労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成26年(不)49号
不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合 
申立人  X2組合(X1組合と併せて「組合ら」) 
被申立人  学校法人Y(「法人」) 
命令年月日  平成28年10月7日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、法人が、①賃金引上げと冬季一時金支給に関する団体交渉において、組合が、合同労組であることを理由に利害関係人でないとして、財産目録等の提出及び閲覧を拒否したこと並びに財務状況、財務諸表等の閲覧制度について誠実に説明を行わなかったこと、②財産目録等の閲覧を正職員に限定する等の閲覧規程を定め、申立人らの閲覧を制限するとともに、当該閲覧制度に関する団体交渉を拒否したこと、③未妥結であることを示すために給与明細書に記載していた「仮」の文字を外し、申立人らと事前協議することなく組合員の昇給を行ったこと等が、不当労働行為に当たるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は、法人に対して、誠実団交応諾及び文書の手交を命じ、その余の申立てを棄却した。  
命令主文  1 平成25年3月14日、同年6月13日の団体交渉に係る申立てを却下する。
2 被申立人は、申立人組合及び申立人X2組合から申入れのあった①財産目録等の提出及び閲覧、②財務状況の説明、に係る団体交渉に誠実に応じなければならない。
3 被申立人は、申立人組合に下記の文書を手交しなければならない。


