労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]  [顛末情報]
概要情報
事件名  フルハーフ岡山 
事件番号  中労委平成23 年(不再)第61号  
再審査申立人  岡山地域労働組合(「組合」)  
再審査被申立人  フルハーフ岡山株式会社(「会社」)  
命令年月日  平成24年10月3日  
命令区分  棄却  
重要度   
事件概要  1 本件は、(1)休職中であった組合員Xの職場復帰等を申入れ事項とした平成21 年9月25 日付け及び同年11 月25 日付けの団交申入れ(以下、2度の申入れを合わせて「職場復帰団交申入れ」)について、会社は、産業医からXの主治医への意見収集及び会社指定の医療機関の診断結果を踏まえて対応すると回答したにもかかわらず対応しないこと、(2) 会社が、解雇したXの解雇撤回等を申入れ事項とした平成22 年3月1日付け及び同年6月2日付けの団交申入れ(以下、2度の申入れを合わせて「解雇撤回団交申入れ」)について回答しないことがそれぞれ不当労働行為であるとして、組合が、岡山県労働委員会(「岡山県労委」)に団体交渉応諾及び文書掲示を求め、救済申立てを行った事件である。
2 岡山県労委は、上記(1)及び(2)は労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であると判断し、会社に対し、誠実団交応諾及び文書手交を命じたところ、組合は文書掲示を命じなかったことを不服として再審査を申し立てた。  
命令主文  本件再審査申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 前提となる争点(各団交申入れに対する会社の対応の不当労働行為該当性について)
ア 職場復帰団交申入れについて
 会社は、Xの職場復帰等に関する団交の申入れに対し、Xの主治医からの意見収集の結果及び会社指定の医療機関での診断結果を踏まえて団交に対応すると回答した。これに対し、Xが会社の指示に従い、主治医からの情報提供に同意し、会社が指定する産業医等の診断を受けたにもかかわらず、会社は本件団交申入れに何ら対応しないまま、Xに解雇通知書を送付した。このような会社の対応は、団交を拒否する不誠実な対応である。
 また、本件団交申入れは義務的団交事項に関するものであり、申入れ自体が虚偽事実に基づく不当な利益を実現しようとするものであることを認めるに足る証拠はなく、会社には当該申入れに誠実に応じる義務がある。
イ 解雇撤回団交申入れについて
 会社は、解雇の理由をXに書面で回答したり、司法機関等における法的紛争の場で一定の説明をしたことをもって、解雇撤回団交申入れについて理由がないと主張するが、これらの会社の対応は、本来的な集団的労使関係の自主的な解決の場であるべき団交の場において説明したことにはならず、また、団交が互いに誠意をもって行われるならば、その結果、従来の所信を改めることもありうるのであるから、上記主張を解雇撤回団交申入れを拒否する正当な理由とすることはできない。
 また、組合の書記長が団交申入れ後、再々にわたり会社に電話連絡したものの、会社から組合に何ら連絡はなかった。このような会社の態度は、団交を拒否する不誠実な態度である。
2 主たる争点(救済方法について)
 上記のとおり、各団交申入れに対する会社の対応は不当労働行為に当たるところ、組合は、初審命令による誓約文書の手交のみでは、会社に働く従業員等に対して、当該会社の誓約を周知することができないが、取消訴訟における会社の対応によれば、将来不当労働行為を繰り返すことは明白であり、これを防止するためには文書の掲示が必要、不可欠である旨主張する。
 しかしながら、会社は、組合の第1回(平成21 年4月30 日)及び第2回(平成21 年6月3日)団交申入れに対し、組合の要求する日程どおり団交を開催しており、団体交渉中の会社の対応についても特段問題がうかがわれないこと、その後の会社を取り巻く事情と本件団交拒否に至る経緯などを踏まえると、当委員会も、本件の救済方法としては、上記本件団交申入れに対する誠実団交応諾を会社に命じることに加えて、双方の団交の円滑化を図り、将来同様の団交拒否を繰り返すことを防止する観点から、会社に文書手交を命じることは相当であるが、文書掲示による周知までの必要性は認められないものと解する。  
掲載文献   

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
岡山県労委平成22年(不)第3号 全部救済 平成23年8月8日
岡山地裁平成23年(行ウ)第27号 棄却 平成24年5月22日
広島高裁平成24年(行コ)第8号 棄却 平成24年10月25日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約215KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。