労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  日本航空 
事件番号  都労委平成22年(不)第121号 
申立人  日本航空乗員組合、日本航空キャビンクルーユニオン 
被申立人  日本航空株式会社 
命令年月日  平成23年7月5日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   会社更生手続中であった被申立人会社の管財人であり出資者でもあった申立外企業再生支援機構のディレクターらが、申立人組合らが争議権確立のための組合員による一般投票を行っている最中に、組合らとの事務折衝の場で「争議権が確立された場合、それが撤回されるまでは再生計画案で予定されている出資ができない」旨などを述べたことは不当労働行為であるとして、争われた事件である。
 東京都労委は、会社に対し文書の交付・掲示及び履行報告を命じた。
 
命令主文  1 被申立人日本航空株式会社は、本命令書受領後1週間以内に、申立人日本航空乗員組合及び同日本航空キャビンクルーユニオンに対して、それぞれ下記内容の文書を交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートル×80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、会社内の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
(注:年月日は文書を交付した日又は掲示した日を記載すること。)


(申立人日本航空乗員組合宛)
年  月  日
日本航空乗員組合
執行委員長 X1 殿
日本航空株式会社
代表取締役 Y1

 当社が、平成22年11月16日、貴組合に対して、貴組合の争議権に関し、争議権の確立ないし行使等を制約する言動を行ったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。

(申立人日本航空キャビンクルーユニオン宛)
年  月  日
日本航空キャビンクルーユニオン
執行委員長 X2 殿
日本航空株式会社
代表取締役 Y1

 当社が、平成22年11月16日、貴組合に対して、貴組合の争議権に関し、争議権の確立ないし行使等を制約する言動を行ったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。

2 被申立人日本航空株式会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
 
判断の要旨  1 本件各発言は、「使用者」の行為に当たるか。
 被申立人会社は、本件各発言は企業再生支援機構(以下「機構」という。)が会社の出資予定者としての立場から出資に関する見解を述べたものにすぎず、会社の事業経営の主体たる「使用者」の行為に該当しないと主張する。しかし、本件各発言を行ったディレクターらが従前、複数回にわたり行われた団体交渉、事務折衝等において機構の労務担当者として本件会社更生手続下における労働条件等について言及していることに鑑みれば、申立人組合らが本件各発言は純然たる出資予定者としての発言であり、使用者としての発言ではないと理解したと認めることは困難である。また、機構が人員削減を含む更生計画案を作成し裁判所に提出するなど会社に係る労使関係上の一方当事者たる地位にある者として対応していることに鑑みれば、出資予定者としての一面を有することの一事をもって不当労働行為の行為主体から除外することは不当労働行為救済制度の趣旨に照らし適切でない。むしろ、機構が労組法7条にいう「使用者」に該当する以上、本件各発言は出資予定者としての見解を表明したものであると同時に、「使用者」たる管財人としての見解を表明したものと解するのが相当である。

2 本件各発言は、支配介入に当たるか。
 本件各発言が会社の再建に不可欠な出資を行うことができないという言辞を用いて、本来組合らが自主的に決定すべき内部事項たる争議権の確立を自粛するよう求める趣旨のものであること、争議権の確立に係る一般投票が行われている最中に本件会社更生手続において中心的立場にあったディレクターらからなされたことなどの各事実を総合考慮すれば、本件各発言は組合員に対して威嚇的効果を与え、組合らの組織運営に影響を及ぼすものであり、組合らの運営に対する介入であるといわざるを得ない。
 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
東京地裁平成23年(行ウ)第510号 棄却 平成26年8月28日
東京高裁平成26年(行コ)第369号 棄却 平成27年6月18日
最高裁平成27年(行ツ)第392号、平成27年(行ヒ)第422号 上告棄却・上告不受理 平成28年9月23日
 
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