事件番号・通称事件名 |
大阪府労委平成27年(不)第13号
不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X1組合(X2組合と併せて「組合ら」) |
申立人 |
X2組合 |
被申立人 |
Y市(「市」) |
命令年月日 |
平成29年6月13日 |
命令区分 |
一部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、被申立人が、①申立人らに対し、小学校の英語指導助手(AET)について、直接雇用を廃止し、外部委託に一本化する旨回答し、組合員全員を雇止めにしたこと、②申立人らに対し、組合員らが労働基準法上の労働者に該当しない又は市職員でない旨回答したこと、③申立人らに対し、組合員の労働者性を主張するならば社会保険料を過去分を含めて請求する旨回答したことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件である。
大阪府労働委員会は、法人に対し、申立人X2組合に対する文書手交を命じ、申立人X2組合のその余の申立て及び申立人X1組合の申立ては棄却した。
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命令主文 |
1 被申立人は、申立人X2組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
X2組合
執行委員長 A1様
Y市
市長 A1
当市が、平成27年度に、貴組合員A3氏との間で英語指導助手スーパーバイザーとしての雇用契約を締結しなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
2 申立人X2組合のその余の申立て及び同X1組合の申立てを棄却する。
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判断の要旨 |
1 英語指導助手(AET)制度の廃止について
市が、平成27年度に従前のAET制度を廃止し、組合員らとの間でAETとしての契約を締結しないことを決定したのは、AETらがX1組合の組合員であることを認識するよりも前のことであったとみられるから、従前のAET制度の廃止は、組合員であるが故の不利益取扱い及びX1組合に対する支配介入であるとはいえない。
2 A3と英語指導助手スーパーバイザー(SV)としての雇用契約を締結しなかったことについて
① ALTを全員業者派遣にすることによりSVの業務の大半がなくなるとはいえず、したがって、市が平成27年度にA3組合員との間でSVとしての契約を締結しなかった理由に、合理性は認められない。
② 市は、A3組合員との間でSVとして契約を10年以上にわたって更新してきたにもかかわらず、平成27年度にA3組合員と契約を更新しないことについて、X2組合に対し、書面で通知する前に十分な説明を行ったとはいえず、手続面においても、市の対応は適切とはいえない。
③ 市が、X2組合に、次年度にSVとしての更新をしない旨通知したのは、X2組合が組合結成を通知してから約2か月後のことであったことが認められる。
④ ①~③から、平成27年度に、市が、A3組合員との間でSVとしての契約を締結しなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いであり、また、その結果、市の学校からX2組合の組合員がいなくなったのであるから、組合の弱体化を招くものとして支配介入にも当たる。
3 市が、組合員らが労働基準法上の労働者に該当しない旨等回答したことについて
市が、26.10.7回答書及び26.12.5回答書において、組合員らが労働基準法上の労働者に該当しない旨及び市の職員でない旨それぞれ回答したことは、組合員に対する不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるとはいえない。
4 市が、組合員らについて、社会保険の本人負担分を負担する必要がある旨回答したことについて
市が、26.12.5回答書において、X1組合の組合員らについて、社会保険等の本人負担分を負担する必要がある旨回答したことは、組合員であるが故の不利益取扱い及びX1組合に対する支配介入に当たるとはいえない。
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掲載文献 |
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