概要情報
事件名 |
フルハーフ岡山 |
事件番号 |
岡委平成22年(不)第3号 |
申立人 |
岡山地域労働組合 |
被申立人 |
フルハーフ岡山株式会社 |
命令年月日 |
平成23年8月8日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人会社が①休職中であった組合員X2の職場復帰等に関する団交の申入れに対し、同人の主治医からの意見収集及び会社指定の医療機関の診断結果を踏まえて対応すると回答したにもかかわらず対応しないこと、②X2を整理解雇した後、申立人組合が同人の解雇撤回等を求めて行った団交申入れに回答しないことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
岡山県労委は、会社に対し誠実団交応諾及び文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人フルハーフ岡山株式会社は、申立人岡山地域労働組合が申し入れた次の団体交渉に誠実に応じなければならない。
(1) 平成21年9月25日及び同年11月25日に申し入れた組合員X2の職場復帰に係る団体交渉
(2) 平成22年3月1日及び同年6月2日に申し入れた組合員X2の解雇撤回に係る団体交渉
2 被申立人フルハーフ岡山株式会社は、申立人岡山地域労働組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
岡山地域労働組合
執行委員長 X1 殿
フルハーフ岡山株式会社
取締役社長 Y1
当社が、貴組合から平成21年9月25日、同年11月25日、平成22年3月1日及び同年6月2日に申入れのあった団体交渉に応じなかったことは、岡山県労働委員会において労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認定されました。
今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
(注:年月日は文書を手交した日を記載すること。) |
判断の要旨 |
1 職場復帰等に関する団交申入れについて
被申立人会社は、組合員X2の職場復帰等に関する団交の申入れに対し、同人の主治医からの意見収集の結果及び会社指定の医療機関での診断結果を踏まえて団交に対応すると回答した。これに対しX2が会社の指示に従い、主治医からの情報提供に同意し、会社が指定する産業医等の診断を受けたにもかかわらず、会社は当該団交申入れに何ら対応しないまま、同人に解雇通知書を送付した。このような会社の態度は、団交を拒否する不誠実な態度である。
会社は、X2及び申立人組合は同人の離婚調停や病気について虚偽事実を主張して団交を有利に進めようとしていたのであるから、上記の団交申入れは団体交渉権の濫用として許されないとも主張するが、当該団交申入れは義務的団交事項に関するものであり、申入れ自体が虚偽事実に基づく不当な利益を実現しようとするものか否かを判断するまでもなく、会社には当該申入れに誠実に応じる義務があるから、会社の主張は当たらない。
2 解雇撤回に関する団交申入れについて
会社は、解雇の理由をX2に書面で回答していること、本件救済手続き及び民事訴訟の場で解雇の有効性について説明していること、組合が会社の譲歩案を拒否したため和解が成立しなかったことをもって、別途団交を開催しても説明する事項がなく、交渉が進展する余地もないから、解雇撤回団交申入れについて理由がないと主張する。
しかし、書面によって回答したり、司法機関等における法的紛争の場で一定の説明をしたからといって、本来的な集団的労使関係の自主的な解決の場であるべき団交の場において説明したことになるものではなく、また、団交が互いに誠意をもって行われるならば、その結果、従来の所信を改めることもありうるのであるから、上記主張を解雇撤回団交申入れを拒否する正当な理由とすることはできない。
組合の書記長が団交申入れ後、団交の開催日を確認するために再々にわたり会社に電話連絡したものの、会社から組合に何ら連絡はなかった。このような会社の態度は、団交を拒否する不誠実な態度である。 |
掲載文献 |
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