年 月 日
組合
 執行委員長 A殿
学校法人Y
理事長B  

 当学園が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
(1)貴組合からの平成25年8月28日付けの団体交渉申入れに誠実に応じなかったこと(第2号違反)。
(2)平成25年9月4日付け回答書及び平成26年2月20日付け回答書において、貴組合の要求に応じられない理由を十分に説明することなく、財産目録等の提出及び閲覧を拒んだこと(第3号違反)。
(3)平成26年2月27日及び同年7月10日の団体交渉において、貴組合の要求に応じられない理由を十分に説明することなく、財産目録等の提出及び閲覧を拒んだこと(第2号・第3号違反)。
(4)平成26年2月27日及び同年7月10日の団体交渉において、財務状況の説明及び財産目録等の閲覧制度の説明を誠実に行わなかったこと(第2号違反)。
(5)貴組合が、平成26年3月27日付け、同年4月9日付け及び同年5月21日付けで申し入れた団体交渉のうち、財産目録等の閲覧制度に係る団体交渉に応じなかったこと(第2号違反)。
(6)貴組合と事前協議を行うことなく、平成26年4月分から貴組合の組合員の昇給を行ったこと(第3号違反)。
(7)貴組合と事前協議を行うことなく、平成26年4月分から「仮」の文字を記載しない給与明細書を貴組合の組合員に交付したこと(第3号違反)。
(8)貴組合からの平成26年6月16日付けの同26年度の昇給並びに夏季及び冬季一時金に係る団体交渉申入れに対して誠実に対応しなかったこと(第2号違反)。
(9)財産目録等の閲覧に当たり、条件を付していること((第3号違反)。
4 被申立人は、申立人X2組合に下記の文書を手交しなければならない。
記 (省略 注:記の内容は上記3(1)から(5)及び(7)から(9)と同じ)
5 申立人組合及び申立人X2組合のその余の申立てを棄却する  
判断の要旨  1 争点4(26.1.24団交申入書に係る26.2.27団交における次の事項[①財産目録等の提出及び閲覧(2号・3号)、②財務状況の説明(2号)、③財務諸表等の閲覧制度の説明(2号)]学園の対応は、労組法第7条に該当する不当労働行為に当たるか)について
① 26.2.27団交における、財産目録の提出及び閲覧に係る学園の対応について
 学園は、財産目録等を見たいとする組合らの要求に応じられない理由について、組合らが合同労組であり、利害関係人ではないこと以外に説明しておらず、組合らの理解を得る努力を怠ったといえる。
 また、組合らが学園から得た財務情報を悪用、濫用したとの事実の疎明はなく、このような財務情報の悪用、濫用を防止するため、組合らに対し、守秘義務を課したとの事実の疎明もなく、学園が、財務情報の悪用や濫用のおそれから、組合らに財産目録等の開示を控えたことに合理的な理由があるとはいえない。
 したがって、組合らの要求に応じられない理由を十分に説明することなく、財産目録の提出及び閲覧を拒んだ学園の対応は、不誠実団交に当たるとともに、組合らへの組合員の信頼を損なわせる行為であるといえ、組合らを弱体化させる支配介入に当たる。
 以上のことからすると、学園の対応は、労組法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為である。
② 26.2.27団交における、財務状況の説明に係る学園の対応について
 学園は、26.2.27団交より前において、組合ら及び組合員に対し、損益分岐点等の資料等、一定、経営に係る数値の資料を提出しているものの、これらは学生数、従業員(教員)数、コマ数にすぎず、支出に係る具体的な数値は3点セット(注:在籍学生数推移表、人件費推移表及び従業員推移表)の中の人件費推移表に記載の人件費のみである。
 また、26.2.27団交において、組合らが、学園の提示する一時金では生活が苦しい旨述べ、学園の赤字の状況、組合員以外の従業員との差別の有無について、それまでに学園から提出された資料ではわからず、赤字であることを確認するために財産目録等の提示を求めたのに対して、学園は、これらの資料そのものや、これに代わり得る資料を提示することなく、一時金の算定根拠等、学園の財務状況に係る具体的説明も行っておらず、さらに、資料を提示できない理由も説明せず、個人としての閲覧手続があると述べるにとどまっている。
 かかる学園の対応は、組合らの求めに対し、誠実に具体的な説明を行ったとみることはできず、学園は、組合らの資料提示要求に応じられないとする理由についても、組合は利害関係人ではないとして部外者には見せられないとしか説明しておらず、組合らの理解を得る努力を怠ったといえる。
 したがって、学園の対応は、不誠実であり、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
(3)26.2.27団交における、財産諸表等の閲覧制度の説明に係る学園の対応について
① 学園が、その財務状況から、組合らの要求を大幅に下回る一時金を支給した状況において、組合らが財産目録等を閲覧できるかどうかは、組合らによる賃金交渉等の労働条件の交渉にも直結するといえ、財産目録等の閲覧制度に関する事項は、組合員の労働条件に関わる義務的団交事項に当たるといえる。
② 学園は、団交の場で、組合らに、説明できないとの主張を繰り返すのみで、閲覧制度の内容や手続について説明しておらず、説明できない理由についても全く述べていない。また、学園が組合らに対し、説明を行わなかったことに合理的理由があったとも認められない。
 したがって、学園の対応は、不誠実であり、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
2 争点6(学園が組合らと事前協議を行うことなく、平成26年4月分から組合員の昇給を行い「仮」の文字を記載しない給与明細書を組合員に交付したことは組合らに対する支配介入に当たるか。)について
① 学園が組合員に対する給与明細書から「仮」の文字を取ることは、平成26年度の昇給について、組合らの執行部が学園と妥結したとの誤解を組合員に与えかねず、学園は、事前に、組合らに対し、「仮」の文字を取ることやその理由を説明する責任があったといえる。
② 学園が組合らに対し、「仮」の文字を記載していない給与明細書を交付するに当たって、事前に組合らに対し、協議の申入れを行った事実の疎明はない。 
 したがって、学園が組合らと事前協議を行うことなく、「仮」の文字を記載しない給与明細書を組合員に交付したことは、組合らに対する支配介入といえ、労働組合法第7条第3号の不当労働行為に当たる。
3 争点9(学園が、①財産目録等の閲覧規程において、閲覧申請できる職員を正職員と規定していること及び閲覧を申請できる者として労働組合を規定していないこと、②その他財産目録の閲覧に当たり、条件を付していることは、組合に対する支配介入に当たるか。)について
① 財産目録等の閲覧規程において、閲覧申請できる職員を正職員と規定していること等について
 財産目録等の閲覧規程において、閲覧申請できる利害関係人の範囲をどのように規定するかについては、学園の合理的な裁量に委ねられた事項であり、学園が、閲覧規程において、閲覧申請できる職員として正職員と規定し、労働組合を独立の閲覧申請者として規定していないことが、直ちに、組合らに対する支配介入に当たるとはいえない。
② 財産目録の閲覧に当たり、条件を付していることについて
 A3組合員が、手続に必要な書面を提出しなかったのは、学園が財産目録等の閲覧に当たり、外部漏洩の防止を理由に、労働条件の交渉に財産目録を利用できなくする過重な条件を付していたからであり、学園が、かかる条件を付していることによって、組合らの組合員の労働条件に関わる活動が妨害されたといえる。
 したがって、学園が財産目録の閲覧等に当たり、組合らの利用を制限する条件を付していることは、組合らの組合への信頼を損なわせる行為であるといえ組合らを弱体化させる、支配介入に当たる。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地裁平成28年(行ウ)第245号 一部取消 平成30年2月28日
 
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