労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  沖労委平成28年(不)第1号
祐愛会宮古の里不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合 
申立人  X2組合 
被申立人  法人Y(「法人」) 
命令年月日  平成29年3月9日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、特別養護老人ホームを運営する法人が、組合員であるA2 に対し、①同人の業務怠慢により同施設入所者に生命の危険を生じさせたとして、平成27年4月7日付け懲戒処分をしたこと、 ②同年6月賞与を人事考課における低評価等を理由に支給しなかったことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件 で、沖縄県労働委員会は、法人に対し、バックペイ及び文書掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X2組合組合員A2に対して行った平成27 年4月7日付け懲戒処分を取り消すとともに、同人に対し、同懲戒処分によって減額された給与相当額を支払わなければならな い。
2 被申立人は、平成27年6月の上記A2に対する賞与について、被申立人の賞与の計算式により、掛率を1.1、支給率及び 査定率を100パーセントとして算出して得た額を、行事不参加の回数に応じた減額を行うことなく、同人に対し、支払わなけれ ばならない。
3 被申立人は、本命令書を受領した日から15日以内に、別紙記載の内容を、縦80センチメートル横55センチメートル(新 聞紙2頁大)の白紙に、楷書かつ黒色インキにて明瞭に記載し、特別養護老人ホームB2の正面玄関の職員がみやすい場所に、 10日間掲示しなければならない。
別紙(略)
 
判断の要旨  1 本件懲戒処分の労組法第7条第1号該当性(争点1)について
(1)本件懲戒対象事実の存否について
 A2が、C1の個室のエアコンをつけた行為自体は、その行為の性質上、入所者の身体や生命の危険を害する有害性を有する行 為ではなく、介護業務一般における注意義務に反するものでなければ、法人における業務上の指示に反するものではない。
 27年1月19日、C1が危険な状態に陥ったものとは認められず、また、同日のC1の発熱等の症状についても暖房の使用が 原因であるとは認められない。  
 したがって、本件懲戒処分の対象となる事実は認めることができない。
(2) 不当労働行為意思の存否について
 法人は、組合と対立する関係にある中で、その対象事実が存在しないにも関わらず、介護事故における従前の取扱いとも異な り、ことさらにA2に対して激しい内容の懲戒処分を行ったのである。
 本件懲戒処分は、A2が組合員であるが故をもって行われたというべきであり、労組法第7条第1号の不当労働行為に該当す る。
2 本件賞与不支給の労組法第7条第1号の該当性(争点2)について
① 人事考課の不合理性について
 A2は、ほかの介護職員と同様の介護業務に従事し、経験年数相応の介護技術を備えていると認められるにもかかわらず、ほか の介護職員(非組合員)が人事考課において総合評価4又は5とされ、賞与の査定率100パーセントとされているのに対し、 A2のみ何らの根拠もなく最低評価の1と評価され、賞与の査定率20パーセントとされており、両者の間に合理的理由もなく明 らかな格差がつけられている。 
② 行事への不参加による減額について
 行事不参加を理由とする減額に当たっても、法人は、(勤務時間外に行われることのある行事への参加手当が、基本給及び職務 手当に含まれることについての承諾を求める)本件承諾書を提出しないA2については、行事への参加を実質的に禁止したうえ で、同不参加を理由に賞与を減額したものであって、A2が被った経済的な不利益は極めて大きい。
③ 労使関係について
  A2らが組合を結成して以来、法人がA2らに対して不利益な処遇を繰り返し、組合がこれを不当労働行為として救済を申し 立てる等の対立関係が継続しており、これが解消されたと認めるに足る事情が存在しない以上、本件賞与不支給の当時において も、上記対立関係が継続していたものと認めるのが相当である。
④ 結論
  ①~③を総合すれば、本件賞与不支給は、A2が組合員故になされたものと認められるから、本件賞与不支給は、労組法第7 条第1号の不当労働行為に該当する。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成29年(不再)第23号 棄却 平成30年10月17日
東京地裁平成30年(行ウ)第566号 棄却 令和元年11月28日
東京地裁令和元年(行ク)第207号 緊急命令申立ての認容 令和元年11月28日
 
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