労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成27年(不)第35号
不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合(X2組合と併せて「組合ら」) 
申立人  X2組合 
被申立人  Y市(「市」) 
命令年月日  平成28年10月14日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、市が、市立小学校の英語指導助手(AET)の平成27年度以降の契約の更新をめぐる対立から、不当労働行為救済申立て、春闘集会、記者会見等の組合活動を行ったX1組合の組合員を、平成27年3月19日の卒業式に出席させないよう各市立小学校に指示したこと、市議会においてX1組合らの組合活動を誹謗したことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労委は、市に対し文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人X1組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

年 月 日
 X1組合
  委員長A1様

Y市         
市長 B1   

1 当市が行った次の(1)及び(2)の行為は、大阪府労働委員会において、それぞれ、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
(1)平成27年3月19日にC小学校及びD小学校において行われた卒業式について、貴組合員であるA2氏及びA3氏の出席をそれぞれ認めなかったこと。(労働組合法第7条第1号、第3号及び第4号該当)
(2)平成27年3月18日に行われた市議会本会議答弁において、当市教育委員会教育指導部長B2が、同月19日にC小学校及びD小学校において行われる卒業式について、貴組合員であるA2氏及びA3氏の出席をそれぞれ認めないことに関連して、貴組合が不当労働行為救済の申立てをしたことや貴組合及び組合員らが行ったビラ配布、要請行動等の活動を批判する発言を行ったこと。(労働組合法第7条第3号該当)
2 申立人X2組合の申立てを、棄却する。  
判断の要旨  1 A2組合員及びA3組合員を27.3.19卒業式に出席させなかったことは組合員に対する不利益取扱い、組合への支配介入及び不当労働行為救済申立てを行ったことを理由とする不利益取扱いに当たるか。また、このことは、市による組合らに対する支配介入に当たるか。
(1)校長らの対応が市の行為といえるかについて
① 本件の場合、C小及びD小の校長らは卒業式への出席を希望するA2組合員及びA3組合員について教育指導課に問い合わせているのであり、また、本件市議会答弁をしたB2部長は、本件の審問において、指導主事が校長に対して行う指導及び助言は法的根拠に基づいて行うものである旨陳述している。これらのことからすると、校長らは、自らが教育指導課に問い合わせ、これに応じて教育指導課の指導主事が法的根拠に基づき行ったとみられる回答を指導又は助言として最大限に尊重せざるを得ない立場にあったものとみるのが相当である。
② しかも、教育指導課の指導主事が校長らに対して行った上記回答の発言内容は、「慎重に対応するように」というものであり、A2組合員及びA3組合員の27.3.19卒業式への出席を認めないよう明示的に指示したものではないが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律等に基づいて指導及び助言を行う立場にある指導主事が慎重な対応を求めているのであるから、上記回答は、事実上、校長に対して出席を認めないよう指示したものとみるのが相当である。
③ 以上のことに、そもそも校長らが市教委に属する機関であることを考え併せると、A2組合員及びA3組合員を27.3.19卒業式に出席させなかった校長の対応は、市教委としての対応であったとみるのが相当であり、A2組合員及びA3組合員が27.3.19卒業式への出席を認められなかったのは、市の判断によるものということができる。
(2)卒業式への出席を認めなかったことに合理的理由があるかについて
① 市は、A2組合員及びA3組合員を27.3.19卒業式への出席希望について慎重に対応するように校長らに指導及び助言した理由として、保護者に対するビラ等の配布及び署名活動等が行われて、卒業式の意義や厳粛で静新な雰囲気が損なわれ、その円滑な遂行を阻害する事態が現実に生じる可能性が懸念された旨主張するが、この点についての具体的な疎明はない。
② これに加え、市は、上記可能性が懸念されると判断した根拠として、27.3.19卒業式直前にAETが関与してなされたとされる署名活動の依頼、校長及び他の教員に対する自らの主張の訴えかけ等を挙げるところ、本件市議会答弁を行ったB2部長は、本件審問において、これら事象の具体的内容は承知していない旨陳述しており、市は、AETのこれら活動の実態を十分に把握することのないまま、上記判断をしたのではないかとの疑問を抱かざるを得ない。
③ これらのことからすると、AETが出席することにより、卒業式に混乱が生じることが懸念されるような具体的かつ現実的な事実が存在したということはできない。
④ 以上を考え併せると、市がA2組合員及びA3組合員の27.3.19卒業式への出席を認めなかったことに、合理的な理由があるとは到底いえない。
(3)卒業式へ出席を認めなかったことと組合活動の関係について
 ① X1組合との市と間の労使関係をみると、AETの次年度の契約更新をめぐって、AETらがX1組合を連絡先とする本件ビラを市役所の前等で配布し、X1組合が不当労働行為救済申立てを行った事実が認められ、AETの次年度の契約更新をめぐって対立関係にあったとみるのが相当である。
② 市が配布を問題にした本件ビラにはX1組合の名称、電話番号等が記載されていること、本件市議会答弁においてB2部長が答弁した、AETらが出席することにより卒業式に混乱が生じることを懸念させる要因の中に、組合員であるAETの次年度の契約更新をめぐる不当労働行為救済申立てが含まれていること、が認められ、これらのことを考え併せると、市は、これらのビラ配布、抗議行動等が、X1組合による活動であると認識していたとみるのが相当である。
③ そうすると、市は、A2組合員及びA3組合員が27.3.19卒業式への出席を認めるかどうか判断するに際し、X1組合の組合活動を、卒業式の意義や厳粛で清新な雰囲気を損ない、その円滑な運営を阻害するものと評価していたものということができる。
④ これらのことからすると、市がA2組合員及びA3組合員に27.3.19卒業式への出席を認めなかったことは、X1組合との間の労使関係が対立関係にある中で、X1組合の組合活動を重要な考慮要素として考慮し、それへの対応として判断されたものということができる。
(4)したがって、市がA2組合員及びA3組合員の27.3.19卒業式への出席を認めなかったことは、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であるととともに同条第3号に該当する不当労働行為である。
 また、市がA2組合員及びA3組合員の27.3.19卒業式への出席を認めなかったことは、不当労働行為救済申立てを行ったことを理由になされた不当労働行為であるとみるのが相当であり、労働組合法第7条第4号に該当する不当労働行為である
2 本件市議会答弁は、組合らに対する支配介入に当たるか。
 本件市議会答弁は、市議会という公開の場において、X1組合の組合活動について、正当な理由なく、また、具体的かつ現実的な事実に基づくことなく、AETらが出席することにより卒業式に混乱が生じることを懸念させるものである旨発言したものであるから、X1組合の組合活動を中傷したものと推忍せざるを得ず、X1組合に対する支配介入であるといわざるを得ない。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地裁平成28年(行ウ)第250号 一部取消 平成29年10月2日
 
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