労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  京王バス小金井 
事件番号  都労委平成21年不第87号・22年不第113号・23年不第110号 
申立人  全日本建設交運一般労働組合東京都本部(X1)、同京王新労働組合支部(X2) 
被申立人  京王電鉄株式会社(Y1)、京王電鉄バス株式会社(Y2)、京王バス小金井株式会社(Y3) 
命令年月日  平成25年6月4日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   平成12年4月、被申立人会社Y1は申立外組合Zに対し、バス事業の分社化やバス事業に携わる従業員の賃金体系の変更等を骨子とする「バス事業再生・勝ち残り策」(勝ち残り策)を提案した。13年11月、勝ち残り策に反対する従業員らはZを脱退し、申立人組合X1の下部組織として同X2を結成した。14年1月、Y1は勝ち残り策に基づく新賃金制度を導入した。15年8月、分社化された被申立人会社Y2が営業を開始し、Y1のバス事業の従業員はY2に転籍又は出向した。17年11月、Y2の小金井営業所を分社化した被申立人会社Y3が営業を開始し、X2の組合員(以下、「組合員」)は同社に出向又は再出向した。
 本件は、以上のような経過を背景として、①組合員の賃金格付について、組合員であることを理由とする不利益取扱いが存在するか否か、②組合員の賞与、報奨金又は協力金等について、組合員であることを理由とする不利益取扱いが存在するか否か、③Y2及びY3における定年後の再雇用延長制度及び任用社員制度において、組合員であることを理由とする不利益取扱いが存在するか否かなどが争われた事案である。
 東京都労委はY2及びY3に対し、X2に対して任用社員制度に係る提案をすることを命じ、その余の申立てを却下又は棄却した。 
命令主文  1 被申立人京王電鉄バス株式会社及び同京王バス小金井株式会社は、申立人全日本建設交運一般労働組合東京都本部京王新労働組合支部に対し、任用社員制度に係る被申立人京王電鉄バス株式会社と申立外京王電鉄労働組合との労使協定と同内容の提案をしなければならない。
2 平成20年10月15日以前に支払いを終えた賃金、賞与及び報奨金に係る申立てを却下する。
3 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 組合員の賃金格付について
 平成21年4月になされた被申立人会社Y2の乗務員全員(被申立人会社Y3への出向者を含む。)の賃金格付をみると、申立人組合X2の組合員の昇級・昇進は全体の中で大きく遅れており、申立外組合Zの組合員との間に有意な格差の存在が認められる。このような状況は、20年から23年までの格付についても同様とみられる。しかし、これら組合員に適用されているY2の評価制度は、それ相応の客観的で公平な評価が担保された合理的な制度であるということができ、これに基づくX2組合員の成績査定はZ組合員に比べ低位にあるものの、その格差は組合差別によるものではないと解される。したがって、当該格差が、X2組合員であるが故の不利益取扱い又は組合(X1及びX2)に対する支配介入であるということはできない。
2 賞与及び報奨金等の格差について
 組合は、組合員に対する賃金格付差別及び査定差別があることを前提に基本給及び成績査定に基づく支給額の差別を主張しているが、前記のとおり、X2組合員に対する賃金格付差別や査定差別があったと認めることはできないのであるから、賞与及び報奨金等についても、同組合員であることを理由とする不利益取扱い又は組合に対する支配介入であるということはできない。
3 雇用延長制度について
 Y2は、継続社員制度等と比較して利用しやすい任用社員制度について、Zに対しては提案して労使協定を締結する一方、X2に対してはそのような提案をしていない。そして、Y2及び被申立人会社Y3は、X2がZと同内容の任用社員制度をX2に提案し労働協約を締結するよう要求しているにもかかわらず、提案することを拒否し、X2組合員に任用社員制度を適用しない扱いを続けており、同組合員にのみ同制度を適用しないことに合理的な理由は認められない。したがって、このような対応はX2組合員に対する不利益取扱いであるとともに、組合の弱体化を企図した支配介入にも該当する。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成25年(不再)第44号・第45号 一部変更、棄却 令和元年5月22日
東京地裁令和3年(行ク)第220号 却下 令和4年9月13日
東京地裁令和4年(行カ)第48号 却下 令和4年10月14日
 
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