労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成25年(不再)第44号・第45号
京王バス小金井外2社不当労働行為再審査事件 
再審査申立人  X1労働組合X2本部(第44号)、X1労働組合X2本部X3支部(第44号)
Y2株式会社(第45号)、Y3株式会社(第45号) 
再審査被申立人  Y1株式会社(第44号)、Y2株式会社(第44号)、Y3株式会社(第44号)
X1労働組合X2本部(第45号)、X1労働組合X2本部X3支部(第45号) 
命令年月日  令和元年5月22日 
命令区分  一部変更、棄却 
重要度   
事件概要  1 本件は、会社が、組合員に対し、①平成14年以降の賃金格付並びに同17年以降の賞与及び報奨金等の支払、②雇用延長制度等の運用において、それぞれ他組合と同等に取り扱っていないことが不当労働行為であるとして、申立てがあった事件である。
2 初審東京都労委は、定年後の再雇用に係る任用社員制度に関する電鉄バス及び小金井の対応は労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるとして、他組合との間の協定と同内容の提案をすることを命じ、その余の申立てを却下ないし棄却したところ、組合及び会社は、それぞれ当委員会に再審査を申し立てた。
3 再審中労委は、初審命令の一部を変更し、その余りを却下し、その余りの再審査申立てを棄却した。 
命令主文  I 初審命令主文第1項及び第2項を次のとおり変更する。
1 Y2株式会社及びY3株式会社は、本命令書受領の日から10日以内に、下記の内容の文書を、X1労働組合X2本部及び同X3支部に交付しなければならない。
 年 月 日
X1労働組合X2本部
執行委員長 A1 様
X1労働組合X2本部X3支部
執行委員長 A2 様
Y2株式会社    
代表取締役 B1
Y3株式会社    
代表取締役 B2

 C労働組合との協定に基づいて平成18年5月16日に導入した任用社員制度に係る当社の対応は、中央労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号の不当労働行為であると認められました。
 当社は、このことを誠実に受け止めます。
(注:年月日は、文書の交付の日を記載すること。)
2 平成19年4月16日以前に行われた格付に基づき支払われた賃金並びに平成20年10月15日以前に支払われた賞与及び報奨金に係る申立てを却下する。

Ⅱ その余の本件再審査申立てを棄却する。 
判断の要旨  (1) 申立期間について
 本件救済申立てのうち、19年4月16日以前の格付に基づく賃金に係る申立て並びに20年10月15日以前に支払が終了している賞与及び報奨金等に係る申立てについては、申立期間を徒過したものであり却下するのが相当であるが、本件初審命令の主文の一部がこれと整合しないことから、主文のとおりに変更する。
(2) 賃金の格付、賞与、報奨金等の不当労働行為該当性について
 新労組合員と他組合との間の賃金の格付等について有意な外形的格差が生じており、会社に新労を嫌悪する意思が一定程度存在していたことが認められるが、会社において適用されている評価制度は、相応の客観的かつ公平な評価が担保された合理的なものであり、そのような制度の下で、新労組合員は、自らの方針によって低評価とされる行動を取り、それにより他組合の組合員と比べ低い評点とされたものであって、そこに会社が恣意的な評価等を行ったとみられるような事実は認められない。そうすると、同様の行動を取っていれば、組合の別に関わりなく低評価となったものと考えられるのであるから、会社が新労組合員を低評価としたことは、新労を差別する意思の故に行ったものとはいえない。
 また、賞与及び報奨金等は、いずれも、査定や格付により支給額に変動が生ずるものであるところ、新労組合員の査定や格付において組合差別があったとは認められないのであるから、賞与及び報奨金等の格差についても、新労組合員であることを理由とした不利益取扱い又は組合に対する支配介入ということはできない。組合は、報奨金等において遅配等が発生していることについても不利益が生じているとも主張するが、支給が遅れることには一定の理由があるのであって、この点についても組合差別の結果であるとはいえない。
