労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  中労委平成28年(不再)第8・10号
文際学園不当労働行為再審査事件
再審査申立人  Y法人 
再審査申立人  X1組合 X2組合 
再審査被申立人  X1組合 X2組合 
再審査被申立人  Y法人 
命令年月日  平成30年2月21日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、法人が、1 組合員との間で非常勤講師契約を締結(再契約)しなかったこと(以下「本件雇止め」という。)、2学校の校舎正門前で組合らにより行われた2回のビラ配布を法人が妨害したこと、がそれぞれ不当労働行為であるとして救済申立てがあった事案である。
 初審東京都労委は2について不当労働行為であるとして、ビラ配布を妨げてはならいないこと、文書交付及び文書掲示等を命じ、その余の申立てを棄却したところ、法人及び組合はこれを不服として、それぞれ再審査を申し立てたものである。 
命令主文  本件各再審査申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 本件雇止めは不利益取扱いに当たるか
 Yは再契約する非常勤講師には担当授業の希望調査を学期末に配布し、再契約しない非常勤講師には同調査前に雇止め通知することになっており、本件雇止め通知時期が通常の手続きに沿わないとか異例の扱いであるとは言いがたく、他の非常勤講師と異なる扱いを受けた事情もうかがえないことから、本件雇止め通知時期だけから本件雇止めが組合員であるが故にされたとは推認できない。
 講師契約書には、①雇用期間、②期間満了日をもって退職とする、③再契約は次学期の専門授業の有無や学生数、当該非常勤講師の質、学生の満足度などを総合考慮した上で、次学期について改めて契約を申し込むことがある旨明記され、自動更新(再契約)の記載はない。手続きの形骸化も認められないこと等の事情から再契約は当然に予定されてはいなかったというべきである。組合員は校長から契約期間や再契約の条件について説明を受けた上で、講師契約書に署名、非常勤講師契約を締結したと認められる。以上によれば、組合員の非常勤講師契約は、再契約を当然の前提としているとはいえず、組合員に再契約を期待させるような特段の事情もない。
 本件雇止めの理由に関する校長の供述は具体的であり、不自然、不合理な点はなく、他にこれを覆すに足る証拠はない。
 本件雇止め時点では組合員Aのみ組合加入が公然化しており、それ以前に組合の要求や団交は行われておらず、労使間で格別の懸案事項がなく推移していたところ、本件雇止めをきっかけに対立が生じて緊張関係が続き、法人の対応が生じたと認められるから、本件ビラ配布の対応に不当労働行為が成立するからといって、それ以前の本件雇止めが組合員であるが故にされたとは推認できない。
 よって、本件雇止めは不利益取扱いに当たらない。
2 法人は、本件各ビラ配布を妨害したか、妨害したとすれば支配介入に当たるか
 本件各ビラ配布は正門前の公道上で組合員が道路の路側帯付近に立ち並んで朝の挨拶や声がけをしながら学校関係者にビラを配布するという穏当なもので、ビラの内容も穏当なものといえる。
本件各ビラ配布において、法人の複数の職員らが一斉に組合員らと歩行者との間に立ちふさがって登校してくる学生らに向かって両手を広げる動作を繰り返し、学生にビラを渡そうとすると受け取らないよう呼びかけるなどし,更にビラ配布の様子を録画するなどしたこと,職員らが組合員らの動きに合わせて手や体を動かし,その結果,組合員らがビラを差し出すことができないことが度々生じたこと,ビラの回収行為を行ったこと、ビラ配布の後に組合員らを追跡する行動をとったことも認められ,職員らの一連の行為は、物理的に組合員らによる本件各ビラ配布を困難にすることは明らかであり、また、心理的にもビラ配布参加に対する萎縮効果を及ぼすおそれが十分にあり、教職員を含む学校関係者らに本件各ビラ配布が違法な行為であるかのような印象を与え、ビラを受け取ることや組合加入への萎縮効果を及ぼすおそれがあるといえる。
 第1回ビラ配布における組織的行動は,校長Bとの電話を終えた職員の呼びかけに応じてほぼ一斉に始まったこと、第2回ビラ配布に校長Bは立ち会い、職員らの行動を黙認しただけでなく自らも学校関係者からビラを回収していたことから、職員らの行動は各自の判断で行ったものとは考え難く、校長Bの関与があったことが推認されること、第1回ビラ配布の際には組合員Aの雇止めに関する団交が進展せず組合が本件申立てに及ぶなど労使関係が緊張していたことからすると、法人には学校関係者らに向けたビラ配布を妨害する動機も十分にあったと認められ,本件各ビラ配布における職員らの一連の行動は、校長Bが,職員らに指示して行わせたことが推認される。
以上から,法人は,本件各ビラ配布における職員らの一連の行為により組合活動を妨害し,組合運営に支配介入したものと認められる。
3 救済方法について
 後続事件が都労委に申立てられ現在も係争中であること、法人は現在は直接的妨害行為は行っていないが、録画や監視行為は係属していることを考慮すると将来も同様の行為が繰り返されるおそれがあるから、初審命令の救済方法は相当である。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京都労委平成25年(不)第61号 一部救済 平成27年12月15日