労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  北海道労委平成28年(不)第7号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  法人Y(「法人」) 
命令年月日  平成30年9月28日 
命令区分   
重要度  全部救済 
事件概要   本件は、法人が組合のA2書記長に対し実施した生活相談員から生活支援員への配置転換が、不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、北海道労働委員会は、当該配置転換に係る不利益取扱い及び組合への支配介入の禁止並びに文書掲示を命じた。 
命令主文 
1 被申立人は、申立人の書記長であるA2が労働組合の組合員であることを理由に、同人に対し生活支援員への配置転換を命じるという不利益な取扱いをしてはならない。

2 被申立人は、申立人と一切協議を行うことな<、一方的にA2に対し生活支援員への配置転換を命じて、申立人を無視ないし軽視することにより、申立人の運営に介入してはならない。

3 被申立人は、次の内容の文書を、縦1メートル、横1.5メートルの白紙にかい書で明瞭に記載し、被申立人が経営する救護施設B2正面玄関の見やすい場所に、本命令書写し交付の日から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。


 当法人が、貴組合に対して行った次の行為は、北海道労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 今後このような行為を繰り返さないようにします。



1 貴組合のA2書記長が組合員であることを理由に、同人に生活支援員への配置転換を命じたこと。
2 貴組合と一切協議を行うことなく、一方的にA2書記長に生活支援員への配置転換を命じたこと。

 平成 年 月 日(掲示する日を記載すること)

 組合
  執行委員長 A1様
法人
 理事長B1 
判断の要旨  1 本件配置転換の不利益性について
 本件救護施設における職員の一般的認識として、本件配置転換が不利益なものであるとけ止められ、それによって組合員らの組合活動意思が萎縮し、組合活動一般に対して制約的効果が及ぶことを否定することはできない。

2 本件配置転換の業務上の必要性
ア 定員削減の必要性について
 利用者数が平成(以下「平成」の元号を略する。)28年4月1日時点で定員の9割(144名)を下回ると各種加算が打ち切られること、同年2月1日の時点で、各種加算の基準日である同年4月1日までに144名以上に回復する具体的目途までは立っていたとは認められないことからすると、法人が定員を削減したことにつき、必要性がなかったということはできない。
イ 相談員を減らすことの必要性について
 相談員を減員したことによって、違法ないし契約違反の状態が生じたことも、また、業務上の支障が生じたことも認めるとはできないから、法人において相談員を減員する業務上の必要性がなく、減員できる状況になかったということはできない

3 個別的人選の相当性について
 人選の経緯にかかる疑問が残るが、A2書記長が介護福祉士の資格を有し、本件救護施設において7年余り支援員として勤務した経験があることからすると、法人の人選に相当性がないとまで断定することはできない。

4 法人の不当労働行為意思の有無及び決定的動機について
 本件配置転換前に事前説明や内示を行うことなく配置転換を実施したのは1例しか認められないこと、A2書記長に対する業務負担軽減の周知方法及び回覧文書の内容のいずれも、従前の方法あるいは他の支援員と異なる取扱いをしていること等から、法人の不当労働行為意思の存在を認めることができる。
 そして、本件では、法人は、激しく対立していた組合の中心的人物であるA2書記長に対し、事前説明や内示を一切行わず本件配置転換を実施するという異例の取扱いを行い、業務負担軽減の周知方法についても従前取っていたロ頭方式ではなく初めて回覧文書方式を採用した上、その文書には同時期の他の支援員に関する文書の内容と比較すると不必要でありふさわしくもない多くの余事記載をして、読む者をして同書記長が支援員業務をこなせないわけがない、あるいは同書記長の対応に非があるとの印象を抱きかねない表現をとるなどの異例の取扱いを行い、さらに、26年10月及び27年4月の男性支援員の導入のときとは異なり、組合に対し24年確認書に基づく事前協議の申入れをあえて行わないという取扱いを行い、同書記長について差別的取扱いをしていることが認められるから、本件配置転換は同書記長の組合所属を決定的動機として実施されたものと解するのが相当である。

5 26年5月8日及び10月28日のB3施設長の発言につて
ア 法人は、B3施設長の発言について組合が証拠提出したCD―Rや反訳書も組合にとって不都合な部分を削除し改ざんしたものであるから、証拠としての適格性・信用性が完全に欠けていると主張する。
 相手方の同意なくして録音されたCD―Rや反訳書の証拠能力の適否については、その録音の手段方法が著しく反社会的と認められるか否かを基準として判断するのが相当であるところ、本件では、B3施設長の知らぬ間に録音されたにとどまり、同施設長の人格権を著しく反社会的な手段方法で侵害したものということはできないし、組合が不都合な部分を削除し改ざんしたことについても認めることはできないから、上記証拠は証拠能力を有する。
イ 26年5月8日及び10月28日のB3施設長の発言は、組合と法人の関係整備や先行不当労働行為事件の解決に向けて率直な意見交換をしたものとする法人の主張とは相反する内容となっているから、かかる法人の主張は認めることができない。

6 結論
 本件配置転換は、組合の中心的立場にあるB2書記長に対し、組合の組合員であることを決定的動機としてなされた不利益な取扱いであるから、法第7条第1号の不当労働行為に当たるとともに、かかる不利益取扱いは、組合を弱体化し組合員の組合活動に萎縮的効果をもたらすものであるから、法7条3号の支配介入に当たる。 
掲載文献   

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