 さらに、組合は、交通整理員であるAについても新労組合員であるが故の不利益取扱いがあると主張するが、同人は事故を惹起したことにより交通整理員に職種変更されたとの事情があり、その他、組合員であるが故の不利益取扱いであることをうかがわせる証拠もないから、これについても組合差別の結果であると認めることはできない。
 以上のことからすれば、新労の賃金の格付、賞与及び報奨金等に係る申立ては、いずれも不当労働行為であると認めることはできない。
(3) 雇用延長制度等(継続社員制度、準継続社員制度及び任用社員制度)の不当労働行為該当性について
ア 継続社員制度及び準継続社員制度について
 組合は、継続社員制度と準継続社員制度にC査定による欠格事由が設けられていることが、恣意的評価によって新労を対象から外すことを企図した差別的取扱いである旨主張するが、欠格事由は組合の別に関わりなく適用されること、新労組合員の多くがC査定であることは不当労働行為とは認められないこと等からすれば、査定による欠格事由を設けたことが組合差別によるものであると認めることはできない。さらに、17 年5月に会社が新労に雇用延長制度の説明をした際に準継続社員制度の説明を行わなかったことをもって組合差別とまでいうことはできないし、小金井にミニバス仕業がなく準継続社員制度が選択できないことが組合差別であるとの組合の主張も採用できない。
 したがって、継続社員制度及び準継続社員制度の適用に係る申立てについては、いずれも不当労働行為であるとは認められない。
イ 任用社員制度について
 会社と他組合との協定により18年に導入された任用社員制度は、継続社員制度や準継続社員制度と比較して利点の多い制度と受け止められるものと考えられるところ、新労に同制度を提案しなかったことについて会社が主張する理由は、いずれも合理的なものとは認めることはできない。
同制度が提案されなかったことによって、新労組合員には同制度を選択する機会を喪失した点の不利益が発生しており、会社には新労に対する嫌悪の意思が一定程度存在していたことからすれば、新労に対しては提案をせず、協定締結を求めてもこれを拒否し、もって新労組合員に同制度を適用しなかったことは、労組法第7条第1号の不利益取扱い及び同3号の支配介入に該当する。
(4) 救済利益について
 会社は、28年5月、他労組と新労に対し同様に任用社員制度の提案を行ったこと等から、救済利益を欠くに至った旨主張するが、同提案においては、以前には存在していなかった査定による具体的な採用基準が文言上加えられているのであるから、両制度を比較してみた場合、外見上、全く同一の内容であると認めることはできず、同提案をもって直ちに救済利益を欠くに至ったものと認めることはできない。また、会社が主張するその余の事情を勘案しても、本件再審査結審時において、過去の任用社員制度の取扱いに関して生じた会社と新労との間の見解の相違が完全に解消されているとまではいえないから、救済利益が完全に消滅したと認めることはできない。
(5) 救済方法について
 会社は、任用社員として採用するに当たり、査定による明確な基準を用いていたとみるのは難しいとしても、希望する者を全て採用するような取扱いをしていたことを認めることはできず、総合的な採用判断を行っていたとみるのが合理的であるから、今後の同制度の運用に関しては、その採用の基準を明確にすることは必要であると認められる。このことに加え、本件初審命令交付後の事情変更も踏まえれば、今後、両組合に同様に提案されている28年提案の任用社員制度をもとに交渉を進め、その採用基準等を含め労使で議論を尽くし、速やかに制度導入が図られるよう合意を目指していくことが適当である。そこで、本件における救済としては、円滑な労使関係の回復を図るとともに、今後の交渉に資するべく、電鉄バス及び小金井に対し文書交付を命じることが相当であるから、本件初審命令を変更し、主文のとおり命じることとする。 
掲載文献   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
都労委平成21年不第87号・22年不第113号・23年不第110号 一部救済 平成25年6月4日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約702KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。