労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  大阪府労委平成22年(不)第76号・23年(不)第11号  
事件番号  大阪府労委平成22年(不)第76号・23年(不)第11号  
申立人  X労働組合  
被申立人  株式会社Y  
命令年月日  平成24年8月24日  
命令区分  棄却  
重要度   
事件概要   生コンクリートの製造販売等を営む被申立人会社の従業員であったDは、会社の休日である平成22年11月13日に開催される社外の講習会への出席を会社から指示されていたところ、11月9日は休日として就労しなかった。その翌日、申立人組合は会社に対し、従業員D及びCの組合加入を通知するとともに、団交申入書等を提出した。Dは、団交申入書等の提出後、会社の工場長補佐Gに対し、「13日の休みは、公然化した以上、休みになるんではないですか。社長に聞いてください」と質問した。
 本件は、以上のような経過の後、会社が①同年11月12日、Dの振替休暇の取扱いについて、組合を無視して直接Dに通知文書を交付したこと、②同日、組合員らが会社を訪れ、上記①のことについて会社に抗議したところ、警察に通報し、警察官を招き入れたこと、③同日の組合の行為に際しての職場離脱を理由として、組合員C及びDに対し賃金カットを行ったこと、④11月15日における組合員らと会社社長Bとのやりとりの後、11月17日付けで組合に対し、「強要蛮行」に対する謝罪文と誓約書の提出がない限り、団交の開催を拒否する旨の通知を行い、団交に応じなかったこと、⑤従業員全員が組合員である申立外運送会社Pを使用しなかったこと、⑥申立外生コンクリート協同組合Qから生コンの出荷を停止させられた後、12月13日付けでC及びDを解雇したことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
 大阪府労委は、申立てを棄却した。  
命令主文   本件申立てをいずれも棄却する。  
判断の要旨  1 組合員Dに対する会社通知の手交について
 被申立人会社の社長Bが平成22年11月12日、Dに対して会社通知を手交した理由は、会社の方針であり、既に業務指示も出し、振替休日も取得済みの講習会への参加であるにもかかわらず、Dが直前になって出席拒否しようとしたものと認識し、それは業務指示違反であるとして注意しようとしたものであるといえる。通知の文面も、主な記載事項は「振替休日の事後変更は認め」ない旨であり、申立人組合に言及した記載もない以上、ことさらに組合活動に影響を与えようと意図したものとみることもできない。したがって、当該会社通知の手交は、組合に対する支配介入に当たるとはいえない。
2 警察への通報について
 平成22年11月12日に組合が長時間、会社敷地内に滞在して、会社が何度も退去を要請しているにもかかわらず、それに従わなかったことは明らかであり、これに同月10日の組合と会社とのやりとりが、組合が「警察呼べよ」と発言するなど平穏でなかったことを併せ考えると、このような事情の下では、会社が警察に通報したこともやむを得ないことであるといえる。したがって、組合に対する支配介入に当たるとまではいえない。
3 組合員C及びDに対する賃金カットについて
 平成22年11月12日にC及びDが職務に専念していなかった時間があり、これに会社が注意していたことは否定できず、この点に係る組合の申立ては棄却せざるを得ない。
4 団交申入れに対する会社の対応について
 22年11月15日のやりとりにおける組合の団交要請の態様は、B一人に対して威迫するような形で行われていたと認めざるを得ず、組合員複数名で1時間にわたりBが会館外に出ることを阻んだというのであるから、このような状況が改善されない限り、団交の場においても、危害が加えられるおそれがあると会社が考えても無理からぬ面があるといえる。また、組合がこのような暴行・威迫を行ったことについてやむを得ない事情があったともいえない。そして、会社が組合に対し、二度と同様の行為を行わない旨の誓約書を求めたのに対し、組合は会社の主張自体を否定する対応をしていたといえる。
 さらに、前述のとおり、11月15日以前にも、組合は会社に対して平穏でない態度で臨んでいたとみることができる。
 これらのことからすれば、いったん団交の日程調整を行っていた会社が11月15日のやりとりを機に、団交の場が組合の暴力的・高圧的な態度の下に組合要求を一方的に強要する場になることを恐れたのに対し、その後も、組合がBの主張を虚言として認めず、会社の恐れを払拭するような提案を行うといった対応は一切行っていなかったというのであるから、会社が団交に応じていないことには正当な理由があるというべきである。
5 申立外運送会社Pを使用しなかったことについて
 組合は、会社がPへの発注を行わないことにより同社の売上も減じており、ひいては組合員であるPの運転手全員に対する不利益取扱いとなり、組合に対する支配介入に当たる旨主張するが、同社への発注を行わないことが労組法7条1号の不利益取扱い及び同条3号の支配介入に当たるとの疎明はなく、この点にかかる組合の申立ては棄却する。
6 組合員C及びDの解雇について
 会社は、申立外生コンクリート協同組合Qから生コンの出荷停止を受けて休業し、その後、Qと法的紛争状態に入り、出荷停止が近々に解除される見込みはなかったことが認められる。このような経緯の後に、休業の継続は困難であるとして本件解雇を行うに至った会社の行為が不自然であったとまでいうことはできない。また、その後の経過をもって、本件解雇が組合員を排除することを意図して行われたとまでみることもできない。よって、組合の主張は採用することができない。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪地裁平成25年(行ウ)第48号 棄却 平成26年9月17日
大阪高裁平成26年(行コ)第167号 棄却 平成27年4月27日
最高裁平成27年(行ヒ)第344号 上告不受理 平成28年7月8日
 
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