概要情報
事件番号・通称事件名 |
中労委平成19年(不再)第73号 エクソンモービル(TR団交拒否)不当労働行為再審査事件 |
再審査申立人 |
X組合 |
再審査被申立人 |
Y1会社 |
命令年月日 |
平成30年12月19日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、Y2会社(Y1会社は、Y2会社の承継人である)が、17年度及び18年度賃上げ・一時金についての団体交渉において、賃上げ額及び一時金支給月率を算定するための前提となる比較対象企業の従業員に支払われる総報酬についての調査における情報の開示や説明を誠実に行わなかったことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事案である。 2 初審東京都労委は、本件申立てを棄却したところ、組合は、これを不服として、再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
本件再審査申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 本件救済申立ては、17年度及び18年度の各賃上げ・一時金交渉がいずれも組合と妥結していることあるいは現在組合の組合員で従業員籍を有する者がいないことから救済利益がないといえるかについて 組合は、17年度及び18年度の各賃上げ・一時金についての団体交渉の過程においてY2に不誠実な対応があったとして救済を申し立てているのであって、本件審査手続におけるこれまでの経緯に加え、当委員会に顕著な会社と組合との間で現在もなお続いている各種の紛争や交渉等の状況を踏まえると、今後の労使交渉により解決すべき問題がなお残っていると解する余地があり、Y2の対応による団体交渉権の侵害の有無を審査し、これが認められるときは適切な救済命令を発する必要があると判断される。したがって、現段階において直ちに救済利益を否定するのは相当とはいえない。 2 17年度及び18年度の各賃上げ・一時金についての組合との団体交渉における総報酬についての調査の比較対象企業等の情報の開示や説明等に関するY2の対応は、労組法7条2号の不誠実な団体交渉に当たるかについて Y2は、17年度及び18年度の賃上げ・一時金についての団体交渉 において、交渉が進むにつれて金額の推計結果、比較対象企業の選定基準等を説明しており、組合の納得及び理解を得るよう、多数回にわたる団体交渉を開催し、総報酬についての調査について、データの取扱いに制限がある中で、開示できる一定の情報は開示して、専門職と事務・技能職との一時金支給月率に格差を設けることについて、相応の説明を行ったものとみることができる。 そして、別組合員が提起した訴訟において、同種事案におけるY2の対応が不誠実であったと判断されていることを考慮したとしても、組合に対する本件の17年度及び18年度の賃上げ・一時金交渉におけるY2の対応が不誠実な団体交渉であることを基礎づける事実となるということまでは本件全証拠によっても認められないというべきであり、Y2の対応が不誠実であったとまでいうことはできないこととなる。 以上のとおり、17年度及び18年度の各賃上げ・一時金についての組合との団体 交渉におけるY2の対応は、労組法7条2号の不当労働行為に該当するということはできない。 |
掲載文献 |
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