労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本放送協会 
事件番号  都労委平成23年不第102号 
申立人  全日本放送受信料労働組合 
被申立人  日本放送協会 
命令年月日  平成27年8月25日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   申立人組合の名古屋駅前支部の副委員長X3は、被申立人法人との間で業務委託契約を締結して、法人と受信者との間の放送受信契約の取次業務や、受信契約者が支払う放送受信料の集金などの収納業務等を行う地域スタッフとして、法人の名古屋放送局名古屋駅前営業センターに所属していた。平成23年1月21日、X3は組合支部の執行委員長X2、書記長X4、組合員X5らに、名古屋駅前営業センター長Y2が以下のような発言をしたと話した。i)「X4君も、あんなところで書記長をやっていてどうするんだろう」(22年6月21日)、ii)(X3の委託契約の更新に関して)「70歳以上は、委託契約の更新できません。あっちこっち骨を折ったけど、70歳過ぎているから、NHKメイトの仕事もできません。」(同年11月1日)、iii)「新しい会社が近いうちにできるけど、あんなところにおっては、X4君もX5君も推薦できないよ。」(23年1月21日)。  
 本件は、①Y2の上記各発言、②23年4月27日及び7月12日の団交で、法人が、Y2が上記の発言をしたことを否定したこと、③組合支部が同年6月13日に申し入れた「Yの発言について」の団交を法人が拒否したこと等は不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 東京都労委は法人に対し、1 組合中央執行委員の出席を理由に団交を拒否することの禁止、2 文書の交付・掲示、3 履行報告を命じるとともに、Yの上記i)・ii)の発言に係る申立てを却下し、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人日本放送協会は、今後、申立人全日本放送受信料労働組合が申し入れる支部団体交渉について、申立人組合中央執行委員の出席を理由として拒否してはならない。
2 被申立人協会は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、被申立人協会名古屋放送局名古屋駅前営業センターの従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
記(省略)
3 被申立人協会は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
4 被申立人協会名古屋放送局名古屋駅前営業センター長による22年6月21日発言及び同年11月1日発言に係る申立てを却下する。
5 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 地域スタッフは労組法上の労働者といえるか否かについて
 認定した事実によれば、地域スタッフは、①被申立人法人の業務の遂行に不可欠ないし枢要な労働力として法人の事業組織に組み入れられており、②法人がその労働条件や提供する労務内容を一方的・定型的に決定していたということができ、③その報酬は労務供給に対する対価又はそれに類するものとしての性格をもったものであるといえ、④法人からの業務の依頼に対して、基本的に応じざるを得ない関係にあり、⑤日時や場所について法人からある程度管理されながら、広い意味で法人の指揮監督の下に労務の提供を行っていると評価でき、⑥顕著な事業者性を認めることができない。
 したがって、地域スタッフは労働契約によって労務を供給する者又はそれに準じて団交の保護を及ぼす必要性と適切性が認められる労務供給者に該当し、法人との関係で労組法上の労働者に当たるというべきである。
2 法人の名古屋駅前営業センター長Y2の発言及び法人の団交での対応について
 平成22年6月21日及び11月1日の発言については、その存否について争いがあるところ、仮に申立人組合の主張する行為があったとしても、本件申立ての日までに1年を経過した事件に係るものである。また、これらの発言はそれ自体1回限りの行為であり、1つの目的実現のための行為とはいえず、「継続する行為」と評価することはできない。よって、これらの発言に係る申立ては却下する。
 組合は、法人が団交でY2の上記の発言及び23年1月21日の発言の存在を否定し、虚偽の回答を繰り返したことが不誠実な団交に該当すると主張する。しかし、これらの発言があったとされる状況や組合支部副委員長X3及びY2の証言から、その存否について検討すると、X3の証言はにわかに措信し難く、いずれの発言についても存在したとは認められない。したがって、組合の、Y2の23年1月21日の発言が組合の運営に対する支配介入であるとの主張及び23年4月27日及び7月12日の団交に係る上記の主張は採用することができない。
3 団交拒否について
 組合は、組合支部が23年6月13日に申し入れた支部交渉について、法人が、組合の中央執行委員が出席することを理由にこれを拒否し、7月12日の支部交渉においても、中央執行委員2名の出席を拒否した旨主張する。他方、法人は、別組合との合意事項である「各級レベルの交渉について(50.5.17)」が組合に承継されているところ、その第4項に「支部交渉への上部団体役員の出席は双方了解のもとに行う」と定められており、この規定に従った対応をしたものである旨主張する。
 認定した事実によれば、本件申立て前には、当事者間において上記の合意事項が団交ルールであるとの明確な共通認識であったとはいえず、また、法人は支部交渉に中央執行委員が出席することを拒否する理由として上記の合意事項が団交ルールとなっていることを説明しておらず、その存在を前提に23年6月13日の団交申入れ及び7月12日の団交に対応していたということもできない。したがって、上記の合意事項が組合に承継されているか否かについて争いはあるものの、それについて判断するまでもなく、当該合意事項の存在は支部交渉への中央執行委員の出席を拒否する正当な理由とはならない。また、このほかに法人が中央執行委員の出席を拒否する正当な理由があったとは認められない。
 よって、法人が支部交渉への中央執行委員の出席を拒否したことは正当な理由のない団交拒否に該当する。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成27年(不再)第42・46号 棄却 平成28年11月16日
 
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