバスに限定する旨を回答し、東京事務所での開催を受け入れなかったことは、正当な理由のない団体交渉の拒否及び支配介入に当たるか否か。
 X2組合側には浦安キャンパス又は坂戸キャンパスでの開催に支障があることが認められ、この点についてX2組合が資料を示して説明しているにもかかわらず、法人は、かって自身が開催を希望したこともあり、26回の開催実績がある東京事務所での開催を合理的な理由もなく拒んでいるといわざるを得ず、また、組合の交互開催という讓歩案に対してもこれを一顧だにせず拒否しているのであるから、法人は、組合にとって支障のある開催条件を意図的に押し付けようとしているものとみざるを得ない。
 したがって、法人の対応は、不誠実な団体交渉に当たるとともに、X2組合の運営に対する支配介入にも当たるというべきである。

2 法人によるX2組合が教職員宛てに郵送した封書の回収並びにX2組合及びその執行委員長らに対する厳重注意は、それぞれ支配介入に当たるか否か。
 本件X2組合ニュース入りの封書を浦安キャンパスの教職員を受取人として郵送した行為は組合にとって重要な活動であったが、法人は、それを各教職員に引き渡さず、また既に引き渡した封書を回収し、さらに、そうした郵送行為についてX2組合及びその執行委員長らに対し厳重注意を行ったということになる。法人のこのような行為は、X2組合の本件郵送行為により法人の業務への具体的な支障が生ずるとは認め難い中で、職員協議会発足のお知らせやそれ以外の個人的な郵便物とは異なる取扱いをしたという点で合理性に乏しいものであったといわざるを得ない。
 そうすると、仮にX2組合の上記行為が法人の主張するように就業規則に抵触しているとの解釈に立ったとしても、法人の上記行為は、かねてから、勤務時間の内外を問わず、法人施設内での一切の組合活動禁止を言明していた法人が、その意思を貫徹するために行ったものとみるべきものであり、法人が、X2組合の活動を抑制し、弱体化することを意図したものであるとみざるを得ないものであるから、X2組合の運営に対する支配介入に当たるというべきである。 
掲載文献   

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