労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  広労委平成27年(不)第5号
更正会(草津病院)不当労働行為審査事件  
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  平成28年11月11日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   法人は,平成26年度上期及び下期の人事評価に当たって,人事考課表の提出を拒否した申立人組合の副委員長A2に対し,人事考課に協力しなかったことを理由として,人事考課規程の規定に基づき考課者の評価より2段階引き下げてDとするとともに,この評価を法人の再雇用基準に適用し,同人が再雇用基準を満たしていないとして再雇用しなかった。
 本件は,上記法人の行為が不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件で,広島県労働委員会は,当該法人の行為が不当労働行為に当たることを確認し,その余の申立ては棄却した。  
命令主文  1 被申立人法人が,人事考課表を提出しなかった職員の人事評価を考課者による評価から2段階引き下げる人事考課規程の規定に基づき,申立人組合の組合員A2の平成26年度上期及び下期の評価を引き下げてDとし,この評価を定年退職後の再雇用基準に適用し,同組合員が再雇用基準を満たしていないとして同組合員の再雇用を拒否したことは,労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であることを確認する。
2 申立人組合のその余の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 法人が評価の2段階引下げ制度を新たに設け,A2組合員を定年退職後に再雇用しなかったのは、同組合員が組合員であること又は正当な組合活動を理由とした不利益取扱い(労働組合法第7条第1号)に該当するか。(争点)
(1)本件2段階引下げについて
 法人は,(人事考課表の)提出を拒否した職員が組合員のみであり,その理由が組合活動であることを認識した上で,就業規則所定の懲戒手続によらず,厳罰に処するということのみを意図して本件臨時経営会議を運営したものというほかなく,このことは,賞与規程の人事考課の枠組みのなかで本件2段階引下げの制度を設けることにより,提出を拒否した組合員に不利益を課そうとしたものといわざるを得ない。
(2)不当労働行為の成否について
① 法人は,本件2段階引下げの制度を決定した約1年後のA3組合員の定年退職の際に,組合が賞与評価を再雇用の条件にしないことを要求していたにもかかわらず,同制度により再雇用基準に満たないとして再雇用を拒否した。
② これは,提出を拒否している職員が組合員のみであり,人事考課表の提出拒否を続ければ,本件2段階引下げの制度により再雇用に重大な影響を及ぼすことを明確に認識した上で,再雇用するか否かという重要な判断基準である再雇用基準に同制度を適用して再雇用を拒否したものである。
③ その後も,提出を拒否した職員は、組合員のみであることが認められ,本件2段階引下げの制度により,本件再雇用基準を満たさないことを理由に再雇用されなかった職員は,A3組合員以外にはA2組合員のみであったことからも,同制度は,組合員や組合活動を嫌悪する意思によるものと推忍せざるを得ない。
④ したがって,法人が、2段階引下げ規定に基づき,A2組合員の26年度上期及び下期の評価を引き下げてDとし,この評価を本件再雇用基準に適用し,同組合員が本件再雇用基準を満たしていないとして再雇用を拒否したことは,人事考課表の提出を拒否する同組合員を嫌悪し,不利益を課そうとして行ったものと解するのが相当であって,これは,同組合員が組合員であること又は正当な組合活動を行ったことを理由とした労働組合法第7条第1号の不利益取扱いに該当する。
2 救済方法について
 組合は,本件2段階引下げ前のA2組合員の評価がBである旨主張し,再雇用拒否の撤回及び嘱託職員としての再雇用を求めているが,本件2段階引下げ前の同組合員の評価が再雇用基準を満たすB以上であると認めるに足る疎明はなく,同組合員の評価は本件再雇用基準を満たしていたと認めることはできない。
 このため,正常な集団的労使関係秩序を構築・確保するという観点から,本件不当労働行為に関する法人の責任を明確にし,今後の労使関係の運営において考慮させるために,救済方法としては,主文第1項のとおり命じるとともに,その余の請求を棄却することとする。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成28年(不再)第70号 棄却 平成30年3月7日
 
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