概要情報
事件名 |
ミトミ・ミトミ建材センター |
事件番号 |
中労委平成23年(不再)第14号・第15号 |
第14号再審査申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(「組合」) |
第15号再審査申立人 |
株式会社ミトミ(「ミトミ」) |
第14号再審査被申立人 |
株式会社ミトミ
有限会社ミトミ建材(「ミトミ建材」)
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第15号再審査被申立人 |
全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部 |
命令年月日 |
平成24年11月21日 |
命令区分 |
一部変更 |
重要度 |
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事件概要 |
1 本件は、ミトミ及びミトミ建材が、①組合に加入したミトミの従業員Xに対し、組合加入に関する発言を行ったこと(ミトミ及びミトミ建材の取締役であるY1の発言並びにミトミの取締役であるY2の発言)、②組合加入公然化直後からXの土曜日の就労を拒否したこと、③組合との事前協議を経ることなく就業規則の変更を行ったこと等が不当労働行為に当たるとして、救済申立てがあった事件である。
2 初審大阪府労委は、ミトミ建材はXの労組法上の使用者に当たらないとして、同社に対する申立てを却下した上で、本件Y1発言及び本件Y2発言は労組法7条3号の不当労働行為に、本件土曜日就労拒否は同条1号及び3号の不当労働行為にそれぞれ当たるとして、ミトミに対し、①本件土曜日就労拒否に係るバック・ペイ及び今後の土曜日就労拒否の禁止、②文書手交(本件Y1発言及び本件Y2発言並びに本件土曜日就労拒否に関して)を命じ、その余の申立てを棄却したところ、組合及びミトミは、これを不服として再審査を申し立てた。 |
命令主文 |
1 初審命令主文中、本件土曜日就労拒否並びに本件Y1発言及び本件Y2発言に係る救済申立てを認容した部分の取消し並びに同救済申立ての棄却
2 組合の本件再審査申立ての棄却 |
判断の要旨 |
1 ミトミ建材は、Xの労組法上の使用者に当たるか。
ミトミの役員3名がミトミ建材の役員を兼務し、ミトミからの出向者がミトミ建材の業務を行い、ミトミはミトミ建材が製造する生コン製品の運送業務を行っているなど、両社は人的な面や業務執行の面で密接な関係にあるといえるが、これらは両社の出向契約や運送委託契約に基づくものであり、出向者はミトミの業務は行わないこと等からすれば、両社は独立して事業を営むものであり、組合が主張するように、実質的に一体の会社であったとまでいえない。また、Xは土木作業員としてミトミ入社後、一度もミトミ建材へ出向したことはなく、ミトミ建材が出向していないミトミの従業員(ミトミ建材の業務を兼務しない。)の労働条件等の決定に関与することはないこと等から、ミトミ建材がXの業務内容や労働条件を実質的に決定していたとはいえない。以上のことから、ミトミ建材がXの労組法上の使用者に当たるということはできない。
2 本件Y1発言は、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか。
従前、組合に加入した知人から、組合に加入すると組合費を払い休日に自費で組合活動に参加せざるを得ない状況であるなどの旨を聞いていたY1は、Xが、強く批判をしていた組合に自ら加入したことについて、Xは大丈夫であろうかと考えて、「大丈夫?」と声を掛け、「落ちるとこまで落ちたな」、自費で「活動にかりだされているみたい」などとXの今後への懸念を吐露する発言を行っているのであって、Xの組合加入を直接非難し、あるいは不利益を示唆したり、脱退を働き掛けるような発言は行っていない。また、組合及びXは、本件土曜日就労拒否等に関しては即時に、かつ、幾度もミトミに対し抗議した上、団体交渉において質すといった対応をとっているが、本件Y1発言に関してはこのような対応を一切とっていないことからすると、当時、同発言による組合活動等への影響はないものと受け止めていたと推認できる。以上のことから、本件Y1発言をもって、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるとまではいえない。
3 本件Y2発言は、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるか。
本件Y2発言(「自分から入った?」「誰かに誘われたん?」等)は、組合が主張するように、分会結成の経緯を調査して、組合員の拡大を阻止すべく発言したものとは認められず、Xに執拗に詰問したものでもない。むしろ、Y2は、Xが日ごろから子供の話など親しく日常的に会話をする中で、強く批判をしていた組合に自ら加入した動機は何か、ミトミに対して何か不満があるのかをXに確認しようとしたにすぎない。また、組合及びXは、本件Y1発言と同様に、ミトミに対する抗議等の対応を一切とっていないことから、当時、Y2発言による組合活動等への影響はないものと受け止めていたと推認できる。以上のことから、本件Y2発言をもって、労組法第7条第3号の不当労働行為に当たるとまではいえない。
4 本件土曜日就労拒否は、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たるか。
ミトミは、Xを就労させなかった6日間の土曜日について、ミトミの経営悪化等に伴い、あらかじめXに対して土曜日には同人の業務はないので出勤の必要はない旨伝えていたのであり、Xと同様に公的資格(車両系建設機械運転技能講習修了証等)を有しない非組合員に対しても出勤を命じなかったとの事情によれば、ミトミがXに従事させるべき業務があるのに就労させなかったものではないから、本件土曜日就労拒否は労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たらない。
5 本件就業規則変更は、労組法第7条第3号の不当労働行為にあたるか。
本件就業規則変更は、労働基準法所定の手続きを経て、また、従業員の意見聴取に参加しなかったXから個別に意見を聴き、別にない旨等の回答を得たうえで行われ、さらに、組合は本件就業規則変更に際してミトミに団体交渉の申入れ等を行ったような事情は認められないから、不当労働行為と目すべきところはない。3 X3の解雇は、労組法第7条第1号および第3号の不当労働行為に該当するか。 |
掲載文献 |
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